ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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契約もまた、一歩先へ。


Ep.3:デュエルマスターと新たなる契約

「──────多重契約?」

 

──────2025年4月8日。

放課後、サキトはグレンモルトを伴い、DGA総本部へとやって来ていた。モルトの滞在に関する手続きとアイラの捜索願、そして昨日のネット上での戦闘の報告という3つの要件のうち、前者2つは通信で済ますには重要度が高すぎると判断したためであった。

そこで、応援にやって来たクリーチャーの契約者について聞いたのだが……本人の情報は「電脳対策班」所属である事以外は明かせないと言われた代わりに、もう一つの気になっていた情報を明かされた。

 

「はい。条件はより厳しくなりますが、2体目のクリーチャーとの契約を結ぶに至った例が、彼によって初めて報告されました」

「この手の契約は1対1、1人1体のみというイメージがあったんですが」

「複数の切り札を持つ事自体はデュエリストにとっては自然ではあります。とはいえ、何でもかんでも契約出来るという訳ではありません」

 

タブレットを取り出した職員が、画面にデッキリストを映し出す。件のジョーカーズ使いのデッキの内容であろうか。

 

「彼が契約するクリーチャーは、《ハイパー・ザ・ジョニー》《ジョット・ガン・ジョラゴン》の2体になります。それ以降の報告は今の所無いですが……デュエマフォン・アプリから解析したところ、多重契約には3つの条件がある事が分かりました」

「ふむふむ」

「まずは第1に、デュエリスト本人の真のデュエリストとしての資質になります。これは単独契約が出来、コントラクトアーマーを覚醒できるデュエリストであれば資質の成長によりクリアは出来ます」

「なるほど、俺を始めとしたデュエルマスターの面子であれば不可能では無さそうですね」

「第2に、使い手との文明の一致です。所謂多色の使い手でも、メインとなる文明の偏りは存在し、そこに合致するクリーチャーでなくては2体目の契約は不可となります。そして第3に……クリーチャー同士の縁ですね」

「縁?」

 

実例として、ジョニーとジョラゴンの画像が大きく拡大される。彼らの繋がりに関しては、デュエマに触れていれば知らない事はほぼ無いだろう。

 

「彼らは極めて分かりやすい例ですが、種族が同じであったり、勢力が同じであったり、あるいは……使い手が同じであったり。それらが1体目との契約と親和性を産み、2体目の契約を可能とするようです」

「ふぅむ……もし俺であれば、革命軍に参加していた誰かという事になりそうですね」

「加えて、護守隊員に最も親和する文明は火文明になります。候補はこれで大きく絞られるでしょうね」

「……これで光文明繋がりでミラダンテでも来てくれれば死ぬほど頼りになるだろうけれどなあ」

 

革命軍でもトップクラスの戦力であった《時の革命 ミラダンテ》及び《時の法皇 ミラダンテⅫ》がもしサキトの元に現れたならば間違いなく頼りになるであろうが、流石に普段使いのデッキにも入れていないので、あまり縁も無いだろう。サキトが多重契約を行うかどうかは現時点では未知数である。

 

「検査が終わったようですね。ふむ……グレンモルト氏は、今の所この世界のマナの取入れが上手く行っていないようですね。食事で摂取して補っていますが、現状は燃費が悪いと言わざるを得ません」

「マナの取入れか……確かに今朝も良く食べていたし、腹があまり満たされない感じがすると言っていました」

「緊急時には、護守隊員がカードによってマナを補給する事も視野に入れた方が良いでしょう。そしてグレンアイラさんについてですが、早速各地の実働部隊員に情報を送りました。現状では、これまでの戦闘記録と送還記録には、アイラさんの記録はありません」

「先にどこかで出くわした隊員が送り返していたとかだったらある意味話は早かったが、そうも行きませんか。時空の歪みに巻き込まれたなら、こちらの世界に飛ばされるタイミングが遅れて来る可能性も十分ありますかね」

「ええ、あり得るでしょう。今後も注意深く各自治体からの報告を見守らせて頂きます」

 

一先ず今回こちらに来た用件は済んだと言える。サキトはふと、もう1つ聞きたい事を思い出した。

 

「そう言えば、自分と同じく栗茶市所属でデュエルマスターとなった井星さんが、昨日から職場に来ていないようなのですが……何か知っていますか?」

「井星隊員ですね。彼はDGAに申請し、超獣世界へと渡っています」

「ええ!?いやまあそういう特権は得られると聞いていましたが、もうあっちに渡っているとは」

 

デュエルマスターに与えられる権限の1つが、超獣世界への自由渡航だ。デュエルマスター仕様にアップデートされたデュエマフォン・アプリは、超次元ホールを制御し、任意の超獣世界へ渡れるようになっている。

井星リュウは早速それを使い、超獣世界へと渡っているというのだ。

 

「彼は急ぎ調査したい事があったとの事で、超獣世界のある場所へ向かいました。ただ……丸一日以上帰って来ていないというのは問題ですね」

「どういう事ですか?」

「向かった場所が場所なのです。井星隊員が向かったのは、闇文明の領域にして通常は何物も近付けない場所……」

 

 

 

「──────『龍頭星雲』です」

「は…………!?」

 

 

* * *

 

 

龍頭星雲、そこは超獣世界の果ての果て、数億光年の彼方に位置するドラゴンの始まりにして終わりの世界。ドラゴンズ・ゼロ以外のあらゆる存在を消し去る虚無の魔空間。新章世界において重要な場として扱われ続けた、暗黒の世界である。

