模擬戦が終わり数ヶ月経過。その間は2人と共に、サバイバル訓練をメインに、戦闘経験を積むための模擬戦、念の訓練を合間にやっていた。
サバイバル訓練を始めたばかりの頃は、全員が未経験だったこともあってか、失敗しまくりで本当に散々な目にあった。
念によって獲物は簡単に見つけられるし確保できるものの、それが本当に毒が無い、食べて良いものかどうか判断がつかない。サバイバル用の図鑑を見ながら、食べられる猪や鹿を捕まえるものの、肉の捌き方が下手すぎて、捕獲した獲物の体重の10%くらいしか肉が取れない。その肉も切り分け方が雑でズタボロ。血抜きが上手くできていなかったのか血生臭いし、皮も剥ぎ取り方が下手すぎて穴が空きまくりで使い物にならない。
念の刃によって木をスパスパ切り倒せるから、シェルターも簡単に作れるだろうと思っていたら、雨漏り、隙間風、虫さんトコトコ、風でシェルターごと吹っ飛ばされる。濾過と煮沸、どちらが悪かったのかわからないが、確保した水を飲んだギュンターが数日間下痢に悩まされる。
拾った薪で焚き火をするも、ライターがあってもまともに火がつかない。火がついてもすぐ消える。料理をしようにも、焚き火を囲む炉を組むのが下手すぎて、飯盒が置けない。肉を焼くために枝に刺しておいたら、いつのまにか野生動物にパチられる。火力の調整が下手すぎて、外はマルコゲ、中は生の生ゴミを量産する。
他にも、毒キノコ誤食事件やら、不法侵入密猟猟師誤射未遂事件、天然記念物捕食未遂事件など、数えきれない酷い目にあった。ハンターになるための訓練中にハントされる側になるのは本末転倒なので、全て未遂で済んでよかった。あと明らかな毒キノコと、天然記念物を料理にぶち込もうとしたギュンターは、食事係からは永久追放となった。あいつ図鑑の絵ばっかり見て肝心の文章を読み飛ばしやがるせいで、重要な注意事項をまるで確認出来ていない。勘弁してくれ。
そんな失敗ばかりだった私たちだが、この数ヶ月の訓練により、見違えるほどのサバイバルスキルを習得した。狩猟した動物をまともに捌けるようになったし、それを料理するのもお手のものだ。二、三時間もあれば雨風しのげる程度のシェルターも作れるようになった。
キノコと野草を食べることは諦めた、図鑑を見ても似たような特徴の種類が多くて判断ミスが多いし、リスクをおかした割には、得られるカロリーか少なすぎる。ゾルディック家の人間みたいな毒耐性は持っているなら話は別だが、あいにくと私はそんなビックリ人間では無いのだ。
結局は、初心者が手を出すべきものでは無いという結論に至った。つまり私たちのハンター試験中の食事が、肉、水、非常食の三択とかいうふざけたメニューになる可能性が出てきたわけである。あまりに悲しいメニューすぎるので、ビタミン補給も兼ねてドライフルーツを荷物に追加することが決定した。
きちんと獲物を捌けるようになってから知ったのだが、狩猟した動物をすぐに、きちんと血抜きと内臓の処理をすると、一般的に流通しているお肉に負けず劣らず美味しいお肉になる。特に熊肉なんて最高だ。まずジビエ特有の獣臭さが少なく、脂は口溶けが良く甘い。高級和牛にも匹敵するか、部位によってはそれ以上の強烈かつ、いつまでも口に残り続けるような旨味を感じられる。
今のところ、1番美味しい熊の食べ方は熊鍋だろう。臭みがあまり無いため、他の食材と一緒に煮てしまっても問題がないし、香りの強いハーブや野菜と一緒に煮込んでしまえば、その少しの獣臭も無くなってしまう。そしてなにより、熊肉と熊骨の骨髄から出る出汁が、スープに強烈な旨味と甘みを加えてくれ、そんなスープを吸った野菜なんてもう最高なのだ。
どれくらい最高かというと、私が前世を含めて今まで生きてきた中で、一二を争うくらいの美味さだ。ちなみに比較対象は青森の漁港で食べた旬の採れたて大間のマグロだ。カマの塩焼きがおいしかったなぁ。外はパリっと焼き上げられて香り高く、大トロに近い脂と皮目のゼラチンが溶けて非常にジューシー、それでいて身はふっくら柔らか、そして濃厚な旨みと甘味がシンプルな塩味との最高なマッチングなのだ。
