ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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グレンモルトとの邂逅に始まり、新たな物語は動き出す!


Ep.1:護守サキトと爆流剣士

ガツガツガツ……むしゃむしゃむしゃ……

 

「おお……凄い食いっぷりだ」

「大変だったみたいねぇ……」

 

サキトの家の前で倒れていたクリーチャー……グレンモルト。どうやら彼は空腹とそれに伴うマナ枯渇状態に陥りかけていたらしく、ファストフード店に宅配を頼んだハンバーガーを大量にかっ喰らっていた。

 

『クリーチャーみたいだけど、大丈夫なの?』

「まあ、グレンモルトならよほどの事が無い限り人を襲うような悪事は働かない……はず」

「あ、そういえばグレンモルトって……アニメで勝太くんが使うとった?」

「そうそう。主人公の相棒なら滅多な事は基本無いよ……どこぞのジャシン以外は」

 

しのぶにとっては見覚えの無い姿であるため、すぐには気付かなかったが……このグレンモルトはデュエマの原作及びアニメにおいて、中学生時代の切札勝太の第一の相棒であったクリーチャーだ。

背景ストーリーにおいても火文明の主役を務める、人気の高いヒーロー的存在である。

 

「ふぅ……すまない、助かった。この街に放り出されてから急激に腹が減って困っていたんだ」

「なるほど、この世界のマナに適応しきれて無かったとかそんなところか……?」

「ところで、ここはどこの世界だ?君達はヒューマノイドに見えるが、こういう街を作っている世界は見た事がない」

「あー、そこからなんやね……」

『ここは人間の世界。貴方達がいたクリーチャーの世界とは全く別の所だよ』

「……なんだと?」

 

多少掻い摘んで人間世界と超獣世界の事を説明して行くが……どうにも信用できなさそうな表情をモルトは浮かべていた。

 

「という訳なんだが……イマイチ納得行って無さそうだな」

「……君の名前は?」

「サキトだ。護守サキト」

「サキト……少しオレと手合わせして貰おう」

「『何で!?』」

「あー……分かった。母さん、少し庭を使わせて貰うよ」

「え?え、ええ良いけど……壊さないよう気を付けてね?」

 

そうして、サキトとモルト、そしてしのぶと∞は護守家の庭に出るのであった。

 

 

* * *

 

 

『Duel field expansion.』

「よし。少しばかり狭いだろうが、これで周りに被害は出さずに手合わせ出来る」

「なるほど……それが君達の持つ戦うための技術か」

 

庭に出たサキトはデュエルフィールドで庭全体を覆い、モルトの戦闘に耐え得るよう家を守れるようにした。急に彼らが戦う事となり、しのぶ達はまだ困惑の真っ最中だ。

 

「せ、先輩!?何で戦うと!?」

「まあ、2人とも覚えておいた方がいい。火文明の人は気質は真っすぐで分かりやすいのが多いが……」

『喧嘩っ早い?』

「というより、『殴り合って分かり合う』プロセスが要る場合が多い」

『そんな昔の漫画みたいな』

 

女子2人は若干引いているが……火文明に、いや下手をすればそれ以外にも多くのクリーチャー達に『相互理解のために戦う』という気質がある事は否めない。矛盾するような思想だが、それこそが過去に何度も超獣世界の未来を切り開いてきたと言える。

モルトは片刃の大剣を抜くと、その身に赤い鎧を纏う。見慣れた姿、モルトの戦闘態勢となった姿だ!

