今回はトウリ回になります!
作中時期は1月半ば、やることは──────タイトル通り!
「トウリ君、今度の日曜、遊びに行きマセンか?」
「へ?」
──────2025年1月17日。
3学期も始まって1週間が経ち、生徒達の正月ボケも解消されてきた頃。授業も終わり部活へ向かおうとした所で、トウリはゼオスから声をかけられた。
「ええと、生徒会の皆さんとご一緒にでしょうか?それなら───」
「イイエ?朕とトウリ君の2人で、ヨ?」
『!?』
周囲の男子生徒達がざわつく。あの生徒会役員の一人、天然気味かつ海外からの留学生ゆえかズレた所も多いが、スタイルの良い美少女であるゼオスに注目している男子は当然多い。
なお、パワフルさや武闘派な気質を知って気後れしたり、告白しようとしても出来ず撃沈した者もそれなりにいるようだった。
「そ、それはその……デートみたいですね」
「そうデス!一緒にデートしましょう!」
ガタッ!ガタガタガタッ!と複数人が立ち上がり、椅子と机の脚が大きな音を立てた。
「えー……ちょっと待っててください」
「あら、もしかして先約があったカシラ?」
「いえまあ、日曜は身体を休める日になっていますので……はい、大丈夫そうです」
スマホとメモ帳を確認したトウリ。彼の実家は祖父が道場を構えており、夕方から門弟の稽古がある日は彼も参加する事になっているが……幸いにして、日曜日は休みだ。特に予定は入っていない。
「初めてですので至らぬ点もありますでしょうが、自分で良ければ喜んでお相手させて頂きます」
「ありがとうございマス!やりマシタ!日曜日の11時に、栗茶駅の南口前で会いマショウ!」
笑顔で小さくガッツポーズして喜ぶゼオス。トウリには恨みがましい視線が周囲から注がれるが、実力行使に出ない限りは彼は意に介さない。そして、剣道部での彼の活躍を知る以上、下手な手出しを出来る同級生は居なかった。
「ゼオスさん大胆ですね……すごいです」
「やったねゼオちー!日曜が楽しみだね!」
「応援しとるで姐さん、楽しんできてな」
「近場でキサマが楽しめそうな場所くらいは、わらわが教えておいてやろう」
一方のゼオスは、生徒会の皆からエールを送られていた。彼女ら女子高生にとって、友人の恋バナというものは大好物であった。……相手が被りさえしなければ、という条件は付くのであるが。その点では今の所アーシュ達の関係性は平和である。
一先ず、本番は明後日。トウリとゼオスは互いに、初めての異性との逢瀬に対する期待と不安を膨らませて行くのであった。
* * *
1月19日、約束の日曜日。生憎の曇り空ではあったが、雨の心配は無い。トウリは桜龍学門前の隣駅、栗茶駅にてゼオスが来るのを待っていた。
「少し早かったかな……まあ、女性をこの寒い中待たせるよりはいいか」
『うむ、良い心がけでござるよトウリ氏』
1人であっても、彼には常に相棒たるモモキングの声が聞こえる。ただ待つだけの時間であっても、暇を持て余すことは決して無かった。
「あ、トウリ君!お待たせしちゃったワネ?」
「いえ、来たばかりですよ。ではまずは……早めの昼食でしょうか?」
「そうネ、行きたい所があるのだけど……イイかしら?」
「ふむ……どちらへ?」
トウリが問うと、ゼオスは大きな駅ビルの近くに建つ一棟のビルを指した。
「駅に近いビルの『ラーメンパーク』ヨ!……デートには合わないカシラ?」
「良いですね、行きましょう。自分もラーメンは好物ですから」
「良かった!トウリ君もラーメン好きなのネ!」
「あはは、デュエマ原作のファンは、カレーパンとラーメンとタコさんウィンナーが好きな生き物ですから」
そんな冗談を言いつつ、トウリとゼオスは連れ立って目的地へ向かう。ラーメンパークは、ビルの1つのフロアに、全国から集まった7店舗ものラーメン店が軒を連ね日夜鎬を削る、ラーメンの殿堂と呼べる施設である。このビルが商業施設としてオープンして以降、トウリの知る限り幾度かの店舗の入れ替えが行われていた。
「早い時間だからボリュームはあった方が良いでしょうか」
「この後は運動しに行くので、こってりし過ぎない方がイイですネ!」
各店舗の看板メニューなどを見て、食べたいものを選んで行く。2人が今日選んだものは、2種のチャーシューがたっぷりと乗せられた「肉スペシャルラーメン」だ。
「んん~!とってもおいひいワ!」
「肉たっぷりで良いですね……うん、それにスープの味もいけます」
「今日は寒いから、この温かいスープが身体の隅々まで染みるわネ~♪」
