ジェラールピケ出なくてブチ切れてたら1月終わりかけでした。NIKKEは欲しいキャラすぐに出るのに……
「な、なんでアイツがいるんだ!」
「怯むな! アイツ包帯巻いてる、瀕死なんだ!」
「うらぁぁぁぁ!!」
やたらめったらに撃ってくるヘルメット団。
所詮豆鉄砲ですよ、避けるほどでも無いでしょう。盾も構えず、銃を片手に突き進みます。
「あー、聞こえますか、ホシノ。」
『聞こえてるよ〜、ちゃっちゃと片付けちゃおう。』
「ええ。先程シロコから聞きましたが、柴大将がご飯を用意してくれている様です。急ぎましょう。」
『ん、とびきり美味しい物を作るって言ってた』
『ほんとに? そりゃ楽しみだねぇ』
そう耳に突っ込んだインカムから音声。こういった離れた人とタイムラグ無く話せる技術って戦闘において革命だよなぁ、としみじみ思います。
さて雑念も程々に、
今まで使うのを控えていましたが、私の持つ唯一の特技を開帳しましょう。
私は何も、戦闘経験と稼働年数だけでリプレイス1を名乗っていた訳ではありません。それ相応の技術を習得しています。
それは、
ただ、今に至るまでの私が部下を死なせない為、アークの為、人類の為に習得したモノ。
辺りを逐一きょろきょろと見回して全体的な味方と敵の位置関係を俯瞰。頭の中に上から見た形でマップとして映し出す。
何と言うのでしょうか、これ。私の上……いえ、戦場の上空に大きな目があるような、もうひとつの思考回路があるような。
とにかく、そんな感じの。
人間の視界は基本、ピントを合わせて認識する中心視野とその周りのぼやけた周辺視野というもので構成されています。
そして戦場では、入り乱れる戦況や危険域の認識の為に周辺視野からどれだけ情報を得られるかがキモとなります。中心視野だけで見ていると視野が狭くなりますからね。
でもそれは人間の道理であって、人間でないニケがそれに従う道理はありません。自分が人間だと思うから人間の範疇の事しか出来ないのです。
その常識がニケを殺す。それを拒絶した時に初めて、ニケは人道を踏破する権利人となる。私はそう考えます。
なので、目に映るもの全てを周辺視野で認識します。
誰が、どこで、何をしているのか。どういうルートが、隙が、チャンスがあるのか。目に映るデータを纏めあげ、これを全て脳内で構築するのです。
視界に映るもの全部処理する為に一度に沢山考える必要があるのもあって、めっちゃ疲れるので本当は嫌なんです。感じるはずの無い疲労感が身体を襲いますし、激しい吐き気にも苛まれます。
本音を言うなら使いたくありません。スっと当然のように出てきましたが、かなりピーキーなものなのです。
けれど、
ニケの兵器としての有用性、お見せしましょう。
そう、我らエリシオン! エリシオンのニケこそナンバーワンなのです。
という訳でちょっくら集中。量産型には量産型なりの場数を踏んだ戦い方があるってことを教えてあげます。
ただ全体の動きを把握するだけなんて、地味に思うかもしれません。ですが、この術が、私をここまで連れてきたのです。
思考を加速。並列思考って程じゃあありませんが……脳を極限までぶん回しましょう。
瞼を閉じ、再度開け……瞬間、目に入り込む景色全てを脳内で言語化し処理します。
───ホシノがちょっと前に出始めましたね、私も連動しましょう。後ろのセリカと少し射線が被っているっぽい? ちょっと横にズレますか。ん? あの遠くで設置してんの迫撃砲? あ、撃った。発火炎と音のズレからだいたい400mくらいかしら。ほんなら5秒ちょいで落ちてくっかなシロコちょっと前出すぎじゃないかな、大丈夫か?
