ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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修学旅行1日目の夜、お楽しみの時間がやって来る!


Ep.46:ドラゴン娘と決闘交流

「何でついて来るんだお前ら……」

「じゃ、Jack-Potの皆さんに不埒な事をしないか見張るためだ!」

「しねえよ!俺を何だと思ってるんだ」

 

修学旅行中の桜龍高校の生徒達は、長崎市内のホテルに宿泊している。サキトは風呂を済ませた後、ザーナとの約束通り彼女の泊まる部屋へ向かおうとして……同室の男子達に捕捉され付いて来られる羽目になったのであった。

 

「修学旅行で女子部屋に夜這いなんてある訳ないだろ、エロ漫画じゃあるまいし」

「じゃあ、じゃあなんで……っ!」

「落ち着け、ファンなのは分かったから……健全に遊ぶだけだ、事前に約束もしてたからな」

「昼間のやりとりじゃよく分からんかったが、一体何で遊ぶんだお前」

「見てりゃ分かるよ……よし、ここだな。すみませーん」

 

部屋の扉をノックすると中から開錠される。扉を開けた栄久がやってきた人数を見て怪訝そうな目で見て来る。

 

「……何この人数?」

「すみません、連れてけとうるさくて……ルードさんの方は準備良さそうですか?」

「フフ、いらっしゃい。待っていたわよ!」

 

奥からザーナが声をかけて来る。彼女達も既に全員寝間着姿であり、部屋の雰囲気は正直に言って、これからする事に似つかわしくないように思えた。

 

「あら、ギャラリーもいるのね?悪くないわ。ワタシ達のセッションを見て貰うとしましょう」

「そちらが良いのなら、まあ構いません。このテーブルでやりましょうか」

「え……テーブル?」

「それでは……っ!」

 

席に着き、テーブルを挟んで向かい合った2人が真剣な面持ちに変わる。持ち込んだデッキをシャッフルして卓へと置き、素早くシールドを設置し手札を構える。サキトは当然ながら、ザーナも丁寧かつ素早いカード捌きを見せる。間違いなく熟練者だ。

じゃんけんにより先攻はサキトが取った。待ち望んだ戦いの始まりだ。

 

「「「デュ───デュエマかいっ!?」」」

「「デュエマ、スタートッ!!」」

 

 

* * *

 

 

「俺のターン、ボルシャック・栄光ルピアをマナゾーンへ送りターン終了!」

「ドラゴンを主力としたデッキというわけね。ワタシのターン、ドロー!《天災(ディザスター) デドダム》をマナゾーンに。ターン終了よ」

 

互いにまずはマナをチャージし、動き始めるための基盤を整えて行く。デドダムが見えた事でサキトは警戒を強める。あのカードを導入するデッキとくれば、大抵の場合において厄介なコントロール系戦術の使い手だ。

 

「ザーナさん、デュエマやってるんですね……」

「ん?ああ、ザーナは結構プレイ歴も長いぜ」

「意外な一面だなぁ」

「そうか!それを知って護守もデュエマを───」

「いやそれはねえよ。こいつ小学校からずっとデュエマアニメにドハマりしてて、中等部からは駅前のショップで大会にも出てる筋金入りだぞ」

「昼間のあれに色気とか全く感じなかったのはそういう事か……嫉妬して損したわ全く」

 

班を組んだ男子の1人、サキトを小学生時代から知るクラスメイトが呆れた様な声で言う。そんなギャラリーの声も気にせず、2人はデュエルを進めて行く。

 

「俺のターン、ドロー!ここは……《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》をマナゾーンへ送りターン終了!」

「ワタシのターンよ、ドロー!……それじゃあ《ドンドン火噴(ボルカニッ)くナウ》をマナゾーンに。ターン終了ね」

「俺のターン、ドロー!《五番龍 レイクポーチャー ParZero》をマナチャージし、呪文《龍の呼び声》を発動!デッキの上から1枚目をタップしてマナゾーンに!……まあよし、《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ/「未来から来る、だからミラクル」》がマナへ送られ、ドラゴンであるためもう1枚デッキからマナへ!《流星のガイアッシュ・カイザー》をマナに!」

 

サキトは順調にマナを伸ばしてゆく。次のターンには動き出せそうだ。対して、ザーナもデッキを始動させてゆく。

 

「ワタシのターン、ドロー!……これが良さそうね。《ハイドロ・ハリケーン》をマナにして……《天災(ディザスター) デドダム》を召喚!」

「っ!!」

「登場時能力により、山札を上から3枚見るわ。その中から1枚を手札に、1枚をマナに送り、そして1枚を墓地に捨てるわ。ワタシが手札に加えるのはこの1枚……そして、《漢気の2号 ボスカツ》をマナゾーンに。更に、《SSS級天災 デッドダムド》を墓地に捨てるわ」

