ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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突如現れたイニシャルズの軍団。
そして、サキトと同じ顔を持つ男。
新たな大事件が、幕を開ける──────。


Ep.1:ドラゴン娘と『護守サキト』

「だ、誰ですかあの先輩にそっくりな人!?」

「もしかして、双子がいたりとか!?」

「いや、うちはずっと一人っ子だ……っ!」

 

自身にそっくりな顔を持つ男を見て、妙な怖気がサキトの背筋に走る。何か本能的な部分が、目の前の存在が『自分自身』であると告げていた。

 

『…………行け』

「来ますよ皆さんッ!自分は《アルカディアス・モモキング》をマナへ!」

「く、レッドギラゾーンをマナへ……っ!」

 

襲い掛かって来るⅤのイニシャルズ達と、ドラゴン娘達が乱闘を始める。直接戦闘が不得手なJack-Potの面々とそもそも当人に戦闘経験が無い初を護衛しつつ、マロンが戦場を把握して迎撃してゆく。

《禁断V デカルパ》《禁断V フィーダス》《禁断V モードス》《禁断V キザム》……これら4種のクリーチャーが襲い掛かって来るのを、彼女達は上手く捌いてゆく。しかし……。

 

『──────“スレイヤー”、付与』

 

何体かのクリーチャーに、龍人が放った光の槍が突き刺さる。青い光のラインが全身に走り、速度を増した彼らが一気に飛び掛かって来た。

 

「っ!?帝王坂さん避けろっ!!」

『大丈夫、生半可なクリーチャーなら──────』

「ダメだ!そいつはパワーは低いが…………ゲンムエンペラーの能力圏内でも力を封じられない!!」

 

両腕が刃となったクリーチャー《禁断V キザム》が、ドラゴンの力を解放した∞に刃を振るった。パワーの差は歴然でキザムは容易く攻撃を防がれて倒れ──────直後、爆発が起こった。

 

「∞ちゃん!!」

「∞!!」

 

爆発に巻き込まれ、吹き飛ばされた∞のドラゴン化が解ける。後方に立っていたしゅうらが、彼女を慌てて受け止めた。幸い彼女は大怪我まではしていないが…………。

 

「だ、大丈夫!気を失っているだけよ!」

「よ、良かったでし…………でも、さっきまであんな能力は無かったはずでし!?」

「奴が一時的に付与したんです……腕が刃になっている奴と髪の毛が伸びた奴は自分と先輩がシールドで受けます!皆はその他の奴らを!」

「Dangerですわね……頼みましたわ!」

 

デカルパとモードスを相手とすることに集中し始める彼女達。この2体には、先程のように力を付与する事は出来ないようだった。

 

「それで、結局アレはいったい……」

「間違いない、アレは……俺だ。それも恐らく、『平行世界』のな」

「……ね、水晶っち、平行世界ってなに?」

「えっ!?えっと、何だっけ……」

「ワタシ達の世界に似ているけど違う世界、もしくは何かの選択肢で枝分かれした『もしも』の世界の事よ。『パラレルワールド』とも言うわ」

「あー、そっちなら聞いた事あるかも」

 

そう、本来であれば接触することは無い隣り合った世界。あの『護守サキト』は、そこからやって来た侵入者だ。

 

「しかも、同じくドギラゴンの力を身に宿してはいるが……あれはもう、普通のドギラゴンではない」

「どげんことね?」

「イニシャルズを率いているのも裏付けと言えるかもしれん……奴は“禁断の使徒”、ドルマゲドンの配下となっているドギラゴン……!」

 

「《蒼き覚醒 ドギラゴンX》!」

 

『──────し、のぶ』

「え───」

「野郎っ!」

 

突如、あちらの『サキト』が動き、しのぶへと接近する。サキトはそれに即座に反応し、シールド3枚を犠牲に突撃を止める!

 

「な、んのつもりだ……っ!」

『──────邪魔だ』

 

シールドトリガーは無し、そこにフィーダスが突っ込んできて更に残ったシールドを叩き割った。弾け飛ぶシールドの破片からしのぶを守ったサキトは、すぐさま最後の2枚から……力を発動させる。

 

「シールドトリガー発動!ホーリーグレイス、王道の革命ドギラゴン!」

『む──────』

「やった、動きが止まった!行っくよー、メガ……ファイアー!!」

「朕も行きマス!それっ!!」

 

ホーリーグレイスの光でイニシャルズ達の動きが止まったところで、メガが炎でフィーダス以外を一掃し、ゼオスが残ったフィーダスを光の壁に閉じ込める。

 

「お見事!バトルせずに処理すればスレイヤーも問題はないわ!」

「でも……残ったあれ、どうする?」

「なんか、黒板を引っ掻いた音を聞いた時みたいな、嫌な雰囲気がするぜ……!」

 

対峙する2人のサキト。一瞬の静止の後、こちらのサキトが動いた。

 

「ボルシャック・ドギラゴンをマナゾーンへ送り、メンデルスゾーン発動!よし、2マナをチャージし……行くぞ!ホーリーグレイスで攻撃し、革命チェンジ!」

 

金の鎧を纏うドラゴンと入れ替わり、彼の相棒が姿を現す。異なる世界の2体のドギラゴンが、ここに対峙する。

 

