ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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今回は公式の単発エピソード動画「【vs正月太り】ジムで地獄のトレーニングに挑む女子高生」を元にしております。


Exep.2:ドラゴン娘と正月の清算

「ダイエットをします!」

 

──────2025年1月7日。

3学期の始業式を終え、生徒会室に集まっていたドラ娘生徒会達。その中で、アーシュは決意を込めて宣言していた。

 

「え~?かいちょー別に太ってなくない?」

「いえ、先日体重計に乗ると……いやぁぁ!!思い出したくないです!」

「分かるわ……うちも正月にちょっとハメを外し過ぎてな……」

 

そう、女子高生の敵、正月太りである。食べすぎ、運動不足、不規則な生活……正月休み中の不摂生のツケが襲い掛かって来たのだ。

 

「ギャイちゃん……!信じてました!」

「どういう意味やそれ」

「すずちゃんはお菓子をタクサン食べてて平気デスカ?」

「わらわは脳でカロリーを消費してるからな!」

 

そのせいで身長があまり伸びないのだろうか……それはともかくとして、体重を元に戻すため、カロリー消費を何かで行う必要があった。

 

「そういえば駅前でこんなの配ってたよ?」

「スポーツジムの無料体験会?へえ、駅前に最近オープンしたんか」

 

なんでも、桜龍学門前駅のすぐそばに新しいスポーツジムが出来たらしい。会員を募集するため、無料体験会を行っているようだ。

 

「行きましょう!皆で!」

「いや一人で行けばいいだろ」

「だって……ジムって初心者お断りなイメージが……」

 

筋トレ初心者の女子高生にとっては、ハードルが高く見えてしまうのは致し方ない所であろうか。実際にはインストラクターがいるジムなどもあり、初心者相手でも適切な指導をしてくれる所が多い。

 

「なら朕がお供シマス!」

「うちも正月のツケを清算しとこかな……」

「じゃあボクも行く~!すずぽよは行かないの?」

「別に行かないとは言ってないだろ……!仕方ないな……!」

「皆さん……!ありがとうございます!」

 

 

* * *

 

 

「ん?生徒会の皆さんだ」

「あ、本当ですね。こんにちは、お揃いで何処かお出かけですか?」

「アラ、先輩にトウリ君!」

「やっほ~!ちょっとかいちょーと一緒に新しいスポーツジムにね~」

 

駅前まで来ると、サキトとトウリの2人が彼女達に気付き声をかけて来た。

 

「おふたりはどうしてここに?」

「まあ、今日はどちらも部活が無いのでちょっとカードショップまでね」

「自分のデッキに有用なカードの買い足しとか考えていまして……」

「なるほど、自己研鑽に余念がないな」

「ところで、どうしてスポーツジムに?」

「あー、まあちょっと正月にな……」

「ああ成程……」

 

その言葉で色々と察する2人。女子にとっては由々しき事態だろうと考えた後、ふと思い出したようにサキトが口を開く。

 

「コホン……ねぇ知ってる~?(裏声)」

「ちょ、なんでいきなり豆〇ばなん?」

「いやまあなんとなくで……」

 

急に某CMの真似をするサキトに思わず半笑いになるギャイ。やはり有名なCM故か、他の皆もクスリと笑っていたが……。

 

 

「ねぇ知ってる~?お餅2個のカロリーは、男性用のお茶碗1杯分のご飯と同じなんだって~(裏声)」

 

 

空気が、凍った。

 

 

「…………皆はお正月の間、いくつお餅を食べたかな?」

『いやぁぁあぁぁぁぁぁっ!?』

「ゾッとしたわ!なんちゅう事を教えてくれとんねん!?」

「ソレは……お正月に日本の人タチが太るわけネ」

「ちなみに市販の餅がサイズダウンしたのもあってこの数値なので、昔は切り餅1個が女性用お茶碗1杯分のご飯と同程度のカロリーだった時も」

「やめて~聞きたくない~!」

 

実際、この餅の高カロリー具合が正月太りに大きく関わっている面はあるだろう。餅と一緒におせち料理も食べまくっていれば、結果は推して知るべしである。

 

