ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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今回はDGAの活動を描いたお話。
二ヶ月に一度はこのくらいの規模のゾーンが現れ大き目の作戦が行われるとお思いください。


Ep.33:護守サキトと大討伐作戦

『──────これより、作戦概要を説明します。よろしいですね?』

「了解です」「大丈夫だよ」「いつでも」

 

──────2024年9月21日。

文化祭まであと1週間となった土曜、そしてデュエマのレギュラーパック新弾発売日の夜。

サキト達実働部隊員は、栗茶市に発生したゾーンの境界線部にて本部からの指令を受けていた。

 

『現在貴方がたの担当する栗茶市の北部を中心として、3つの市に跨る大規模なゾーンが発生しています。観測班によれば、内部はパラサイトワーム系のクリーチャーが大量発生、営巣しているとの事です』

「うわぁ……彼らはグロテスクなのも多いからね、あまり想像したくないよ」

『今回は3市の実働部隊による同時攻撃で、ゾーン内のクリーチャーを掃討します。それぞれの担当区域をマップデータに送信してあります』

「確認した。ともかく数が多い、連戦になりそうだな」

『中心部には《魔翼虫ジェノサイド・ワーム》が確認されています。群れの頭であろうこの個体の討伐を最大目標とします。それでは、よろしくお願いします』

「了解です。作戦開始まであと5分、カウントダウンを開始……と」

 

デュエルフィールドで封鎖された道路上をバックアップスタッフが慌ただしく動く中、3人はシールドを展開し、作戦開始時間を待つ。

 

「ここからでも何体か見えるな……果たしてどれほどの数がいるやら」

「殲滅用に何枚かメガ・マグマに入れ替えましたけど、それでもこの数は厄介ですね」

「パワーが低いけれどこの数はね……ゾーン内の野良クリーチャーは低パワーの個体であればシールドを1撃で割れるほど強くないのは救いかな」

「それでもこいつらが外へ出たり、一般人が中に迷い込んだりしたら大惨事だ。気を引き締めて行くぞ」

 

そうして話している間に、開始時間が近付いてきた。

 

『作戦開始時間まであと10秒。9、8、7……』

 

固唾を飲んで見守るスタッフ達。サキトも緊張が高まっている事を肌で感じている。

 

『──────3、2、1、突入開始!』

「行くぞ!」

 

3か所からそれぞれの市の実働部隊がゾーン内へ突入する。人間の臭いを嗅ぎつけたか、瓦礫の合間を這いまわるワーム達が一斉に彼らを見た。

 

「よし、先手必勝!やたら数が多いお陰でさっさと出るぜ……!ボルドギをマナへ送り、メガ・マグマ・ドラゴンを1マナで召喚ッ!5000以下のクリーチャーを焼き尽くせ!!」

 

視界に入ったパラサイト・ワームの大群が瞬時に焼き尽くされてゆく。酷い臭いに3人は顔を顰めるが、こんなのはまだまだ序の口だ。

 

「張り切ってるね、けれど最初からそれを出して大丈夫かい?」

「問題ありません、次のに遭遇したら革命チェンジで引っ込めることでもう1回出せますからね!」

「なるほど、登場時能力の使い回しは革命チェンジの最大の利点だな。このまま切り込むぞ」

 

他のポイントから突入したメンバーも、軽いブロッカーで守る担当と素早くクリーチャーを展開し除去を担う担当で組み徐々に戦線を押し上げようとしているようだ。

 

「第2波が来るぞ、注意しろ。俺は《堕魔 ザンバリー》を召喚する」

「こちらはマナチャージのみだね。さあ、ここからだね……!」

 

 

* * *

 

 

次から次へと襲い来るパラサイト・ワーム達の大群は、生きた濁流かと思う代物だ。

 

