ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

94 / 146
やったぁぁぁ新しいドギラゴンのドリームレアだぁぁぁっ!
剣轟の団長、今から楽しみであります。サキトのデッキとも相性は悪くなさそうで何より!

襲来せし魔縛のディスペクターを打ち破れ!


Ep.11:魔光の誇りと双龍の劫火

「それでは、参りましょうか。わたくしの騎士」

『ええ、我が君。我ら魔光騎士団の長の魂、邪眼の手より解き放ちます』

『Contract armor awakening.』

 

ネロマノフ=ルドルフI世と対峙するユウキとネロ・グリフィスII世が、その身を一つとする。白銀と紫闇に分かれたドレスアーマーがユウキの身を包み込み、その手には赤い魔銃を携えた。

 

「『さあ、お覚悟なさいませ。ネロ・グリフィスII世……参ります!』」

『邪光の前に平伏せよ!』

 

ネロマノフが4挺の魔銃による一斉射撃を仕掛けて来る。それに対し彼女は、優雅に地を蹴り舞うように動きながら、自身に迫る魔弾を撃ち落とす。

 

「あん人、凄か……っ、こっちも!」

 

彼女の援護を任されたしのぶも、空を飛びながら迫り来る魔弾を迎撃して行く。元々のバイケンの力による水流に加え、周囲に浮遊するローマ数字の刻まれた12の円盤───ミラダンテⅫの操る時の文字盤から光の刃を生み出し撃ち放ってゆく。

 

『小賢しい!しかしその力、長くは保つまいが!!』

「うわ、弾の数がすごかっ!?」

 

ネロマノフはその手数を活かし、やたらめったらに魔銃で弾幕を張り続ける。コントラクトアーマーにも、ドラゴニックエンチャンターにも制限時間が存在する以上、あちらは時間を稼ぎユウキとしのぶの力が切れるのを待つつもりだ。

 

「蒼斬さん、でしたね。貴女が纏うその力、時の静止中にわたくしを動かす事は出来ますか?」

「えっ!?」

 

いつの間にか、低空を飛び魔弾を回避していたしのぶの横をユウキが駆けている。ネロマノフに対する有効打を、しのぶと協力すれば編み出せると考えたようだった。

 

「は、初めて使うけん確実やなかばってん、うちが触れとー間ならたぶん動くるかも」

「では、時間停止を使い、わたくし達の攻撃を多少の時間差を付けて撃ち込む事が出来るでしょうか」

「同時やなくて良かと?」

「ディスペクターは、第二の命……EXライフを持っていますわ。故に1度倒しただけでは蘇ります。ですので、時間差を付けた2段構えの攻撃を与えるのです」

 

2体のクリーチャーが肉体を合成され、1つの器に2つの魂と命を閉じ込められた歪な存在、それがディスペクターだ。彼らは1度倒しても瞬時に再生してしまうため、2度の撃破を必要とする厄介な性質を持っていた。

 

「お会いしたばかりのわたくしを信じるのは、難しいとは重々承知の上ですが……」

「分かったばい!うちに任せて!」

「……よろしいのですか?」

「先輩がうちば信じて任しぇてくれたけん、うちゃそれに応えたかと!」

 

しのぶはサキトの判断を信じた。それ故に、ユウキとの共闘に迷いは無く、彼の信頼に応えるために力を活かす事のみを考える。

 

「うちん手ば握って!」

「っ、はい」

 

伸ばしたしのぶの手を、ユウキが掴む。そして、しのぶが付与されたミラダンテⅫの力を発動させる。

 

「行くばい!時よ、止まって!!」

 

しのぶの背後に集結した文字盤が輝き、一瞬のうちに世界がその色を反転させ、全てが静止する。止めていられる時間は長くはない。その間に攻める必要がある。

 

「わたくしを運びながら、彼の敵の周囲を飛びまわれますか?」

「やってみる!」

 

ユウキの手を取ったまま、ミラダンテの翼でしのぶが飛ぶ。軽やかに、空を泳ぐように舞える感覚は、彼女にとっても新鮮だった。

 

「『行きますわ……我らが魔弾!!』」

 

ユウキが魔銃から魔弾を撃ち放つ。それは光の輝跡を描きながらネロマノフへ迫り、着弾する一歩手前で静止する。それらを更に2発、3発、4発5発6発……計12発の魔弾が急所を狙う軌道で撃ち込まれた。

 

「うちも、ありったけを!」

 

更に、しのぶが文字盤から光の槍を生み出し、それらでネロマノフを包囲するよう配置し撃ち出した。躱す事は不可能、そして2人の持つパワーは共に、ネロマノフを僅かに上回る数値。抵抗できずに叩き込まれれば、耐えられるはずもない。

 

「時間ばい!」

「『時が、動き始めますわ』」

 

反転し静止した世界が元に戻る。ネロマノフは、気付けば高火力の魔弾に囲まれていた。

 

『な──────』

 

驚愕する間も無く、全ての魔弾が急所に撃ち込まれる。一度絶命した肉体が再生を開始するが──────その最中に、光の槍がその全身を貫いた。

 

『ば、かな──────』

「『邪眼の魂に誅罰を、魔光の魂に安らぎを……散りなさい』」

 

魔縛のディスペクターが1体、ネロマノフ=ルドルフI世は、ここに散った。

 

 

* * *

 

 

『受けよ、邪天の魔弾!』

『っとぉ!!』

 

ヘロマノフ=VENII世の槍から放たれた魔弾。それを見たサキトは、瞬時にドギラゴンの力を解放する。光の盾が展開され、その魔弾を斜めに受け弾き飛ばした!