ふぅ、と1呼吸。もう一度辺りを見回して脳内マップを逐一更新して、集中。
私の仕事は敵戦力の分散ですから、いい感じにヘイト集めておきましょう。あのゲーマーはこれをタゲ取りの翁って言ってたっけ。しょーもな。セリカ弾切れっぽい? あいや、アヤネのドローンが補給ぶん投げた。狙い済ましたかのように……凄いなあの子シロコ数で押されそうになってるねじ込んでスペース潰そお、そろそろ砲弾落ちてくるかな……ヒュウ、ホシノの真上じゃん、弾着観測もしてないのにやるなぁ。
『"ホシノ、そこから────』
「ホシノ、3歩後ろに下がって盾を上に向かって70°傾けて構えて下さい!」
『え? ななじゅ、え?』
やばい困惑してるなんか被ったな先生かやばい後2秒おうちかえりたいどうする盾投げるかなんて言うべき?シロコ前出過ぎだろ何やってんだあいつまたスペース空いたじゃんイ゙ッデェ痛くないけどなんか変なとこに弾当たった!ホシノ動いてないじゃん何やってんだ動け動け動け!!!
「ホシノ! 盾を上に!!」
『わ、分かった!』
ぶん、とホシノが盾を上へ振り上げる。それと同時に、迫撃砲から放たれた砲弾がホシノの上空へと落下。
このふたつが奇跡的に噛み合った結果、砲弾は盾に弾かれ────
敵陣へと着弾した。
「ギャァァァァアア!!!」
「なんだ何事だ!?」
「迫撃砲撃った奴誰だァ!? 近にも程があるだろボケ!!」
───オーマイガー! 迫撃砲パリィしやがりましたよあのピンク頭!!
信じらんねぇ! どんな筋力してんだあの人バカじゃねぇの!!!
あんまりにもあんまりな光景を前に、集中が途切れる。
いっけね、集中集中。
片手でほっぺをむにむにと解します。
さぁ! 気を取り直しましてもう一度!
迫撃砲はいくつあるのでしょう遠いからよくわかんないけど多分60mm?そりゃそうだこんな場所に120mmとか持ってこられても困るいやぁしかし戦争じゃあるまいに迫撃砲持ち出すバカがどこにいるんでしょう背後のミニガンの音怖すぎるだろ奥のライフル持ちがシロコ狙ってるっぽい?射線遮りましょうまた迫撃砲撃ってるまぁ1分で30発は撃てる兵器だもんな活用するしかない敵陣の陣形がちょっと変わってる? いや、普通に制御失ってるだけ?割かし楽チンかもあいつスペース抜けそうお、ノノミが潰したナイス
奥から放たれたライフル弾を盾で防ぎ、撃ち返す為に銃を構える。
散弾ですし届く訳ないんで、あくまで牽制としてですが……あんまり銃弾を無駄には出来ないのが辛いところさんです。
して、素寒貧な懐事情を嘆きながらトリガーに手をかけた刹那、私は自身の異変に気付きます。
人差し指が全く動きません。
「……は?」
何故だ、いつもならノータイムで発砲和了してる。だのに何故、どうして、1ミリも動かない。
思考が巡ること0.2秒、トラブルシューティングの結果その原因がひらめきました。
違う。
これは普通に、私のせいです。
「チッ……」
銃を収め、足で地面を蹴り上げて砂埃を起こしお茶濁し。相手はヘルメットを被ってますし、大した効果は無いでしょうが。
全く、つくづく自分が嫌になる。めんどくせぇなぁおい、ストレス溜まるわクソが。
先程、私は自分の脳髄に巣食うニンフが目覚めた事を察しました。ニンフとは、我々ニケの唯一生身である脳のシナプスを支配する代物。ニケをニケたらしめる根源。
その支配には、行動制限も含まれます。
即ち、人間への意図的な加害の制限。
今の私は、自らの意志を持って彼女達を撃ったり殴る蹴るなどの暴行が出来ません。キヴォトスに来る前に戻った、という訳です。
くっそ面倒臭ぇな? 誰だよこんなん作って植え付けたバカはよ。モノ扱いかコノヤロウ。いや事実モノか。しゃーなし。
