ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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今回はサキトから視点を移し、トウリの戦いを!


Ep.44:蟠龍トウリと炎の鬼獣

「っめぇぇぇん!!」

「面あり!」

 

──────2024年11月15日。

桜龍高校剣道部の、その日最後の練習試合が終わりを告げる。1年のエースとなりつつあるトウリが、見事勝利を飾った。

互いに最初の位置へ戻り、3歩下がると礼をする。

 

「本日はこれまで!一同、礼!」

『ありがとうございました!』

 

時刻は夕方17時頃。部活を終えたトウリは、更衣室で道着から制服へ着替えを済ませる。ロッカー内の荷物も回収し、後は下校するのみだ。

 

「……んっ?あれは……」

 

昇降口を出ると、花壇の辺りにすずとゼオスが立っていた。よく見れば、花壇がやたらと荒らされており、2人はそれを見ているようだ。

 

「おふたりとも、どうしましたか?」

「あ、蟠龍くんデスか」

「む、キサマか……何やら学校中の花壇が荒らされていてな」

「そうなのですか」

 

秋ごろに咲くコスモスが植えられていた花壇だったのだが、見事に踏み荒らされている。一体何者の仕業なのか……。

 

「足跡がみつかったワ!でもこれは、大きな動物みたいデスね……?」

「大きな動物だと?となると……クリーチャーの仕業か?」

「あ、もう一つ特徴的なのがありますね。これは……タイヤ痕でしょうか」

 

見た所人間の足跡は無さそうだった。蹄の先が2つに割れた、大きな獣の足跡と、時々途切れる不自然なタイヤ痕……明らかに何かありそうだ。

 

「他の場所も、生徒会の皆さんが?」

「うむ、各所の花壇を見回っているところだ」

「自分もお手伝いして構いませんか?部活も先程終わった所ですので……それに、クリーチャー絡みの可能性があるなら」

「助かりマス!それじゃあ、マダ荒らされていないはずの、アチラの花壇へ行きマショウ!」

 

そうしてトウリは、2人に付き添いこの案件を解決する事となったのであった。

 

 

* * *

 

 

「なるほど、ここはまだ被害は無さそうですね」

 

校舎脇の一角、それなりの大きさがある花壇にコスモスが咲き誇っている。時期は11月であり、そろそろ散る時期も近付いてきたが、それを思わせない程ここに咲いた花々は色鮮やかだ。

 

「他は殆どが荒らされておるから、もしまだ校内に犯人がいれば荒らしに来るかもしれん」

「いつでも臨機応変です!」

「臨戦態勢か?」

「熟語は海外の方には難しいですよね……むっ?」

 

トウリが眉を顰める。何か足音のような物が聞こえて来る……気がする。

 

「おふたりとも、何か聞こえませんか?」

「む?……これは、何か走って来る音か?」

「2人とも、何かがこっちに来るワ!」

 

コンクリートを踏み鳴らす蹄の音、そして擦れるタイヤの音。間違いない、この音は犯人によるものだ!

 

『……グォォオオォオォォ!!』

『ギハハハハハハ!!』

 

何かがやって来た。あれは……角の生えた赤と紫の大イノシシと、光る角を持つ赤い……鬼!

 

「イノシシ!?あれもクリーチャーなのか!?」

「間違いありません!《チョトツ変化》と《オンソク童子 <ターボ.鬼>》!どちらもこの間の鬼の仲間です!」

「ナルホド……この前ノ借りを、返してアゲマス!」

『Duel field expansion. Dueltector summoning』

 

トウリがデュエルフィールドを展開し、3人とクリーチャー達を隔離する。身に纏ったデュエルテクターの色は、サキトと同じく、火のマナに順応した赤いプロテクターだ。

 

「イノシシの方、チョトツ変化は自分が受け持ちます!おふたりはオンソク童子を!」

「また変身するのカシラ?」

「いえ、こいつらを相手に、デュエルで戦う事を慣れておきたいので……このデッキで戦わせて貰います」

 

今彼が持ち歩いていたのは、初心者用として購入したあのデッキだ。実際のクリーチャーとの戦いで通じるのか……ここで自分の力を試さなくてはならない。

 

「デュエル!!」

 

これがトウリにとって初めての、クリーチャーを相手にした……真のデュエリストとしての戦い!

 

 

* * *

 

 

「自分のターン!《凶戦士ブレイズ・クロー》をマナへ送り、《ブンブン・チュリス》を召喚しターンエンド!」

『グモォォオオォオ!!』

 

角と大牙を振り翳し、チョトツ変化がシールドへと突進する。2枚の盾が砕け散り、発生する斥力で弾き飛ばされたチョトツ変化は、地を削るかのようにフィールドの壁際で停止する。

 

『クタバレドラゴン共ォォォォォ!』

「ぬああ!こいつ、なんというスピードだ!」

「どうにか脚止めしマス!」

 

すずとゼオスはオンソク童子のスピードに翻弄されながらも、2体が一斉にトウリへ向かうのを防いでいる。

その様を見ながら、トウリはそのまま戦いを続ける。

 

「おふたりとも、そいつを頼みます……自分のターン!ドロー!2枚目のブレイズ・クローをマナへ、《一番隊 チュチュリス》を召喚!彼がいる限りビートジョッキーの召喚コストは1下がる!」

『グォォオオォオォォ!!』

 

再びシールドを2枚砕かれる。今度は勢いが止まらず突っ込んで来るのを、トウリは足さばきで躱して次の攻撃に備える。

 

「っ!サーヴァさん熊田さん、そちらに!」

「大丈夫デス!テヤァァァ!」

 

突っ込んで行ったチョトツ変化の角を掴むと、ゼオスはフィールドの壁へ向けて投げ飛ばした。そこへ、オンソク童子が爪を立て襲い掛かる!

