ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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迫り来るデモニオの群れ、そして囚われた少女。
龍の英雄は母校と人々を救えるか!


Ep.13:蟠龍トウリと百鬼夜行

「皆さん、落ち着いて下さい!体育館の方へ避難してください!」

 

アーシュ達生徒会は、校舎内から避難を始める生徒達の誘導を行っていた。ドラゴン娘の力は未だ明かしてはならないため、一般生徒には現場から離れて貰わなければ、彼女達ドラゴン娘はサキトとトウリを助けに行けない。

 

「アーシュ会長!グラウンドには練習中だった陸上部と水泳部が!」

「朕はそちらの避難を手伝って来マス!」

「ゼオスさん、お願いします!」

 

授業が終わり部活動の時間が始まっていた事により、文化部系の生徒はグラウンドから離れた部活棟へと移っていたのは幸いであろうか。一方運動部系だが、基本的には部内で統率が取れている所が多いために、余程現場に近く無い限りは順調に避難出来ているようだった。

問題は、今回クリーチャーの出現現場であるグラウンドで練習をしていた陸上部と水泳部であるが……。

 

「しのぶはん大丈夫やろか……」

「まあ、何かあったらせんぱいから護身用アイテム貰ってましたーって言えば片付くんじゃない?」

「わらわ達もあれを使った方が言い訳が効くか……?」

 

そうして、避難を進める最中……突然、廊下の真ん中に空間の裂け目が現れた。

 

「え!?」

「何だアレ!?」

「っ!いけない、皆さん離れて──────」

 

生徒達が足を止めた所で、裂け目から髭を蓄えた赤い鬼が顔と右腕を出し──────。

 

ぶつり、と。

 

突如として裂け目が閉じ………空間の繋がりが途切れたためか、首と腕のみが、廊下に落ちた。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!?」

「何今の!?何今の!?」

「あかん、下手に襲われるよりもホラーじみとるわ!?」

 

一般生徒も生徒会の面々も、それを見て悲鳴を上げる。すぐにマナへと還元され消滅したから良いものの、一般人にはクリーチャーのバラバラ死体などというグロ注意になりかねない代物は勘弁して貰いたい物だ。

 

「し、心臓止まるかと思いました……!」

「せんぱい何やってんだろうね……」

 

恐らくはグラウンドに向かい、現れた敵と戦い始めているであろうサキトとトウリの手によるものなのだろう。早く避難を終わらせて、現場へ向かわなくては。

 

 

* * *

 

 

「皆早う逃げて!校舎ん方に!」

「ひぃいっ!!」

 

グラウンドにて、陸上部と水泳部の生徒達は悲鳴を上げ逃げ惑っていた。ドラゴンの力が角以外表に出ないよう抑えながら、しのぶは彼らを校舎へ誘導しようとする。

見るからに凶悪な、30体近いデモニオの集団に恐れ慄き、逃げようとするが……恐怖に震えた脚がもつれ、1人の1年男子が転んで倒れる。

 

『ふん、少しばかり見せしめにしてやるとしようか』

「あっ!いけん!」

「ひぃっ!蒼斬せんぱ……っ!」

 

倒れた生徒にゆっくりと黒い身体の鬼、《コブシ童子》が近付いてゆく。そして、岩のような拳を振り上げた。

 

「助け──────」

「間に合わん!?」

 

恐らくドラゴンの力を使っても、間に合わない距離に彼はいた。死が目前に迫る彼の視界はゆっくりと時間が流れ──────。

 

『潰れるが──────ぐぎゃっ!?』

 

一陣の風が吹き、突然、鬼の腹に大穴が開きながら吹き飛ばされた。少年の前には、槍を構えた鎧姿の男が彼を庇うように立っている。

 

『水泳部の新入生だな?立てるなら早く逃げろ!』

「あ、あ……っ」

「先輩!助かったばい!あんクリーチャー達なんなん!?」

『見ればわかる通り、悪い鬼だ!しのぶ、誘導助かった。その後輩を連れて一旦離れててくれ!』

「うん!気ば付けんしゃい、先輩!」

 