そして何より、中落ち丼が最高だった。脂はさっぱりとしながらも、中落ち特有の濃厚な旨み、ねっとりとした柔らかな口溶け、米と脂の甘味と旨みが、ワサビ醤油の塩味、爽やかな香りと辛さとの完璧なマリアージュを作り上げているのだ。思い出しただけで、思わず口の中がヨダレまみれになってしまった。なんだか無性に寿司を食べたくなってきた。今世に生まれて10年間、寿司なんて一度も食べていないのだ。ハンター試験が終わったらジャポンに行ってみようかな。あそこは寿司があるみたいだし。
さて、話を戻そう。熊肉含めたジビエの問題は、筋が多い部位が結構な割合で存在することだろう。手間暇掛ければ非常に美味しい部位ではあるのだが、限られた調理器具で、火力が不安定な焚き火を用いたサバイバル料理だと、ロースやヒレのような食べやすい部位以外は料理しずらいし、食べづらい。なので最近では下処理を済ませたら、今食べる分だけを確保しておいて、その他の部位は家に持ち帰ったり、街に売りに行ったりしている。
これが案外良い稼ぎになる。食べやすい良い部位を自分たちで食べてしまうので、その分、結構な金額を値引きされてしまうが、それでも一匹二、三万ジェニー、高ければ五万くらいにはなるし、ものによっては害獣駆除の報奨金まで支払われる。
ギュンターとアデルは実家にいるのが気まずいし、修行のたびに丸一日かけて実家とうちを往復するのも面倒らしく、この数ヶ月間、私の家の近くにあるホテルに宿泊している。その際に掛かる宿泊費、道具を買い揃える費用、ハンター試験会場への交通費貯蓄として、ありがたく使わせていただいている。
ホテルの宿泊についてだが、当初は家に空き部屋が何個かあるし、そこに泊まって貰えば良いと思っていたが、ママから止められてしまった。どうやら、結構年齢差のある状態での婚姻決闘だったため、2人とも、ママからロリコン疑惑を持たれていたようで、一つ屋根の下で生活させるのは危険ではないか危惧していたようだ。
事情を知っている私は思わず2人を見て笑ってしまったが、許して欲しい。事情を話してしまえば、2人に対するママからの視線が、疑惑の視線どころか絶対零度の視線に変わるのが目に見えているので、2人と相談して事情は話さないことに決めた。
それが功を奏したのかどうかはわからないが、まだうちに泊まることは許されていないながらも、現在は修行前後の食事くらいは2人に用意してくれるようになった。まあ、美味しいお肉を修行のたびに持って帰ってくるのと、弟のハンスが2人に懐いたところも大きいだろう。
やはり7歳男児にとって、周囲に森しかない屋敷での生活は退屈だったのだろう。ゲームや玩具はパパママから沢山買い与えられているが、それでも、前々から暇を持て余しているようではあった。私も時々遊んであげてはいるのだが、修行があるので、どうしても頻度も時間も少なくなってしまう。
そのうえ、私は前世も含めると年齢がアラフォーだ。子供の楽しいと思うことに心から共感してあげることは難しいし、感性の鋭い子供はそれを見逃してくれない。そのせいで遊んであげていても、しばらくするとつまらなそうに1人遊びに戻ってしまうのだ。普通に悲しい。
パパが仕事に復帰して、月一くらいで帰ってくるものの、基本的にママ、レナさん、私の女所帯に囲まれているのもあるかもしれない。私も元男ではあるが、流石に10年も女性として生きていると、少し感性が女性寄りになってきている自覚がある。そのせいで男の子であるハンスにとっては、遊び相手としてあまり面白くないのかもしれない。
そんな中で突然降って湧いた、遊んでくれるお兄ちゃん2人の存在である。ハンスはそれはもう大喜びしていた。修行前朝食を食べてからの1時間、修行終わりの、街に帰るまでの二、三時間。時間いっぱいギリギリまで、2人にひっついて遊んでもらっている。ハンスと2人が棒切れを振り回して、ハンスが必殺技?のようなものを叫ぶと、2人が悪役らしく、無様なセリフを吐きながらやられたフリをするのだ。別の時には、3人でよくわからない謎のポーズをしながら、決め台詞のようなものを言っていたりもする。
お姉ちゃんにはハンスの好きなものがよくわからないが、チャンバラよりも、一撃で森を丸裸にできる方がすごくない?そこのお兄ちゃん2人より、私の方が強いよ?だからたまには私に構ってくれても良いのよ?…え?お兄ちゃんの方が良い?……そう、後で2人を捌き倒そう。修行で疲れているだろうところに申し訳ないが、可愛い弟のためだ、慈悲はない。
