ドラゴン娘と決闘者   作:偽りの名 ニーサン

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体調不良などありまして少々遅れました。まあ漫画版ドラゴン娘2巻発売日の夜に投稿出来たので良しとしたい。

いざ、デモニオの軍団を打ち破れ!


Ep.14:『龍』と『鬼』と『人』

『しのぶ、一緒に来て。私は蟠龍くんから離れた方が良さそう』

「∞ちゃんの力がデュエルん邪魔してしまうけんやね?了解ばい!」

 

しのぶと∞はドラゴンの力を発現させると、率先してフィールド内の対称方向へと夢幻の無を使い移動する。ゲンムエンペラーの能力は極めて強大だが、コスト5のモモキングを主軸とするトウリとは共闘の相性が悪い。故に、干渉しない距離で戦う必要がある。

更に通りがかりに、《「非道」の鬼 ゴウケン齋》をゲンムエンペラーの翼で∞が斬り裂き、排除する。それなりに厄介な能力を持つが、ゲンムエンペラーの前には無力と化す。左右に控えていた《「契」の鬼 アカ焔とアオ霙》の2体も、しのぶが放つ水流が蹴散らした。

 

「吾輩はこうしてサポートしてやるでし!」

「お、おおっ!?」

 

マロンは直接戦闘は不得手だが、ロマネスクのマナの流れを操る能力を活かし仲間の力を高める事が出来る。更にその力はトウリの盤面にも及び、デッキから4枚のカードがマナゾーンへと注ぎ込まれる。

 

「助かります!モモからうまれたモモキング、アルカディアス・モモキング、カツ・モモキング、メンデルスゾーンがマナに!」

「ウチらも行くでメガ!前の借りを返したる!」

「オッケー!そおれぇっ!!」

 

メガが炎を撒き散らし、《コクヨウ童子》《タイホウ入道》《ヤモリ変化》などが集まった、デモニオ軍団の半数ほどを焼き尽くす。大型の鬼には鬼タイムの影響下で強化され耐え抜く者もいるが、そちらはギャイがギャイアのパワーを活かして殴り飛ばす!

 

『ぬう……!この人間共、存外にやる……!』

「どうした!鬼と言えど儂らの前ではこの程度か!」

『ぐがぁああ!?』

 

ドーラの拳と蹴りが風神雷神を模した鬼、《「疾風」の鬼 フウジン天》《「迅雷」の鬼 ライジン天》を打ち砕く。単純な力であれば、この場で彼女に敵うデモニオはいない。

しかし、叩き潰されてゆくデモニオ達を見ても、鬼の龍は余裕の態度を崩さない。

 

「皆さん!あのクリーチャー、何か変で──────」

『ククク……カァッ!!』

 

様子を見ていたアーシュが注意を促したが、不敵に嗤う邪王来混沌三眼鬼が口を大きく開くと、赤黒い炎が放たれアーシュ、メガ、ギャイ、マロン、ジュラ子へと纏わりつく!

 

「きゃぁあ!?」

「What's this!?離れませんわ!?」

「ウチらに何する気や!?」

『見た所貴様らには、我らの歴史においてはジャオウガに服従した龍共の力が宿っているようだからな……こうしてやるのよ!』

「な、何か入ってこようとしているでし!」

 

炎は纏わりついたまま5人の肌の内へ食い込もうとする。これは……!

 

「拙い、彼女らを鬼にする気か!」

「なにぃ!?どうすれば止まる!?」

「すまない、邪王来混沌三眼鬼を破壊するくらいしか解除法は思いつかん!」

『さあ、仲間同士で殺し合うが──────』

 

ぼしゅう、と。急に空気が抜けるような音と共に、5人を覆った炎が消え去った。彼女らの身に変化は無く、きょとんとした顔をしている。

 

「……あ、あれ?何ともないよ?」

『な……に?馬鹿な、何故変化しない!』

「よく分かりマセンけど、チャンスデス!てやぁぁ!!」

 

ゼオスが気合を込めると、サッヴァークの頭部を模した紋章が浮かび上がり、そこから光の剣が無数に放たれる。それらが突き刺さったデモニオ達は、身体が固まり身動きが取れなくなる。これは──────《天ニ煌メク龍終ノ裁キ》!

 

「皆に酷い事をしようとして、許しませんわ!」

「朕達がオシオキしてやりマス!」

「儂らの拳を受けるがよいわ!」

「とっととそやつを解放せよ!」

 

動きを封じられたデモニオ達に、ドーラとゼオスの拳が、ジュラ子の鉄鎖が、すずの魔力弾が襲い掛かる。狙いが外れた事で、邪王来混沌三眼鬼率いるデモニオ軍団は総崩れだ。

 

『おのれ、貴様らに通じぬのであれば、この場で此奴を……!』

「させるか!自分のターン、宿禰さんの力も込みで、6マナが使える!まずは1マナ、《フェアリー・ギフト》!コストを3軽減し、4マナでモモキングを進化させる!行くぞ、モモキング!カモン!」

『承知!王来!』

「『スター進化ッ!!』」

『Contract armor awakening.』

 