 

「さあ……行くぞ!」

「そいつがモルトの得物か。こちらも気合を入れて行かせて貰う───ドギラゴン!力を!」

 

サキトが手を高く掲げ、その身に宿す相棒の力を解放する。白と朱の鎧を纏い、両手には七支刀と光の盾を携える姿へと変わる。

 

『ドギラゴン閃!行くぞ!』

「ふ……っ!!」

 

一気に距離を詰めたモルトが大剣を振り下ろす。それをサキトは、真正面から七支刀で受け止めた。

 

「『はぁぁぁあぁああぁぁあっ!!』」

 

互いに凄まじい勢いで剣を叩きつけ合う。モルトの猛攻をサキトは七支刀と盾で的確に受け、返しの連撃をモルトは大剣を盾代わりに構えて防ぐ。攻守が目まぐるしく切り替わる怒涛の剣戟であった。

 

「うわ、凄か……!」

『これまで、先輩が等身大の相手と剣で斬り合うなんて殆ど無かったから、新鮮に感じるね』

 

今まで彼女達や生徒会が戦ってきたクリーチャー達には、ここまでほぼ人間そのままな外見をしたクリーチャーは殆どいない。そう言う点でも、彼らの立ち回りは貴重な光景であった。

 

『つぁぁああぁあっ!!』

「おおぉおぉおぉぉっ!!」

 

正面からぶつかり、鍔迫り合いをしながら睨み合い……そして唐突に、両者は地面を蹴って距離を取る。そして、グレンモルトが特徴的な構えを取った。

 

『来るか!』

「爆流剣術──────」

 

盾と剣を重ねて構え受ける態勢になるサキト。そこへモルトが距離を詰め、大剣を振り抜く!

 

「“紅蓮の太刀”ッ!!」

 

炎を纏わせた大剣の一撃が、ドギラゴン閃の盾とぶつかり合い莫大な衝撃を生み出す。その余波で、フィールド内にあった護守家の塀が崩れ落ちた。

 

「うひゃぁ!?」

『凄い衝撃波……先輩は?』

 

砂煙が巻き起こり、2人の姿が隠される。一拍の後風が吹くと……罅の入った盾を構え立っているサキトと、どこか得心がいった表情のモルトが姿を現した。

 

『っつぅ~……これが本物の、紅蓮の太刀の威力……腕が痺れるなぁ!』

「流石に加減はしたが、立ったままでいるとはな……驚いたよ」

『とりあえず、これで認めて貰えたか?』

「ああ。下らん嘘を言うような奴の剣では無かった。サキトの言葉、そしてサキトが信頼するそこの2人の言葉も信じるよ」

「はぁ~……ひとまずこれで安心ばい」

「しかし、サキトのその力……得物も違うはずなのに、懐かしい仲間の気配を感じる」

『ああ、そういえばモルトは面識があるんだよな……よし、出て来てくれ、ドギラゴン』

 

サキトの身体が輝くと、彼と一体となったドギラゴン閃が姿を現す。侵略者の軍、そして禁断を相手に共に戦った戦友との再会に、モルトは目を輝かせた。

 

「ドギラゴン!ドルマゲドンXとの戦いで、他のドラゴン達共々消えたと思っていたぞ!」

『久しぶりだなモルト。確かに私はあの時、ドルマゲドンと共に消えたが……気付けば、私の魂は時空を超え、彼の持つカードの中にいた。そして彼が真のデュエリストたる片鱗を発揮した時、再び戦う力を得たのだ』

「カード?」

「ああ。モルト達の世界にある、武闘レースと同じ名を冠したカードゲーム……『デュエル・マスターズ』!」

 

サキトが手持ちのデッキからカードを2枚取り出し、モルトへ示す。それは相棒たる《蒼き守護神 ドギラゴン閃》と……《超戦龍覇 モルトNEXT》の2枚。

 

「デッドマンと戦った時のオレ……!?」

「このカードゲームには、超獣世界の歴史や物語の多くが記されている。モルトのいた世界のみならず、別の歴史を辿って来た超獣世界の事もな」

「そんなものが存在するのか……」

「ただ、最近はそっちん世界からクリーチャー達がこっちにやって来とって大変と」

『その結果、私達がその世界のドラゴンの力を与えられてドラゴン娘にされたり、先輩みたいな素質ある人間を集めて対抗する組織が作られたりしてる』

「ドラゴン娘……?組織……?」

「まあ、その辺りは今晩にでも時間を取って話すよ。さて……ドギラゴン、戻ってくれ」

『ああ。モルト、それではまた会おう』

 

