ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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サブタイが酷い事になっていますが仕様です。


Ep.49:ドラゴン娘と決闘しないと出られない部屋

「さて、それでは今夜もデュエルと行きましょうか」

「ええ、アナタの高貴なる魂炎(バーニング・レイジ)を見せてちょうだい!」

 

修学旅行3日目の夜、桜龍高校2年生達は福岡市内のホテルへとチェックインし、修学旅行最後の夜を過ごしている。

時刻は22時、今日もサキトはJack-Potメンバーが泊まる部屋へ招かれ、ザーナとデュエルを行おうとしていた。

 

「昨日の晩で通算1勝1敗、今夜で勝ち越させて貰います」

「ふふ、威勢が良いわね。では行くわよ」

 

互いに持ち込んだデッキを取り出し、卓の上へとシールドを並べて行く。

 

「ザーナ!ガッツーンと決めて決着付けちまえ!」

「護守さんもしっかりねー!」

「……どっちも頑張れー」

「「デュエマ・スター──────ッ!?」」

 

互いに手札を構え、デュエルを始めようとした瞬間であった。

 

突然、部屋の景色が大きく歪む。重力はそのままに、ドラム式の洗濯機の如く風景が、かれらの立つ床が回転する。

 

「えっ!?何これ!?」

「うわわ、目がグルグルしやがる……っ!?」

「何かまずそう」

 

十数秒間回転する感覚が続き、収まった頃には……部屋の中は一変していた。

鉄格子の填められた小窓、飾り気無く無機質な壁、そして頑丈な鉄の扉。そこはまさに、牢獄の如き部屋と化していた。

 

 

* * *

 

 

「なんだよこれぇっ!?」

「あっ、栄久もザーナも角が出てるわよ!」

「そういうしゅうらも頭に生えてるよ」

「つまりこれは、クリーチャーの仕業という事ね……!」

 

Jack-Potの4人はドラゴン娘の姿となっていた。そうなるとこの異常事態は、ほぼ間違いなくクリーチャーの能力によるものであろう

 

「牢獄……そうか、今ここで仕掛けて来たか……っ!」

「心当たりでもあるの?」

「昼間、俺の相棒に因縁ある類のクリーチャーがこちらを見張ってたので始末したんですが、その主が出て来たと見て間違いないです。監獄を生み出し、その中に敵を監禁するほど力を増すマスター・イニシャルズ……」

 

革命ファイナル編で革命軍と戦い、苦しめた敵の1体。ドギラゴンと直接相まみえた事は無いが、因縁ある禁断の使徒──────。

 

「《D2J ジェルヴィス》!」

『成程、私を知っていましたか!ドギラゴンの契約者、我々に関する知識の多さも貴方の強さの一因という事ですね!』

「うわっ!?」

 

部屋の中にクリーチャーが現れる。看守帽を被り、右手には鞭、左手には金の鎖を携えた天使のような姿のクリーチャー……《D2J ジェルヴィス》に間違いない!

 

「このっ!!」

『Contract armor awakening.』

「てぇやぁぁああっ!!」

『フフフ、無駄です!』

 

コントラクトアーマーでドギラゴン閃の力を纏ったサキトと、4人の中で一番クリーチャーの持つパワーが高いしゅうらが挑みかかったが、それぞれの攻撃をジェルヴィスは微動だにせず受け──────。

 

「っ!?ビクともしねえ!」

『貴方が先に言った通り、貴方達をこの牢獄に閉じ込めている間、私の力は増すのですよ!』

 

余りに強靭な防御力により、全く刃が通らない。これは厄介な事になった。

 

「こんな所に閉じ込めるなんてひどいわ!私達を解放して!」

「いや、こいつ間違いなく敵なのでこちらを解放する訳が……」

『フフ……ここから出たければ1つの条件を満たす必要があるのですよ』

「出られんのかよ!?」

『ええ、この世界に来て私は学びました。このような牢獄を作り出す結界は1つ明確な解法を設定する事により、その他の物事に対してより強固な概念的防御力を持つと!』

「な、成程……?」

 