盤面に手札からカードを呼び出すと共にトウリが駆け出し、目の前に立つボルシャック・モモキングNEXと重なり合う。そして、一足飛びに距離を詰めると──────瞬く間に邪王来混沌三眼鬼と交錯していた。

 

『が、ぁ──────!?』

「『王道英雄キング・モモキングKG!ここに参ジョー!!』」

 

すれ違う間に、三眼鬼の身体はぶつ切りにされ。トウリの腕の中には、初が収まっていた。

 

「無事ですか、原戸さん!」

「う、うん。蟠龍っち、まじやば……」

『おぉおぉぉ……!馬鹿な、我が混沌が……!』

 

邪王来混沌三眼鬼はその身に混沌を纏っており、本来であればそれに触れた物は原型を保てなくなるほぼ無敵の守りとなる。

しかし、トウリと一つとなったモモキングの、王道たる力を宿した刃は……混沌を容易く斬り裂き、本体へと刃を届かせた。かつては突破のために、スターMAX進化の力を必要としたというのに。

 

『おのれ、おのれぇぇっ!!』

「トドメだ……まだ自分の攻撃は終了していない!」

『!!』

 

断ち切られ、一王二命三眼槍の姿へと戻った鬼槍は空間を斬り裂き逃げようとするが……最後のあがきも、サキトが封じ込める。

 

「逃がさん!トドメを刺せ、トウリ!」

「『いざ……悪鬼討滅!』」

『ぐ──────ァァァァァァァァァァッ!!!!』

 

モモキングの刃が一閃し──────一王二命三眼槍が、両断された。

 

 

* * *

 

 

「ふうぅ……皆さんが早めに来てくださって、助かりました。自分だけではどうなる事かと」

「思ったより数が多かったですからね……」

「DGAの実働部隊による援軍は、要請はしましたが間に合うか怪しかったですからね……」

「まあ、これでわらわ達も以前の借りが返せたというものだな」

 

戦いを終え、彼らは一時全員が生徒会室に集まっている。校内放送で避難した生徒達に状況の終了は伝えたものの、各部活動は中止となり、彼ら以外は下校となっていた。

 

「アーシュちゃん!大丈夫だった?怪我してない?」

「水晶ちゃん!ご心配かけました、大丈夫です」

「ワタシたちも呼んでくれれば良かったのに」

「いやぁ、Jack-Potの皆さんは……あの戦場で演奏してもらう訳にも行きませんし、もし何かあったら俺が何言われるか」

 

Jack-Potメンバーも、生徒会室へと騒ぎの顛末を聞いて駆けつけて来た。今回のような突発的な騒ぎには、流石に彼女達の協力を仰ぐのは難しい所だ。

 

「それで、その子がいるってことは前に襲ってきた槍絡み?決着付いた?」

「ええ、どうにか分離に成功して、一王二命三眼槍は破壊に成功しました」

「そりゃ良かったぜ!あんなのに憑かれっぱなしじゃ大変だもんな」

「身体は何ともないの?」

「ちょっと軽くなったかも?調子は良さげ」

「後は後遺症が無いかしばらく定期検査して、それが終われば晴れて自由の身になるかと」

 

ようやく彼女と両親の望み通り、初は元通りの身体に戻ることができる。普通の女子高生として暮らすことが出来るだろう。

 

「でも、どうしてあの槍は原戸さんを鬼にしようと……」

「狙いはデモニオの覇王、ジャオウガの復活だったらしいが……何故彼女が必要なんだ?」

『それについては私がお答えするわ、デュエルマスター様』

「!?」

 

生徒会室に、この場にいる大半の者に聞き覚えの無い声が鳴り響く。サキトの鞄から1枚のカードが浮き出ると、そこから緑色の光が溢れ……一瞬にして、金髪の女性がその場に現れていた。

 

「なっ何者だー!?どこから現れた!?」

「なんやえらい格好しとるな!?」

『人間……じゃなくて、クリーチャー?』

 

白い薄布のドレス1枚で身を包んだ女性に、色々な意味で動揺を隠せない一同。そして、彼女を知っているサキトは頭を抱えていた。

 

「馬鹿な、家に置いてきたはず……またカードのままでついて来たのか……!」

「せ、先輩のお知り合いですか……?」

「う、うん。先輩ん持っとーカードん1つで……」

「アプルです。クリーチャー達の世界で、自然文明の大長老をしているのですよ。よろしくね、ドラゴン娘の皆さん?」

 

そう、近頃サキトの所持するカードから実体化するようになった《若き大長老 アプル》、その金トレジャー版の姿である。

 

「ふむ、人間に近い姿のクリーチャーなのかの?」

『いや、特別版イラストとして描かれた擬人化クリーチャーみたい。元は木みたいな姿のクリーチャーだね』

「えっとそれで、シューラっちがあーしを鬼にしようとした理由を知ってるの?」

「ええ、ういさんだったわね?貴女をあの槍が狙った理由はただ一つ……『世界をつなぐ柱』への干渉よ」

「世界をつなぐ柱、ですか?」

 

アプルが口にした単語に疑問符を浮かべる彼女達。そこでサキトが、ホログラムによる映像を映し出した。ヨーロッパ風の巨大な円塔が、世界を支えるかの如く天空まで伸びている。

