ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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S級侵略者達を打ち破れ!


Ep.35:契約者達と忌まわしき者達

最初に戦端を開いたのは、サンマッドと対峙するアンナだ。

 

「まずは《理想と平和の決断(パーフェクト・アルカディア)》をマナゾーンへ。さあ、来たまえ」

『行くぜぇー、こぉい手下どもぉ』

 

サンマッドの号令に応え、潜んでいた配下達が塀を飛び越えて脇に立つ。《原始 サンナップ》《原始 サンモス》の2体だ。

 

「これで君のトリプルブレイカーとなる条件が整った、というわけだね」

『行くぜ、とっつげきぃー!!』

「おおっと」

 

石のカートに乗ったサンマッドが突撃して来る。3枚のシールドを砕きそのままアンナを轢こうとするが、彼女はステップを踏み軽やかにそれを躱した。

 

「さて……《理想と平和の決断》の革命2、発動。このカードはシールドが2枚以下の時シールドトリガーとなる!更に、もう一枚発動だ」

 

ブロッカーとシールドトリガーを多く持つアンナのデッキが早速始動する。彼女の頭上に、天空に浮かぶ白き大都市のイメージが現れた。

 

「理想と平和の決断の能力、3つの異なる能力から2回選択して発動するよ。まずはデッキの上から2枚を見て、光と水のカードを全て手札に加える……ふむ、では《支配の精霊ペルフェクト/ギャラクシー・チャージャー》と、《聖霊超王 H・アルカディアス》を手札に加える。更にデッキの1番上のカードをシールドゾーンに置く。もう1枚の理想と平和の決断も同じ能力を選択しよう。《闘門の精霊ウェルキウス》と《聖霊王アルファリオン》を手札に加え、シールドを更に1枚増やす」

『守りを固める気かー?』

「ああ、鉄壁の防御こそ私の戦略さ。さて、ドロー……ふむ、アケルナルをマナゾーンへ」

 

コスト3以下のカードを入れていない現在のデッキでは、このターン彼女に動く手段はない。それでも受け切る自信が彼女にはあるのだ。

 

『けど盾の数はー、足りないぜぇ!行け!』

 

サンナップが飛び掛かり1枚の盾を割る。シールドトリガーは無し、それに気を良くしたサンマッドはそのまま突撃し残った3枚の盾全てを割りにかかった。

 

『そおらぁー!!』

「おっと危ない……ふふ、これは君にとって最悪の結果となったようだね」

『なにぃ?』

「シールドトリガー、トリプル発動さ」

『げえっ!?』

 

天の門を開く黄金の天使と、宙に浮かぶ巨大機械といった見た目の白い天使が降臨する。更にその上空には彼女のデッキの代名詞、天国の門が開いてゆく。

 

「シールドが0枚となった事で《閃光の精霊カンビアーレ》の革命0が発動、シールドトリガーを得て召喚されるよ。更に《光開の精霊サイフォゲート》《ヘブンズ・ゲート》も同時に発動する!ヘブンズ・ゲートにより降臨せよ、《聖霊超王 H・アルカディアス》《支配の精霊ペルフェクト》!」

 

蒼い鎧の天使が先導し、黄金に輝き光の剣を携えた聖霊王が天より舞い降りた。

 

「まずはH・アルカディアスの登場時能力、3枚ドロー。そしてカンビアーレの登場時能力で君達全員タップして貰うよ。次の君達の手番でもその縛りは解けることは無い」

『うげぇっ!?』

「更にサイフォゲートの能力、手札から光のブロッカーを1体場に出す。来たまえ、闘門の精霊ウェルキウス!そしてウェルキウスの効果で《星門の精霊アケルナル》を場に!」

 

サンマッドの攻撃が導いた結果は、正しく相手にとって最悪のものだ。身動きが取れないまま、6体ものエンジェル・コマンドが彼らを包囲する。

 

「さて、私のターン。私の母校に手を出したのだから、きっちりと報いは受けて貰うよ。エンジェル・コマンドが5体以上いるため、G・ゼロにより彼はコスト無しで降臨する。カンビアーレから進化して現れよ……《聖霊王アルファリオン》!

