デュエプレでサッヴァークのシク版を1発引きできたりもしてめでたい続きであります。
都庁内へ突入したドラゴン娘達。目指すは、45階の展望室。
「上の階に上がるにはどうするん!?」
「こっちです!展望室行きのエレベーター!」
目標とするあちらのサキトが潜む黒い闇は、南北に建つタワーの間、45階展望室の辺りに存在する。
その階まで行くには、直通のエレベーターで1階か2階から上がっていく事となる。非常階段で登っていくというのは流石に現実的ではない……というか、そんな事をしていたら目標の階まで辿り着く前に全員疲労困憊となるだろう。
「シールドトリガー、《モモからうまれたモモキング》発動!モモキングDMを手札からタップ状態で場に出し……登場時能力でマナゾーンのアルカディアス・モモキングにスター進化!その後山札から2枚をマナへ!」
『ここは拙者が食い止めましょうぞ!さあ、昇降機へ!』
アルカディアス・モモキングへと進化したモモキングがイニシャルズの群れを引き付け、その間に皆はエレベーター乗り場へと走ってゆく。
「∞、エレベーターは動くのか!?」
『……うん、幸い大丈夫そう』
「助かったでし、これ無しであの場所を目指すにはそれこそ飛んで行かないともたないでしよ」
「トウリ君!こっちネ!」
「了解です!」
降りて来たエレベーターの扉が開き、彼女達総勢13名が乗り込んでゆく。小柄で軽い者もいるため、幸いにして全員乗る事が出来た。
「モモキング、もういいぞ!」
『承知!』
デュエルによる戦闘を中断し、モモキングの姿が掻き消える。彼らがエレベーターに乗った事に気付き、イニシャルズ達が迫って来るが───。
「通行止めだァッ!!」
『Duel field expansion. Dueltector summoning.』
サキトが縦に長く変形させたデュエルフィールドを展開する。それはエレベーターシャフト全体を守る障壁となり、突っ込んで来た敵を弾き返した。
「それじゃあ上がるよ!」
「上から襲われたりはせぬか!?」
「全体を覆ったので大丈夫……なはず!」
「展望室まで55秒、ほぼone minutesですわね……」
ゆっくりとエレベーターが昇り始める。地上45階までの道は長く、そして高く…………。
「うー、あーし耳がキーンとしてきた」
「高層マンションとかもそうですけど、気圧差を感じるくらい高い建物って大変ですよね…………」
「でも、非常階段でゆっくり登るとかは絶対に考えたくないでし…………」
「そういえば、飛んであそこまで行くとか出来なかったの?ボクらなら…………飛べない人もいるけど、その分はせんぱいのクリーチャーに乗せて貰うとか」
『いや、あちらも飛べるクリーチャーがいるみたいだから、最初にトラックで突っ込んだ奇襲の時はともかくあの闇を目指して飛ぶと途中で襲撃される』
「ドギラゴンにしがみ付いたままアクロバット飛行なんて事になったら、十中八九誰か振り落とされてただろうな……」
敵の迎撃を躱しながらあの闇まで飛んでいくというのは、この人数を連れては至難の業だろう。そうこうしているうちに、展望室の階が近付いて来る。
「扉が開いたら、朕とメガちゃんが前に出マス!クリーチャーがいたら蹴散らして道を拓くワネ」
「お願いします。展望台の窓からあの黒い闇が見える場所に行けばいいんですね?」
「ああ。そこからは道を開けてくれれば、俺がどうにか出来るはずだ」
「そろそろ着くで!」
エレベーターが目標階に到着した事を知らせる音が鳴り、扉が開く。イニシャルズのクリーチャー達は……幸いにして今はいないようだった。
平日とはいえ観光客もいたはずだが、今は展望室は無人となっている。窓ガラスは割られ荒らされてはいるが、人の死体なども……見る限りでは存在しない。
「Luckyですわね、クリーチャーはいないようですわ」
「報告では都庁内の人間は無事避難出来てるとの事だったが、犠牲者がいないならまあ何よりか」
「よし、今の内に場所を確保しようぞ」
「そうですね……っ、上と下から来ます!」
展望台の割れた窓から、複数体のイニシャルズ達が侵入してくる。彼らの気配を感じ取ったためか、続々と上階と下階から集まって来た!
