ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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お待たせしました、1話X指定パートを挟んで本編再開となります。

鬼槍に憑りつかれた少女、原戸初。彼女を普通の少女に戻すべく、DGAがその技術を投入するが──────。


Ep.12:ドラゴン娘と鬼娘の解放

「すみません会長、今日は皆さん時間をいただいて良いですか?」

「え?蟠龍くんに……原戸さんも?」

 

──────2025年4月28日。

GWを目前に控えた月曜の昼休み、生徒会室で食事を摂っていたドラ娘生徒会を、蟠龍トウリと原戸初が訪れた。

 

「ども、会長っち。今朝あーしのとこにDGAから連絡来てね」

「それはもしや、分離の目途が立ったという話か?」

「流石熊田さん、話が早くて助かります。自分の所にも連絡が来てまして、ようやく彼女と一王二命三眼槍を分離させる装置が完成に至ったとの事で」

「おお、良かったやん!成功したら、これで普通のJKに戻れるんやんな?」

 

鬼の歴史から来たクリーチャー、《一王二命三眼槍》に憑りつかれた少女・原戸初。2月頭に転校してきて以後、桜龍高校に通うトウリとサキトはその監視を担って来た。

桜龍高校での生活において、最初の接触の後は鬼の槍は大きく暴れる事も少なく、一度ゾーン内のドラゴン系クリーチャーを夜中に襲うケースがあったのみ……DGAを相手に事を構える事は無く、現場からすぐ飛び去る行動に出ていた。

 

「あの日以来、私達や他のドラゴン娘の皆さんに襲い掛かって来なかったのは少し気になりますね……」

「ただ大人しくしてるってわけじゃないのかな?」

「力を蓄えている恐れはあるので、早い所対処出来ればその方が良いと自分は思いますね」

「ナルホド、合身ショータイムしてるのカシラ」

「ロボアニメか何かで?」

「臥薪嘗胆か?まあ確かに不気味なほど騒動を起こさないのは何か企んでいる可能性はあるだろうな」

 

目論見があるのであれば、時間をかける程よろしくない状況になるだろう。ならば、完成した装置を用いて早めの分離を試みるのは適切な対応と言えるだろうか。もし今回失敗した場合も、初本人に悪影響さえ残らなければ、改善のための重要な失敗として受け入れても良いはずだ。

 

「でも、これで分離できるなら、ちょっと羨ましいですね。私達は結局1年経っても普通のJKに戻るのは遠そうですから……」

「校長からはどう言われてるんでしたっけ?」

「校内や周りの地域に現れるクリーチャーを全て倒せて言われとるけど、いつ終わるか分かったもんやあらへんよ」

 

彼女達ドラゴン娘の活動はまだまだ終わる様子は無い。サキト達デュエルマスターが渡航を管理するようになれば、彼女らの負担も格段に減るだろうか?

 

「せーとかいは大変だねー」

「ほんとだよー、色々巻き込まれた時には助かったし、ちょっと慣れて来ちゃったけどやっぱりドラゴンになるのはかわちくないし~」

「そもそも、カワイイドラゴンなんているのカシラ?」

「あー、デュエマでも少数派ですがいますよ?」

「ほんとですか!?」

 

トウリがデュエマフォンを操作し、数枚のカードのデータをピックアップして空中に映し出す。それらは、『ドレミ団』に属するドラゴン達であった。

 

「あ、これは確かにかわちいかも」

「へー、デュエマのドラゴンってこんなんもおるんやね」

「確かにわらわ達から見ても可愛い印象だな。デザインが曲線的で、目が大きく丸みを帯びているのが大きいのか?」

「この子なんかまつ毛もはっきりしててとってもかわちい~!」

「先輩なら『性能はかわいくない』って言いそうですがね……」

 

メガが特に注目した、《音精 ラフルル》。軽い条件で場に現れ1ターンの間呪文を封殺するこのドラゴンは、登場当時から1年以上に渡って暴れ回り現在は使用禁止のカード、プレミアム殿堂に指定されている。

 

「前に朕達の力になっているドラゴンについて見せて貰った事あったワよね?」

「あっちは見事にゴツゴツしてるのばっかりやったね……」

「なんでこういうドラゴンの力をくれなかったんですか校長~!」

「まあ、直接的な戦闘能力を重視したのかも……って所でしょうかね……?まあともかく、今日の放課後にDGAスタッフが装置を持って来てくれるとのことなので、念のため生徒達に呼びかけとかして頂けると」

 

予定では、放課後すぐにDGAスタッフがやって来て作業を開始する予定であった。トウリとサキトは既に部への欠席連絡を済ませ、それに備えている。

 

「あの、またその槍が暴れたりは……」

「抵抗は間違いなくあるでしょうね。なので護守先輩が立ち会う事になっています。あと、自分とモモキングは原戸さんからの切り離しに直接手を貸す事となりそうです」

「トウリ君、気を付けてクダサイね?朕もその場にいても良いカシラ?」

「正直、いてくれれば心強いです。それでは、また放課後に」

「シューラっちととうとうお別れかー、そしたら元の学校に戻るのかな?」

「そこは原戸さんの家庭次第でしょうか……折角なら、もっと仲良くなりたいです」

「まあ、すぐ引っ越しとかは難しいだろうしね」

 

いよいよ訪れようとしている、一王二命三眼槍との分離の時。彼らは、この時点では極めて楽観視していたと言わざるを得なかった。

 

 

* * *

 

 

放課後、16:00。トウリ達は校舎内の空き教室に集められ、作戦を実行しようとしていた。

教室には生徒会の手により立ち入り禁止の報せが貼られ、更に隣接する教室からも念のため生徒達に退去して貰っている。

そしてその上でデュエルフィールドで封鎖された教室内に、ドラ娘生徒会達とDGA構成員、そして渦中の人物たる初がいる。

 

