生まれ変わったら高島になったが平安で因縁を終わらせてみた 作:色々残念
今回も短めですね
俺の事務所の近場で倒れていた伊達雪之丞を発見したが特に怪我もなく、単に腹が減りすぎて倒れていただけだとわかったので、まずは飯を食べさせておくことにした。
最初は粥にしようかと思ったが、そこまで空腹の期間が長くは無さそうだった雪之丞には、チャーシューとネギを刻んで入れた焼き飯を食わせておくと「うむ、これは中々!」と言いながら焼き飯を平らげた雪之丞。
「美味かった御馳走さん」
「よく食ったな。食後にお茶でも飲むか?」
「ああ、もらおう」
空腹が満たされた雪之丞は、俺が用意した緑茶で一息ついてから口を開く。
雪之丞が言うには、やはり魔族からは離反してモグリのGSとして働いているようであり、小竜姫から依頼を受けて人界で動いている魔族について探っていたそうだ。
デタント反対派の武闘派魔族達が人界で積極的に動いて、今の神魔の均衡を崩そうとしているのは確からしい。
とはいえ大物だった魔神アシュタロスが平安時代に女神イシュタルとなり神族となったことで、残されている武闘派魔族の勢力も規模が少しずつ縮小しているようである。
元始風水盤によるアジア全域の魔界化を防がれて、頭目だったデミアンも消されたことで、残った武闘派魔族達は妙神山で神族を相手に暴れて問題を起こすつもりのようだった。
雪之丞は修行ついでに妙神山に向かって魔族と戦う気のようで、戦力として期待できると小竜姫にお墨付きをもらっている俺にも一緒に妙神山に来てもらいたいみたいだ。
神族と魔族に戦争を始められても困るので、妙神山で暴れるつもりの武闘派魔族達には消えてもらうとしよう。
という訳で雪之丞と一緒に妙神山に向かった俺は、魔族が来るまで時間があるからと初めて妙神山で修行を受けることになったが、何故か雪之丞と同じ凄まじくハードなコースの修行が決定。
1つ目で身体が岩石のようなもので覆われたゴーレムと、四肢が刃となっている四足歩行のカトラスを60秒以内に倒すように言われた俺と雪之丞。
「おれはゴツいのをやる」
「じゃあ俺がカトラスだな」
ゴーレムは雪之丞に任せ、栄光の手を霊波刀に変えた俺は、伸ばした霊波刀を振り下ろしてカトラスを一刀両断。
「こっちは終わったぞ雪之丞」
「流石だな、おれも負けてられねぇぜ!」
僅か数秒でカトラスを倒した俺に負けじと頑張った雪之丞はゴーレムの弱点を見抜いて30秒で倒す。
その後、魔界から人材交流で派遣された留学生の魔族のジークフリードと出会うことになり、ジークフリードに案内されて椅子に座った俺と雪之丞にジークフリードは斉天大聖老師と対面。
完全に猿状態の老師とひたすら格闘ゲームをやりながら、飯を食べて過ごす日々が続いていたが3ヶ月が過ぎたところで、精神を乱した雪之丞に限界が来た。
俺はまだ大丈夫そうだったが雪之丞が無理そうだと判断した老師が如意金剛を振り下ろすと、椅子に座ったばかりの状態に戻った俺達。
魂が老師の精神エネルギーを大量にうけて加速状態にあった俺達は、過負荷から解放された今、魂が一時的に出力を増している。
このスキに己の潜在能力を引き出すことが、老師との修行だ。
「行くぞ、小僧共」
巨大な姿となった老師、猿神ことハヌマンは山の神でもあり、凄まじく強い相手ではあるが戦って潜在能力を引き出すしかない。
巨大な老師が振るう如意金剛を文珠を用いて防ぎながら、栄光の手による攻撃を叩き込んでいくが、あまり効いてはいなかった。
「文珠使いのお主には、少々手加減を抜いてもよさそうじゃな」
そう言った老師の動きが早くなり、如意金剛を振るう速度が加速していく老師。
文珠は消耗品、前世の高島だった頃に魂に大量にストックしていたので、文珠自体はまだまだ沢山あるが、消費が多ければいずれは文珠も尽きてしまうだろう。
高島だった頃から俺の魂は特殊で、生まれたばかりの魂と俺の魂、2つの魂が混ざりあって融合して今の俺という存在の魂となった。
高島だった頃には作ろうとも思わなかったあの文珠すらも、今の俺なら生成出来る筈だ。
「絶」「対」「防」「御」の4文字で4個の文珠による防御で、老師の如意金剛の攻撃を防いでいる間に意識を集中する。
高めた霊力を凝縮し文珠を生成する際に、俺だけではなく共に育ってきたもう1つの魂の霊力も混ぜ込み、1つにしていくと形作られていく文珠。
生成されたそれはまるで太極図のような文珠であり、2文字同時に1つの文珠に込めることが可能という特殊な文珠である。
使用しても無くなることのないその文珠を太極文珠と名付けておき、戦っている内に霊気の鎧が集束して強度が上がった雪之丞も魔装術の極意を掴んでいたので、老師の修行は終了となった。
妙神山の入り口で、修行終わりの雪之丞と俺が待っていると現れて襲いかかってきた魔族は、原作だとワルキューレにライフルで額を撃ち抜かれて倒されたガタイがいい魔族と、分身したベルゼブルが複数体。
「こいつはおれに任せろ横島!」
「人間ごときが!我に勝てると思ったか!」
互いに拳を握り殴打の応酬を開始した雪之丞とガタイがいい魔族。
「余りものにしては数が多い蝿だな」
「蝿の王が人間ごときに負ける訳がないぜ」
ガタイがいい魔族と殴りあいを続けている雪之丞は放っておき、複数の分身体で襲ってくるベルゼブルを「爆」の1文字を込めた1個の文珠による爆発で纏めて倒す。
「人間舐めんじゃねぇよ!」
そんな威勢のいい声が聞こえる雪之丞の方はどうなっているか確認してみると、魔族に叩き込まれた雪之丞の渾身の拳が、ガタイのいい魔族を吹き飛ばしていた。
魔装術の極意を掴んだ雪之丞はガタイがいい魔族相手に殴り勝ち、拳を打ち込むと同時に繰り出した霊波砲で魔族にトドメを刺して倒していたようだ。
妙神山の神族が魔族と戦うことがなかった今回の1件は人間に魔族が倒されただけの話となり、武闘派魔族の勢力が更に縮小する結果となったらしい。