回原のドリルは天を貫く   作:のりしー

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体育祭に向けて

「おはよう!皆揃っているな。隣のA組がヴィランの襲撃を受けた事で不安になっている者もいるだろう。教師を代表し謝罪させてもらう。我々学校関係者の責任だ、申し訳ない」

 

臨時休校明けの翌日のホームルーム。

まずはブラキン先生の謝罪から始まった。

先生の謝罪に、教室内がシーンと静まる。

 

悪いのはあくまでヴィランで先生ではないのだが、それでも生徒を不安にさせてしまった事を申し訳ないと。

 

良い先生だなブラキン先生は本当。

 

「学内にヴィランの侵入を許したのは由々しき事態であり、今後学校関係者一同でより警戒を厳しくし、皆が安心して授業に取り組めるよう努力していく。なので、皆はこれまで通り頑張って欲しい。何せ…」

 

そこで、コホン、と一息置き、

 

「雄英体育祭が迫っている」

 

その一言で、皆のテンションが上がる。

 

「「「「「メチャ学校ぽいの来たぁ!!!!」」」」」

 

さっきまでの静かな教室はなんだったのか?

という位に皆のテンション上がる。

 

雄英体育祭。

日本のビッグイベントの1つ。

もはやかつてのオリンピックの代わりと断言しても過言ではないイベントだ。

 

プロヒーローも生徒のスカウト目的で注目し、ここで活躍することが将来の大きな飛躍につながるという一大イベントである。

 

 

「でもこういう状況ですし、雄英体育祭をやってもいいものでしょうか?」

クラス委員長の拳藤がそう聞く。

先生はそれに、逆にこういう状況だからこそ通常通りにイベントを実施し、雄英高校の警備の盤石さをアピールする狙いもあると答えた。

 

「警備は通常の5倍に増やす。安心して大会に専念してほしい」

 

その先生の一言で、ホームルームは締めくくりとなった。

 

 

 

 

 

 

んで放課後。

「回原!!一緒にA組行かねえか!?連中ヴィランと戦ったって言うじゃん!その話聞いてみようぜ!!」

 

そんな事を鉄哲に誘われた。

ヴィランの襲撃を耐え凌いだA組が気になるのだろうなあ。

 

確かに、世間はA組に注目している。

間違いなく体育祭の注目の的になるだろう。

体育祭前に、先に様子を見てみたいのだろう。

 

 

「…んー…いいや、悪い俺はやめとくわ」

「そうか!じゃあ俺ちょっと偵察してくるぜ!!」

「…アイツは…下手すると揉めそうだなあ、ちょっと様子見てくるよ」

 

鉄哲が揉めないか心配した拳藤がその後についていく。

委員長は大変だなあ。

 

「ありゃ行かないんだ回原。意外だねえ。負けず嫌いそうだし、A組に対抗心強そうだから行くと思ったけど」

 

取陰が俺の近くに来てそう話しかけてくる。

「うーん…負けず嫌いはめちゃくちゃ負けず嫌いだし、気になるは気になるけどな」

「けどな?」

 

昨日の麗日の様子を思い出す。

 

「ヴィランに襲撃受けて、しかも相澤先生重症だぞ。それから時間も大して経ってないのに、刺激するような事をするのは俺の趣味じゃないなあ」

 

全員がそうじゃないかも知れないけどね。

まだ心理的に落ち込んでるヤツもいるだろうし、あまり刺激しない方がいいと思う。

 

「A組に知り合いいてさ、昨日たまたま会ったんだけどめちゃくちゃメンタルヤバそうだったぞ」

 

「…曇ってたノコ?」

近くで聞いていた小森がそう話に入ってきた。

 

「曇りまくりノコ。曇らせなんてのはマンガとかの創作で見るから楽しめるものであって、リアルで知人が曇らせ拗らせてると見てるこっちもしんどいぞ正直」

 

そう答えた。

実際普段元気な麗日であれなのだ、女生徒とかヤバいんじゃねえのメンタル的に。

 

 

曇らせはマジでリアルではダメ絶対。

あれは創作の中だから楽しめるのである。

 

ふーん、みたいな感じで少し感心したように取陰は俺の答えを聞いていた。

 

「回原、それA組の女子?アンタ意外に手が早いよねー」

「回原は手が早いノコ!」

「回原ー!オイラ聞いてねえぞ!ヒデェよ!女の子と仲良くなったらオイラにも紹介してくれるって約束したじゃんかよお!!」

「そんな約束した覚えがまるでないんだが…」

 

そんな事を教室内で話していると、

 

 

「面白くないね」

「物間?」

いつの間にか教室の外に出ていた物間が、教室に入って来るなりそう言った。

 