「位置はどうします!?」
「……よし、あの辺りだ!幸い窓も機能していない、あそこからなら一直線に目標が見える!」
窓ガラスが破損し、風が吹き込む展望台の一角。そこから黒い闇が、超次元の穴を覆い隠す球状の異空間が見えている。
展望室に入って来るイニシャルズの群れを見ながら、サキトは理想的な位置へ移動し、皆でそこに陣取る。
「来るぞ!」
「先輩、準備は早めに済ませてな!」
「ああ、すぐに済ませる……っ!」
アーシュ達がクリーチャーの群れを迎撃し、その間にデュエマフォンでサキトが目標までの距離を測る。必要な速度は、あの形態であれば彼女達を抱えても出せる……はずだ。
「よし、行くぞ……ドギラゴン!」
サキトが身体に力を入れるとその身が龍人へと変わり、深い青と金に彩られた鎧がその身を包む。普段であれば手に携える槍は、自らの尻尾によって巻き取り保持する形に変えた。
『《蒼き夢双 ドギラゴン天》!よし、伍代さんとリューバーさんは俺の肩にしがみ付いて!』
「うむ、承知した」
「OKですわ!でも、どうする気ですの───」
しがみ付いた2人を、細長く4つに切り分けられたマントが蠢き縛り付ける。更にサキトはマロンと∞を脇に抱え、残るマントで2人も固定した。
「へっ?」
『まさか……』
『よし……舌を噛まないよう歯を食いしばっておいて。真久間さん、前方を一直線に薙ぎ払って欲しい!』
「りょーかい!そおれぇっ!!」
メガが放った炎が前方のイニシャルズ達を蹴散らす。そして、サキトは一気に脚を踏み込んだ。
『一直線に、跳ぶッ!!!!』
「ひぎゃぁぁぁあぁああ!?」
──────ドギラゴン閃の姿は攻撃と防御と速度のバランスが良く、ドギラゴン剣の姿は速度を落としながらも鎧の防護力と一撃の重さが上昇する。そして、ドギラゴン天の姿は…………防御が薄くなる代わりに、最速のスピードを誇る。
4人を抱え展望室の窓から飛び出したサキトは、その圧倒的な直線速度を活かし──────飛行型の敵に捕捉される前に、黒い闇の中へと突入した。
「よし、先輩は突入に成功しました!」
「だ、大丈夫でしょうか?」
「まー、皆ドラゴン娘だし大丈夫っしょ。……あ、ちょっとヤバいの来るかも」
初の言葉と共に、下の階からガラスが割れ、コンクリートが砕ける音が聞こえて来る。そして、他のクリーチャーよりも大きな機械の腕がよじ登って来る。それも、2体!
「何なのだあれは!?」
「天井に頭が着きそうなデカさやな……!」
「《D2V3 終断のデッドトロン》に、《D2V3 終断のレッドトロン》……どちらもマスター・イニシャルズ、強力な個体です!」
多数の金属、機構とケーブルにより形作られた人型のクリーチャー、デッドトロンとレッドトロンが襲い来る。更に多数の下級イニシャルズも引き連れており、広かった展望室の内部がクリーチャーで埋め尽くされそうだ。
レッドトロンは展望室に入るや否や彼女らに殴りかかって来たが……ギャイがその一撃を全力で止める!