『(拙者も実体化出来れば……!)』
この激戦区に店を出しているだけあって、2人とも満足の味わいだったようだ。
「はぁ~♪美味しかったワ……また来たいワネ!」
「他にも店がありますし、機会があれば食べ比べもいいかもしれませんね」
「食べ比べ……!ワクワクしマス!」
そんなわけで、食事を済ませた2人は次の目的地へ向かう…………。
* * *
「ボウリングですか」
「朕はまだやったコトが無いから、チャレンジしてみたいと思っていたノ!」
「自分もやるのは初めてですね……」
駅から少し離れた所にあるボウリング場。高校生の遊び場としては、ここも定番の1つと言えるだろう。
「ボールもシューズもレンタルされてるのネ。どの重さがイイのカシラ?」
「基本的には体重の10分の1くらいの重さが良いらしいですけど…………可能な範囲でなるべく重い方が楽に投げれて、ピンも倒しやすいらしいですよ」
「それなら朕は、このくらいにしてみマス!」
「自分はこの程度かな……他の人の投げ方も見て、やってみましょうか」
ひとまず2ゲーム分の料金をトウリが支払い、初めてのボウリングに挑んでゆく。
「よっ、と!……あー、軌道がいまいちだったみたいだ」
「トウリ君、ドンマイネ!」
「ああいう風に投げるのネ!テヤァァァ!」
「ゼオスさん手!手が!」
「アラ、いけない!」
2人とも未経験故に最初は数本しか倒せなかったり、ガーターを連発したり、ゼオスが気合を入れ過ぎてドラゴン化したりと……簡単には行かなかったが、1ゲームを終えて徐々に感覚は掴めてきた。
「2ゲーム目の前に、飲み物買ってきますね。スポドリで良いですか?」
「それなら朕も一緒に行きマス!また2人分払うつもりなんデショウ?」
「それは……まあ」
「朕からお誘いしたノに、トウリ君のお金ばっかり使わせたらスジが通りマセン!」
「そうかな……そういうものか。それじゃあご一緒に」
「ええ!」
そうして2人でスポーツドリンクを買い、喉を潤すと2ゲーム目を始める。慣れてきた事で、得点が伸びるようになって来た。そして……。
「ヤァァッ!」
『STRIKE!』
「おお!やった!」
「やりましたトウリ君!ストライクデス!」
このゼオスのストライクが決め手となり、2人の対戦はゼオスの勝利に決まったのであった。
「朕の勝利デス!」
「おめでとうございます。やっぱりストライク出すのは難しいですね……」
楽しい時間を過ごせた。トウリにとっても新鮮な体験であり、それに加えて、ゼオスの楽しげな姿を見ていると彼も楽しく──────。
(……あれ?)
彼は、自身の心について1つ気付きを得つつあった。
* * *
ボウリングを終え、駅の方へ戻って来た2人。栗茶駅の駅ビルで服屋を見て回り、買い物をしていたのだが…………。
「トウリ君、この服はどうカシラ?」
「……あー、良いと思います。活動的で、ゼオスさんに似合っているかと」
「…………?」
トウリは何か考え込むような様子で、ゼオスへの返事も一拍遅れて返ってくる有様。買い物の間中、それがずっと続いていた。
そして時は過ぎ、冬の空が赤く染まりだす時間になり……。
「───トウリ君?もしかして、朕とのデート、楽しく無かったカシラ?」
「え?───い、いえ、そんな事はありません!昼食もボウリングも、とても楽しかったです、本当に」
「それならドウシテ、そんな難しそうな顔をしているノ?」
「それは……」
何かを言い淀むトウリ、ならばとゼオスはそのまま踏み込んで来る。
「朕は剣道とデュエマ以外では、トウリ君の好きな事をまだ良く知りマセン。だから、これからお付き合いしていく中でもっと知りたいノ!」
「お付き合い……ですか」
「ハイ!朕は、トウリ君の事が───」
「ゼオスさん」
「え、っ」
意を決したゼオスの機先を制し、トウリが口を開いた。
「自分も、ゼオスさんの事が好きです」
「───!ソレなら」
「──────でも、すみません。貴女と付き合う事は、自分には出来ません。……今日は、ありがとうございました」
「─────────エ、っ?」
呆然とするゼオスに背を向け──────トウリは去って行くのであった。
──────次回へ続く!
ラーメンパークのモデルは東京都立川市の「ラーメンスクエア」です。是非ジョー君を連れて行きたい場所。
ボルシャックの書新規入れたボルシャックデッキがなんとも見てて面白そうでありました。
バクテラス相棒の新キャラでもいずれ出すか……?