 

『モルト、俺のマナは馴染んだか!』

「ああ、問題無い!しかしこの姿、デッドマンと戦った時に似ているが……」

『似てはいても別物だ。俺が知る限りで、現在のモルトの最強の姿……《夢双龍覇 モルトDREAM》!』

 

ドギラゴン閃の力を纏うサキトと無双の力を得たモルト。荒廃した街に2人は並び立ち、巨大な敵を見据える。

ヘロマノフは魔銃を構えると、更なる魔弾を撃ち放って来た。

 

「そんなもの……っぬあ!?」

 

モルトが手甲で弾いた魔弾が光の鎖となり、彼の身を縛る。光文明の魔弾、《魔弾チェーン・スパーク》!

 

「なん、のぉっ!!」

『よし、突っ込むぞ!』

 

しかしモルトはそれを容易く振り払う。カード効果としては相手をタップするものであるこのチェーン・スパーク、モルトDREAMの前には薄紙で出来たリボン程の縛りでしかない。

サキトとモルトは共に頷くと、正面からヘロマノフへと突撃する!

 

『おのれ……!なればこれを受けよ!』

 

それを見たヘロマノフは、また新たな魔弾を装填する。それは、ロマノフ一族に伝わる彼らの名を冠した魔弾──────。

 

『《魔弾ロマノフ・ストライク》!』

 

闇のマナを込められた魔弾が放たれ、2人に迫る。サキトは一歩前に出て、それを盾で受け止めるが、その魔弾はサキトの身を蝕み力を低下させてゆく。

 

『ぬうぅうっ!!』

「く、大丈夫かサキト!」

『ああ、まだまだ動けるっ!俺が守って、連撃でモルトが奴をぶち抜く!』

 

ヘロマノフのパワーはドギラゴン閃と同等、更にパワーを下げられた状態となれば攻撃は通用しないかもしれない。故に、この戦いにおいてサキトはモルトの爆発力に全てを賭けている。

 

『強力な魔弾を撃った今が好機……行くぞ!』

「応っ!」

『ぬぅっ!?』

 

サキトが盾を宙に浮かばせ、そこにモルトが跳び乗る。そしてサキトが七支刀を振るい──────盾の裏側に叩き付けた!

 

『行っっけぇ!!』

「しゃぁあっ!!」

『何とぉっ!?』

 

まるで野球のバッターかテニスのスマッシュの如く、モルトが猛スピードで()()()()()()。更に背中の翼から火を噴いたモルトが加速し、ヘロマノフへと叩き込まれる!

 

『ぐぅおぉぉ……っ!?』

「もう一発っ!!」

 

腹部に大穴を開けながら大きく吹き飛ばされたヘロマノフだが、こちらもEXライフによってすぐに再生する。動き出す前に、モルトがトドメの一撃を放とうとするが……。

 

『させぬ!プラス・ワン!』

「何!?」

 

天に向かってへロマノフが魔弾を放つと、その身を2重障壁が覆う。《魔弾プラス・ワン》、シールドに新たなカードを重ねる効果を持つこの魔弾は、クリーチャー戦においてはこうして防御壁を作る効果となる。

 

『3撃目は放てまい!これでキサマは──────』

 

障壁は砕かれるとしても、その後に隙を晒したモルトを撃ち抜く。ヘロマノフは自らの魔銃を構え勝利を確信し……直後、驚愕に目を見開いた。

 

『《無限攻撃革命(ドギラゴン・インフィニティ)》!(ノヴァ)バージョンッ!!』

『っ!!』

 

モルトを飛ばした後、サキトも追撃の一手を用意していた。低下させられたパワーを補い更に上回るため、無限攻撃革命を発動させモルトの後を追う。お陰で、障壁を破壊しつつモルトの足場を確保する事に成功する!

 

『お前の相手はモルト1人じゃない、忘れていたようだな───今だモルトぉっ!!』

「爆流、奥義!!」

 

サキトに生えたドギラゴンの尾を足場とし、再びモルトが跳躍する。そして、拳に集約させた炎を叩き込む!