「《蒼き守護神 ドギラゴン閃》!奴を───攻撃!」

『行くぞッ!』

『──────ドギラゴン』

 

ドギラゴン閃の七支刀が振るわれ、あちらの『サキト』へ叩き付けられるが……紫闇の鎧を纏った両腕が、なんとその刃を受け止めた。

 

「止めた!?先輩のドギラゴン閃とドギラゴンXは、パワー自体は互角のはず……っ!」

『───喰らえ』

「なんのっ!!」

 

『サキト』は光の槍を多数放ち攻め立て、ドギラゴン閃がそれらを盾で防ぎ、躱し、再度斬り付けて行く。

攻防は数秒続き、互いに……限界を迎える。

 

『グァァア!』

『──────!!』

 

ドギラゴン閃と『サキト』は、爆炎に包まれた。これで、終わり──────。

 

「──────あぅっ!?」

「しのぶ!?」

 

爆炎を突っ切って来た『サキト』が、しのぶを腕で捕らえていた。対処しようとしたドーラとジュラ子が、異様な物を見て身体を強張らせる。

 

 

 

ドギラゴンの装甲が剥がれ、露出した『サキト』の胸に……赤く輝く不気味な鉱石が突き刺さり、脈打つように光っている。

 

 

 

「な、何なのだあれは──────」

「っ、危ないですわ!」

 

再び光の槍を展開した『サキト』が、2人を弾き飛ばした。そのまま彼は空中へ跳び、距離を取ろうとしている。

 

「は、放して……っ!」

『嫌、だ。このまま───』

『しのぶを離せ!!』

 

ドギラゴン剣の鎧を纏ったサキトが、そこへ斬りかかった。『サキト』は鎧を再生させ、身体を回転させ背の槍でそれを受ける。

 

『何故この世界にお前は現れた!?お前の目的は──────』

『……我が革命は』

『ッ!?』

『──────禁断の名の下に』

 

瞬間、衝撃波が周囲へと放たれ、サキトは大きく吹き飛ばされる。校舎の壁に叩き付けられ──────そこに光の槍が降り注いだ。

 

『が……っ!!』

「せんぱ、先輩っ!!」

 

四肢と胴体を貫かれ、血を吐くサキト。悲鳴を上げるしのぶを抱えたまま、『サキト』は空間に穴を開け──────どこかへと消え去った。

 

 

* * *

 

 

「しのぶ───っ!」

「しのぶさん!」

 

仲間が、友達が、連れ去られてしまった。後を追おうにも、空間の穴から……また多数のクリーチャーが出て来ようとしていた。

 

「くっ!?今度は『終断』のイニシャルズ達が……っ!」

「あかん、先輩も助けんとまずそうや……!」

 

新たなクリーチャーの群れへの対処、そして磔にされたサキトの救助。両方に対処すべく奮闘するも、このままでは手が足りそうにない──────。

 

「いかんぞ、このままでは!」

「っ!何か来るでし!」

 

危機的状況に陥った彼女達の所へ……突然、1台のバイクが走って来る。その背には…………()()()()()()()()

 

「何ですかあれ!?」

「あ、見覚えがあります!先輩の……デュエラッド!?」

 

サキトに与えられたDGAの装備、マナで駆動する特殊二輪車、『デュエラッド』だ。それが今なぜか、ひとりでに動いており──────。

 

『殲滅する』

「ひえ!?なんか喋っ……わぁっ!?」

 

猛スピードでクリーチャーの群れへ突っ込むと、彼らを勢いよく撥ね飛ばしてゆく。猛烈なスピンで弾き、タイヤで轢き潰し、低パワーのクリーチャー達がデュエラッド1機によって駆逐されていく。

 

「なんだか分からないけれど、今の内に護守君を助けないと!」

「お、おう!そうだぜ!」

「槍を引き抜くわよ!せーのっ!!」

 

Jack-Potの面々が、1本ずつ槍を抜いてゆく。サキトは出血していたが、そこへトウリが近付きデュエマフォンの簡易治療で傷を塞いでいった。

 

「あのバイクのおかげでどうにかなりそうでし!あとひと踏ん張りでしよ!」

「しのぶをabductした報い、受けて貰いますわ!」

「おのれ、必ずしのぶを返して貰うぞ!」

 

しのぶを攫われた事で怒りを覚えたマロン、ジュラ子、ドーラの3人が奮戦する。

そうして、大きな損害は受けたものの、どうにかイニシャルズ達の襲撃は撃退する事に成功した。

 

「ぐ、ぅ……」

『戦闘終了。負傷した2人を早めにDGAと協力する病院へ向かわせなければ』

「待って欲しい……デュエラッドには、ナビゲーションシステムはあっても自律行動機能は無いと自分はスタッフから聞いている」

 

停車したサキトのデュエラッドへ、トウリがカードを突き付けた。

 

「それにその声……自分は聞き覚えがある。まさか──────」

『流石、察しが良い』

 

デュエラッドのハンドルに組み込まれたモニターから光が放たれ、空中に像を映し出す。そこに映っていた物は、この場ではトウリだけは見覚えがあった。

 

 

 

『久しぶり、モモキング』

「──────レッドゾーンZ!?」

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