リコリス・リコイルコラボがやって参りました。立場が結構似ているカフェ・スウィーティーとの絡みが良い……。毎度の事ながらNIKKEはコラボストーリーがすばらです。
あとガチャが上手いので40連目で千束2枚抜きしました。
で、発表から3年経ったけどリコリコ2期いつだよ
コツコツ、と荘厳な廊下に軍靴の音が響く。
早歩き気味なその音の主は複雑な構造の廊下を迷いなく進み、1つの大きな扉の前で立ち止まる。
扉にノック。
返事が返ってきたのを確認し、その扉を開けて中へと入った。
「──来たか。」
低く落ち着いた歓迎の声。彼はそれに一礼で返す。
「今回は何の御用ですか? アンダーソン副司令。」
「今回は、か。いつも面倒事を押し付けられているとでも言いたげだな。」
「…………なんの御用ですか?」
彼に対面する男の名はアンダーソン。
戦術学も禄に教えられないままで前線に投入される指揮官達の中でも目覚ましい戦果を挙げ、副司令の座まで上り詰めた生粋の叩き上げ。そして、彼───特殊別働隊”カウンターズ”の指揮官直属の上司であり、後ろ盾となっている人物だ。
「君の隊が目撃した、ニケの消失事件。それの解析結果が出た。」
「! 結果はどうだったのでしょうか、やはりD-WAVEが……」
そう指揮官が言うと、アンダーソンはゆっくりと首を横に振る。
「確認出来なかった訳では無いが、あまりにも微弱だ。だがそれ以上に無視できない未知の信号が多数確認された。」
少し前、カウンターズが地上を彷徨っていた
もしも、あれが
実際にニケが消える様を目撃したカウンターズと指揮官は、それをD-WAVEによるものであると当たりを付けていた。だが、アンダーソン曰くそれは否。それどころか、その原因が未知であると告げられてしまった彼は目の前が暗くなったような感覚を覚える。
「……そんな顔をするな。私達にとっては不明でも、君であれば何か分かると思ったからこそ今伝えている。」
「と、いいますと?」
指揮官がそう聞き返すと、アンダーソンは目を瞑りゆっくりと息を吐き、そして目を開いて言った。
「解析された物質は一部に
話された内容は、通常ならば一笑に付すようなもの。そもそも見えないだなんて、信号としてありえない。だがこの状況において、カウンターズの指揮官にとってそれは重大な情報であったらしい。
「……!」
目を見開いた指揮官を見て、アンダーソンは微かに口端を上げた。
「何か知っている様だね。」
「以前、アブノーマル達との交流の中で似たことがありました。」
指揮官の脳裏に流れるのは、とある1件。
ゲートキーパーが発するD-WAVEによってこの世界へやってきた異世界人が使用していた機械の修理を、技術屋であるエレグと共に手伝っていた時の事。自身の世界に無い技術は”もや”がかかった様に視認する事が出来ない、とエレグと異世界の技術屋が揃って嘆いていたのだ。*1
その体験談を、指揮官は掻い摘んでアンダーソンに話した。
「なるほど。では、ニケが消えてしまったという件は……別世界の技術によるものが大きいと考えられるな。」
「はい、恐らくは。」
アンダーソンの推理に同意を示す。勿論それ以外の線もあるのかもしれないが、彼はその可能性に賭けたかった。
リプレイス1──ソルジャー
それに、保護したリプレイスの2人の事もあった。ソルジャーF.A.が忽然といなくなり、完全に消失したと認識された時の2人の顔が忘れられなかった。きっと叫び出したい程の激情を内に押し込め、気丈に振る舞う2人の姿が嫌に記憶に残ってしまった。
だからこそ、消失した彼女を取り戻したい。理由は今のところ、それだけである。
「君の言う事が正しければ、これ以上不明な信号の解析を試みても無駄だな。ならばこちらは、微弱なD-WAVEの発信源の特定を進めるとしよう。」
「……はい、よろしくお願いします。」
「では、もう行きなさい。5分後に会議があるのでね────」
会話は終わり、以降の動きも確定したところでアンダーソンがいつも通りの理由で指揮官を送り返そうとしたその時。
「アンダーソン!」
怒号と共に、扉が勢いよく開いた。その2重の爆音に指揮官は驚いて後ろを振り向くと、そこには彼も良く知る……というか、アークでも広く知られている人物がそこに立っていた。
「……どうかしたか、イングリッド。」
新たな来訪者は、アークを支える三大企業が一角エリシオンのCEOイングリッド。仮にも重役であり、日頃は冷静沈着である彼女が青筋をうかべ珍しく声を荒げている。
「どうかしたか、ではないだろうアンダーソン。」
そのままズカズカと室内へ入り、進路上に立っていた指揮官を一瞥してから押し退け、アンダーソンの対面へと立つ。
「ウチの
「イングリッド、来るのであればアポイントメントを取ってもらわなければ困るな。」
「とぼけるな。地上でFA002156の信号が途絶えた件について知っている事を話せ。」
「それならば、そこの彼に聞いた方が早いだろう。私は忙しいのでね、部屋から出てくれると助かる。」
表情ひとつ変えずにひらりとイングリッドの押し問答を躱し、2人纏めて部屋から押し出すアンダーソン。
呆気にとられた様子で、バタンと閉じられた扉を眺める指揮官。
自分が売られたという事に気付いたのは、イングリッドに自身の肩を掴まれた時だった。
☆
「……」
「あ、起きたみたいです」
「ん、おはよう」
おはようございます。今日も元気に、ソルジャーF.A.起動しました。
さて早速ですが問題発生。目が覚めて1番、天井が目の前というハプニングです。どういう事だってばよ…?