そんな恐るべき死の世界へと、井星リュウは足を踏み入れようとしていた。

 

『旦那、本当にこの先へ行くのかい?命の保証は出来かねるよ』

「ああ。デ・スザークとの契約により、俺自身はどうにかこの空間に耐え得る体となっているようだからな」

 

彼の相棒、デ・スザークとの契約。それは自らの肉体を依代に、無月の門を開きデ・スザークを具現化させる事だ。そのために、彼の体には魔道具から抽出されたマナが埋め込まれており、闇文明への親和性がより高まっている。

そしてその副次効果として、龍頭星雲の内部でも彼は生存し、自由に行動できる身体となった。更にコントラクトアーマーを纏えば、彼の身体そのものがデ・スザークを形作る不死の炎と化し、生半可な事では死なない状態になる事が出来る。

 

「ダビッドアネキ、お前は危険を感じたら戻っても構わん。折角助かった生命を無駄にしたくなければな」

『あたしは旦那について行くよ。それが宇宙の果てだろうと、ブラックホールの底だろうとね』

「…………好きにしろ」

『しかし、何故こんな所を調べるんだい?』

「以前こちらに現れたというデモニオの群れ、そして一王二命三眼槍……奴らは、この龍頭星雲の向こう、次元の彼方に存在する平行世界の住人だ」

 

サキトとトウリから、桜龍高校にやって来た一王二命三眼槍に取り付かれた女生徒の事、そしてそれ以前に起こったデモニオの襲撃についても彼は知っている。それ故に、それを第一の理由として彼はここへやって来た。

 

「龍頭星雲の時空が歪み乱れているならば、そこから再びデモニオ達が侵入しているのかもしれん。それを調査し、もし発見すればその歪みを修正する。それが第一目標だ」

『第一ってことは、他にも目標があるのかい?』

「…………もし存在しているのであれば、だがな」

『ふーん…………?』

「さて、付いて来るなら一応これで身を守っておけ」

 

念のためと、リュウはデ・スザークの炎を発生させダビッドアネキの周りにバリアのように薄く張る。これで少しはマシになるであろうか。

 

「さて、行くぞ」

『旦那が闇文明のマスターだからと言って、知らずにつっかけて来るクリーチャーもいるかもしれない。気を抜くんじゃないよ』

「ああ」

 

そうして、2人は龍頭星雲の中を進んでゆく。奥に進むにつれ強い重力で空間が歪み、ただの人間であれば命が幾つあっても足りない領域にまでやって来た。

幸いにして、デ・スザークとの契約による変化と闇の炎による障壁は、それらから身を守る効力を十二分に発揮している。

 

「注意しろ、そろそろ目的の地点だ。お前はあまり近付きすぎると命に関わる」

『旦那、一体何があるって…………!?』

 

そこは、龍頭星雲の目のように見える宙域。その中心、暗黒の中にぽつんと存在する何かがあった。

 

『あ、あれは……』

「すべてを飲み込むブラックホール…………その化身とも呼べる闇の卵だ。あの中には、災厄を齎す龍が眠っている」

『それって、まさか!?』

「ああ。虚無の存在、触れた物を全て無に帰す大いなる厄災。その名も──────む?」

 

その闇の卵へ近づくにつれて、その周囲で何かが瞬くように光っているのが見えた。あの光は──────。

 

「何かが、戦っている?」

『あ、旦那!ちょっと待ちなよ!』

 

それは、クリーチャーによる攻撃だった。闇の卵に着弾する前に悉く無に帰し、その瞬間に光を放っているため瞬いて見えている。

リュウの目に映ったのは、この闇の中でも活動を続ける、複数体の『鬼』の如きクリーチャー……先に懸念していた『デモニオ』の軍団だった。

 

『あいつらは、あの鬼札王国の…………!?』

「再侵攻を企てているという所か。龍頭星雲から時空を超えて、ご苦労な事だ。そして、侵攻の妨げになるあの卵を排除しようという訳だ」

『………む!?奴らは何者だ!』

 

攻撃の指揮を執っていたデモニオ……《「修羅」の鬼 アシュラ天狗》が彼らに気付く。邪魔者であると判断したか、何匹かの鬼が2人に向かって来た!

 

「チッ……悪いがここを頼めるか?」

『大物以外はなんとか出来そうだけど、どうする気なんだい!?』

「『あれ』が目覚めるにしても、良い方向にどうにか導きたい。超獣世界と人間世界、両方にとっての懸念材料ではあるが……何、日本人は昔から祀り上げて荒魂を鎮めるのは得意だ。何とかしてみせよう」

『そんな、死んじまうよ!?』

「命の使いどころを考えるのも、闇文明のあり方の一つだ。では任せるぞ」

『Contract armor awakening.』

 

リュウはデ・スザークの闇の炎を纏うと、自ら闇の卵へと飛んで行く。凄まじい重力で身が引き裂かれそうになろうとも、不死の炎と化した彼の身体はそれに耐えて卵へ最接近する。

 

「さあ、俺と共に、世界の護り手となれるか、この身で試させて貰うぞ…………」

 

その右腕が、闇の卵へと──────触れた。

 

 

 

『──────《零龍》よ!!』




次回…………井星リュウ、決死の契約!?
自らの身をもって、滅びの龍が人類の味方となり得るかを測る!

前回登場した「Johnny the sheriff」氏について2部設定ページに追記しております。そちらもご覧くださいませ。

ハーレム的展開によってお相手を増やすのは、皆さんアリですか?なしですか?

  • ハーレム上等!バッチ来い!
  • ハーレムNG!一途な方がいい!
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