Hunter世界でどう生きるか   作:武本良い肉

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書き溜めがこれにて終了。仕事が忙しくなることも含めて、更新頻度が落ちると思います。それでも良い方は、これからも読んでいただけると嬉しく思います。


第12話

「ところで、2人の今日のご予定はどうなっていますか?」

 

「俺たち2人とも暇だぜ、何てったって2人ともクビで職無しだからな!」

 

「いや、現状、暇なのはそうなのですが、僕はクビになったのではありません。ブラックリストハンターを目指すために、やむをえず辞職したのです。」

 

今日は準備の他にもやりたいことがあったので、2人に予定を尋ねと、どうやら2人とも暇らしい。明確な目標のあるアデルはともかく、ギュンターは無職に危機感がなさすぎないだろうか、ガバガバ笑いながら無職宣言をしている。思わず冷たい視線を送ってしまうが、まるで気にしている様子がない。

 

「それなら、実力の把握も兼ねて模擬戦をしませんか?今回は武器の使用もオッケーで。」

「おっいいねぇ。前はコテンパンにやられちまったから、今回は勝たせてもらうぜ?」

「武器使用オッケーとの事ですが、銃でも良いですか?僕の獲物はこのハンドガンなのですが。」

やりたかった事とは、模擬戦である。婚姻決闘で大体の実力はわかったものの、武器使用禁止の縛りがあったうえ、私の都合の良いタイミングでの決闘だったため、実力を発揮し切っていたわけではないだろう。なので今回は出来るだけフェアな状態に近づけた、実戦を想定した力試しをしたかったのだ。

 

提案をすれば、2人とも乗り気のようだ。もちろん銃器もオッケーなので、その旨を伝えると、アデルはガッツポーズをして喜んでいる。だがギュンターが獲物を取り出すそぶりを見せないので、疑問に思い尋ねてみる。

 

「あー、俺の獲物はデカいから持ち運びには向いてなくてよお、今日は持ってきてないんだわ。」

 

との事である。どんな獲物なのか聞いてみると、どうやらバリスティックシールドを使うらしい。そりゃあんなデカい物普段は持ち歩かないか。ゴリゴリの強化系が頑丈な盾を装備するなんて聞くだけで嫌な気分になる組み合わせだ。私もキメラアントの硬さを突破することを想定して切り札を用意しているが、はたして防御が抜けるだろうか?

 

「そんなギュンターに朗報があります。我が家では、ライフル弾すら防ぐ最高レベルのバリスティックシールドから、暴徒鎮圧用のライオットシールドまで取り揃えておりますよ」

 

残念そうなギュンターにそう伝えると、露骨に嬉しそうな顔をしているが、反面、アデルはなんでそんなものが家にあるんだと顔に出ている。なぜ我が家にそんなものがあるのかというと、ハンター試験を受ける事をおじいちゃんに伝えた際に、大量に武器防具が送られてきたため、屋敷の一室が武器庫みたいな状態になっているからだ。

 

なんだったらマガジンはないかもしれないが、ハンドガンで一般的に使われる弾薬はほとんど揃っているので、アデルには予備弾薬を持って行くように伝えた。普段持ち歩いているのなんて、自衛用にワンマガジンだろうと予想してそう伝えたが、予想通りだった。武器庫部屋に案内すると、2人揃って部屋を漁っている。こらっ!そこの2人!デカい刃物に興奮する気持ちはわかるがそんな物でチャンバラごっこしない!早く取る物取って部屋を出る!

 

渋る2人のケツを叩いて、婚姻決闘の際に用意した決闘場に向かう。結局ギュンターはバリスティックシールドの1番デカくて頑丈なやつとナイフを数本、アデルはグロック?とかいう銃器のマガジンを何個かと、予備の弾薬を持って行った。どうやら警察で普段使われている一般的な銃のため、我が家の武器庫部屋にも予備マガジンがあったらしい。

 

まずはアデルから先に模擬戦だ。そう2人に伝えるとギュンターは不満そうにしているが、一戦して疲労した状態で初めての対銃器戦闘をやりたくない。今回は我慢してもらおう。

 