急いで現状把握。どうやらソファか何かで上半身を寝かせられているらしい。
そしてこの香しい匂い、食器がぶつかったり何かを啜る音。間違いありません、柴関です。
先程まで私は砂漠にいたはずですが…あぁ、戦車止めて気絶しましたね。ということは、ここまで運んでくれたのでしょうか。よく運べたな、このニケの身体を。
で、この天井はなんでしょうか。
目の前真っ暗なんですが。手でどかしてみます?
……いや待て、嫌な予感がする。私の小さな灰色の脳細胞が唐突に活動し始めました。
この後頭部に感じる感触、何かの枕でしょうか? いえ、そんな単純な話ではありません。
目の前に位置するこの謎の天井、そして後部の枕。
なるほど、ナゾ解明。
これ膝枕です。
「……おはようございます。」
「おはよ〜、食べられる? 大将がラーメン作ってくれたよ」
極力触らないようにして起き上がって右側を見ると、やはりそこには想像通りの顔が。
「もう少し寝ていても良かったんですよ?」
「…いえ、ご迷惑おかけしました。」
ノノミです。つまり天井と誤認したそれはただの下乳であったと。
でっけぇなおい、ウチの世界でもやっていけるよあんた。
まったく危ない所でした、考え無しに触っていればどうなっていたことやら。頭の中で灰白質の使い方が上手い緑目の紳士な名探偵がこちらに親指を立ててウインクしました。いや誰やねんお前。
「ラーメン、頂きます。ありがとうございます。」
「はいは〜い。たいしょー! ファルコンにも1杯!」
「お、起きたかファルちゃん。待ってな、すぐに作るよ」
時刻は明け方。空が白み、太陽が少しお見えになっています。
こんな時間になるまで柴大将は彼女達の事を待ってくれていたみたいですね、有難いことです。
私も厚意に乗っかっておきましょう、これくらいは許されるべ。
「私は、どれくらい眠っていましたか?」
「ん、30分と少し」
なんと30分も気を失っていたらしい。ニケのクセして? やばいね。
「言うのも何ですが、よく運べましたね。」
そう言うと、ノノミの対面で何故か微動だにせず不思議な体勢で座っているホシノが口を開く。
「ノノミちゃんが運んだんだよ、ちからもちだからね。」
「はい! 鍛えてますから〜☆」
マジでか。
よく持てたな、鍛えてるからで通るのかそれ。人の形をとっている分かなり悪質なデットリフトだぞ。
「お怪我はされていませんか? 私は見た目よりも遥かに重いですから……」
「私は全然平気です! でも、一度持ち上げようとしたホシノ先輩が腰を痛めちゃいました〜」
「うへぇ…おじさんももう歳だねぇ……」
そう言って、ホシノは少し座り直そうと身を動かし───およそ年頃の女子とは思えない音を喉奥から響かせ、動かなくなってしまった。
「ホシノッ!? た、大変申し訳無く…!」
「おぉ…お、おじさんは大丈夫だよ……大丈夫…。それよりも、あっちの方が重症かな……?」
脂汗を浮かべながらへろへろと指を指した先。そこには、ソファ席で完全にうつ伏せになって死んでいる人影が。
白いYシャツに、黒いパンツスーツ。申し訳程度に白いコートがかけられているその人は紛れも無くヤツです。
「せ、先生…?」
「"違うよ"」
「違う、とは…?」
「"まだ爆発してないから。その1歩手前の瀬戸際に今私はいるんだ"」
「は、はぁ」
「"危なかったね…あの時、あと少しでも力を入れていたら大爆発だった……"」
「先生ってば、さっきからずうっとあんな事言ってるんだよ〜」
「"まだまだ若いつもりなんだけどね……"」
顔だけこちらに向け、真っ青な顔でそう不敵に微笑む先生。普段ならば背筋が張る様な妖しい笑みですが、あそこまで顔色が死んでいるとまったく何も感じません。
して、彼女らの話を整理するとこうです。
私が倒れてしまい、気を失って起き上がる気配も無いため───マジで申し訳ない───仕方が無く乗ってきた車へ運び込もうという話になったそうで。