「指揮官!」
『舌打ちした……』
『舌打ちした……』
『"舌打ちしたね……"』
「……指揮官?」
通信先の皆さんはなんだか上の空。そんなんで大丈夫でしょうか。戦闘中なんですけれど。
『"あ、うん、どうしたのかな? なにかトラブル?"』
「あー、まぁトラブルと言えなくもないですが……。恐らく指揮官のご助力を賜ればすぐ解決するかと」
この厄介な性質は、1つ解決策がある。ニケは人間に従うモノ。現場において、我々の全ては管理する人間に委ねられる。
その者の許可があれば、大抵の制限からは開放されるのだ。
つまり、この場においては────
『"それは構わないけれど、何をすれば?"』
「ただ、一言。
『"なにを……?"』
「疑問は最もです。ですが、ここは飲み込んで頂きたく。」
『"えー……"』
後衛に銃弾が行かないようにヘルメット団の射撃を一身に受けながら、言う。勘弁してくれ、戦闘中に喋るのは慣れていないんだ。
何でもいいからはよしろ。何が"えー"だカマトトぶってんじゃねーよ敵陣営によくいるトリックスターみたいな顔しやがって。
じゃあ、とようやく先生は口を開く。
そのまま、あの女性にしては低めの、男性にしては高いハスキーボイスで言葉を紡ぎ出した。
『"ファルコン、
「……
そこ言葉を聞き入れたと同時に、目の前にいたヘルメット頭に銃口を向ける。この急拵えの対処療法、その答え合わせです。
結果は。
「ガァッ!?」
「クソ、撃ちやがった!」
「あぁこの音、おかしくなる!!」
散弾をモロに喰らい、後方へ吹っ飛ぶヘルメット頭。
これは紛れもなく!
「
そうと分かれば話は早い。このまま押し切ります。
「セリカ、五歩後ろへ。ノノミは2m程右へズレて。」
『わ、わかったわ』
『は〜い☆』
これで現在放たれている迫撃砲が当たることもなし。私の発砲により敵陣に大穴も空きました。
では、後は突破のみ。
「ホシノ。」
『はいはーい』
戦闘中とは思えない、気の抜けた返事。しかし、それが何よりも頼もしいものだと私は知っています。
故に、掛けるのは一言。
「……ブチかましましょう。」
『……オーケー、合わせるよ。』
目の前の赤いヘルメットが発砲した弾丸を頭を下げて回避。そのまま突進し、腹に向かってタックルを仕掛け勢いに任せて地面になぎ倒す。
「ぐえっ!」
そんな声でもない音を口から発し、ピクリとも動きません。
「ホシノ、盾を大きく振り下ろして! 3,2,1……今!」
『はいよー!』
再び落下してきた迫撃砲弾を、今度は狙って弾く。全く便利なやっちゃ。
迫撃砲は撃っても避けられるか弾かれ、空いた穴から蹂躙される。もう相手は恐慌状態に陥ってもおかしくありません、さっさと帰っていただきたい。
ですが何故でしょうか、まったく引いてくれません。いやまぁ腰は引けてるみたいですが、恐らくなにか精神的支柱があるのでしょうか? 最終兵器的な何か……
『みんな! 来たわよ!』
と、そこでセリカから通信。それと同時に、視界の端で黒光りする砲塔を携えたソレを認識。その先から巨大な発火炎が上がるのを見て、あぁそう言うことかという納得と共に盾を握りしめる。
「ホシノ、前に出ますよ! それ以外の皆さんは大きく後退を!」
こちら側の陣形を大幅に変更。ホシノと急ぎ前進すると同時に、背後で爆発が起こる。
『うっひゃあ、戦車だぁ!』
そうホシノが声をあげる。
戦車だ。実物を見るのは初めてかもしれないテンション上がってきた今ドリフトしたか?こいつがヘルメット団の奥の手ってワケね思ったより早いなシロコはちゃんと下がってんな? 先生の指揮か。先生の言う事は普通に聞くのなあの蛮族
『げほっげほ、あっぶな!?』
『ん、突っ込んでくる』