それはそれとしてハンス。もっと遊ぶ時間が欲しいからと言って、私と2人のどちらかを結婚させようと画策するのはやめなさい。ママとレナさんに、2人がいかに良い人か熱弁してくれるのは、こちらとしても都合が良いが、その後に続けて、いかに私の結婚相手に相応しいかまで熱弁するのはやめなさい。流石に2人も苦笑いしてるから。お姉ちゃん流石に少し恥ずかしいから。
さて、そんなこんなで生活していたわけだが、この数ヶ月間で念と戦闘の方にも色々進展があった。まずは念からなのだが、私が特質系ということが確定した。前々からほぼ確信してはいたが、一応、念の為の確認というやつで、ギュンターとアデルにも水見式を見てもらったのだ。
そして結果は前述した通り、特質系で間違いないらしい。確かに結晶が現れるのは具現化系としての特徴でもあるが、同時に葉っぱに影響が出ている時点で、問答無用で特質系的特性として認識して良いらしい。
なんで2人がレアな特質系の水見式の結果を簡単に識別できるのかって?もっともな疑問だ。答えは簡単、国内の念能力者家系には特質系だった場合の水見式の見分け方が、王家から知らされているからだ。おそらくは、ただでさえ少ない念能力者から、特質系を見つけ出すための施策の一貫なのだろう。いやぁ、その執念には感服なのだが、執着される側の人間としては、少しストーカー染みていて気持ちが悪い。
そして何より問題なのが、特質系の詳細な情報がほとんど、特に発に関する情報が、どうやって発を作るのかを含めて秘匿されていることだ。多分、特質系に対しての神秘性や権威を奪われないためするため。そして発を開発するための情報を求めて、王家に接触してくるのを待っているのだろう。
そしてこうした施策によって王家と接触し、王家の人間と婚姻関係を結ぶ人間が十数年〜二十数年に一度くらいの割合で実際にいるらしい。他の連中にとっては特質系の情報を得られる上で、王家と血縁関係も結べると、メリットしかないのだろう。だが私は発の情報だけ欲しいので迷惑以外の何者でもない。
他に特質系の発を開発するための情報を得られる手段はないのか2人に聞いてみたものの、国内だと厳しいらしい。情報自体を持っている人は何人かいるだろうが、王家に睨まれるなんていう高いリスクを負ってまで、教えてくれる人はいないだろうとのことだ。
例え教えてくれる人が出てきたとしても、王家の放った間者の可能性があるし、間者じゃないとしても、王家に密告する可能性も捨てきれない。もうこうなったら、今は発を開発しない方が良さそうだ。ハンター試験に合格して、ハンター協会の人間から念の知識を得た方が、王家のゴタゴタに巻き込まれることもないだろうし、よほど早く済むだろう。どのみち数ヶ月後にはハンター試験を受けるつもりだしね。
念についてはこれで良いとして、次は戦闘訓練の進捗だ。まずギュンターとアデルの2人がだいぶ成長した。私と出会う以前から、2人とも訓練自体は真面目にしていたようだが、本編の描写を参考にした私の訓練よりだいぶ非効率的な訓練だったのだ。四大行と流を用いた組み手、凝を用いた数字当て等の応用技の訓練自体はほとんど変わらなかったのだが、2人とも系統別修行というものを全く知らなかった。
話を聞いて見ると、どうやら2人の師匠は心源流の流れを汲んだ流派の出身ではあるものの、心源流の本家本元というわけではないし、裏ハンター試験のようにハンター協会が依頼している念の指導者というわけでもないらしい。これはそう珍しい話でもなく、王家や一部の上級貴族がお抱えのハンターを雇っている場合を除き、大概の家庭は斡旋所に依頼して、念能力者を派遣してもらうのが普通らしい。
雇われ念能力者という意味で言えば、本編におけるノストラードファミリーと護衛の念能力者たちの関係に近いのだろう。依頼内容が護衛と念の教育の違うだけだ。
だが、それで派遣されてきた念能力者があまり良い教育者ではなかったのだろう。四大行とその応用技を一通り出来るようになってからは、流を用いた組み手と、発を使いこなす訓練がメインになり、あとは何も教わることがなく終わったようだ。よくそんな教育しか受けていないのに、ここまで強くなったものだと思うが、2人揃って教育を受けたのが良かったのだろう。なんとか2人で創意工夫をしながら、鍛え続けてきたらしい。