☆
「"じゃあ、ファルコンは私が運ぶから。アヤネは車を持って来てくれるかな?"」
「はい、分かりました!」
そう言って車を取りに行くアヤネ。その姿を見送ってから、先生は地面に仰向けで倒れたファルコンに目を落とす。
身体の至る所に巻かれた包帯には赤い染みが広がっているのが確認できる。傷口が開いてしまったという何よりの証拠だ。
極力負担をかけないように運ぼうと意気込んで、先生は腕を下に滑り込ませた。
「大丈夫なの先生〜?」
「ん、ノノミとかが運んだ方が……」
「"いやいや、このご時世だからって女の子に……ましてや生徒にお株を取られては先生として面子が悲鳴をあげてしまうからね。任せて。"」
夜風に晒された砂はとても冷たく、ファルコンの身体が冷えない様に早く持ち上げようと腕に力を込める。
そしてそのまま、その身体を上へ─────
「"─────あ"」
「おお?」
「ちょっと、どうしたの?」
その体勢のまま硬直する。
「"待って"」
再び硬直。その姿勢から一切動くこと無く、何かを思案する。
長い沈黙の末に。
「"あ、OK大丈夫。やっぱ止めとく"」
放たれた言葉は諦めだった。するりと手を引っ込め、生徒達の元へと戻っていく先生。
「え〜っと……」
「急にどうしたのよ?」
そう問いかけると、先生はどこか影の射した微笑みで思惟の末の判断を口にする。
「"今一瞬ね、腰がヤバかった。"」
「腰が…?」
「"この爆弾は爆発させる訳にはいかない。一旦落ち着けという啓示なんだよ"」
「なに、その感覚…」
「"ごめんね、見栄張った。大人だとかそれ以前にこういうのはね……うん。体年齢だ"」
「情けない敗北宣言ね……」
「ん、悲鳴を上げたのは面子じゃなくて腰」
「もう、先生も歳だからしょうがないねぇ〜。ここはおじさんが一肌脱ごうかなぁ?」
そう言ってエントリーしたのはアビドスの最高戦力、小鳥遊ホシノ。
腕を捲り、この程度はベイビーサブミッションだとでも言いたげに軽い足取りで近付く。
先程の先生と同様に手を滑り込ませ、体勢を整え、そしていざ力を込め────
「───ゔっ」
「…ホシノ先輩?」
「ねぇ、これさっきも見たんだけど」
「ん、天丼」
一瞬、その身体は硬直し……やがてブルブルと震え始める。ほんの数秒前の涼しげな顔を保ったまま脂汗のみが吹き出しているのがわかった。
「ノノミ、いける?」
「う〜ん…どうでしょう。お二人の後だと心配になってきました……」
「ん、二度あることはなんとやら…」
「…3度目の正直を取りたいわね」
そうして、困ったような笑みを浮かべながらノノミはファルコンへと近付き────そのまま、ひょいと持ち上げてしまった。
「あっ、意外といけますね☆」
「……うっそ…でしょ………」
「"なん………だと………"」
ファルコンを赤子同然に持ち上げるノノミ。食い入るように見つめるホシノ。驚きのあまり逆にシロコとセリカの方を向く先生。
そしてそれを、「何してんだこいつら」と言わんばかりに眺める傍観者のシロコとセリカ。
その一部始終を目撃した、逃げ遅れ潜伏していた元トリニティのヘルメット団はのちにこう語った。
その様相はさながら、ラファエロの描いたシスティーナの聖母であった───と。
☆
へぇ〜、あほくさ。
意識が飛んでいた間にそんなコントを繰り広げていたとは、アビドスも先生もなかなか侮れません。
しかし、いかにアホらしかったとしても私が原因となって2人の身体に異常をきたしてしまったのもまた事実。
正直何やっとんねんこのアホコンビはと言いたい所ですが、実害が出てしまっている以上責任はニケたる私にあります。
「本当にご迷惑をおかけしました…なんとお詫び申し上げれば良いか……」
「いいっていいって…気にしないでぇ」
「"私達が油断しただけだからね。あと体年齢がね、追い付かなくてね。"」
「しかし、元はと言えば私が気絶してしまったのが原因ですから──」