『ツインパクト呪文《「オレの勝利だオフコース!」》を使用!パワー4000以下のクリーチャーを全破壊!』

『くっ、シールドトリガー発動!《ゴルチョップ・トラップ》!相手のパワー4000以下のクリーチャーを全てマナ送りに!』

「他のポイントでも奮闘しているようだな……ちっ、シールドトリガー!《逆転の影ガレック》により3体のパワーを-3000して破壊!」

「《ブルー・インパルス/「真実を見極めよ、ジョニー!」》のスマッシュバースト能力!攻撃時に呪文面の効果を使用!3体をバウンスし超獣世界へ強制送還!………なかなか、この数はしんどいね……!」

 

ブロッカーを複数体並べながら進軍してゆくアンナ、そして時折やってくる全体除去を耐えるパワー持ちを処理してゆくリュウ。そして、メガ・マグマ・ドラゴンを革命チェンジで使い回し群れを溶かしてゆくサキト。3人は互いにカバーし合いながら中心部へと徐々に迫っていた。

 

「チッ、いい加減デッキが切れそうだ!」

「こっちも……!一旦場とマナをリセットして仕切り直さないと!」

「井星くんは私がフォローしよう。一旦墓地をリセットするが構わないかな?」

「墓地はリソースだが、背に腹は代えられんか……やってくれ」

「では呪文《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》を使用!井星くんの墓地のカードを全てデッキへ戻し、シャッフルするよ!」

 

リュウのデッキ枚数を回復させたところで、サキトがデッキを切らして一時的に盾もクリーチャーも消滅する。素早くデッキホルダーへ全てのカードを戻し、オートシャッフルによりシールドと手札が再配置されてゆく。

 

「よし、もういっぺん最初から来てるな……!マナチャージしメガ・マグマ・ドラゴンを召喚!なぎ払え!」

「今度はこちらが交代で仕切り直させて貰うよ……!」

 

長期戦ともなればデッキ切れによる一時的なクリーチャーとシールドの消失が起きて来る。チームでこうしてカバー出来なければ途端にその隙を突かれクリーチャーの餌食となるだろう。アンナも額に汗をかきながら盤面をリセットし再度手札とシールドを展開させてゆく。

 

「相手がひたすら多い分、こいつの能力は発揮されるのが利点か……!シールドトリガー!」

 

割られた盾から回収したカードをリュウが構える。普段のデュエルであれば条件を満たす前に決する事もたまにあるが、今の状況なら使い放題だ。黒い炎が、迫りくる大群を灰燼に帰す。

 

「《卍・獄・殺》!」

「おお、成程破壊したワーム達は全部墓地へ行ってるとカウントされるのか……!」

「中心部まで残り数十メートル、そろそろ大物も来そうだね……!」

 

敵を一掃し一息吐きながら、マナをチャージし備えてゆく。低級のワームはほぼ壊滅したようで、迫って来るワームの数は大幅に減っている。パワー5000を超える大物パラサイトワームは6種程しかいない。

 

『こちら北西部突入班!大型パラサイト・ワーム《黒騎士ザールフェルドII世》《腐敗怪蟲ドグマグ》と接触!交戦に入る!』

『こちらは北東部突入班!こちらも《黒蟲奉行》《貴星虫アポルオン・ワーム》と遭遇!やってやるぜ!!』

「大物の反応はあと2体か……っ、接近警報!」

「地中からだね!散開!」

 

振動を感じ取った3人が別方向に散ると、地中から巨大な怪物が姿を現す。ドラゴンと魔蟲が混ざり合った《死神の魔龍虫ビャハ》だ!