「ま、まあ、その分運動で消費しようってのは良い事かと自分は思いますよ」

「んで、そのスポーツジムに行こうというわけですか。俺も今通ってる所より近いから、設備とかスタッフが良ければ乗り換えるのもアリかな」

「意外だな、ゲーム部員なのにジム通いしておったのか」

「ええまあ、DGAに入る前から部活が無い日に週1ペースで行ってますよ。言っときますけど、ゲーマーだって体力は大事なので」

「そうなんですか?」

 

確かにサキトの身体を見れば、意外に筋肉の付き方は良い方だ。インドア派が多い部活の副部長とは思えない程に。

 

「基礎体力は集中力の持続に関わります。大規模なゲームの大会ともなれば何連戦もする訳で、体力が無いと集中力が続かなくなってワンミスからの敗北も普通にありうるんですよ」

「えー、実例とかあるの?」

「デュエマだと全国レベルの公認グランプリ大会決勝で、ループコンボを決めようとしたプレイヤーがうっかりミスってコンボに不可欠なクリーチャーを出し忘れて、自らのコンボでデッキ切れ起こして1戦落とした例が……」

「おおう……悲劇ですねそれは……」

「おまけにラウンド2本先取した方が勝ちのルールで、1ラウンド目勝った方だったけれどそのせいで優勝を逃してるんですよね……」

「何だか泣けて来マス……」

 

あまりにも有名な事件であり、デュエキングパックにおける「公認グランプリ決勝の大戦をモチーフとしたカード」群『頂上サイクル』の1つにも取り上げられた、デュエマの歴史において永遠に語り継がれる「GPの魔物」の被害者である。合掌。

 

「その割には、∞はんは…………」

「まあ…………あれは極端な例だと思って貰えれば……」

 

2学期の間に行われた桜龍高校の運動会イベント「青春ワールドカップ」にて、アオハル組がチームを組んでリレーに出場していたのだが……∞はグラウンド半周で息も絶え絶えといった様子であった。あまりにスタミナが足りない……。

 

「まあとりあえず、行ってみましょうか。自分たちも付き合いますよ」

「ありがとうございます!」

 

 

* * *

 

 

そうしてサキトとトウリも加えた7人で、スポーツジムへとやってきたのだが……。

 

「おお~、マシンがたくさん!」

「身体を鍛えるためだけに、よくもこれだけの数を発明したものだな」

「フィットネスへの拘りは万国共通デスネ」

 

見た所、設備は確かに充実していた。小規模なジムでは見ないような器具もちらほら置かれている。

 

「ダイエット狙いなら、欲を言えばプールが欲しかった所ですかね」

「泳ぐのが効率ええの?」

「泳ぐよりは、足が付く水位のプールで水の中を歩く水中ウォーキングですかね。水の抵抗に抗いながら全身を動かすので効果抜群ですよ」

「しかもあれですよね、身体が少し冷えるからその分体温を上げるためにも脂肪を燃焼するので、より効率がいいと聞きます」

「なるほど……!今日は冬場だから寒すぎるのは遠慮したいですが、今度しのぶさんに指導して貰いましょうか」

 

ちなみにしのぶ自身も、たまに温水プール付きのジムへ通っているようだ。彼女の場合は冬場の水泳練習であるため彼女達の目的とは異なるが。

 

「さあ行きましょう!筋肉の園へ!」

「アーシュはんキャラ変わってへん……?」

「随分と燃えてますね……」

「あ、トウリ。ちょっと電話して来るからちょっと見といてくれ」

「ん……了解です先輩。それじゃあ先に始めてますね」

 

そんなこんなで、それぞれトレーニングを始めたのだが……。

 

「筋トレでカロリーって思ったより減らないんですね……」

「まあ筋肉が増えればカロリー消費量が上がって痩せやすくはなるんで、頑張ってください会長」

「大切なのは背中のような大きな筋肉を鍛えることだ。だからわらわは……このラットプルダウンをするぞ!」

「届いてないワヨ?」

「ハンドルを手に持ってから座っても良いんじゃないでしょうか」

「ぐぬぬ……そういえばキサマも全身の筋肉が鍛えられているな……」

「剣道は体幹、脚、腕、肩、背筋と多くの個所を使いますからね。自分も家での鍛錬は欠かせませんよ」

 

そうして、ある程度順調にトレーニングは進んでいた。すると何やらジムのトレーナーらしき者が彼女達に近付いてきた。

 