 

『クカカカカカカ!!』

「いかん!」

「くぅっ!……捕まえたワ!!」

『ナッ!?』

 

制服の袖を斬り裂かれながらも、ゼオスがドラゴン化した腕でオンソク童子の腕を掴んだ!

 

「すずちゃん、今ヨ!」

「でかしたぞキサマ!てぇぇぇいやぁ!!」

『ガァァアッ!?』

 

すずが渾身の力でオンソク童子に殴りかかり、ドラゴンの拳で打ち砕く!オンソク童子は断末魔の叫びを上げ消滅した!

 

「よし、後は自分の番です!自分の、ターンっ!!」

 

勢いよく、トウリがデッキからカードを引く。チョトツ変化を討つためのカードが、手元にやって来た!

 

「《斬斬人形コダマンマ GS》をマナへ送り、《クミタテ・チュリス》を召喚!そして、このターン火のクリーチャーを召喚した事により、『彼』はコストを6点分軽減して召喚が可能となる!」

『グ!?』

 

火のマナが渦巻き、トウリの手元へやって来たこのデッキ最強のクリーチャーが現れる。彼もまた、デュエマの英雄から力を受け継ぎしクリーチャー……!

 

「カモン!王来!スター進化ッ!クミタテ・チュリスから……《我我我ガイアール・ブランド》へと1マナ消費で進化するッ!!」

『焼き尽くすぜぇぇぇ!!』

 

龍の剣をスケートボードの如く乗りこなす赤き戦士、《我我我ガイアール・ブランド》が現れる。そのパワーは、チョトツ変化を上回った!

 

「ガイアール・ブランドでチョトツ変化に攻撃!」

『オラオラオラァァァァァッ!!』

 

チョトツ変化の突進速度に追いつく速度を出したガイアール・ブランドが、燃える拳のラッシュを仕掛けその角を、牙を、肉体を打ち砕く!

 

「悪鬼、討滅!」

 

 

* * *

 

 

「よし、これで犯人は無事倒せましたね」

「朕達の勝利デス!」

「ふぅ、わらわがアイツらにも報告しておこう」

 

すずがアーシュ達へとメッセージを送り、一先ず事件が解決した事を伝えている。それを見ながら、トウリは何かを思案している様子だった。

 

「どうしたノカシラ?」

「ああいえ……デモニオ達がこっちの世界に出て来ているのは、正直に言うと不穏だなと思いまして」

「どういうことなのだ?」

「あの鬼達は、クリーチャー達の世界とは異なる世界、異なる歴史……平行世界からやって来る侵略者なんです。最終的には、自分と相棒になってくれた龍、モモキングと仲間達が首魁を封印し撃退した事になっているのですが……」

「それがわらわ達の世界に現れているというのは、確かに不穏だな」

「再び鬼の歴史、鬼の世界から何か来るという可能性があるのではないか、と……」

 

前の遭遇戦で何かを狙っていた事と言い、彼らが再度の侵攻を画策している事は間違いないだろう。モモキングが今人間の世界でカードに宿り、トウリの相棒としてこちらに居る事も、何らかの関連があるのかもしれない。

 

「大丈夫!その時ハ、皆で力を合わせて戦えばいいのヨ!」

「まあ確かに、いざという時に備えて戦う力を練るしか無さそうではありますね」

「結局のところ、やつらの企みもわらわ達には分からん事ばかりだからな」

 

結局彼らに出来ることは、今の日常を守るためクリーチャー達と戦い、事件を解決していく事のみなのだ。

これからも戦う意思を固めたところで……くぅ、とゼオスのお腹が鳴った。

 

「戦ったら、お腹が空いて来ちゃったミタイ……すずちゃん、蟠龍くん、朕と一緒に帰りに食べて行きマショウ?」

「夕食もありますが……まあ、そのくらいなら」

「待て、それはもしやあのラーメン屋か……?」

「エエ!あそこは素晴らしいお店デス!」

「わ、わらわは行かぬぞ!行くなら2人で行けー!」

 

何かを思い出したのかすずはそそくさと去ってゆく。

 

「アラ……仕方ないワネ。それじゃあ蟠龍くん、行きマショウ!」

「分かりました、サーヴァさん」

「うーん、朕の事ハ、ゼオスって呼んで欲しいワ」

「良いんですか?」

「勿論!エンリョしないで、朕とアナタはもうオトモダチ、ね?」

「分かりました。えー……ゼオスさん。じゃあ自分の事は、ゼオスさんが呼びやすい言い方で良いですよ」

「ハイ!よろしくオネガイするワネ、トウリ君」

 

 

 

──────そして。

 

「来マシタ!これが最高なのヨ!」

「うおぉ……並盛り頼んだのになんというボリューム……!」

 

ゼオスお気に入りの爆盛りラーメン店「サブローラーメン」にてそのボリュームに圧倒されたトウリは、家での夕食時に苦労するのであった。

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