やはり俺の幼馴染と後輩がいる日常は退屈しない。 作:あべかわもち
気軽に読んでもらえたら嬉しいです。
第1話 いつも通り俺の朝は幼馴染から始まる
比企谷八幡の朝は早い。
まだ外は薄暗く仄かな太陽の光が差し込む程度の頃、俺は眼を覚ます。
枕元のケータイをみると午前6時。
ちなみに着信が50件と表示されている気がするが気のせいだ。
最近はなぜかこの時間に目が覚めるのが普通になってきたが、4月とはいえ朝は冷え込みがキツく、眠ってやり過ごしたいのが本音。ただ、一度ついた習慣を崩すのは難しい。
俺は掛け布団をかぶり直し、まどろみの中で睡魔との緊張状態を楽しむ。この瞬間が俺にとって最も幸福な時間と言っても差支えない。いや小町と居る時間の方が・・・
こんなことを考えながらウトウトしているとコンコンと窓をたたく音が聞こえる。
なんだよ、邪魔すんなよ。
今は俺の至福の時間であって・・・
俺がなんだかよくわからない幸福の科学をしていると、窓がガラガラと音を立て、朝の冷え切った空気が部屋に流れ込む。
しまった。
なんで窓にカギをかけなかったのか。
ふざけんなよ昨日の俺。
めちゃくちゃ寒ぃじゃねえか・・・いやまずは窓を開けたことについて文句を言えよ。
「八幡?入るわね」
ふいに女子の声が小さく聞こえた。
こんな時間に誰かが部屋に入ってくるとか、マジ恐怖しかないわけだが、不幸なことにも俺はその来訪者に心当たりがあった。いや、そいつだと断定できる。小町に誓ってもいい。
「もう入ってきてるじゃねぇか。てか早く窓閉めてくれよ・・・」
「なーんだ、もう起きてるし。せっかくあーしが起こしてやろうと思ったのに」
「まだ朝早いんだから寝かせておいてくれよ。おい!なんで布団の中に入ってくんだよ!」
「え?」
「は?」
「だから、あーしがあんたを暖めてあげようって言ってるんじゃん」
「いやいや頼んでないし」
「頼まれてねーし。あーしがしたいからするんだし」
なんだよそのジャイア二ズム。
「あっなにかしてきたら八幡に襲われたって小町に言うし」
「やめてくださいお願いします」
やっぱりジャイア二ズムじゃねぇか。
「つーか狭いんだよ!てか、俺の至福の時を邪魔すんなよ」
「至福ってなんだし。あーしと居る方が嬉しいっしょ?」
「いや俺は一人の方が」
「ごちゃごちゃうるさいし。ほらもっとこっち来るし」
「ちょ、おま・・・」
そんなに抱きつかないでくれませんかね。
なんか色々と柔らかくてやばいんだが。特に背中を中心に。なんだかいい匂いもするし。シャンプーの匂いなんだろうけど、なんでこうも俺の使っているのと違うんだろうね?頼むからなんとか耐えてくれよ俺の理性!
横向きで三浦に背を向けてるから良いものの、今顔を見られたらまずい。なにがまずいかわからないがとにかくまずい。
いやいやリトルはちまんの出番はないぜ?
「なんでそんなにくっつくんだよ」
「別にくっついてないし!あ、あんたはあーしのカイロなんだからごちゃごちゃ言うなし!」
「どんなツンデレだよ・・・」
「ツンデレってなんだし?」
「別に」
「教えないと離れない」
「教えたら出てってくれるのか?」
「却下」
「なんだよそれ・・・」
「いいから教えろし」
「はいはい」
こうやって俺の朝は、三浦へのツンデレ講義から始まったが、ツンデレについてはまったく理解してもらえず、「八幡は変態だし!」と罵られるのだった。