 

「こいつは俺達が引き受ける、ジェノサイドワームは任せて構わんな?」

「ビャハは破壊をひたすら飛ばして来るからね、私達の方が有利に立ち回れるというものだよ」

「了解!お気を付けて!」

「さて……開け、ヘブンズ・ゲート!現れたまえ、《支配の精霊ペルフェクト》!《聖霊超王 (ハイパー)・アルカディアス》!!」

「開け、無月の門・絶……現れよ、《「無月」の頂 (ゼニ)スザーク$》!!道を開け!」

 

迎撃態勢をアンナが整え、白い炎と化したデ・スザーク、$スザーク$がサキトの進路を開く。そして、焼けた道をサキトが駆け出してゆく。

 

 

* * *

 

 

『キィイイィィィィイ!』

「漸く辿り着いたぞ……!覚悟しろ!」

 

道を開く中でルピア・ターン、メガ・マグマ・ドラゴン、王道の革命ドギラゴンが場へと集っている。残るシールドは2枚、そんなサキトに対して3体のブロッカー持ちを周囲に残した《魔翼虫ジェノサイド・ワーム》が吠え猛る。

 

『キィィァァァ!!』

「っとぉ!!」

 

巨大なワームの牙でシールドが砕かれる。だが、それこそがサキトの狙いでもある。

 

「シールドが無くなった事でドギラゴンの革命0発動!バトル中のパワーを上昇させ、無限にバトル出来る!これで殲滅準備は整った!」

『ガァァアアァァアッ!!』

 

バトル時のパワーを15000まで増加させたドギラゴンが周囲のワームを剣で一閃し、ジェノサイド・ワームの守りを全て打ち破る。残るは最後の一撃のみ。

 

『キシャァァァァア!!』

「うおっ!?」

 

形勢を不利と見たか、ジェノサイド・ワームが翼を広げ空へと逃げる。その腹には卵塊らしきものを抱えているようだった。

 

「逃がすか!卵一つでも万が一ゾーンの外に出たら惨事になる、ここで仕留める……行くぞ!」

 

サキトがドギラゴンの背に乗ると、ドギラゴンは炎の翼を広げ舞い上がる。その速度は、容易くジェノサイド・ワームへと追い付く程のものだ。

 

「ドギラゴン、一刀両断だぁっ!!」

『ギァァアァァアアァッ!!』

 

背に備え付けられた剣が、ジェノサイド・ワームを叩き斬る。断末魔の叫びを上げながら、巨大なワームは炎上し抱えた卵諸共消滅するのだった。

 

 

* * *

 

 

『現時刻、23:30をもってゾーン内のパラサイトワーム全個体駆除を確認。お疲れ様でした。ゾーンが縮小されますので、路上へと集まって下さい』

 

ゾーンが消えた後は元の街並みに戻る。廃墟と化していた場が民家に戻れば、そこに立っていた場合大変なことになるだろう。

 

「お疲れ様、今回はなかなか大変だったね」

「……あの群れが蠢く中人が迷い込んでいたらひとたまりも無かっただろう。今回はその前に駆除出来て何よりだ」

「あーしんどい……早く帰って風呂入りたいですよ」

 

2時間半ほどは戦い続けていただろうか、ワームの体液による悪臭が服にこびり付いていないか心配になる程の不快感とそれにより倍増する疲労感に襲われている。

ゾーンの境界線が愚痴る彼らを通り過ぎ、街並みは完全に正常な状態へと戻っていった。

 

「学生は早寝早起きが大事だからね、すぐ帰るといい。映像データ提出以外は私がやっておこう」

「助かります、それじゃあお疲れ様でした……」

「夜道には気を付けろよ」

「はーい……」

 

疲労困憊したサキトが帰路に就く。帰り付いた後は念入りに身体を洗い、悪臭が無い事を確認してからベッドへと倒れ込むのであった。

 

 

* * *

 

 

【2人とも、先月あの街で起きた事件のニュース、見ました?】

【https:~】

【あ?どっかの高校に不審者がって奴かよ】

【もうあの街はオレらが関わるとこじゃねーだろー?】

【この不審者を拘束した男子生徒……“あの”護守だって言ったら?】

【……はー?マジかよ?】

【あいつ……護守サキト……思い出したら……】

 

 

 

【ムカつくなぁぁ………!】

 

 

 

遠い地で古い因縁が動き出そうとしている事を、眠るサキトはまだ知らなかった。

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