 

「紅蓮NEXTREME(ネクストリーム)ッ!!」

『た──────大帝よ、お赦しを──────!』

 

モルト最大の奥義を叩き込まれ、ヘロマノフ=VENII世は爆散した。

 

 

* * *

 

 

『ほう……よもや、我が騎士団の者共を討ち倒すとは』

『見たか、これが俺達の力だ……っ!』

 

2体の魔縛ディスペクターを討ち果たし、サキトとユウキはそれぞれの得物をキング・ロマノフへと向ける。可能であれば、超獣世界を乱すであろうこの存在をここで倒すべきだと2人は認識していた。

しかし、実際の所ユウキとしのぶは限界時間が近付いている。どこまでやれるかは分からない。

 

『面白い、興味が湧いた。クリーチャー達の歴史と物語を記したカードと、それを力として振るう貴様らにな』

「何をするつもりか存じませんが、ここで貴方を……」

『否、この場はここまでよ』

 

魔銃を空へ向け撃ち放つキング・ロマノフ。すると上空に巨大な超次元ホールが生み出され、奴はその向こうへ飛び去らんとしている。

 

「退却する気と!?」

『そうはさせ──────っ、いかん!?』

 

追撃を考えたサキトであったが、嫌な予感がして盾を構え全員を庇う。直後、ホールの向こうから大量の魔弾が撃ち込まれて来た。

爆炎と砂煙に包まれ視界を奪われているうちに、追撃は不可能な所まで彼我の距離は離されてしまった。

 

『いずれまた相見えようでは無いか。我が新たな騎士団と共に……クク』

 

そして超次元ホールは閉じ、キング・ロマノフは人間世界を去った。クリーチャーの反応が消え、ロストフィールドが収縮してゆく。

 

「逃がしてしまいましたか……」

『流石に限界だ、アイラさんも連れて外へ出るぞ!』

 

モルトがアイラを抱き上げ、彼らは突入地点へと駆け出してゆく。早くこの空間から出なくては、またアイラの状態も悪化するだろう。

 

こうして、デュエルマスター達とキング・ロマノフの邂逅は、一先ずの勝利という形で幕を閉じたのだった。

 

 

* * *

 

 

2日後、2025年4月20日。

DGA本部にて、マナの補充と肉体の治療を受けアイラは快復し、モルトとの無事の再会を喜んでいた。

 

「助けてくれてありがとう、異世界の人達!……本当に私達みたいなヒューマノイドじゃないの?」

「見た目と殆どの体機能は似ておりますが、身体の持つ能力は全く異なると研究者の方々が仰っておられましたわ」

「人間の治療がほぼ流用できるのは助かったけれどな。それで、もう行くのか?」

「ああ。サキトの母には世話になったと伝えてくれ」

「ちょっと寂しゅうなるね」

 

そう。アイラが目覚め次第、2人は元の世界へ帰る事になっていた。元々目的を持って旅をしていた彼らは、可能な限り早く超獣世界に戻らなくてはならない。

 

「契約したのにすぐ別れるとはなあ……」

「そこはご心配なく!サキト君、これを」

「萱野さんか……こいつは?」

 

DGA千代田区実働部隊員にして、開発部にも関わっている男、萱野シンヤ。彼が差し出したのは、何も書かれていない白紙のカードだ。

 

「モルト君のマナを一部解析して、作り出したものだね。これを使えば、君の手持ちのカードがモルト君と同期して、世界を隔てても契約による繋がりを保てるはずさ」

「そうなると、俺は度々こちらに呼び出される事になるのか?」

「流石にそこはそちらの都合もあるからね。安全な状態の時に、意識が繋がるくらいになるよう調整はしてあるようだよ。寝ている時に夢としてこちらの戦いを体験するような形になるかな?」

「それならまあ、安心ですかね。しかし、白紙なのは何故?」

「どうやら今のモルト君は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()であるようでね。出来れば完全にサキト君の持つカードにリンクさせたかったのだけれど、まあ仕方ない。いずれ世に出るカードをサキト君が手に入れたら、それと一体化するだろうね」

 

そう、ここにいるグレンモルトは、サキト達にとって未来に現れるカードに記された存在だった。まだ詳細も分からないが、いずれそれをサキトは手にする事となるだろう。

 

「なるほど……それは楽しみにしておきます。」

「それじゃあ、ありがとう、サキト。必ずまた会おう」

「もし助けがいる時は呼んでくれ。デュエルマスターとして、どこでも助けに行こう」

「そん時はうちも一緒ばい!」

「またキング・ロマノフの配下に狙われた時は、是非わたくしにもご相談くださいませ」

「頼もしい味方が増えたね、モルト!」

「ああ。それでは──────元気でな!」

 

彼らを送り出すべく超次元の穴が開かれ、その先へモルトとアイラは踏みだしてゆく。彼らの行く旅路は──────いずれ、デュエマの歴史に刻まれ語られるだろう。

そして、新たな友、新たな力を得たサキトは、この先に待つ新たな敵との戦いを予感していた。




モルトとの出会いから始まった話も、ここで一区切り!
キング・ロマノフとの因縁は少々この先へと続きます。時系列的には……現在GT前という所でしょうか?
そして、次の戦いもまたすぐそこへと迫っています。次回をお待ちくださいませ!

…………ただ、先に少々X指定パートを挟むかもしれませんが。

グレンモルトの書、近所のショップに置いてなかったので通販で注文しました。届くまで少々時間がかかりそうでございまする。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。