「それではまず、蟠龍隊員はこちらを」

「腕輪ですか?」

「これを装着した状態でモモキングと同化して頂きます。原戸さんにもこちらを」

「同じ形の腕輪だけど、いろちだね?」

 

トウリに1つ、初に2つの腕輪が渡される。これらがDGAが開発した、クリーチャーを分離させるための装置なのだろう。

 

「原戸さんは青い腕輪を填めて、もう片方の赤い腕輪は一王二命三眼槍の柄に取り付けてください。それによって両者のマナを正常な流れに変えて、複雑にマナが絡み合った状態の解消を図ります。そして最終的に、蟠龍隊員がモモキングの剣により繋がりを断ち斬る事により、分離が完了するとのことです」

「おけ。それじゃ、これをシューラっちに……」

 

鞄に提げられている一王二命三眼槍へと初が手を伸ばす──────と、その時。槍がぎょろりと目を見開いた。同時に初の頭に鬼の角が生え、クリーチャーとしての力が解放される。

 

「うわっ!?」

「ちっ、抵抗する気か!」

『そう貴様らの思い通りに行くと思ったか!』

 

ひとりでに宙に浮き、蛇のように身体をうねらせて暴れ回る。捕まえて腕輪を填めなければ話にならない。サキトがドギラゴンの鎧を現し捕獲しようとするが、槍は素早く身をくねらせ躱す!

 

「危ないっ!」

『ええい、このまま暴れられては……っ!』

「朕にマカセテ!んんん……っヤァァァ!」

 

ゼオスが前に出てドラゴンの力を解放し、槍へと手を翳す。すると、彼女の額に現れた目のような装飾から、光の紋章が浮かび上がる。

その光を浴びた一王二命三眼槍は、金縛りにあったかのように空中で動きを止められた!

 

『ぐぎ……っ!?う、ごけぬ……っ!?』

『おお、これは《隻眼ノ裁キ》!?』

「ちょっと前から練習シテて、だんだんこういう技を使えるようになったノ!」

「助かりますゼオスさん!今の内に腕輪を!」

「りょ。さあシューラっち、観念してね」

 

身動きできない鬼槍へと初が腕輪を取り付ける。すると、両者の腕輪が光り出して、両者を繋ぐ何本かの紫色の光が現れた。

 

「わ、何これ」

「これが原戸さんと槍のマナという事でしょうか……?」

 

太い綱のようだったその光は、徐々にその色合いを変えて行く。全体が紫色であったのが、初に繋がる側が青くなって行き、反対に槍に繋がった側は赤く変色してゆく。分離が進んでいる証だろうか。

 

「今です蟠龍隊員、この光の綱を断ち斬ってください!」

「了解です!」

『Contract armor awakening.』

 

トウリがコントラクトアーマーを起動させ、モモキングと一つになる。超獣王来列伝を背に刀を構える、モモキングJOの姿へと変わった。

 

「……行きます!」

 

トウリの身に着けた白い腕輪に彼のマナが流れ込み、内部で変質させられて刀へと伝わってゆく。そして、白い光を纏った刀が振り下ろされる。

紫の光が完全に赤と青に分かれた点を、その一刀が──────断ち切る。

 

『ガァアァァアァアッ!!』

「どうだ!?キサマ、身体の調子は!?」

「っ、う……だいじょぶ、ちょっぴりくらっとしたけど……」

 

一王二命三眼槍がのたうつ中、初の頭部から角が消えて行く。間違いない、互いの繋がりはこれで断ち斬れた。

 

「よし!後はあの槍をしばいてしまえば終わりやな!」

『覚悟っ!』

 

サキトが拳を構え一王二命三眼槍を砕こうとした…………その瞬間。

 

『ガァッ!』

『何!?』

 

槍の穂先が空間を裂き、その裂け目へと槍が消える。逃走する気だ!

 

「切り離されたのに、まだそんな力を──────」

「あぐっ!?」

「原戸さん!?」

 

アーシュが叫ぶ。その視線の先を見れば、初がその身体を蛇の尾のようなものに巻かれ、裂け目の向こうへ引きずり込まれようとしていた。

 

「何これ、やば──────」

「ういちゃそ!?」

「いかん、手を伸ばせ!」

「ちょ、ちょっとむりめ──────」

 

そして、そのまま──────原戸初が、攫われてしまう。

 

『ちいっ、しくじった!』

「槍と原戸サンはどこに消えたノ!?」

「反応は……まだ近い、グラウンドの方です!」

 

『緊急連絡!グラウンドにクリーチャーと思しき生物が多数現れておる!生徒は直ちに避難せよ!』

 

デュエルフィールドを一時解くと同時に、校内放送が響き渡る。校長が事態を察知し、緊急の報せを飛ばしてくれたようだ。

 

「あの校長、こういう時は動き早いやんな……!」

「ともかく、私達もグラウンドに!生徒の避難を誘導しましょう!」

「デュエルフィールドを使って自分たちがクリーチャーを足止めします。その間にお願いしますね!」

 

空き教室を飛び出し、サキトとトウリが先行してグラウンドへと向かう。そこには──────。

 

『よくもやってくれたな……だが、我らの計画はここからよ!』

「う、ぅ……っ」

 

龍の如き姿に変貌した一王二命三眼槍と、周囲に生まれた裂け目から現れる………デモニオの軍団。

そして、蛇の如き鬼に捕らえられた初の姿があった。

 

『まずはモモキングの契約者よ、ここで始末を付けてくれる!!』




というわけで次回、何度目かのデモニオ戦となります。敵として使いやすい相手で大変助かる。
囚われた初の運命や如何に!
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