 

彼女の相棒たる切札、白き鎧の聖霊王アルファリオンが降り立った。その輝きにサンマッド達は圧倒される。

 

「サイフォゲートをタップし、H・アルカディアスのハイパー化も発動……と言っても君達は既に為す術はないだろうけどね。さあ、覚悟したまえ」

『ひ、ひぃーっ!?』

「ウェルキウス、H・アルカディアス、アルファリオンの攻撃!サンナップ、サンモス、サンマッドを……断ち切る!」

 

3体の天使が剣を振り下ろし、光の縛鎖で捕らえられた彼らは避けることも出来ず……粉砕された。

 

「浄化完了。さて、井星くんと護守くんはどうなったかな」

 

 

* * *

 

 

アダムスキーと対峙するリュウ。アダムスキーの周りには上空から降りて来た、4体の配下が浮遊している。《宇宙 タコンチュ》《宇宙 ステイション》《宇宙 ドローン》《宇宙 トーパス》だ。

 

「俺のターン、《堕∞魔 ヴォゲンム》をマナゾーンへ送り《堕魔 ザンバリー》を召喚。ザンバリーの召喚時手札を1枚捨てる、《堕魔 ジグス★ガルビ》を墓地へ」

『ブロッカーを召喚しましたか。ですがどうやら分かっていないようですね?私の前にはそんなものは無力だと!』

 

アダムスキーが構えた腕からリング状の光線を放ちシールドに……ではなく、リュウの山札へと向ける。《S級宇宙 アダムスキー》の最大の能力……シールドをブレイクする代わりに、割るはずだったシールドの数×2枚をデッキから墓地へ送るのだ。

アダムスキーはダブルブレイカー、よって4枚のカードがデッキから墓地へ送られる。

 

『私はブロックされず、シールドを割らずに相手のデッキを削る事が出来る!更に、配下の攻撃に応じて……『S級侵略[宇宙]』を発動!』

「ふん……」

 

タコンチュが攻撃しようとする瞬間、その姿がアダムスキーに変わる。アダムスキーは配下が攻撃するたびにその体を一時的に乗っ取り、アダムスキー自身による攻撃へと変える事が出来る。即ち、連続で相手のデッキを削り落とす事が出来る!

 

『更にステイション、ドローン、トーパスの攻撃時にもそれぞれ侵略し、貴方の山札を殺して行くのです!』

 

これにより、アダムスキーの攻撃回数は5回に及び……合計20枚ものカードがデッキから墓地へ捨てられた。リュウのデッキの残りは10枚、次にアダムスキーの攻撃手番となればデッキが底を付き、無防備と化した所を抹殺されるだろう。

 

『シールドトリガーによる反撃を許さず、相手の抵抗手段を奪い尽くす……ははは!これ以上の能力はありませんよ!』

「……お前、革命編以降には碌に触れていないと見えるな」

『はい?』

 

冷や汗一つかいていないリュウの様子にアダムスキーが訝しむ。自身の戦法に絶対の自信を持つ彼は、最大の失策に気付かない。

 

「俺がお前の立場なら……俺のチャージしたマナ、場に出したクリーチャー、捨てたカードを見ていれば……そんな利敵行為はしない」

『利敵行為、ですって?』

「こういうことだ」

 

リュウが手を前に翳す。すると、墓地から12枚ものカードが飛び出し、場に2つの魔法陣を描き出した!

 

『な、何ですかこれは!?』

「自分または相手のターンの終わりに、場か墓地から合計6枚の魔道具を選択し……『無月の門・絶』を開く」

 

魔法陣の中心に漆黒の穴が開き、闇のマナが溢れ出してゆく。

 

「ジグス、ヴァイ、ヴォ、グリ、ドゥ、ザン、ゼーロ……砕けし魔道具が陣となり、『無月の門・絶』は開かれる。炎の翼で侵略者を焼き尽くせ……」

 

深淵の彼方から姿を現すは、龍を模せし紫炎の凰と、天頂へと至る白炎の凰。

 

《卍月 ガ・リュザーク 卍》!《「無月」の頂 $スザーク$》!