 

「俗に新章世界と呼ばれる超獣世界の1つにおいて、その象徴と言える建造物が『世界をつなぐ柱』です。これは4層構造で出来ている超獣世界の各文明を繋ぐ重要なものになっています」

「ただ、これは在りし日の姿ね。デモニオの覇王、ジャオウガとの決戦においてこの柱は破壊され、柱が隔てていた『龍の歴史』と『鬼の歴史』という2つの世界がぶつかりあい、私達の住む龍の歴史が押し潰されそうになってしまったの」

「……そうなってしまったら、どうなるの?」

「私達の世界の全てのクリーチャーが、そして……草木も、海も、大気も全てが鬼の概念に浸食されてしまうところだったわ」

「想像もつかないわね……」

 

更に、ホログラムに2体のクリーチャーが表示され。1つはモモキング、そしてもう1つは……ジャオウガ最後の姿、《CRYMAX ジャオウガ》。

 

「この危機を救ったのが自分の相棒、モモキングとその仲間ジョニーとジョラゴンです。3体が力を合わせ振り絞った時、新たな世界をつなぐ柱となる、虹の柱が生まれました。そして、モモキングはジャオウガ諸共この柱と融合して封印し、2つの世界を隔てるものとなったのです」

「自分の身を挺して、ですか……」

「私達もあの戦いの後、柱を色々と調べたのだけれど……柱そのものに干渉することは、龍の歴史と鬼の歴史、どちらに生まれた存在でも不可能だと分かったわ」

「……なるほど、そういう事なのね」

「ザーナさん、分かったの!?」

 

アプルの話を聞いていたザーナが何かを思いついたようだった。彼女は自身の考察を話してゆく。

 

「龍の歴史と鬼の歴史、それぞれに生まれたクリーチャーでは干渉できない。それなら、どちらでもないアンノウン・プログラム……彼らにとって未知の存在を組み込めば可能じゃないかと考えた。そうじゃないかしら?」

「その通り。どうやらデモニオの生き残りは、超獣世界の外であるこの世界……言わば『人の歴史』に生まれた者の力を取り込んで、柱からジャオウガを解放しようと企んでいるようなの」

 

超獣世界の5文明全てが協力し導き出した答え。即ち、超獣世界の外に生まれた存在でなくては、虹の柱には干渉出来ない。同じ答えをデモニオ達も考え付き、行動に移しているというのだ。

 

「でも、それなら鬼化させたら結局干渉できないんじゃ……?」

「いいえ、例え後天的に鬼化させても、人間世界に生まれた事は変わり無い。だから、彼らが容易く制御出来る下位の鬼に変貌させていう事を聞かせるつもりだったみたいね」

「こわぁ……」

 

下位の鬼は基本的に、上位の鬼に絶対服従。それが鬼達の本能だ。もし初が鬼に変えられれば、間違いなく奴らの言いなりにされていただろう。

 

「そういや鬼化と言えば、なんでウチらはあいつの鬼化が効かんかったんかな?」

「それは、貴女達が『ドラゴン娘』だったからじゃないかと思うわ」

「へ?」

「貴女達は龍の歴史と人の歴史、その2つの力が絡み合った存在になっているわ。人の歴史のみ、または龍の歴史のみの存在であったなら、鬼に変貌させられていたかもしれないけれど……2つの歴史の力が掛け合わさって、鬼の干渉を弾く力になった……恐らくだけど、ね?五大龍神様たちがそこまで見越していたかは分からないけれど」

「ドラゴン娘だったから助かった、っていうのはちょっと複雑ですね……いや、助かりましたけど……」

 

これは今の時点では、あくまで推測に過ぎない。しかし……。

 

「それが本当なら、今後連中と戦う時が来た場合……俺達デュエリストの力でも、助けることが出来るか?」

「ええ、きっと……それもまた人の歴史の力だからね。その時はお願いね、デュエルマスター様?さて、それじゃあ今後も、何か私達の世界について知りたかったら私が色々と教えてあげるわ♡」

 

そう言って、彼女は再びカードの姿へ戻り、サキトの鞄へと自ら入って行った。

超獣と人、2者の力の交わりという点ではドラゴン娘達と、契約を果たした真のデュエリスト達の力は近似している。それらの力が、新たな可能性を産む……かもしれない。

 

 

* * *

 

 

鬼の居城、獄鬼夜城の天守に、空間の裂け目が生まれ……そこから小さな何かが落ちて来た。

 

『目的は達せずですか……しかし、この欠片に宿るマナ、これだけでも確保出来たのは重畳』

 

それは、一王二命三眼槍の破片。そこには僅かだが、初から吸い取ったマナが閉じ込められている。

 

『時間はかかるとしても、必ずやこのマナから……我が術にて、鍵を生み出してみせましょうぞ』

 

鬼の術師は、呪符によりその欠片を厳重に保護すると、そのまま闇に溶け姿を消した。




というわけで、デモニオ軍団戦は決着し、新たな設定を開示する事となりました。
3つの歴史の戦いは、いずれ新たな局面へと。
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