「やらせへんで!」
「マスター・イニシャルズを倒せれば相手の動きも鈍るはず、ここで仕留めますよ!」
「りょ。そんじゃシューラっち、ちょっと働いて貰うよ」
初は普段鞄に着けていたキーホルダーサイズの一王二命三眼槍を取り出すと、穂先の付け根部分……あるいは首と呼べる部分に金属の輪をはめた。
『ぐぎゃぁぁぁああ!?』
「な、なんか苦しんでるけど大丈夫?」
「これがDGAの人がくれた制御装置だって。約15分間はシューラっちが大人しくなってあーしの思い通りに使えるようになるらしいよ」
「……まあ元々凶暴なクリーチャーなので同情は要らないですね。こちらも行きますよ!」
『Contract armor awakening.』
生徒会の5人がドラゴンの力を解放し、トウリはコントラクトアーマーによりモモキングDMの力をその身に纏う。そして初は一王二命三眼槍を槍の形態に変えて構えた。その額からは、小さな鬼の角が2本生えて来る。
「原戸さん、角が生えて来マシタ!」
「あー、シューラっちを使おうとしてもこうなるっぽいね。まあ、身体の調子は良いかも」
「それでは、自分がデッドトロンを排除します。レッドトロンと周りの連中は任せても構いませんか?」
「分かりました、気を付けてください!」
モモキングの力を纏うトウリと、デモニオの槍を持つ初が背中合わせに戦う。超獣世界での2体の関係を思えば、本来は決して見られない有様であろう。
「『いざ!』」
「それ、っ」
トウリが踏み込むと同時に、初は手にした一王二命三眼槍をくるくると回転させ襲い来る下級イニシャルズ達を薙ぎ払う。槍は直線的な突きのみが攻め手ではない。先端の重量を活かした円運動により斬り付け、払う変則的な動きが本領と言えた。
「ういちゃそすごーい!軽々と振り回してるよ!」
「ん、あーし向こうの学校ではバトン部だったから」
「いやそんな物騒なバトンがあるか!?」
「よし、行くで姐さん!」
「ハイ!やぁぁあぁぁあっ!!」
ギャイが展望室に置かれたテーブルや椅子を思い切り投げ、レッドトロンの注意を反らしたところにゼオスが拳を叩き込む。強烈な一撃に、レッドトロンはたたらを踏んだ。
「一気に畳みかけます!」
「「「「はぁぁあぁあぁぁっ!!」」」」
『グワァァアアァァア!?』
アーシュの、すずの、メガの、初の渾身の一撃が叩き込まれた。レッドトロンは窓から外へ吹き飛ばされ、落下中に空中で大爆発を起こした。
「こちらも一気に行く!カモン!」
『王来!』
「『スター進化ッ!!』」
トウリはスター進化の鎧を纏い、一気にケリを付けんとする。しかしそこに、デッドトロンが身体から電撃を放ち、トウリへと浴びせかけた!
「『ボルシャック・モモキングNEX……っ!?ぐぁあっ!!』」
「トウリ君!?」
電撃を浴びたトウリが悲鳴を上げ、火花が引火したか全身が燃え上がる。その様にデッドトロンは金属がこすれ合う音交じりの不快な笑い声を上げ──────。
『ギャギャギャギャ……ァ?』
「『───残念だったな!』」
気付けば、青白く輝く異形の鎧を纏ったトウリが、デッドトロンの腹部を右腕で貫いている。5つの面を胴と四肢にあしらったその姿は禍々しくも、同時に神々しさも感じさせた。
「『《神帝英雄 ゴッド・モモキング》参ジョー!滅びよ!!』」
続けざまに左の拳を叩き込まれ、展望台の外へ放り出されたデッドトロンはレッドトロンの後を追うように爆散した。
「い、一瞬やられちゃったかと……!」
「だ、大丈夫?どこもなんともない?」
「ええ。モモキングのスター進化は、相手にやられても鎧が剥がされるだけで戦闘続行が可能ですから。奴の能力で変身時を狙われると思い、モモキングDMの力で2重にスター進化の鎧を着込んでおいて正解でした」
「流石トウリ君ネ!でも、ちょっと心配したのヨ?」
「ご心配なく。さて、司令塔は潰したけれどまだイニシャルズは湧いて出そうですね……」
都庁の屋上上空を飛び回っていたであろう飛行型ソニック・コマンド、《轟音 ザ・ジェットV》が窓から侵入して来る。
「先輩達が戦いを終わらせるまで、出来る限りこいつらの数を減らして行きましょう」
「おけ、気合入れていこ」
サキト達に望みを託し、彼らはこの場でイニシャルズ達を迎撃してゆく。DGAの作戦行動は、佳境に入りつつあった。