ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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X指定パートと別作品のエロパロ書いててたいへん遅れました。
こちらよりも遥かに勢いよく伸びるのを見てコンテンツ力の差を感じております。ぅゎ鬼滅っょぃ。

今回はホワイトデー……の当日よりも前日がメインになります。


Exep.10:護守サキトとホワイトデー

「…………うーむ、渡す菓子によって意味があるのか」

 

──────2025年3月9日。

ホワイトデーが近付く中、サキトはバレンタインにチョコレートをくれた2人へのお返しを選定しようとしていた。

本命向けの菓子、義理向けの菓子、送るとNGな菓子……これまで調べる機会が無かったが故に、そういった意味を持つ事をサキトは碌に知らなかった。事前に調べておいて良かったと言えよう。

 

「マシュマロ、グミ、チョコレートはアウト。となるとチョコクッキーとかもアウトか?クッキー単体なら義理には良いみたいだが……うーむ」

 

ひとまず、∞へのお返しは恋愛的な意味が乗らないものにすべきだろう。そしてしのぶへのお返しは…………。

 

「『あなたが好き』というのは互いに分かり切ってる訳だから、もう少し別の意味合いがあると良いのかな…………ん?おっ、これは」

 

目に入った菓子の説明に注目する。これならば…………成程、今回しのぶに贈るには適していそうだ。

 

「しかし、これだと手作りは難しいな。それなりにいいものを買っていった方が良さそうだ。都内で良い店は……っと」

 

パソコンで都内の菓子店を検索する。オススメされる有名店であり、同じ建物に∞向けのお菓子も買える店があれば最適だろう。

キーワードを絡めて検索して行き…………最適なものが見つかった。後は買いに行く日程だが、これは13日の午後が良いだろう。菓子もあまり日にちを置いては良くない、木曜の午後ならゲーム部は休みのため最適と言えた。

 

「では予定をメモってと……よし、これで問題は無いはずだ」

 

本番まであと数日、その日に思いを馳せながらサキトは眠りに着くのだった。

 

 

* * *

 

 

『今日は少しばかり買い物に行くから、部活終わりの時間に間に合わなかったら帝王坂さんと2人で帰ってくれるか』

『うん、分かったばい。先輩はどこしゃぃ行くと?』

『ちょっと用事で新宿までな』

 

──────2025年3月13日。

放課後、3年生が卒業して賑やかさが少しだけ減った桜龍高校を後にし、サキトは桜龍学門前駅から電車に乗った。向かう先は新宿、駅から直結するファッションビルだ。

 

「そこそこいい菓子をピックアップはしたが……これでも高額カードより安いと思うと、いかに金銭感覚が麻痺してるかを自覚してしまうなぁ」

 

二人の分を買っても2500円ほど、下手な高額カード1枚のシングル価格より安い。…………デュエマプレイヤーの金銭感覚がおかしいと言われても仕方ないかもしれない。

現在時刻は15時過ぎ、まだ電車の本数も乗客も少ない時間帯で、サキトは席に座りゆったりと過ごそうとしていた。

 

「新宿に着くまでは暇だし、今の内にデイリーの消化でも──────」

 

その時、急にサキトのスマートフォンが警報音を発する。クリーチャー反応だ!

 

「うお!?すみませんすみません!……何だ、何処から来る…………っ!?」

 

反応が、徐々に西側から近付いて来る。車内では騒ぎは起きていない。これは……。

 

「ママー、おとなりに黒い電車さんだー」

「もう、そんなの来るわけ…………えっ?」

「!?」

 

慌てて隣の線路を見る。本来中央線下り線が通るはずの路線を……今サキトが乗る上り線を追いかけるように、正面に髑髏があしらわれた蒸気機関車が走って来る!