最速の姿、ドギラゴン天の鎧を纏い突撃したサキトが、デモニオの軍団を見据え三叉槍を構える。こちらから仕掛けるにはまだ早い。奴らが散り散りに動き出さないよう、敵の動きに注意を払いながら立っていた。

 

『まずは龍の契約者か!!』

『ウオォォォオオ!!』

『来るか……』

「先輩、お待たせしました!デュエルフィールド、展開っ!!」

『Duel field expansion. Dueltector summoning.』

 

デモニオ達が襲い掛かろうとしたところで、トウリがグラウンドに到着しデュエルフィールドを展開する。これで一先ずは、一般生徒への被害は防げるはずだ。

 

『ちぃっ、結界か!』

『よし、これで一旦は安心だ……』

「一王二命三眼槍!いや……その姿、《邪王来混沌三眼鬼(カオス・ヴィ・ナ・シューラ)》か!何故彼女を攫う!」

 

龍の如き姿に変じた一王二命三眼槍……《邪王来混沌三眼鬼》と、その尾に絡め取られた原戸初を見ながらトウリは叫ぶ。対して邪王来混沌三眼鬼は……嗤うように口を歪めた。

 

『我が力でこの娘を鬼へと変じさせるのだ。そしてこ奴を使い──────ジャオウガを復活させる!』

「『何!?』」

 

──────デモニオの覇王、ジャオウガ。かつて龍頭星雲の向こう側、鬼の歴史の世界から超獣世界に侵攻し征服せんとした、強大なクリーチャー。

戦いの果て、モモキングと共に世界を隔てる虹の柱へと融合、封印されたジャオウガであったが、当然デモニオ達は再侵攻を諦めてはいないのだ。そして、圧倒的な力を持つ彼らの王を蘇らせ、解放せんと企んでいた。

 

『どうやってそれを成す気かは知らんが、それを聞いて俺達が阻まないと思うか!』

『故にこそよ!貴様らをモモキングと共にここで始末し、その首をジャオウガの前に晒してくれよう!』

 

邪王来混沌三眼鬼が咆えると、空間の裂け目が再び開かれる。そして、そこにデモニオ達が飛び込もうとしていた。

 

『ついでに此処の人間共も皆殺しよ!』

『させるか……トウリ!後は頼む!』

「えっ!?」

 

サキトがドギラゴンの鎧を解くと、デュエマフォンを操作し……彼に与えられた力を行使する。

 

「デュエルマスターの権限において、時空の歪みを修正する!」

 

プログラムを実行。その途端、フィールド内に開いた空間の裂け目が一気に閉じてゆく。半端に飛び込んだデモニオ達は、通り抜ける前に裂け目が閉じ、二つの空間の連続性が途絶えた事により……フィールド内外で、その身体が分断された。

 

「護守先輩、それは一体?」

「DGAのデュエルマスターに与えられた権限、超次元ホールの生成と解除を利用して連中の作った裂け目を強制的に閉じた。さっきは不意を打たれたが、同じ手は2度は喰らわない!」

『ぬうう……!』

 

これにより、奴がデモニオ達を外へ出す事も、奴自身の逃走経路も封じた事となる。デュエルマスターとしての権限が早速役に立ったと言えるだろう。

 

『ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!?』

「……校舎の方から何か聞こえませんでした?」

「……向こうに首だけ落ちたのかもしれん」

「うわあ、あまり想像したくないですね……ともかく、行きますよ!」

 

トウリがデッキを装填し、シールドを展開させる。しかし、サキトはデュエマフォンを操作し続けたままその場から動かない。

 

「先輩?」

「すまん、奴が再度裂け目を開こうとしているのを妨害しなければならん!なので……俺は動けん、暫く耐えてくれ!」

「何ですと!?」

『今こそ殺戮刻よ!かかれぇい!!』

 

戦闘に気を取られれば再び邪王来混沌三眼鬼が空間の裂け目を生み出し、デモニオを外へ送り出すか、または援軍を鬼の本拠地から呼び込むかもしれない。それを防ぐためには、サキトは空間制御に集中しなければならない!

