翌日、病院内で奇跡が起きた。
事故により脚が不自由で片時も車椅子を手放せなかった乙女が急に立つことが出来る様になったり、
もう、2度と色を取り戻すことが出来ないと医師が申告した少女の眼が見える様になったりと病院内が騒がしくなった。
……それから、1週間位経ったある昼前の事。
僕は病室を出て屋上へ向かった。
「遅くなっちゃってごめんなさい」
そこには、院内では話題の人達が居た。
「遅かったじゃない、かんちゃん」
「えぇ、遅すぎるわ」
「もう、少し寝かせてよ~」
「「だ~め」」
二人は小悪魔的な笑みを浮かべ僕の願いを拒否した。
「どうせ、夜には会うのに……」
「取り敢えず、こういう事は昼間に聞きたいじゃない?」
「そうね、夜は夜の……昼は昼の話をした方が周りにはバレないと思う」
「ん~そうかなぁ」
そう言う所だよ、かんちゃん…
狙井さんは左眼を閉じ、右手を表にして人差し指をこちらに向ける。
「それはそうと、かんちゃんは本当に可愛いよね。目…治してくれて、ありがとう」
「イヤイヤ、面倒事に巻き込んだのは僕のせいだから気にしないで欲しいなぁ」
「はいはい、かんちゃん?うーちゃん?脱線はそこまで。本題に入りましょう?」
そう……本題である。僕たちは夜な夜な魔獣を狩りながら昼間は試験を受けていた。
「学園に受かりました」
「おめでとう、かんちゃん。私が少し勉強を教えていたかいがあまったわ」
「そう言えば、工藤さん?」
ティナでいいわ…何よ?
僕はふと疑問に思ってしまったので思わず聞いた。
「ティナは試験受けなくてよかったの?」
「私とうーちゃんは精密検査で忙しかったからね…試験?これよ」
親指と人差し指で丸を作る
「良いよね…いい所のお嬢様は」
「うるさい、パパが許してくれなかったのよ。私頭良いのに」
「ティナって、頭良かったんだ。羨ましい」
もっと、褒めるがいいわ。
ティルナは鼻高になる……
『皆お揃いで』
「やぁ、ラナ」
くしくし、彼は後脚で顔を撫でる。
『ところで、優津。ティルナ。体の具合は?』
「私は大丈夫」
「えぇ、良好よ」
良かった……きゅうべは軽く頷くと僕の方を見た。
『涙……いや、君たちに伝えなければならないことがあってね』
その言葉で場の空気が重くなる。
なにを言うつもりなのだろうか……
僕は少し身構える。
『そう、固くならなくていい。今回、ボクが
話に来たのは
「「……」」
その事を聞いて2人は頷いた
「私達のソウルジェムがどうしたの?」
『君たちのソウルジェムはソウルジェムじゃないんだ。
そうだな、強いて言えば【ソウルクリスタル】と言うべきか』
「クリスタル……」
そして、きゅうべはソウルクリスタルについてわかった範囲で教えてくれた。
ソウルクリスタルはソウルジェムと違い濁らず魔力を使用出来る代物で、
魔力の限度はソウルジェムよりも少ないが、
使える魔法も今の所低燃費な事から普通の魔獣を倒すのには支障がないこと
(これは、ココ最近の魔獣狩りから算出したデータだという)
「じゃあ、魔力が枯渇したら?」
『……気を失うことになると思う。多分』
「管理に気を配らないとね」
次に魔鍵の話だ。
この街、端奈市は何故か魔獣が良く発生していて街全体から呪いが溢れていて野良の魔獣もいたが他に魔人らしき人物がいるもの確認したらしい。
『で、2人の話をこの前聞いたけど売人がいるようだ』
「売人?」
「えぇ、私達に魔鍵を与えた男よ」
「名前は確か……なんか呼びずらい名前だった」
そいつの特徴は全身包帯でぐるぐる巻きにされていて、なんというかミイラが服を着ている姿らしい。
『取り敢えず、注意してくれ。じゃあ、ちゃんと伝えたからボクはこれで』
きゅうべはそう言って屋上から姿を消した。
「じゃあ、言うのも遅れたけど改めて言うわ」
優津が二人に言葉を贈る。
その時、徐々に春の訪れを感じさせるような暖かい風がそっと吹いた。
「「ありがとう」」
~つづく~