ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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修学旅行を終え、休日がやって来る!


Ep.51:護守サキトと憩いの休日

「は~!良か天気やね!」

「買い物日和で良かったよ。それじゃ、行こうか」

 

──────2024年11月24日。

日曜日であるこの日、サキトはしのぶを誘い少々外出……というか、デートを行っていた。

行き先は桜龍学門前駅からバスで数分の所にある、大型ショッピングモールだ。モール内の店で昼食を摂ってから、色々とショッピングを楽しむ予定だった。

……ちなみに前日の夜は、しのぶは護守家に一晩泊まっている。修学旅行の間会えなかった分の()()をして、心身共に充実していた。

 

「食べたいものとか決めた?」

「うん、こんパスタんお店がよかね」

「なるほど、生パスタ専門店か……これは美味そうだ」

 

看板メニューの写真に思わず涎が出そうになる。手持ちに余裕があるが故に、こうしてしのぶと外食する頻度を増やすのも悪くはないと思っていた。

サキトの家から駅まではそう遠くなく、喋りながら歩いているとすぐに辿り着いた。ロータリーを何台かのバスが行き来するのを見ながら、目的のバス停へと向かう。

 

「このバス停から乗って5分くらいと。楽しみだな」

「うん、今日はいっぱいお店ば見て回ろうね!」

 

1人で行く買い物もそれはそれで楽しいが、2人で回ればより楽しい。付き合い始めてから、彼ら2人が新たに学んだ事であった。

 

「あ、来たばい!」

「流石に日曜だと昼もそれなりに乗る人がいるな……座れるかな?」

「今の順番なら大丈夫そうやね。それじゃ、行こう!」

 

目的のバスがやって来た。2人は車両へと乗り込み、目的地へと向かう──────。

 

 

* * *

 

 

「ここのフードコートか……お、良かった。席もちゃんと空いてるな」

「早めに来て良かったね」

「俺はオススメの奴にするかな。しのぶはどうする?」

「うちもおんなじのがよか。それじゃあうちは席ば取っとくね」

 

モールへと到着し、早速先に目を付けていた、3階フードコートの一つである店へ向かう。なかなか人気のある店のようでそこそこに人が並んでいた。順調に注文は進み、サキトの番がすぐに来る。

 

「お勧めの……カルボナーラを2つ、飲み物は……よし、これとこれで」

「かしこまりました、少々お待ちください!」

 

調理するスペースから良い香りが流れて来る。本場イタリアのチーズをふんだんに使っているらしく、実に食欲をそそって来る。

 

「お待たせいたしましたー」

「どうもー。さて、しのぶは……っと、あっちか」

 

2人前のパスタが乗ったトレーを受け取って振り返ると、2人用の席を取ったしのぶがこちらに手を振っていた。

 

「お待たせしのぶ、飲み物はこれで良かったよな」

「うん、ありがとう先輩。うわ~、温かそうやね」

「それじゃあ、いただきます」

「いただきます!」

 

白いカルボナーラソースが絡んだパスタに、卵黄が乗せられ見た目も良い。フォークで混ぜ合わせ口に運ぶと、濃厚なチーズの旨味が口の中に広がった。

 

「ん~!ばりうまか!」

「確かに、こりゃ美味い!今日はここ選んで正解だったな」

 

2人は生パスタの食感と、ソースの味わいに夢中になりながらカルボナーラを食べて行く。手頃な値段でこの味を味わえるとは、フードコート侮りがたしというものだ。

 

 

* * *

 

 

「こん服はどげんね?」

「おお、良いと思うけど……しのぶの持ってるコートやジャケットってどんな色だっけか」

 

もうあと1週間で12月だ。本格的な冬に向けて、2人は冬用の私服を買うべくモール内のファッション系店舗を見て回っていた。

まず入ってみたレディース向けファッションの店にて、しのぶが好みの服を試着し、サキトに感想を求めている。

 