 

「《汽車男》かっ!?」

『ポッポォォォォォ!!』

「きゃぁぁあぁぁ!!」

 

電車に並走した汽車男が、車体から黒い粘液の腕を生やして中央線の車体を掴む。車体が大きく揺れ、乗客が悲鳴を上げた。

 

「拙い…………このままじゃ奴は下り線と正面衝突する、そうなれば大事故は必至だ!」

 

本数が減っている時間であり、下り線とすれ違ったのはつい先ほどであったが…………猶予は殆ど無いだろう。サキトは急ぎ、後部車両の乗務員室へと向かった。

 

 

* * *

 

 

「ぬああ、パニックで混んできていやがる…………っ」

 

後部車両側へと乗客が避難しようとして、混み始めていた。現在の中央線は窓が開かず、外に出るにはドアを開けるか乗務員室の扉を使う必要があった。

 

「くそ、なら…………逆方向だ!」

 

比較的道が開けている先頭車両側を見る。サキトは全速力で駆け出し、運転手がいる乗務員室まで走った。

 

「よし!運転手さん、開けてくれ!DGAだ!」

「えっ!?は、はいっ!?」

 

扉の鍵が外れ、乗務員室へ駆け込むサキト。運転手は車体の制御をしようとするものの、汽車男に掴まれた車両は停止できずにいた。

 

「まず、下り線の緊急停止を!それと、そっち側の扉はまだ開くか!」

「緊急停止要請はもう送っています!しかし、このままでは前方で駅に停車中の車両に追突する恐れが…………っ!」

「すぐにそちら側の扉を開けてくれ!俺が対処する!」

「は、はいっ!」

 

運転手が席を立ち、扉への道を空ける。サキトは扉を解放すると、外へ飛び出した!

 

「お客さ──────!!」

「行くぞッ!!」

 

サキトの身が炎に包まれる。その中で赤い装甲に包まれて行き……燃える翼を広げ、飛び立った!

 

『《王道の革命 ドギラゴン》ッ!!』

 

普段とは異なり、飛行能力を重視して翼ある姿、王道の革命ドギラゴンへと同化変身したサキト。そのまま羽ばたくと中央線の車体を飛び越え、汽車男へ接近する。

 

『下ガッテ下ガッテェェェェ!!』

『下がるのはお前だ、パワー1000程度のヘドロ野郎ッ!!』

 

各部の装甲が開きレーザー砲がせり出す。放たれた幾条ものレーザーが、中央線の車体に取り付いたヘドロを焼き切り、真正面から汽車男の車体を貫いた。

 

『ウギャァァァァアアァア……!』

『完・全・決・着!』

 

 

* * *

 

 

『──────現在中央線は、クリーチャー出現に際し起こりました損害により一時運転を見合わせており──────』

「仕方ない、デュエラッドを使うか……」

 

人的被害は起こらなかったものの、当然何事も無く終わるという訳はなく。汽車男の襲撃で運行予定が大幅に狂っていた。仕方なく今いる駅で降り、デュエラッドを呼び出した。多少は私用で使っても許されるだろう……予定が狂ったのもクリーチャー出現のせいではあるのだし。

幸い現在いる駅から新宿駅までは、デュエラッドで公道を行けばそう遠くは無い。30分もしないうちに、目的の新宿駅ビルにサキトは辿り着いた。

 

『目的地に到着──────キト───』

「よし。帰りは電車の運行次第だ、あちらに転送……っと」

 

駐車場の必要が無いのがある意味デュエラッド最大の利点と言える。本部に送り返す間際、ナビゲーションシステムにノイズが走った気がしたが、何かあれば本部がメンテナンスするはずだろうと思いサキトはスルーした。

目的地は地下2階の食料品、菓子売り場だ。最適な菓子を売る店が2店舗、このフロアに揃っている。

 

「ふぅ、よしここだな。すみません、こちらの商品を……」

「いらっしゃいませ!ホワイトデーの贈り物ですか?」

「はい。ラッピングして貰ってよろしいですか?」

「はい!お買い上げありがとうございます!」

 