好機と見た鬼達は、一気に襲い掛かって来る!

 

「く、自分のターン!ゴッド・モモキングをマナへ送りターンエンド!」

『シャァァァアア!!』

 

先陣を切った大きな蛇のような鬼、《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》がトウリのシールドを2枚砕く。通常であれば1枚しかシールドを砕けないジャドク丸であるが……デモニオ達はシールドの数が一定以下の時真の力を発揮する能力……『鬼タイム』を持っている。シールドを持たない野良クリーチャーである彼らは、今の状態では常に鬼タイムの能力を行使できる!

 

「くっ……シールドトリガー発動!《モモからうまれたモモキング》!手札から、モモキングRXをタップ状態で場に出し、RXの登場時能力発動!カモン!王来!スター進化!《ボルシャック・モモキングNEX》を場に!」

『いざ参る!』

「ボルシャック・モモキングNEXの登場時能力!デッキの1番上を表にして、レクスターズまたは火のクリーチャーであれば場に出す!それ以外であれば墓地へ!デッキトップは……鬼退治の心絵!バトルゾーンへ出し、登場時能力発動!デッキの上から3枚を見て、その中からジョーカーズかレクスターズのカードを1枚マナゾーンまたは手札に!アルカディアス・モモキングをマナへ送り残りはデッキの下へ!」

 

まだまだデモニオの軍団は迫って来る。両生類のような鬼、ヤモリ変化が斬りかかって来るのを、モモキングが立ち塞がり拳で殴り飛ばす!

 

「モモからうまれたモモキングの効力、相手は可能な限りモモキングを攻撃しなければならない!ただし、RXから進化したボルシャック・モモキングNEXはバトルに勝利した事でアンタップする!」

『まだまだ!押し潰せい!!』

 

残るは25体ほど、1人ではシールドによる受けも心許ない。流石に冷や汗をかいた所で…………。

 

「ヤァァァアッ!!」

 

フィールド内に、ゼオスが飛び込んで来た!先陣を切って来た武器を持った小鬼、《ツルハシ童子》を光の壁に閉じ込めると、続いて襲い掛かる大型のデモニオ、《「是空」の鬼 ゲドウ権現》を殴り飛ばし粉砕する!

 

『グワァァァ!?おのれ、鬼の恨みを……!』

「そのテは食いマセン!」

 

ゲドウ権現の持つ、スレイヤー能力が呪いとして襲い掛かるが、ゼオスは自らに宿るサッヴァークの能力を使う。閉じ込められたツルハシ童子が光の壁諸共に砕け、相殺の呪いを祓った!

 

「ゼオスさん!」

「お待たせネ、トウリ君!皆も集まって来たワ!」

「皆?」

 

ゼオスに続き、生徒会の4人とアオハル組の皆がフィールド内に入って来る。皆ドラゴンの力を解放し、臨戦態勢だ!

 

「生徒の皆さんは無事避難させました!」

「そっちは無事でしか!?」

「ああ、ただ俺は今回一緒には戦えんから、皆の力を借りたい!」

『任せて。この鬼達は嫌な感じがするから、全力で行くよ』

「今回はうちが先輩ば守るけんね!」

 

彼女達に宿るドラゴンの力と、デモニオ達は相容れぬ宿命。この人間世界にて、龍と鬼の争いが再び巻き起こる。

 

「儂らが相手になってやろうぞ!いざ、鬼退治よ!」

「腕が鳴りますわ!」

『龍の力を宿す者共め……!ここで葬り去ってくれる!』




次回、ドラゴン娘達とデモニオ軍団、激突の時!
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