ドギラゴンの実体化を解くと、デュエルフィールドも解除し元の護守家の風景が戻って来る。崩れた塀も既に元通りに修復されていた。DGAの技術、その更なる向上による恩恵はサキト達にとって、戦いと日常を両立させるため欠かせない物となっている。

 

 

* * *

 

 

「それでだ。基本的に俺達デュエリストと契約しているクリーチャー以外は、元の世界に送還する事になっているんだが……その前に『放り出された』って経緯を聞いてから、明日の放課後こちらの本部に連れて行きたい」

「それは……悪いが少し待って欲しい。こちらに放り出される寸前にアイラとはぐれてしまって……もしかしたらオレと同じようにこちらに来ているかもしれないんだ」

『アイラって?』

「あー……モルトの嫁さんだな」

「へー、結婚しとーんやね」

 

そう、彼には大切なパートナーたる存在……アイラという女性がいる。そして、彼女との間に双子の姉弟も授かっているのだ。

 

「オレ達は母さんに子供達を預けて、世界を救う旅に出たんだが……その旅の途中、妙な敵に出くわしたんだ」

「妙な敵?」

「良く分からん相手だった。複数のクリーチャーが魔法陣で繋ぎ合わされたような姿で、何か特殊な銃を扱っていた。オレとアイラで一撃を加えて倒したと思ったら……傷がみるみるうちに塞がり、反撃してきた」

「…………ふむ」

「な、何だか不気味な相手やね……それで、倒せたと?」

「いや、そいつが撃った弾の影響か、急に空中に穴が開いて…………オレとアイラはそこに吸い込まれて、途中で離れ離れになってしまったんだ」

『成程、災難だったね。死にかけからでも再生できるような能力のある敵は間違いなく厄介だよ』

 

ゲーム的な思考でモルトが戦った相手の厄介さを図る∞。一方でサキトは、何か考え込んだ後にモルトに質問をする。

 

「モルト、その戦った相手、胸の辺りは髑髏を思わせる感じじゃ無かったか?」

「知っているのか!?」

「心当たりがあるかもって所でな。その様子なら当たりっぽいが………手足はどんな感じだった?手足が白い鎧のようだったとか、下半身が四つ足だったとか」

「いや………鎧のようではあったが、どちらかというと青い色をしていた」

「えっそんなの知らん」

「先輩も知らんクリーチャーって事ね!?」

『デュエマに詳しい先輩の読みが外れるなんて珍しいね』

「…………まあとりあえず、今夜はうちに泊まって行ってくれ。ちょっと空き部屋でも整理してスペースは確保するから」

「すまない、助かる。アイラがすぐ見つかると良いんだが……」

 

とりあえず、モルトに関しては明日の放課後からDGA本部にも連絡を行い扱いを決める事となった。最低でも今夜一晩は彼を護守家預かりとする事になるだろう。

そして、モルトの出くわした謎の敵……その個体そのものに関する読みは外したものの、()()()()に関しては、サキトはほぼ確信を得ていた。

 

 

 

「───『キング・ロマノフ』と『真邪眼騎士団』……もし本格的にぶつかり合うなら、大きな戦いが始まるかもしれないな」

 

 

 

新たなる戦い、その予兆が…………この世界にも、現れようとしていた。




第2部の始まり。最初に戦うであろう、新たなる敵となる相手は──────真邪眼騎士団!

モルトが出くわしたのは、背景ストーリーで言及はあれどまだカード化されていない《邪眼将デス・ロマノフV世》と推定《氷牙君主ハイドロ・ビスマルク帝》を一体化させた『邪牙騎士団』の長となります。
公式で出て来るのは果たして何時になる事やら……。

ハーレム的展開によってお相手を増やすのは、皆さんアリですか?なしですか?

  • ハーレム上等!バッチ来い!
  • ハーレムNG!一途な方がいい!
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