「幾つか持っとーばってん、どれも青系やね」

「んー、なるほど。それなら確かに合いそうだ。いやまあ俺のセンスがアテになるかは分からんけど」

「先輩が気に入ってくれるならそれがいちばんばい!」

「それなら良かったよ。それじゃあそれと、そっちのも買って行くか」

 

買い物籠に服を何着か入れレジへと向かう。しのぶの顔は実に機嫌が良さそうで、それを見るサキトも楽しそうに笑っている。

 

「次は俺の方の服も良いかな?」

「よかよ。どんお店が良かと?」

「どっちかというと丈夫な服が欲しい所だからな……アウトドアとかも売ってる店が良いかも」

 

フロアガイドを見て良さげな店を探す。2階にあるアウトドアブランドの店であれば、サキトの目当ての物がありそうだ。

 

「丈夫とが欲しかとって、やっぱりあっちん仕事で?」

「ああ、やっぱり細かい傷とかが付きやすいからな。冬場の寒さに合うものは必要だったし、この機会に替えもいくつか買っておくかなって」

「いつもお疲れ様、先輩」

 

そうして、動きやすくかつ丈夫に作られたズボンやジャケット等を購入していくサキトだった……が……。

 

「アウトドアブランドのズボンやジャケット……意外と高え……っ」

「だ、大丈夫?」

「ああまあうん、お金自体はあるし問題は無いから……」

 

彼の買い物は、思ったより高く付いたのであった。

 

 

* * *

 

 

その後ゲームショップ等も寄り、楽しい時間はあっという間に過ぎて行く。

季節は既に秋も終わりの時期。日が落ちるのも早くなりつつあり、既に外は夕焼けに染まっている。

 

「んん、それじゃあそろそろうちに帰ろうか」

「そうやね、遅うなりすぎるとまた厄介事に巻き込まるーけん」

 

この場合の厄介事とは当然、ゾーン発生の事を指す。楽しいデート帰りに巻き込まれるというのは気分が悪いという物だ。

幸いにして、先日アンナとリュウがそれなりの規模のゾーンを縮小・消滅させたばかりであり、今日の発生確率は低いはずであるが……。

 

「今夜も泊まるか?」

「あはは、流石に明日学校やけん明日は学校やけん家に帰らな──────」

 

『~♪』

 

「んん、電話か?」

「あれ、うちの方も?」

 

2人のスマホがほぼ同時に鳴る。近くのベンチに腰掛け、荷物を脇に置くと2人で同時に通話ボタンを押した。

 

「「もしもし?」」

 

 

 

『しのぶ!マロンが……マロンが!』

『護守くん!水晶が──────攫われたわ!』

 

 

* * *

 

 

「飛ばすぞ、しのぶ!しっかり掴まって!」

「うん!」

 

デュエラッドを呼び出したサキトは、買い物袋をシート内───超獣世界の技術を使った、空間拡張による収納スペース───に収めると、しのぶを後ろに乗せ空を走り出した。

 

──────ザーナとジュラ子、2人から同時に電話が掛かって来た。内容は概ね同じ、急に現れたロボットのようなクリーチャーに、友達が攫われたというもの。

通話を終えた後、メッセージを確認したところ、アーシュ達からもすずが攫われたという緊急の報せが来ていた。情報を見る限り、同一犯。送付されてきた写真を見るに、犯人は『奴』であることは明白だ。

 

「3人ともドラゴン娘なのが幸いか、反応が1箇所に集まってて追いやす……っ!しのぶ!強くしがみ付いてて!」

「えっ、どげんしたと……っひゃぁぁああ!?」

 

急にサキトがハンドルを切り急カーブする。振り落とされないようきつくしがみ付いたしのぶは悲鳴を上げた。

 

「なっなんね!?」

「ゾーンの境界線だ、しかも3人の反応は……中から出ている!」

 