発もそうした創意工夫の結果により生み出されたもののようだ。ギュンターは地頭が良く、どんな武器でもすぐに使いこなすセンスもある。アデルは脚力が非常に強く、走りでも、蹴り技でも、それを自在に操るだけの体幹と卓越した身体操作のセンスがある。
修行を共にして、互いの強みを理解し合っていたからこそ、互いにアドバイスし合い、最終的に行き着いたのが今の発。ギュンターの発、"攻防不手を選ばず"。アデルの発、"瞬間風足"だ。
まずギュンターの発。"攻防不手を選ばず"だが、その効果は非常にシンプルだ。手に触れた武器を強化する。制約は手で触れたものにしか効果が及ばない。ただそれだけの効果なのだが、シンプルゆえに強いのだ。
戦闘訓練において、片手に盾を待つのはお決まりだが、もう片方の手に毎回色々な武器を持つ。そして圧倒的センスと地頭の良さにより、当然の権利のように、その武器を使いこなしてしまう。戦う側としてはたまったものじゃない。何度も戦えば戦うほどこちらの手札が暴かれていくのに、相手は毎回新たな手札で勝負に挑んでくるのだ。厄介にも程がある。
個人的に嫌だったのは先端に刃の付いた鞭と分銅の付いた鎖だろうか?盾越しに中距離攻撃をしてくる上に、動きが変則的で対処がしづらい。その使い道も攻撃だけではなく、拘束、妨害、防御と多彩な運用方法をしてくるため非常に厄介だった。多分だが、取れる選択肢が非常に多いからこそ、ギュンターの特性とマッチしているのだろう。
ちなみにギュンターとの対戦成績は、全体で見れば二十勝五敗だが、系統別修行修行が進んだ直近の対戦成績に限って言えば、六勝三敗とかなり僅差になっている。訓練のたびに森を丸裸にするわけにもいかないし、毎回オーラ切れでサバイバル訓練ができなくなるわけにもいかないので、大技は封印している。毎回大技一辺倒だと訓練にならないしね。
まあ、それでもかなり良い成績だと思う。最近私が苦手なのを見抜いたのか、鞭系、鎖系の武器ばかり使ってくるのはクソだと思うが。
続いてアデルの発。”瞬間風足”だが、こちらもシンプルな能力だ。一瞬だけ脚力を強化する。制約は近接格闘の際、足しか使用できない。強化量は能力を発動中に移動した距離に比例して高まる。一度使うと距離はリセットされる。要はフィンクスのリッパーサイクロトロンの足版、腕を回す代わりに移動距離を稼げば良いのだ。
この能力も、アデルにあった良い能力だと思う。自慢の脚力を活かしたヒットアンドアウェイ。回避によって距離を稼げるので、一切隙がなく次の攻撃の威力を上げ続けられるうえで、スピードによって翻弄して隙を作り出しても良いし、銃によって無理矢理隙を作り出しても良い。そして相手に隙が出来たら稼いだ分で強烈な一撃を叩き込む。あくまで脚力強化なので、稼いだ距離は攻撃に使わなくても良いのもミソだ。回避しきれなかった時の緊急回避としても運用できるのだが、これがなかなかに厄介だ。
現状、私がアデルに当てられる攻撃は、封印している大技、空間を埋め尽くす念弾による飽和攻撃、カウンター攻撃の三つなのだが、何度も戦えばカウンターのタネも割れてくる。そうすると緊急回避で対処されてしまうわけだ。なによりカウンターに対するカウンターも成立してしまうので、迂闊にカウンターも出来なくなってくる。
しかし、系統別修行により、回避も攻撃もより強力になったにも関わらず、直近の成績は六勝一敗とあまり良いものではない。だがこれは単純に私が対アデル用の対策をした結果であり、アデルもちゃんと強くなっている。実際、アデルとギュンターの対戦成績はほぼ互角、5:6でギュンターが一勝多いくらいだ。
この一勝の差は、ギュンターの盾が硬すぎて、アデルの持っている銃では威力が足りず、隙を作ることができないのが原因だろう。もちろんアデルもそのことを自覚しているため、系統別修行によって何か突破口が見つけられないかと四苦八苦している。
ギュンターとアデルにしてもらっている系統別修行は、強化、放出、変化の三つのみ、かつビスケやっていた方式のみにしている。私のやっている方式でも強くなれているのだから良いのかもしれないが、きちんとした理論が不足している私のやり方では、後々不具合が起きても責任が取れないし、リカバーが不可能だ。幸い2人に必要な系統の描写は本編で事足りていたので、ハンター試験までの繋ぎとしては必要十分だろう。もし不具合が出たとしても、心源流のやり方でやっていたならリカバーがしやすいだろうしね。