「それでは両者、準備に不足はないな?」

決闘場で開始位置に着いた私とアデルに、ギュンターがそう問いかける。無言で頷けば、あとは立会人のギュンターが合図を出せばスタートだ。オーラ総量と配分は以前と決闘とさして変わらず、足にオーラの配分が偏っている。銃器はすでに抜かれており、右手に保持しているが、銃器にオーラを込めたりするつもりは今の所無さそうだ。

 

銃器を使うと聞いてから色々と考えていたが、私が現状の情報から想像できる戦闘スタイルは3つ。一つ目は婚姻決闘の時の戦闘スタイルをベースに、合間に銃撃を加えるスタイル。ただでさえ遠距離攻撃手段が増えるだけ厄介だが、銃撃で隙を強引に作り出して強力な蹴り技で決めるコンボは凶悪だろう。

 

二つ目は攻撃手段を銃器に限定して、自慢の脚力は回避に使う引き撃ちスタイルだ。私の脚力ではアデルに追いつけそうにないので、下手すれば遠距離から一方的に銃撃を喰らい続けかねない。

 

三つ目は上記二つのハイブリッド。普段は一つ目のスタイルで戦闘をして、不利な場合は距離をとって銃撃と回避に専念する。これが1番面倒くさいが、1番理にかなっている。おそらくこの戦闘スタイルだろう。

 

だが対策の取りようはある。私もアデルと同様に足にオーラを多めに配分して準備は完了。ギュンターの合図を待つ。そしてついにその時は来た。

 

「試合開始!」

ギュンターの合図の声を聞いて、すぐに横に飛び退く。銃口がこちらを向き、光を発するのを確認した瞬間に反射的に避けたが、どうやらそれは正解だったようだ。先ほどいた場所を通過するように風切り音。やはりこちらも動き回らなければ良い的になってしまうだろう。今回はお互い本気だ、切り札を切らせてもらおう。

 

だが大技を出すには、まずは布石から。今回は念弾の形状をレイザーのような球系ではなく。フランクリンのような粒状の弾丸で放つ。防御を捨てた回避重視のアデルには速度も数も出しやすいこちらの方が良い。

 

もちろんこれだけでは捉えるまでに相当時間がかかるだろう。弾丸が切れるか私のオーラが尽きるかの持久戦に持ち込まれてしまう。なので工夫をする。弾速に緩急をつけて弾道もわざとバラけさせるのだ。点で当てられないなら面で当てれば良い。

 

だがそれだけで勝たせてくれるほど甘くはない。銃撃によってこちらを揺さぶり、安定して念弾を放ち続けられないように仕向けてくる。それでもこちらが有利な状況には変わりはない。

 

念弾と銃撃の応酬を繰り返すたびに、徐々に徐々に、フィールドをノロノロとした超低速の念弾が埋め尽くし始める。私が念弾に緩急をつけた1番の目的はこれだ。点でも面でも捉えられないなら空間ごと捉えてしまえば良い。回避のための空間が制限され始めたアデルがどうするのかを注意して観察する。

 

するとどうだろう。このまま決闘場内で戦っていても不利だと悟ったのか、森の中へ逃げ込んでいく。確かに木々に視界を隠されたフィールドでは、念弾の射線が制限されるうえ、近接格闘能力に劣る私の方が不利だろう。だが私が最初から求めていたのはこれだ。銃撃の脅威から解放された数秒の隙。大技を放つその時間を。

 

オーラを円盤形に形成する。その時にオーラの性質を少し変える。物体を透過せず接触できるように、物質とオーラの中間的性質に変化させる。ゴンのチーや、ゼノの龍頭戯画とやっていることは似ている。というかこの技は龍頭戯画を自分なりにアレンジしたものだ。円盤状に形成したオーラに乗って飛行する。やっているのはこれだけなのだが、私が乗れるほどの大きさと強度を確保したものを作るのには、どうしても数秒の時間が必要だった。

 

だが完成してしまえばこちらのものだ。アデルの銃撃圏内から飛び上がり抜け出す。移動速度は流石にアデルに軍配が上がるものの、その差はさほど大きくはない。そして制空権は私のものだ。

 