「ん、平気。ファルコンは良くやった。」
「ですが…。」
まったく、私程のレベルになると意識が無くとも人に迷惑をかけることが可能と言う事が判明してしまいました。
その昔三社合同会議とやらに教官の同伴として行った際、廊下で待機していた時ミシリスの社長さんに「邪魔よ、いるだけで迷惑ねこの鉄くずは」と蹴り飛ばされた事がありますが……どうやら私の迷惑度は成長しているらしい。上限あれよ。
関係ないですが、程なくしてミシリスの社長さんは肋骨を折って入院したのだとか。はは、ワロス。
教官によるとニケに蹴り飛ばされたのだとか。ざまぁ。
特別に教えてもらいましたが、そのニケはエリシオンとの事。やったぜ。競合他社のCEO相手に何やってんだすげぇなそいつ。
話がズレましたね、戻しましょう。
過程がどうであれ、現在先生の腰に爆弾が設置されホシノの腰が爆発した原因を作りやがったボンバーマンは私です。
それもこれも気絶したせい。いやはや戦車止めた程度で気絶するとは…ラプチャーがいないせいで気が抜けているのでしょうか? 良くないね。
「ファルちゃん! お喋りも良いが、食べてないだろ?まず腹に入れときな!」
むむむと思巡していると、柴大将が小ぶりな器に入った醤油ラーメンを目の前に差し出してくれました。
胃に優しい醤油。しかも油と塩分少なめ。そして控えめな量! 細部まで気を使った完璧な1杯です。これサービスってほんとです?
シロコに視線を送ると、サムズアップが返ってきました。続けて柴大将に視線を送ると、ニカッと精悍な笑みを返されます。
善人ここに極まれり、と…。ここまで気持ちのいい善人を前にすると、嫌味言いながら蹴ってきたガキンチョが同僚に蹴っ飛ばされて骨折した話で喜んでいる私が如何に矮小な存在かを自覚しますね。
自己嫌悪も程々に、割り箸を割って食べようと麺を掴み上げ───ふと気になった事を口にします。
「そういえば、セリカとアヤネは?」
店内に姿が見えません。一体どこにいるのでしょうか。
「セリカちゃんとアヤネちゃんは、学校まで湿布を取りに行っていますよ☆」
「うへ…ほんと面目ないよねぇ……先生…」
「"ふふ……いつか2人にも、この痛みを味わう事になる日が来るさ…"」
「うへへ…」
「"ふふふ…"」
「……ん、陰湿。」
問いに対するやけにジメジメした返答、シロコの冷静なツッコミ。
なんなんだこの人達はと思う反面───こうして間近で人間達の仲睦まじい姿を見られるのは良いな、アークでも住民達はこんな感じで平和に過ごしているのかなと思う。
人間のこういう営みというか絡み? なんか見た事ありませんから、キヴォトスに来れてよかったなぁとしみじみ感じられます。
私達が戦うことで、アークでもこういった日常が守られているのだと思えばいつあちらに戻っても士気は十二分。ラプチャーにも果敢に挑めるというものです。
殆ど出ている太陽に照らされたオレンジと青の入り交じった空を眺め、何かが満たされる感覚を味わいながら麺を啜る。
この瞬間のこの味。きっと私は、機能を停止するまで忘れる事は無いだろうと確信したのでした。
私は割とシュエン好きですよ…? 序盤のクソガキっぷりとか中盤にかけての余裕の無さとか最新辺りの不憫ぶりとか。
1番好きなのはアンダーソン副司令ですけどね。スペルの綴りがAndersonじゃなくてAndersenなの天才かと思った。私もハッピーエンドが好きです……
先生は男にするべきか女にするべきか。それが問題だ。
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男にするべき
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女にするべき
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おねにーさん(性別不詳)にするべき