『君たち、見込みアリッ!』

「うわあ!?な、なんですか!?」

『その歳で真摯にトレーニングに打ち込む姿……感動した!私が直々にメニューを組んであげよう!』

「いや、別に結構だが……」

『私のハードなメニューをこなせば、必ず理想のボディを手に入れられるぞ!』

 

何やら厳つい顔をしたムキムキの男、何故か勾玉の首飾りを付けているし、やたら赤いボディが目立っていた。

しかしダイエットの事で頭が占められていたアーシュは、その事を全く気にする様子が無かった。

 

「確かに……今のままではいつまで経っても痩せられる気がしません!ここはプロの力を借りましょう!」

「まあ無料のパーソナルトレーニングだと思えばお得か……?」

『よく言った!ならば早速始めるぞ!』

「……アラ?トウリ君と先輩がいないワ?」

「あれ?ほんとだ、どこ行ったんだろ?」

 

そうしてスペシャルメニューが始められようとした時、サキトとトウリの2人が姿を消している事にゼオスが気付いた。すると……。

 

「そこまでだ!」

『何!?』

 

トレーニングルームの扉を蹴り開けてサキトが入って来る。後ろには、DGAのスタッフ達も一緒だ。

 

「御用改めである!…………なんてね。皆さんその人から離れて下さい!」

「先輩!?蟠龍くん!?」

「会長気付いてないようですが、そいつクリーチャーですよ。というわけで、神妙に縛に就け!《仏斬(ブチギレ)富士山(フジヤマ)ッスル》!」

『なぬ!?私に気付いていたのか!?』

「ジムに入った時点でクリーチャーの気配がしてたから、電話でスタッフを呼んでお前が出て来るのを待っていたんだ!」

「確保ーっ!!」

『うわぁぁあー!?』

 

鬨の声を上げ、スタッフ達がなだれ込んで来る。サキトとトウリが富士山ッスル及び他のトレーナーを務めていたクリーチャー達を組み伏せ、確保していったのだった。

 

 

* * *

 

 

「まさかクリーチャー達が運営するジムだったとは……」

「人間社会に潜り込もうとしてる連中も多くて、最近また大変っすよこっちは……」

「いや~すごかったね、せんぱいのジャンピング・パワーボム!」

 

騒動も終わり、7人はファミレスへとやって来ていた。それまでのトレーニングによって皆空腹を覚えていたのである。

 

「今回、4体中3体はジョーカーズなので今すぐ強制送還とも行かなかったのが頭の痛い問題ですね。保護観察処分でしょうか?」

「まあでも、悪い人達じゃなかった気もするけどね」

「朕はまた行きたいデス♪」

「クリーチャーに対処できるドラゴン娘の皆さんなら問題は無いでしょうが、何かの拍子に一般人が怪我したら大事なのであそこは閉鎖か超限定的な会員制に改めさせるところですかね……」

「私はもうジムはコリゴリです……」

 

特にアーシュは普段あまり使わない筋肉を使ったからか、疲労している様子であった。

 

「まあ、美味しいもん食べて元気だそ?」

「わ~い!ボク激辛カレー!」

「わらわはチョコケーキ」

「私は期間限定パフェにします!」

「……俺はまあ、ねぎとろ丼辺りでも」

「あ、自分もそれで」

 

一瞬微妙そうな顔をしたサキトとトウリだが、彼らもメニューを注文し一緒に食事を摂ることにした。

 

「んん~♪美味しいです~!」

「ジムでの疲れが癒されるわ~」

「頑張った自分へのご褒美ってやつだね!」

 

笑顔で食事や甘味を楽しむ、実に幸せそうな表情の彼女達。対してサキトはそれを生暖かい目線で見守っている。

 

 

 

「でもダイエット中ナノニ、皆よく食べるワネ」

「あっゼオスさんそれは……」

 

 

 

再び空気が凍ったのであった。

 

「まあその、ダイエットは1日にしてならずですから、自分は軽いウォーキングとか続けて行けばいいと思いますよ……」

「そもそも一朝一夕で劇的に体重が減るなんてことは無いので、地道に頑張ってくださいね会長」

「はい…………」




夏休みの時期なのに正月の話とはこれいかに。いやまあ作中の時系列の問題なのですが……。
読者の皆様もダイエットは計画的に!
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