「相変わらずエグい能力だ……っ!」

 

ザーナのマナゾーンに5色のマナ基盤が揃った。この手の5色使いデッキは多色事故に気を付ける必要はあるが、回り出すと極めて厄介な事になる。

 

「まずは奴が出て来るのを潰す!俺のターン、ドロー!《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー/お清めシャラップ》をマナへ送り、《頂上電融 クライアッシュ“覇星” '22》のB・A・D4を発動!コストを4軽減し、6マナで召喚する!」

「なるほど、新しいデュエキングで登場したカードね。先手を取って出て来られたのは厄介だわ」

「EXライフによりシールドを1枚デッキトップから追加し、登場時能力により、2枚ドロー!そして、マッハファイター能力により、アンタップされているデドダムに攻撃する!デドダムを破壊!」

「耐性はないから破壊されるわ。このスペックで更に他の能力まであったら反則もいいところだものね」

「ターン終了時、クライアッシュ“覇星”はB・A・Dの能力で自壊するが、EXライフで増えたシールドを代償に場へ残留する!」

 

墓地へ送られたEXライフのシールドは《龍の呼び声》、次のターンで引いた場合不要となるだろうカードであったためベストと言える。次はザーナのターンとなるが……。

 

「ワタシのターンね、ドロー……ふふ、さあ、ライブの時間よ?《龍罠(ドラップ) エスカルデン/マクスカルゴ・トラップ》をマナに変え……まずは1曲目、《ドラゴンズ・サイン》!」

「来るか!だがクライアッシュ“覇星”は相手がマナ消費無しでクリーチャーを出した場合、ターンの残りを飛ばすことが出来る!」

「けれど、出したクリーチャーの登場時能力使用は止められないわよ。ドラゴンズ・サインの効果により光文明を持つコスト7以下の非進化ドラゴンを手札から場に出すわ。さあ、現れて。今日の舞台のメインボーカル───」

 

ザーナのデッキにおけるエースがその姿を現す。それは数多の呪文を使いこなす、強力なクリーチャーの1体……!

 

「《龍風混成(りゅうふうこんせい) ザーディクリカ》!!」

「っ!!」

「EXライフによりシールドを1枚追加するわね。そして、登場時能力により、手札か墓地からコスト7以下の呪文をコスト無しで唱える!2曲目はこれよ───」

 

手札から示された1枚の呪文、それはサキトにとって最も脅威となるものであった。

 

《ロスト・Re:ソウル》!この曲で、貴方の手札は全て墓地に捨てられるわ!」

「げっ!」

 

クライアッシュの能力で補給した3枚の手札が一気に叩き落される。手札に来ていたガイアッシュ・カイザーが消えた事で牽制とリソース回復の手段が阻まれてしまう!

 

「く、タイミングが悪い……っ!ともかく、クライアッシュの能力によりターンをスキップ!」

「ええ、これで貴方のターンよ」

「俺のターン、ドロー……!よし、ドローしたカツキングを召喚!登場時能力により、山札の上から5枚を見てその中から1枚を手札に、残りは山札の下へ好きな順番で送る!手札に加えるのは、《蒼き守護神 ドギラゴン閃》!火文明のカードを手札に加えたため、ザーディクリカを手札へ戻す!」

「ならばEXライフを消費し残留するわ。墓地へ送られたのは……《聖魔連結王(せいまれんけつおう) ドルファディロム》!」

「ぐ……っ!カツキングのマッハファイター能力により、ザーディクリカに攻撃!革命チェンジ、ドギラゴン閃!ファイナル革命により、デッキを上から4枚表にし、その中からコスト6以内の範囲で多色クリーチャーを出す!」

 

ここで表となったのは、2枚目のラフルル・ラブ、《メガ・マナロック・ドラゴン》、《自由の逆転劇》、《怒流牙(どるげ) 佐助の超人(サルトビ・ジャイアント)》の4枚!