よりによって、桜龍高校を中心点としたゾーンが発生していた。すず、マロン、水晶の3人は確実に中にいる。

取り急ぎ、他の実働部隊員に連絡はしていたが、アンナとリュウは間に合うか不明という状況だった。

 

「……っ!よし、皆はあそこか!合流する!」

 

ゾーンの境界線、外周の縁に他の11人のドラゴン娘達が集結していた。更にその場には……。

 

「先輩!自分は行けます!」

「トウリ!デッキの回し方は十分覚えたな!」

「はい、昨日何度も対戦して頂いた後、自宅でも練習をしておきました!」

 

蟠龍トウリも共に行動していた。彼が境界線付近にフィールドを張っていたこともあり、一般人は立ち入れない状態となっている。

 

「バックアップスタッフの到着を待てる程の時間は無い……ドラゴン娘の皆にも少々頑張って貰う事になりそうだが、行けるか?」

『はいっ!』

「すずちゃん達は必ず取り返しマス!」

「儂らの力を見せてくれようぞ!」

「お姉ちゃんとして、水晶に危害は加えさせないわ!」

 

彼女達の士気は極めて高い状態だ。極めて危険な状況が予測される場所に飛び込む以上、強力なドラゴンの力を持つ仲間がいるというのは、正直に言って頼もしいとサキトは感じている。

 

「しのぶ、ちょっと………」

「……うん、分かったけん。うちに任せて!」

「……よし、突入する!」

『『Dueltector summoning.』』

 

総勢14名、ドラゴン娘達と2人の決闘者は、仲間を救うべくゾーンへと突入する──────。

 

 

* * *

 

 

突入直後、彼らは深い霧の中にいた。それも少し歩くとすぐに途切れ、ゾーン内部の景色が見えて来る。

彼らが侵入したゾーン内部は、桜龍高校の校舎を中心に、徐々に広がりつつあるようだった。

 

「これが護守くんが言っていた『ゾーン』ね……」

「なんだかどんよりしてて背筋がゾワゾワするぜ……」

「風も殆どない、嫌な感じ」

 

紫闇の空に、荒廃した街。Jack-Potの面々にとって初めて見るゾーンの光景は、不安や不快感を招くものとして印象付けられたようだ。

 

「……野良のクリーチャーが近くに全くいない、ゾーンとしては異常な状況だな」

「何かを、恐れているんでしょうか?」

「可能性はありますね、もしくは邪魔だから排除されたか……先輩、3人の反応は?」

「中心部から移動しない。それに……これはジャミングか?大きなクリーチャー反応はあるが、種族の判別が出来ないようになっているな」

 

やがて、校舎が見えて来る。外壁にはあちこちに罅が入り、一部は倒壊しているという無惨な有様。ゾーンが消え去れば何事もなく元に戻るとはいえ、あまり見ていて気持ちのいいものでは無かった。

 

『待っていたぞ、ドギラゴンの契約者よ!』

『我らの手で、貴様に滅びをくれてやろう!』

 

廃墟と化した校舎の上に、2体のクリーチャーが立っていた。大型の銃を構える青いロボットのようなクリーチャーと、白い鎧に巨大なハンマーを手にした天使のようなクリーチャーだ。

彼らの背後には、3本の石柱に縛り付けられた熊田すず、宿禰マロン、庵野水晶の姿もある!

 

「やはり、奴らか……っ!」

「知っとる相手なん!?」

「間違いありません、デュエマの背景ストーリーにおいて侵略者達を操っていた首魁と、『神』へと極めて近付いた九極の侵略者……」

 

サキトとトウリは2体の事を良く知っていた。ドギラゴンと因縁深い、革命編における敵対者の中でも五指に入るであろう強敵達。

 

「《伝説の正体 ギュウジン丸》!」

「そして、《極まる侵略 G.O.D.》……!」

 

巨大なる悪との直接対決が、始まろうとしていた。




平和なデート回……だけでは終わらない。
来襲せしは、侵略の首魁達!
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