もしも、次の生を受けれるなら…
今度は悔いの無い人生を送ろう。
もしも、願いが叶うなら…
自分に正直に生きよう
と、頭の中に言葉が過ぎる。
『……る……ぃ…』
名を呼んでいる声が聞こえるが、
意識が薄れいく僕にはそれが誰なのかよく分からない。
多分、母だろう。
その時、あの時の情景が脳裏にふと浮かんだ。
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何一つ変わらない普通の交差点。
僕は信号が青に変わるのを待っていた。
「ぴょ、ぴょ」
青になったので渡り始めると反対から白猫も渡り始めて来た。
なんと賢い猫か…とか思っていると近付くエンジン音。
危ない!!
僕はその子を庇うように抱えると猛進する鉄の塊からその子を守った。
そこから意識が朦朧とし、
気が付いたら病院の手術室で仰向けに寝ていた。
照明が眩しい…
すると、先生たちがモニターを見て慌て始めた。
心停止?懸命に先生は電気マッサージを行うが手応えない様で、
その手は止まない。
僕は死ぬのか…そう思ったその時だった。
周りの手が停まった……
『やぁ…』
「…き、みは?」
暗闇から現れたのは白い兎や猫の様な、
謎の生き物だった。
それは、ぴょんと跳ねると先生の手の上に乗る。
『ボクはラナ、通りすがりの物売りさ♪』
「……ってか、これ脳内に直接届いてるのね」
『そうだけど?』
うわ、幻想にしては出来すぎだわ…
なんて事を思いながら話を続ける。
「その物売りさんが死にかけの僕に何の用だい」
『君に未来をあげようかなって』
「?!」
悪魔かこいつは…
それにしては一つ一つの仕草が可愛い。
『ボクの事を悪魔呼ばわりする人には、嫌と言うほどに関わって来たけれども』
「自覚あるんかい!!」
『ん、そんな事はどうでもいいか…で』
どうする?
僕は冷や汗をかく、確かに未来を生きられるのはいい
しかし…気になることがある。
「代価は?」
『君にはボクの仕事を手伝って貰う』
仕事…?何やら裏がありそう。
怪しいので内容について質問すると、
『それは、君の返答を聞いた後に話す』
と、はぶらかされた。
これを逃したらチャンスはないだろう、
そう心に決めて僕は叫んだ。
「分かった、手伝う」
『嬉しいよ…じゃあ、安心して横になるといい』
そう言われると僕は瞼が重くなっていき、
意識はゆっくりと漆黒の帳に導かれていった。
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『あのコも、中々の逸材の様だけど果たしてボクのノルマに敵うのかな』
そう、インキュベーターは呟くと夜の闇に消えていった。
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日は登り、朝は来る
鳥のさえずりで目を覚ました僕は、アイツと契約をしたことに心から絶望した。
「どうなってんの!!!」
それは、眼下に広がるなだらかな砂丘と遮るものが何もない股下であった。
~つづく~