一発ネタです。続きません。主人公の性別は不明。しれっと完結までの内容を含みます。
いや、やりすぎだろ。
私がそう思ったのも仕方がないことだった。
転生して数年、視界に映る異形に「もしかして」を積み重ね、術式を自覚し、ここがかの呪術廻戦の世界であることを知った。
五条悟とも虎杖悠仁とも在学期間が重ならない中途半端な世代に生まれながらも、それとなく原作の起こりを眺める心算ではあった。原作に介入してどうこうする気は毛頭ない。どんなことが起こるかわかったものでもないし、完成された完璧な作品にツバを付けるなどとんでもないことだ。そういう何も起こらなかったハッピーな展開は二次創作で十分。
そう思っていたはずなのだが。
「ハーイ、担任の五条悟でっす! こっちは副担任で僕の親友の夏油傑! んでんで、この超絶プリチーな彼女が僕の婚約者!」
「あ、ハイ。ヨロシクオネガイシマス」
「じゃあ君の実力を見てみたいから早速グラウンドへしゅっぱーつ! あのフィジギフゴリラも待ちくたびれてるしねー」
これである。私が思わず額に手を当てて冒頭の言葉を脳内で吐き捨てたのも当然だ。
どうやら私以外にも転生者が居たようで、五条悟の婚約者というポジションを獲得しているらしい。もうなんとなく全てを察した。
この転生者、とんでもないメアリー・スーだったのである。メアリー・スーというのは、欠点のない超有能キャラクターを揶揄するスラングだ。元ネタはあるがここではひとまず置いておく。要するに、救済しまくりの原作クラッシャーだということだ。
伏黒甚爾を懐柔し、天内理子を救い、夏油傑の離反を阻止し、灰原雄の死亡を回避させ、五条悟の婚約者となったのである。
私は憤った。解釈違いである。
五条悟はね、結婚なんてしないし、夏油傑より大事な人間なんて居ないし、最強なのに大事なものに限って失い続ける青春コンプおじさんでなきゃいけないの。
別作品の構文が思わず出てきてしまった。だが私の中ではそうなのだ。夏油傑だって、苦悩し憂いを帯びた哀れな姿からの吹っ切れてめちゃくちゃやるカタルシスが良いんだろうが。
原作との乖離に苦しみながら呪術を学ぶ日々。どれだけこの現実が解釈違いであろうとも、ここで得られる学びは確かなものだ。それだけは手放せない。
そして私は気付きを得た。
私が混沌を巻き起こせばいいのである。
元より、私の呪術廻戦の推しは羂索である。他作品の推しキャラを挙げるとするなら、ボンドルド、ヒソカ、涅マユリなどだ。要するに、良くも悪くも目的のために突っ走る、利害が一致すれば一時的には味方になれそうだけど根本的には相容れない、一周回って頭おかしくなっちゃってる奴が好きなのである。
好きなキャラクターだからと言って現実で関わりたいかというと全くもって別であるし、悪役に加担したところで悲惨な結末を迎えるであろうことは確実だ。
しかし。しかしだ。
こうなればもう私が「呪術廻戦」を始めるしかない。
幸い、羂索は夏油を離反させるのに失敗しただけで、殺されたというわけではなさそうだ。そうそうやられそうなタマにも思えない。星漿体の同化そのものは天内理子の拒否によって回避され、死滅回游への第一ステージはクリアしている。虎杖悠仁も既に誕生しているし、魂の双子である虎杖倭助が亡くなれば呪術的な繋がりを失った両面宿儺が本格的に目覚める。
というか原作回避したそうな行動を取っておきながら、虎杖悠仁を始末しないのは意味がわからない。星漿体の同化阻止も許してしまっているし。
相手はあの羂索だぞ? サブプランのひとつやふたつ、どころかみっつよっつあってもおかしくない。中途半端に計画の進行を許してるのは詰めが甘いんじゃないのか。どうせ原作のキャラを消すのは……とか思ってるんだろう。もし私が原作の地獄を回避したいなら、どれだけ嫌がったとしても星漿体を同化させるだろう。
原作そのものは起こる。が、現状のままなら不完全燃焼になりそうだ。ネックになるのは五条悟の封印と天元の支配。夏油の肉体を手に入れられないとこの二つを達成するのは難しい。
いや……私の術式的にはワンチャン……? とりあえず、やるしかねえ。
私は新たな目標を胸に抱えて立ち上がった。
すべては原作を見届けるため。
絶対原作回避するメアリー・スー、対、絶対原作の地獄を見たい私の、最悪の戦いがひそかに始まったのである。
本作主人公
・厄介原作厨
・羂索推し(現実では関わり合いにはなりたくない)
・本人にも「目的のために突っ走ってる一周回って頭おかしい奴」の素質がある
・原作が至上だと思っているのでそこを崩されるとムカつきポイントが溜まる
・ピーキーな現実改変? 未来選択? 系統の術式。まだしょぼいが、頑張れば原作を起こせるかもしれない
原作クラッシャー転生者さん
・さしす推し
・夏油救済したくてがんばった。原作の地獄を回避したい(本作主人公ムカつきポイント)
・純粋で良い子、いわゆる愛され夢主
・なんか五条悟の婚約者になってた。満更でもない
五条悟
・原作で夏油に行ってた執着の半分くらいは婚約者に行ってる(本作主人公ムカつきポイント)
・主人公のことはまだ「見込みアリ」程度の認識
・夏油も離反してないし愛する婚約者も居るので、原作よりやや情緒が幼いかもしれない
夏油傑
・非術師嫌いがなくなったわけではない
・原作クラッシャー転生者さんが好きだったが、親友と幸せそうにしてるので身を引いた(本作主人公ムカつきポイント)
・揺さぶれば呪詛師堕ちする可能性が見えるが、原作クラッシャー転生者さんがついている限りは難しいかもしれない
フィジギフゴリラ
・金に釣られて星漿体暗殺から手を引いた
・体術教師をやっている
・子どもの面倒はあまり見ていない
脳みそ
・そのうち主人公と接触するかもしれない
・将来的に手を組む人
・一緒に世界を混沌に陥れよう