GOD EATER EXODUS -WASTED HEAVEN-   作:湯麺マン

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第壱話 楼閣

「おお、ヴィンテージ隊だ、俺らの青春だ」

 

 都合5人の若者が成す隊列に、ボロ切れを纏った中高年たちが見惚れる。儀仗銃を堅苦しく構えて歩く様に似合わず煌びやかな宝石や飾りに身を包み、先頭を歩く隊長に関しては帯刀までしている金のかけようである。

 

フェンリル中東支部。未だ緑化の進まぬ巨大砂漠の中にぽつりと作られた拠点であり、補給、救援共に要請が困難な立地と劣悪な環境を兼ね備える。そのためか各支部や本部にて持て余され邪険にされた人材の左遷先として知られ、実質的な追い出し部屋としてのみ機能を許されているのである。

 

「皆様、ヴィンテージ隊よりご報告がございます。V3、前へ」

「....はーい」

 

隊長に促されるまま前に出たのは、どこか具合の悪そうな長身の、隊列3番目の青年である。とても趣味とは思えない巨大なイヤリングを鬱陶しそうに揺らし、上の空そうに報告をはじめる。

 

「....えー今回、本部より物資の補給が到着しまして、配給が再開されます」

他支部への補給用ヘリを撃墜したV2が、ばつの悪そうに眉を顰める。

「また長らく欠番であった新型神機使い部隊『シャムシール』の第六番が補充されました....作戦行動の幅が広がり、皆さんの安全保障がより強固になりまーす」

適合率の低い病弱な息子に腕輪をはめさせたV4が、口元を歪め目を瞑る。

「そして居住区の一部が増設されまして、広々とした住環境が取り戻されましたー」

唯一の肉親をボロ小屋に押し込められたV5が鼻息を荒げ、わなわなと拳を震えさせる。

「そして我々ヴィンテージ部隊、創設より半年欠員なしで健在でーす」

 

隊長=ヴィンテージ1が3とかわって前に立ち、儀仗銃にてパフォーマンスを行う。目を爛々と輝かせる老人たち、暇を持て余し泣き叫ぶ赤子、申し訳なさそうにその場を去る母親....アラガミとの交戦に役立つわけもない術技、繰り出す本人すら呆れて終わる。

 

「....はい、ではみなさんお待ちかね、『シャムシール』隊の皆さんでーす、拍手ー」

 

不潔で狭いステージ上に、ド派手な大型武器を携えたラフな老若男女が姿を現す。そのうちの一人、大鎌の主たる妙齢の女が拡声器に口を寄せる。

 

「我ら新型神機試験運用部隊シャムシールは、前述の通り欠員を埋め再結成を果たしました。右も左もわからぬ小僧ですが、皆様のメシアたる存在として立派に育つことでしょう!」

「よろしく、お、おねがいしま、す」

 

マイクも拾い損ねるほどの小声で挨拶を終えた少年が持ち慣れないショートブレード型神機を掲げると、盛大なスタンディングオベーションが巻き起こった。目の前の小さき勇者に羨望、期待、不安、そして絶望と悲喜交々の視線が殺到。観衆の集中加減たるや、直後に突発した閃光と轟音に数秒ほど気づかないほどであった。

 

「き、きっき緊急警報!!!アラガミの大群が支部に急接近....?いや発生....痕跡が」

 

声の主が体をすり潰される音とともに警報がやみ、次いで基地外壁が電撃によって吹き飛ぶ。虎型アラガミのヴァジュラが数体雪崩れ込み、餌場を血で汚さんと這い寄る。

 

「ヴィンテージ隊!対処は君らに任せよう」

「....は?」

 

未だに神機から獣の唸りのような轟音を鳴り響かせる少年を抱え、大鎌女が叫ぶ。シャムシール隊は自らに襲いくる個体を斬り殺すのみで、逃げ惑う群衆を救う素振りすら見せない。痺れを切らしたV1が部下を結集すべく見ると、V3のみ忽然と姿を消していた。その他は避難誘導、抗戦、ステージへの突撃....と、思い思いに散っている。

 

「貴様等あああああッ!」

 

先ほど憤慨を露わにしていた大柄の女=V5が、持ち前の長銃身ショットガンを乱射しつつシャムシールに怒鳴り込む。もはやアンティークと化したピストル型神機では、いくら近代化改修済みとはいえ新型神機使いに敵うはずもない。

 

「うるさいぞ端女が」

 

大鎌の女が煩わしそうに散弾のひとかけらを払いのけると、ブラスト型神機を持つ壮年の男が庇うように出て砲撃を行う。咄嗟の回避の甲斐なくV5の片腕が吹き飛び、甚大なダメージによるショックで卒倒。とどめとなるべくして撃たれた2発目は、部下を引き下げたV1によって無碍にされた。

 

「命令系統を覚えてないのか?反逆罪は銃殺だぞ」

「ゴッドイーターの使命を捨てた奴の命令は聞きません」

 

牽制にすらならない拳銃弾をばら撒き、負傷兵を抱えてアラガミの群れに飛び込むV1。その背中に冷たい視線を送りつつ、シャムシール隊は姿を消した。

 

 

 

 

 

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