デメリットを享受する事で大きなメリットを得る類の能力だのスキルだのという概念は、確かに良くあるものだ。そういった物事をこのジェルヴィスは学習したというのだろう。

 

「それで、その解除条件って?」

『そう、ここは我がD2フィールド、《Dの天牢 ジェイルハウスロック》の一部……“脱衣デュエマしないと出られない部屋”!!』

「「「へぇぁ!?」」」

「何を見てバグりやがったこの野郎!?」

 

あんまりな脱出条件に目を白黒させるしゅうら達、そしてツッコミの叫びを上げるサキト。以前のラブエースといい、エンジェル系の光のクリーチャーは人間界の文化でバグる習性でもあるのだろうか?

 

『ふむ、全員寝間着状態で着ているものは三枚ずつですね。ではデュエルする者は2枚シールドが割れるごとに1枚脱ぎ、ダイレクトアタックを喰らった時点で全て脱ぐように定めます!対戦するのはドギラゴンの契約者と、そちらの水のドラゴンの力を宿す女子!』

「ふざけるなお前が戦え!?」

『残念ながら私はカードを持っていないのでね』

「全く変な条件を付けて来たわね……」

「いや、怒るなら『デュエマを汚すなー!』とか言うもんじゃ無いのかよ!?」

 

その増樹の言葉に、サキトとザーナは微妙な表情で沈黙する。

 

「……いやぁ、言えれば言う所なんですけどね……」

「……公式がアニメでやっているのよね、脱衣デュエマ」

「「「えぇぇ!?」」」

 

そう、既にデュエマアニメで公式が通った道であるというのが恐ろしい所である。気になる方は「デュエル・マスターズVSRF」の10話を参照して貰いたい。

 

「まあアレは『男子中学生の主人公』対『中の人がおじさんの着ぐるみ』だからギャグで済んでたのだけれど」

「俺とルードさんでやるのは、正直洒落で済まないんだよなぁ……」

「……でも、コイツのいう事を信じるなら、やらないとここから出られない」

「仕方ねえ、俺が脱ぐだけならまだマシだ、さっさとやっちゃって貰うとしますか……」

「あら、手加減するのかしら?」

 

何故か挑発するようにザーナが微笑む。

 

「いや、流石にそちらを脱がすとかいかんでしょう!?」

「1枚や2枚、別に私は気にしないわ。それより今夜も本気でアナタとデュエルする事の方が重要だもの」

「なに言ってんだザーナ!?」

「こっちは気にするんですが!?そも今2枚脱いだら下着のみでしょうが!」

 

勝つにしろ負けるにしろシールドブレイクは免れないはず。流石にそれはと渋っていたが、次のザーナの言葉がサキトの闘争心に火を付けてしまう。

 

「“真のデュエリスト”なら、いかなる時も決闘には真剣でなくちゃ、でしょう?」

「……ほう、言いますね。なら後で文句は言いっこなしですよ……」

「や、やるの!?やっちゃうの!?」

「うわ……2人とも本気だ」

 

席に着くと既に卓へと配置していたデッキとシールドを整え、手札を手に構える。サキトは半ばやけくそ気味だが、このままデュエルを始めるつもりだ。

 

「「デュエマ・スタート!!」」

 

 

* * *

 

 

コイントスアプリにより、先攻はサキトが取った。手札は極めて良好、果敢に攻めて行くのが良さそうだ。

 

「俺のターン!カツキングをマナゾーンに!ターン終了!」

「ワタシのターン、ドロー!ドンドン火噴くナウをマナに、ターン終了よ」

「俺のターン、ドロー!栄光ルピアをマナゾーンに、ターン終了!」

「ワタシのターン、ドロー!ニコル・ボーラスをマナに送りターン終了ね」

『ふむ、両者とも最初の2ターンは静かな動きですね』

 

互いに2マナで使用できるカードは無い。本格的に動けるのは、ここからだ。

 