 

「く、引きが悪い……《怒流牙(どるげ) 佐助の超人(サルトビ・ジャイアント)》を場に!登場時能力で1枚ドローし……《龍の呼び声》を墓地へ!そして墓地からガイアッシュ・カイザーをマナゾーンに!そして、ドギラゴン閃がザーディクリカを破壊!」

「ありがとうザーディクリカ、いい仕事だったわ」

「危険だが行くか……っ!クライアッシュ“覇星”でシールドをダブルブレイク!」

「シールドチェックよ……来たわ!2枚とも、シールドトリガー!」

「っ!」

「まずは《ドンドン火噴(ボルカニッ)くナウ》!山札を3枚見て1枚をマナに、1枚を手札に加え最後の1枚を墓地へ。《蒼神龍アナザー・ワールド》をマナに加えて、《ニコル・ボーラス》を墓地へ送るわ。コスト8のニコル・ボーラスを捨てた事によりドギラゴン閃を破壊!そして、《ブレイン・スラッシュ》!2つの効果から、コスト8以下のクリーチャー蘇生を選択!」

 

クライアッシュに能力によりターンは飛ばせるが、どのクリーチャーが出て来てもサキトにとって脅威となる。ザーナの選択は……。

 

聖魔連結王(せいまれんけつおう) ドルファディロム》!EXライフによりシールドを1枚追加!」

「くっ、クライアッシュによりターンを終了する!」

「さあ、ワタシのターンよ。ドロー!《フェアリー・ミラクル》をマナに変え、《天命龍装 ホーリーエンド/ナウ・オア・ネバー》を召喚!登場時に相手クリーチャーを全てタップし、1枚ドロー!」

「これはキツイか……っ!」

「ドルファディロムでクライアッシュ“覇星”を攻撃!破壊するわ!これでターンエンド!」

 

行動を封じるクライアッシュが潰された事でサキトは窮地となる。下手をすればこのまま押し切られかねない!

 

「俺のターン……っ!カツキングを召喚!登場時能力により、山札の上から5枚を見てその中から1枚を手札に、残りは山札の下へ好きな順番で送る!……っよし!2枚目のクライアッシュ!これによりドルファディロムを手札に!」

「EXライフが失われるわね、けれどまだ健在よ!」

「ならばカツキングでホーリーエンドを攻撃!ここで、革命チェンジ!」

 

ホーリーエンドに対してカツキングではパワーが足りない。しかし、サキトの新たな切り札もここに来て現れる。

 

《蒼き夢双 ドギラゴン(ドリーム)》!このドギラゴンは自分の多色クリーチャーが場に出るたびに1枚ドローする事が出来る!自身も火・水の多色であるため1枚ドロー!」

「新たなドギラゴンね!これは心が躍るわ!」

「ファイナル革命発動!相手のクリーチャー1体を手札に戻し、そのクリーチャーのコスト以内の範囲で2体まで、自身の手札から多色クリーチャーを出せる!ドルファディロムを手札に戻し、再び来い、カツキング!更に1枚ドローし、カツキングの効果で上から5枚見てその中から1枚を手札に!ガイアッシュ・カイザーを手札に加える!」

「戻って来てしまったわね、ドルファディロム……けれど、また出番は来るわ」

「ホーリーエンドをドギラゴン天が破壊!更に佐助の超人でシールドブレイク!ターン終了だ!」

「では、行くわよ。ワタシのターン、ドロー……2枚目のフェアリー・ミラクルをマナに変え、これで8マナね……まずは3マナで、《der'Zen(ダーゼン) Mondo(モンド)/♪必殺で つわものどもが 夢の跡》を召喚し、登場時能力でドギラゴン天を手札に!」

 

ドギラゴンが手札へと返されてしまう。残り5マナでザーナは何を打ち込んで来るか……!

 

「《漢気の2号 ボスカツ》を召喚!登場時能力により、貴方の手札を1枚、捨てさせてもらうわ!」

「く、っ!?」

 

ザーナが選んだのは、2枚目のクライアッシュ!これにより、ボスカツの更なる力が発揮される!

 

「これで、捨てさせた手札のカードと同じ文明を持つコスト8以下のクリーチャーが場に登場するわ。再びメインボーカルの登場よ……ザーディクリカ!」

「また来たか!」

「能力により墓地から呪文を唱える!アンコールよ、ブレイン・スラッシュ!場に水と闇のクリーチャーがいるから、両方の効力が発揮される!カードを3枚引いて1枚捨てる、ドルファディロムを墓地に!そして、墓地からコスト8以下のクリーチャーを蘇生!特別ゲストよ……《ニコル・ボーラス》!

「げっ!?」

「ニコル・ボーラスの登場時能力により……貴方の手札を7枚墓地に!今の手札は4枚ね?よって全て破壊よ!」

「くっ、クライアッシュもガイアッシュも落とされた……!」

「さあ行くわよ!ボスカツで攻撃……からの、ワタシも革命チェンジ!」

 

ボスカツは火、光、闇のマナを持つコスト5のドラゴン・クリーチャー。そこから登場しうるカードは……!