そうして、首尾よく目的の菓子を2品、贈答用のラッピングもして貰い購入した。後は電車の運行だが……遅れは出ているものの迅速に再開し始めたようだ。少々混みそうだが、菓子が潰れないよう気を付ければ大丈夫……なはずだ。

 

「全く災難だったな。さて、水泳部の終わりに間に合うか……?」

 

車両間隔調整のため駅に何分か停車するという事もあったが……なんとか無事桜龍学門前駅まで戻って来た。時間は17時を過ぎ、練習も終わっている頃だ。

 

『買い物終えて桜龍学門前に帰還。部活は終わった?』

『今∞ちゃんと一緒に門の前ばい!』

『そんじゃまあ、待っててくれれば俺も行こう』

『待っとーね~』

 

「よし、それじゃあ迎えに行きますか」

 

鞄に菓子をしまい込み、2人を迎えに行く。すっかりしのぶと2人、もしくは∞も加えた3人で帰る事も彼の習慣と化していた。

 

「あ、せんぱーい!」

『買い物って何処へ行っていたの?』

「新宿までな。まあ何時もと違うカドショにでも行ってたと思ってくれ」

『ふうん……?』

 

そうして2人を送り届け、昼間のトラブルを除けばこの日は無事過ぎて行った。

 

 

* * *

 

 

そして、翌日──────2025年3月14日。

 

「はい、こちらホワイトデーのお返しだ。ゆっくり食べてくれ」

「わぁ……!」

『ありがとう先輩。開けてみていい?』

「どうぞどうぞ」

 

現在は昼休み、サキトは何事も無く2人にお返しを渡す事が出来た。いつもこのくらい平和であれば良いのだが。

 

『これは……何てお菓子?』

「“バターフィナンシェ”だな。金の延べ棒を模した形から、これを贈る事は『金運・成功・繁栄』の願いを示すそうだ。縁起物としてちょうど良いかなと」

『なるほど。ありがたくいただきます』

 

∞への贈り物は、駅ビルの菓子店で買った少し高級なバターフィナンシェだ。恋愛的な意味合いは無い縁起物なので、概ね良い贈り物だろう。

 

「うちの方は……わ、バウムクーヘン?それもまるっと一つ!」

「コンビニのですまんが、フォークとナイフもあるからこれで斬って食べるといい。自分で小分けのを買って食べてみたけど、かなり美味かったよ」

「うん!それじゃあ、いただきます……んん~~!うまか~!」

 

しのぶへの贈り物はバウムクーヘン。同じ駅ビルの別の菓子店における、代表商品だ。焼き菓子とは思えない程しっとり、プルプルとした食感とコクのある味わいが特徴だった。

 

『バウムクーヘンを贈る意味は……なるほどね』

「意味?そういえば、贈るお菓子ごとに意味があるんやね」

「ちゃんと調べてから買いに行ったさ。バウムクーヘンの意味は───」

『「幸せがずっと続くように」だって』

 

「木のケーキ」とも言われるバウムクーヘン。贈り物として贈る場合は、いくつもの層が重なる姿を時間を積み重ねる様子になぞらえて「幸せがずっと続くように」という意味が込められる。結婚の挨拶や引き出物などにも使われることの多い、縁起のいいスイーツなのだ。

 

「しのぶ。これからも末永く、よろしくな」

「──────っ!うんっ!」

『……なんだかお菓子が激甘に感じるよ』

 

こうして彼らのホワイトデーは過ぎて行く。季節は一回りし……もうすぐ、サキトとドラゴン娘達の出会いから1年が経とうとしていた。




参考にした菓子は東京は新宿の駅ビル、ルミネ新宿に店を出す2つの菓子店の商品になります。
バウムクーヘンもバターフィナンシェも良い物でした。

いよいよサキト達も進級の時期。3年生となるサキトの前に待つ物はいかに。
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