「俺のターン、ドロー!よし、ここは……ステゴロ・カイザーをマナゾーンに置き、3マナでボルシャック・栄光ルピアを召喚!登場時能力により山札の上から1枚をマナに……よし、ドラゴンであるガイアッシュ・カイザーがマナへ送られたため追加で1枚マナに!《自由の逆転撃》がマナに加わる!」

「なるほどね。ワタシのターン、ドロー……うーん、これは少々賭けになるわね。エスカルデンをマナに送り、呪文《フェアリー・ミラクル》を発動!デッキの上から1枚をマナに送り、その後マナゾーンに文明が5色揃っていれば更に1枚マナにするわ!1枚目……ドルファディロム!これで光が加わり5色よ、追加で1枚マナに……あら」

 

2枚目に送られたのは、《ロスト・Re:ソウル》。彼女のデッキには1枚積みのようで、それがマナに送られたのはサキトにとって大きなアドバンテージだ。

 

「あのカードは、初日にザーナの勝因となった呪文」

「全ハンデスの危険性が減ったのは有り難いですね……俺のターン!ドロー!レイク・ポーチャーをマナへ送り……6マナで現れろ!《流星のガイアッシュ・カイザー》!」

「ガイアッシュを素出しですって?」

「ええ、今はこれがベストと判断したまで。ガイアッシュ・カイザーの登場時能力により、2枚ドロー!……よし!ターン終了!」

「ガイアッシュ・カイザーはスピードアタッカーを抑制する効果ね、少々厄介だけれど……行くわよ。ドロー!」

 

引き当てたカードを見てザーナが微笑む。良い札を引き当てたようだ。

 

「デッドダムドをマナに送り、5マナで《漢気の2号 ボスカツ》を召喚よ。そして登場時能力が発動!」

「来るか!」

「相手の手札を1枚見ないで墓地へ送り、そのカードと同じ文明を持つコスト8以下のクリーチャーを手札から出す事が出来る!」

「また護守くんの手札を削る戦法を取りながら、自分のクリーチャーも出せるのね……!」

「では行くわよ。捨てて貰うのは……ワタシから見て右から2番目のカード!」

 

指定された手札をサキトが公開する。そのカードは………。

 

「──────残念ながらハズレです。《斬隠蒼頭龍バイケン》の能力!」

「っ!!」

「相手ターンに手札から捨てられる時、代わりにバトルゾーンに出る!結果、墓地に捨てられなかったことにより、ボスカツの踏み倒し能力は不発となる!更に、バイケンの登場時能力により、ボスカツを手札に戻す!」

「ザーナのコンボが、ザックリ断ち切られやがった!」

「……やられたわね、これは大きな痛手だわ。ターンを終了よ!」

 

バイケンの力によりサキトは極めて優位に立った。手札は良好、このまま──────一気呵成に攻め込まんとする!

 

「俺のターン、ドロー!ドギラゴン天をマナゾーンに送り……ガイアッシュ・カイザーの能力により、コスト10以上のクリーチャーの召喚コストが4軽減される!」

「来るのね……!」

「B・A・Dを使わず……現れろ!《頂上電融 クライアッシュ“覇星” '22》!登場時能力により、2枚ドロー!……一気に決めさせて貰います!」

 

サキトが攻撃に移る。ザーナのデッキに、シールドトリガーとなる呪文は多数存在しており、1枚もシールドに無いという事態はほぼあり得ない構成となっていた。故に、あのカードが来なければ大抵の攻撃は凌ぎきれる……と、思っていた。

 

「バイケンで攻撃時、革命チェンジ!現れろ、《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ/「未来から来る、だからミラクル」》!」

「っ、引き込んでいたのね!?」

「それどころか最初に来ていてくれたので、手札の質は良かったんですよ……このターンで一気に押し切るチャンスは、逃さない!ラフルル・ラブの登場時能力!次の相手のターン終わりまで、相手は呪文を唱えられない!」

 

ザーナのデッキの防御手段が、一気に機能を停止する。2枚のシールドが破られ、そこにあったシールドトリガーは……効果を発揮できない!