 

「《時の法皇 ミラダンテⅫ》!登場時に、光のコスト5以下の呪文を手札からコスト無しで使うわ!ドラゴンズ・サインのアンコールよ!」

「ぬうぁ!?」

「3枚目のザーディクリカ!登場時に、手札からもう一度ブレイン・スラッシュよ!今回はあえて、蘇生のみを選択!墓地から復活して、ドルファディロム!」

「こ、これは……っ」

 

ザーナの場にはミラダンテⅫ、2体のザーディクリカ、ニコル・ボーラスにドルファディロム。こうなっては反撃も難しい……!

 

「ミラダンテⅫのファイナル革命、貴方は次のターンの終わりまで、コスト7以下のクリーチャーを召喚できない!」

「ぐ、この召喚封じ、シールドトリガーもニンジャ・ストライクも含まれる以上防御手段が……!」

「ミラダンテⅫでシールドをトリプルブレイク!更に、ドルファディロムでトリプルブレイク!」

「くっ、シールドが0か!」

 

サキトは一気にシールドを破壊され尽くした。5枚の手札があるが、その中にあるガイアッシュ・カイザーもターン終わりに召喚出来る能力は封じられる!

 

「ターン終了よ。さあ、いかがかしら?」

「俺のターン、ドロー!……っ、手詰まり、かっ!」

「では、ワタシの最後のターンね。ドロー!……行くわよ、ザーディクリカで、ダイレクトアタック!」

 

手札には2枚目の佐助の超人とバイケンがいるが、EXライフが健在のザーディクリカを止めることは出来ない。正しく、ゲームセット……っ!

 

「──────悔しいけれどここまでか。良いデュエルでした」

「楽しいセッションだったわ!ありがとう!」

 

 

* * *

 

 

「「「お、おお……っ」」」

 

正に丁々発止の渡り合い。勝利の女神が微笑んだのはザーナであったが、互いのカードの噛み合い次第では勝負の行方は変わっていただろうという物だった。圧倒されたギャラリーの男子達は、驚嘆するかのような声を上げるしか出来ない。

 

「っあー負けた負けた!ここまで縛られるとどうしようもないですねこれは……」

「クライアッシュを途中で再度出されるような事があればこちらも厳しかったと思うわ。良いデッキね!」

「とはいえあれだけオールハンデスをかまされると、稼いだリソースが完全に消し飛んでしまうのが痛かったですよ……」

「正直理解が追い付かなかったけど、熱さと激しさは伝わって来たわ!2人とも凄いのね!」

「ザーナが護守の攻めをスパっといなしきって、ガッチガチに拘束して勝ったって感じだなー。やっぱザーナは強いよ」

「増樹、デュエマの事分かるの?」

「オレ自身はやってないけど、ザーナの付き合いでさ。なんとなくだけどルールや効果は知ってるぜ」

 

Jack-Potの皆に健闘を称えられ、互いに握手を交わすサキトとザーナ。額に汗を流しながら交わすそれは異性同士がするものとは思えない程爽やかだった。

 

「……というか修学旅行にこんなもん持ち込んで良いのか!?」

「他の班はウノやトランプ持ち込んでるのもいるみたいだし良いだろ。それに俺は、校長から許可貰ってるんで」

「許可ァ!?」

「ほれ、この紙。教員にも回してあるって校長からは聞いてるぞ」

「……うわマジだ、護守は正式に持ち込み許可されてる……っ!」

 

生活指導などもする教師に見つかれば何か小言を言われるかも知れなかったが、DGAの活動のため、あの校長が先手を打ってこういった書類を作ってくれていたのだ。珍しく真っ当な手段で助けられたと言えるだろう。

 

「とりあえず今夜はここまでにして、明日以降もこうして一緒にセッションしてくれるかしら?」

「んー、構いませんよ。ただし次は勝ちます!」

「ええ、楽しみにさせて貰うわ!」

「そろそろ夜も遅いぜ、さあ帰った帰った!」

 

こうして初日の夜は過ぎて行った。明日は二日目、行動予定地は──────雲仙温泉だ!




ザーナのデッキはこちら、【5cザーディクリカ】になります。

【挿絵表示】

ザーディクリカを何らかの手段で踏み倒して呪文を詠唱させ、相手の手札を枯らしたりドルファを更に踏み倒して戦うといったコントロールデッキ。
いくらバイケンがいても他の手札も全部捨てさせられたら酷い事になるのである!
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