『ば、バカな!私のターンに墓地から現れるですって!?』

「$スザーク$の登場時能力、相手のクリーチャーを1体破壊し手札を1枚捨てさせる。手札を持たないクリーチャー戦ではハンデスの意味はないが……タコンチュを始末する!」

 

タコ型の機械といった見た目のクリーチャー、タコンチュが白炎に焼かれ爆散する。特殊な破壊耐性を持つクリーチャーだが、それが発揮されるのは相手のターン中であり……まだアダムスキーのターンであるこのタイミングであれば為す術はない。

 

『な、なんと……っ』

「アダムスキーを使用するデッキの戦法、傾向は良く知っている。俺のデッキであればこうして対処も容易い……タコンチュが破壊されたことで$スザーク$の能力発動、1枚ドローする。そして、俺のターンだ」

 

そのドローが、アダムスキーにとっては処刑宣告にも見えた。リュウの手札と墓地には、既にピースが揃っている。

 

「ドゥポイズがいれば態々出す事も無かったが……逆転の影ガレックをマナチャージ、《堕魔 ドゥリンリ》を召喚。場に魔道具が出た事により、場の2枚と墓地の2枚、計4枚の魔道具により無月の門が開かれる……」

『まだ出て来ると言うのですか!?』

「現れよ、無月の魔凰《卍 デ・スザーク 卍》!登場時能力により、ステイションを破壊する!」

『あ、ああ……っ』

「残ったドローンとアダムスキーへと、ガ・リュザークと$スザーク$で攻撃だ……燃え尽きろ!」

 

2色の炎がアダムスキー達へと襲い掛かる。為す術なく、闇の炎が全てを燃やし尽くした。

 

「焼却終了だ。残るは護守と奴か」

 

 

* * *

 

 

「まずはルピア・ターンをマナに!さあ来い!」

『来やがれ下僕ども!くたばれやァ護守ィィ!』

 

サキトがマナをチャージすると同時に2体の《不死 デッド》がデッドゾーンに合流する。そして、肥大化した左腕を振り回しデッドゾーンが突撃してきた。一度に3枚の盾が砕かれ、そのまま身を引き裂かんとする爪をサキトは背後に一歩下がり躱す。

追撃を行おうとしたところに、燃える剣が振り下ろされデッドゾーンは大きく距離を取らされた。

 

「王道の革命ドギラゴンの革命2!シールドが2枚以下となったのでシールドトリガーとなる!」

『チィッ!なんっなんだよテメエらぁ!』

「『真のデュエリスト』だよ……こうしてクリーチャーを実体化し、お前のようなクリーチャー憑きと戦える人間だ」

『ンだとぉ……っ!』

「王道の革命ドギラゴンの登場時能力!デッキトップ2枚をマナに置き、クリーチャーを1枚マナゾーンから手札に戻す……王道ドギラゴンと“龍装”チュリスがマナゾーンへ行き、チュリスを手札に!」

『クソがッ!なら、こいつでぶち殺す!テメエらの身を生贄にしな!』

 

不死デッドが2体向かってくる。その身が闇に包まれると、中から膨れ上がるように弾け、新たなクリーチャーが現れる。《S級不死 デッドダラー》《S級不死 デッドゲリラ》の2体だ!

 

『デッドダラー!デッドゲリラ!食らい付けぇ!!』

「他の『不死』のS級も出しやがるか……デッドダラーの攻撃はそのままシールドで受ける!」

 

割れたシールドに、トリガーは無し。デッドゲリラの攻撃がサキトに迫る。

 

「王道の革命ドギラゴンの革命0!バトル中パワーが15000にアップする!スレイヤーで相討ちとなるが……ブロックしてデッドゲリラを破壊っ!!」

『チィっ!何で大人しく殺られねえんだ!』

「お前程度にやられてちゃこの仕事は務まらねえんだよ。さて……このターンで終わらせてやる」

『あァ!?』

「ドロー。光鎧龍ホーリーグレイスをマナゾーンに送り……“龍装”チュリスのB・A・D2を発動!コストを2点軽減し3マナで召喚!これで終わりだ……!チュリスでデッドゾーンへと攻撃し、革命チェンジ!」

 

チュリスが大きく地を蹴り飛び跳ね、降りて来る竜とバトンタッチする。蒼い鎧と金の刃が、降り注ぐ陽光を受けて煌めいた。

 

《蒼き団長 ドギラゴン剣》!ファイナル革命、発動!手札かマナゾーンからコスト6以内の範囲で多色クリーチャーをバトルゾーンに好きなだけ出す!マナから現れろ、王道の革命ドギラゴン!」