 

「これは、負けてしまうかもしれないわね……」

 

そう言いながらザーナが寝間着のズボンを脱いでゆく。それを見て増樹と栄久は慌てふためいた。

 

「ほ、本当に脱ぐのかよ!?」

「流石にそれは……」

「ルールに従わなければ出られないようだもの。ね?」

 

一瞬だけザーナはしゅうらの方を見た。そして卓に向き直るとサキトに続きを促す。

 

「さあ、どうぞ護守くん!」

「……ええ、行きますよ」

「おお……目線がずっとテーブルにしか行ってねえ。ある意味すげえな」

「ガイアッシュ・カイザーで攻撃時……2度目の、革命チェンジ!」

「!!」

「現れろ、《蒼き団長 ドギラゴン剣》!!ファイナル革命発動、舞い戻れ、ガイアッシュ・カイザー!登場時能力により2枚ドロー!」

 

手札を稼ぎながら、ドギラゴンがザーナのシールドを一気に0にする。呪文は発動せず、盤面には攻撃可能なドラゴンが3体残されている。

寝間着の上を脱ぎながら、ザーナは覚悟を決めたように笑った。

 

「まさか1曲も披露できないなんて、今回は完敗のようね……お見事だったわ」

「クライアッシュ“覇星”でダイレクトアタック!これで、完全決着ッ!!」

 

眼を瞑りながら宣言したサキトの最終攻撃が……このデュエルの、終幕を告げた。

 

 

* * *

 

 

がちゃり、と扉の鍵が開く音がした。条件を満たし、開錠された証だ。

 

『よろしい!では次を──────』

「そりゃぁぁぁ!!」

『ぐわぁぁあああ!?』

 

次の牢獄を展開しようとした僅かな隙に、ザーナからの目配せに応え待ち構えていたしゅうらが、ジェルヴィスを叩きのめし地に伏せさせる。

 

「ふぅ……よくも他に見られたら面倒になりそうなことをやらせてくれたなオイ」

『待っ──────』

「「「「問答無用ーっ!!」」」」

『ぎゃぁぁあああ!!』

 

4人がかりでズタボロにされ、ジェルヴィスは消滅する。その間にザーナは寝間着を着直し、D2フィールドの解除までにどうにか全ては解決したのであった。

 

「全く、他のギャラリーもいなくて騒ぎにならなかったのが不幸中の幸い」

「もうちょっとバッキバキに叩きのめしたかったけどな!」

「ふぅ、ザーナはもう大丈夫かしら?」

「ええ、元通り着直したわ。お疲れ様、護守くん?」

「こんなんはもう勘弁ですよ……」

「で、見たの?」

「相棒に誓って見てません!」

 

一歩間違えれば良からぬ事になっていた所だった。いや、既に半分くらいアウト側にはみ出しているかもしれないが。

 

「すみません俺絡みの敵による厄介事に巻き込んで……」

「まあ、まさかの事態だったけれど、スリリングな決闘が出来て良かったわ!」

「いや、流石にあんな挑発してまで真剣勝負にする必要あったのか?」

「あら、ふぇるは護守くんの裸を見たかったのかしら?」

「そういう話じゃねえよ!?」

「……まあ、部屋内の男女比率的にはザーナが脱いだほうがマシだったのかも」

「そう……なのかしら……?」

 

ともあれ、懸念事項だったマスター・イニシャルズの襲撃は敵を撃破する事で解決した。

明日は修学旅行も最終日。学業成就の御利益がある、太宰府天満宮を訪れる予定となっている。それを終えれば、東京に帰るのみだ。

 

「明日はまた荷造りもありますし、それに備えてもうそろそろお暇しますね」

「ええ、お疲れ様。3日間いい刺激を貰ったわ!」

「またなー」

 

サキトは彼女達の部屋を後にし、自身の部屋へと戻ってゆく。明日東京に帰ったら、土産話も沢山しなくては。

 

 

 

──────そう、襲撃は一先ずこれで終わったと、思っていたのだった。




本家脱衣デュエマも見れる!デュエル・マスターズVSRFはYouTubeで常設無料配信中!

天使は下界の色々に染まりやすいってエノク書が言ってたからつい……。
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