『凄いスピードです!』
怒鳴りつける様な爆音を鳴らし、砂地を滑るように颯爽と現れた戦車。
私の銃ならばあの装甲を砕く事はベイビーサブミッションですが、生憎残弾が両の手で数える程となってしまったこの状況では他の手を選びたいのが本音。
うん、それを考えるのは私の仕事では無いですね。適材適所です、時間は作ってやっからあとは頼んだぞ先生。
このままでは私達の元へ突っ込んできてしまい、砲撃の前に交通事故が発生します。まぁ当てられるのがホシノならば兎も角、その他は当たれば一溜りもないでしょう。
最奥にいる先生ならば尚更、綺麗なお花が咲いて敵味方関係無くトラウマ必至。十代がトラウマ作っちゃいけません。
私だってそんなん見るの嫌ですよ。人間を守る為にいるんですから。
仕方がない、と盾を打ち捨てて砂埃を立てながら突き進んでくる戦車へ突撃。進行方向を予測し、戦車の目の前へ立ち塞がります。
そして勢いのままに、右足を前蹴りの要領で思い切り突き出してやる。
オラッ! 止まれ砂戦車ァ!!
『……わお』
『はぁ!?』
ガン、と鋼鉄のぶつかる重厚な音が辺りに轟き、戦車の後部が浮き上がって更に激しく砂を巻き上げる。
『車だけでなく、戦車まで……!』
軋む身体。かかる圧力に堪らぬと包帯に赤い染みが広がっていく。
視界が歪み、頭が揺れ───いやいやと気を持ち直す。
『"───ッ今だ! シロコ、ドローン展開! ノノミ、全弾撃ち尽くして!"』
『ん!』
『分かりました!』
『"セリカ、ホシノの元に走って! ホシノ、セリカを飛ばして!"』
『分か……はぁ!?』
『了解。セリカちゃーん、おじさんの盾に上手いこと飛び乗って〜!』
『あ〜もう! ええいままよ!』
入り乱れる通信。その会話で、先生が何をしたいのかを察知。空いている手で、持っていた銃を斜め後ろ上空へ放り投げる。
射手って言うのは、何か動くものがあればつい追ってしまうもの。それは戦車だろうが変わらんだろ!
『"砲身が上を向いた! セリカ、今だ!!"』
『わぁぁぁぁぁあ!!!』
上空より、乱射する音。すると直ぐに、目の前の鉄板の内側から何か弾けるような音がして────……
「おおおお!?」
内部が爆ぜ、ひゅるりと火が吹き出たと思えば黒い煙がもくもく立ち上り始めた。大きな図体の分比較的ゆっくりと後部が地へ落ち、推進力を失ったのか身体にかかる圧力も失せる。
ふう、と息を吐いて足を収める。辺りを見れば、敵は各々バラバラに走り去っていた。
……つまるところ。
一件、落着。めでたしめでたし。あとは帰るのみ。
もう一度深く息を吐き、ぐらりと後ろへ落ちる様に倒れる。
『ファルコン!』
『ファルコン!?』
こちらへ駆け寄る先生含めたアビドスの面々。倒れた事で起きた砂埃越しにそれらを眺めていると、私はいつの間にやら瞼を閉じてしまっていた。
ひと握りの達成感と、安息と共に。
ブルアカPC版リリースにより容量カツカツ勢の私、400日ぶりにログイン───
1/31追記
ノノミとノゾミを全て書き間違えるというポカをやらかした挙句、感想欄にてノゾミとヒカリを間違えるという大バカをした詫び絵です。夜なべしました。
ヘタなので見なくていいです。
【挿絵表示】
先生は男にするべきか女にするべきか。それが問題だ。
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男にするべき
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女にするべき
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おねにーさん(性別不詳)にするべき