後は上空から念弾を撃ち続ければ勝ちは確定と見て良いだろう。え?銃撃があるだろうって?それはそうなのだが考えてみてほしい。人間の構造上、そして銃の性質上、空に向かって打ちあげるのは相当無理があるのだ。それも念弾を回避しながら円盤で移動し続ける私に当てようなんて到底無理な話だ。

 

「アデルさーん!もうほとんど私の勝ちみたいなものですけど、降参しませんかー?」

 

そう降伏勧告をしてみても、反応は無い。どうやらまだ戦うことをお望みのようなので、森に逃げ込んでも勝ち目が薄いことを理解してもらおう。二つ目の切り札を使うことにする。

 

銃撃の届かない上空にて、一つの念弾に詰め込めるだけのオーラを詰め込み、円盤形に形成する。ここまでは私が今移動に使っている円盤と大差はない。だが形成時に、円盤のフチを鋭く刃になるようにする。

 

オーラを詰め込みすぎて直径4、5メートルに膨れ上がった円盤を操作して、徐々に徐々に回転させていく。初めはブォン、ブォンといった低くゆったりとした音だったのが、回転数が増すごとに高く鋭い音に変わっていく。音がヘリコプターや巨大な草刈機のような音になるころには、オーラの形状を維持するのが少しキツくなってくる。もう頃合いだろう。一応警告はしておこう。

 

「アデルさーん!今から膝のあたりに向けて攻撃するので、絶対に避けてくださいね!防御は本当に危ないですからね!」

 

さて、聞こえたかどうかわからないが、地上からならこちらの様子はよく見えているだろう。なんかやばそうな技をチャージしている様子も見えているだろう。この攻撃は速度もそう速いものでもないし、避けてくれるだろう。対キメラアント用に考えた攻撃力重視の切り札、とくと喰らえ!

 

「いっけええ!」

 

掛け声と共に切断用円盤が飛んでいく。耳元で大音量で鳴っていた、ギュイーンともブオーンとも言えないような音が徐々に遠ざかる。そして数秒後、地面まで降下した切断用円盤を操作して、地面に沿って移動させる。するとどうだろう。切断用円盤に沿って森の木々が次々と切断されていく。まさに芝刈り機で芝を刈っているようにスパスパと地面に切り株だけ残して。

 

「こ、降参です!降参!」

しばらく森林破壊を繰り返していると、切り倒した木の一つからアデルが這い出してくる。どうやら木の高いところに掴まって難を逃れていたようだ。降参宣言を受け入れて地上に降りると、アデルは地面にへたり込んでいる。まあ私もあんな技喰らいたくないし気持ちはわかる。そもそも人間に放つ想定の技じゃないし。

 

そもそも飛行手段や有効な対空攻撃手段を持たないのに、私が制空権を取った時点で降参しなかったアデルが悪いのだ。だから、死ぬかと思いましたよ、なんて言いながら、そんなに恨みがましい目で私を見ないでほしい。普段修行の時でも滅多に使わない大技を放つ機会が出来たから、興奮して思わず使っちゃったとかそういう訳ではないのだ。信じてほしい。

 

「よお!2人とも無事かー?」

そう内心で言い訳していると、ギュンターが駆け寄ってくる。どうやら決着がついた事に気がついたらしい。私の勝ちだと宣言をして、これにてアデルとの模擬戦は終了である。

 

「ギュンター、模擬戦ですが、少し休憩してからでも良いですが?流石に少し疲れました。」

次はギュンターとの模擬戦の予定だったが、アデル戦で大量の低速念弾と切断用円盤に多量のオーラを使いすぎた。もう残りのオーラが3割ちょっとしかないので、これではギュンターとマトモな模擬戦ができないだろう。そう伝えれば、少し不服そうにしながらも休憩を了承してくれた。お言葉に甘えて、少し家に戻ってお昼寝することにしよう。




多分これだけ火力過剰な技でも王に傷すらつかないんだよなぁ。想定としては数分間持続可能、移動可能なカイトのサイレントワルツでしょうか?直撃すれば護衛軍なら怪我をさせられるかも?チャージ時間が非常に長い、円盤の速度が遅いので、当てるのが不可能に近い点を除けばですが。
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