『オォオオオオォッ!!覚悟しろ、デッドゾーン!!』

『な、ぁっ!?』

 

パワーの差はたった1000、しかしそれは単体では決して越えられぬ大きな壁……ドギラゴン剣の龍剣・星王紅鬼勝がデッドゾーンを両断した。

 

「デッドダラーを王道の革命ドギラゴンで攻撃!焼き尽くせ、ドギラゴンファイアー!!」

 

残ったデッドダラーも、ドギラゴンが吐き出す炎が焼き尽くし、消滅させた。

 

「完・全・決・着!!」

 

 

* * *

 

 

「終わったようだね。さて、彼らはどうしようか?」

「少なくともデッドゾーンに憑りつかれていたこいつは今朝の殺人事件に関与してそうだから、しょっ引いて貰うとしましょうか」

 

3対3、それぞれ決着を付けてサキト達が集まる。しかし、リュウだけが警戒を解いていない。

 

「……桜龍高校を覆う力場が消えていない。残念だが、まだ終わっていないようだ」

「なんですと?」

 

「ぐ、ぉお……っ!あり得ねえ、負けだなんて……俺ァ認めねえぞ……っ!」

 

ゆらり、と烏丸が立ち上がる。その身には再びデッドゾーンの装甲が纏わりつき始めていた。

 

「こいつ、往生際の悪い……!」

「取り押さえようか。この1人だけなら簡単に──────」

 

 

『ガァァァアアァアアァァアッ!!』

 

 

絶叫を上げた烏丸の元に、気絶した三原と宇野の2人が引き寄せられる。彼らに宿っていたクリーチャーの残滓が混合され、更に周囲からマナを吸い寄せて行く。

 

「先輩!」

「会長!?何が起こるか分からん、あまり近寄るな!」

「その、学校周りにいたクリーチャー達が突然光になって、ここに向かって……!」

「……なるほど、今吸い寄せられてくるマナの発生源はそれか」

 

闇、水、自然。3つのマナが交じり合い、一つの身体が形成されてゆく。身の丈は3メートルほど、彼らに憑依せし3体のクリーチャー達の装甲が合わさった、3つの顔を持つ強大なクリーチャー。

 

『『『オォオオォオォオォォオオ!!』』』

 

SSS(トリプルエス)天災(ディザスター) デッドダムド》!

 

「……野郎、この場で合体しやがった……!」

「おーい!こっちに光が……っなんじゃこれは!?」

「これは……正しくデッド・ディザスターという感じね……!」

 

学園周囲を守っていたアオハル組とJack-Potのメンバー達もグラウンドへと駆けて来る。

 

『死ィィネェェェェエェェエ!!』

「危ない、皆下がって!」

「うわぁあぁぁ!?」

 

拳の一撃が凄まじい風圧を産み、叩き付けられた地面を砕いて大量の礫を撒き散らす。剛力と速度を兼ね備えた怪物が暴れ回ろうとしている。

 

「やるしかない……!俺が決着を付ける!皆下がって───」

「いいや、私達も付き合おう」

「ああ。こちらも成果を見せなければならん」

 

サキトの両隣にアンナとリュウが並ぶ。その手にはそれぞれの相棒たるフェイバリットカードを持ち、デュエマフォン・アプリの画面が強い光を放っている。

 

「2人とも……もしかして」

「君に数か月も遅れを取ったままでは、大人として示しがつかないだろう?」

「『繋がり』が出来るまでは時間がかかったがな……行くぞ」

「……ええ、行きます!」

 

サキトもスマートフォンを構え、ドギラゴン閃のカードを手に力を解き放つ。

 

『『『Contract armor awakening.』』』

 

3人の身をマナの輝きが覆い、姿を変えて行く。

サキトが纏うは朱の鎧、蒼き外套を背に、剣と盾を携える。

アンナが纏うは純白の鎧、白き翼を背負い、4振りの剣を4つ腕が構える。

リュウが纏うは闇の紫炎、炎の翼を広げ、金の冠と鎧が四肢に貼り付く。

 

「『ドギラゴン閃ッ!』」

「『アルファリオン!』」

「『デ・スザーク……!』」

 

──────デッドダムドの前に、コントラクトアーマーを纏った3人の契約者が立ち塞がった!

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