続いては私の修行の進捗だが、こちらもまあまあ成果が出ていると思う。流石にもう念の技術に関しては、数ヶ月程度で一気に上がるようなことは無くなった。だが2人との模擬戦を通して、その技量の使い道を工夫し始めた。
まずアデル対策で考えた浮かぶ足場だ。これは以前使った飛行用円盤の別バージョンで、飛行能力、サイズを削ぎ落として、瞬時に出せてジャンプに耐えられる強度を持たせたものだ。まあ、今の私の技量ではまだ、削ぎ落とさないと実現できなかったとも言える。
だが実用面ではこれで十分だ。飛行用円盤はサイズがデカくて出すのに時間が掛かるため、非常に使いづらかったが、これは隙を晒す必要が無く上空に退避できる。アデルの私に対する勝率が低さは、この技に起因するものだ
アデルは銃撃という遠距離攻撃手段を持つものの、その弾は有限だ。そして以前説明した通り、銃撃はその性質上、上空に向けて行うのが非常に困難である。その脚力により無理矢理ジャンプしてくることも可能ではあるが、回避は非常に容易であり、空中に浮いた状態は念弾の良い的だ。
だがこの技にもデメリットはもちろん存在する。上空で移動する場合は、飛行用円盤よりもオーラ消費量が滅茶苦茶多いのだ。理屈は単純で、飛行用円盤は一度出してしまえば移動にオーラを使うだけなのだが、浮かぶ足場の場合は移動するたびに足場を出して、消してを繰り返すため、燃費が悪いのだ。
遠距離攻撃に銃弾という数量制限のあるアデル相手ではこの技も有効なのだが、ギュンター相手だとうまくいかない。あいつの場合は発の効果により、地面に落ちている石がそれだけで十分な威力の弾丸になるため、実質遠距離攻撃がオーラの続く限り放てる。そして燃費の点でも、ギュンターに軍配が上がる。
なのでギュンター相手には別の対策をしている。浮かぶ足場を回避や逃走では無く、攻撃に転用している。かと言って直接ぶつけたりしているわけでは無く、攻撃の起点を潰すのに使ったりしている。使い方としては簡単で、ここに攻撃が来そうだな、と思ったら、事前に浮かぶ足場を置いておくのだ。コツとしては、1番威力の出る拳や武器では無く、それに連動している腕を妨害することだ。
1番オーラの込められた威力が出る部分に当ててしまうとほとんど抵抗なく壊されてしまうが、オーラの薄い連動している箇所を狙うと、攻撃が変なところに飛んでいったり、最悪は自傷させる事ができる。何より隠で見えなくする事が出来るのも良い。足元に設置して転ばせるとかもなかなか面白い。
これと併用して、中距離から念の刃をグネグネ変形させて盾越しにチクチクするのが、今のところギュンター相手だと勝率が高い。防弾ガラス越しに視界が確保されているとはいえ、見えずらい視界の中で隠で隠蔽した妨害物と、地面を含めた上下左右から縦を迂回してくる変則的な攻撃を対処し切るのは、相当難しいらしい。
無理して近付けば足場に妨害され、盾で耐えていれば、グネグネ刃にチクチクされる。投擲しようにも足場とグネグネ刃により、投擲する隙を突かれる。我ながら、対近接戦闘においては中々良い組み合わせが出来たと思っているが、それでも三回に一回は勝ちをもぎ取っていくんだから大したものだと思う。
男の子って、男兄弟を欲しがりますよね。ハンスは良い子なので母親に弟が欲しいとワガママを言いませんでしたが、都合の良い兄貴分が来てくれたらこうなりますよね。(次の次の当主として、エルフリーデよりもちゃんとした貴族教育も受けているので、兄弟が増えた際の争いをこの歳でキチンと理解しています。聡明ですね。)
ギュンターの発は弘法筆を選ばずを少しイジっただけです。中身は”騎士は徒手にて死せず”の劣化版のようなものになっていますが、ギュンターは命名の際に不手を選ばずと命名してしまったため、無意識に徒手空拳でのオーラ強化が弱くなる制約を付けてしまっています。(その分武器の強化倍率が上がっています)練度の差もありますが、婚姻決闘において組み付くことが出来ていながら、エルフリーデを締め落とすことが出来なかった理由の一つでもあります。
アデルの瞬間風足は瞬間風速のもじりです。非常に素早い強烈な蹴り技をイメージしたらこんな名前になりました。
ギュンターもアデルも貴族階級なので、ジャポンの教養もあるかなぁとの事で納得してくれると嬉しいです。