「1年の他のクラス…普通科とか経営科とかの生徒が大勢A組のクラスに敵情視察で集まっている…まるで僕たちは…B組なんて眼中に無い!みたいな感じだよ。実に面白くないね」

 

不服そうに物間がそう続ける。

 

USJ襲撃事件後、テレビ・新聞というマスコミがA組をかなり好意的に報道していた。

 

当然、外部の注目も、学内の注目もA組に集中している。

 

物間的にはそれがかなり面白くない様子。

まあトラブルに巻き込まれただけで俺達B組よりスゴイみたいな報道になってしまうのだ。番組的にどうしても。

 

ひねくれ者ではあるが、人一倍クラスを大切に思う物間としては面白くないという気持ちが強く出ている様子。

 

「なあ回原!君は悔しくないのかい?入試実技試験1位なんだろ君は!本来注目され、1番警戒されるべきなのは君なんだよ!君だったんだよ!」

 

煽るなあ。

物間は割と煽りグセがある。

 

まあせっかくなんで答えるとしよう。

 

「悔しいとかは特に無いぞ、ただし…」

 

「ただし?」

 

ニヤリと笑い。

 

「体育祭本番でまでA組に注目を独占させる気はないけどな。体育祭の主役は悪いけど俺がもらう」

 

そう宣言した。

 

「悪いが、雄英体育祭は最後に1番を決める大会だ。俺はめちゃくちゃ負けず嫌いだし、絶対に1位を取るつもりでやる。皆のことはライバルだと思って体育祭に臨むから皆もそのつもりで」

 

そして、そう結んだ。

 

俺の皆はライバル宣言を聞き、物間は、

 

「フッ!まあ君はそれでいいさ!あれだけA組が事前に注目を集めていたのに、結局最後はB組生徒が優勝しました!ってのは僕としても決して嫌いなストーリーじゃないしね」

 

ただし、

 

物間は続けて、

 

「僕は僕なりにこのクラスに最大限利益をもたらせるよう活動するよ!そう…表の委員長は拳藤で、エースは君だ回原。さしずめ僕は裏の…そう!フィクサーってところかな!」

 

そういう事を、コイツはコイツとして誓ったのである。

それに俺は笑う。

物間のこういう所、俺は正直かなり好きなのである。

 

「……なんか教室戻ったばかりで早速嫌な予感がする…今なんか私が疲れそうな話とかしてなかった?辞めてよ、峰田へのツッコミだけで疲れるのにこれ以上余計な仕事増やすのは…」

 

 

そう言って、拳藤が教室に戻って来た。

興奮した鉄哲を引っ張りながら、

 

その拳藤から、教室の全員がすっと目を逸らした。

 

ええ、はい……

 

委員長様、お疲れ様です…

 

峰田と物間の担当大変ですよね、わかりますわかります。

じゃ、よろしくお願いしますう…

 

「誰か何か言ってよ…」

 

誰も拳藤に何も言わなかった。

しかし皆の心の声は通じたようで、拳藤がガックシと肩を落とした。

 

南無。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわースゴイスゴイスゴイ!!私の波動ってホントはまっすぐ飛ばないしスピードも全然遅いのに!!!不思議不思議!!!」

 

明けて翌日の放課後。

 

ねじれ先輩が借りてくれた演習場で、先輩との個性合体を試していた。

演習場には峰田他、クラスメイトで何人か気になった奴が見に来ていた。

 

先輩が両手に発生させた波動に、俺が個性の力を繋ぐ。

 

ねじれ先輩との個性合体だ。

 

ねじれ先輩曰く、本来の個性と違いまっすぐに波動が飛び、かつかなりスピードが上がってるそうだ。

 

試しに個性合体前の波動も見せてもらったが、明らかに違っていた。

本来は使うのが大変で習熟にかなり苦労したらしいが、その欠点がかなり改善されて威力も上がっているそうな。

 

まあねじれる波動とドリルは確かに相性良さそうだもんな。

相乗効果があっても不思議ではなかった。

 

同じ事を考えたのかな?

ねじれ先輩も興奮して嬉しそうに俺の手を取り、

 

「ねえねえ何で何で!!何でこうなるんだろうね!不思議不思議!私と旋くん合体の相性がすごくいいのかな!?かな!?」

 

「「「ぶっほー!!!」」」

 

合体の相性とはこらまた過激な。

クラスメイト達の鼻血が噴き出した。

今回のはかなりのパワーワードである。

我がクラスの誇る紳士生徒宍田ですら鼻を抑えていた。

 

「が!合体の相性!!!つまりそれはセッ!!!」

「こりないなオマエはホント!!!」

「グエ!!!」

 

 

 

そして流れるような様式美。

 

峰田に拳藤がツッコむ。

 

これからこれに物間が加わる事を想像し、彼女へは今後特に優しくしてあげようとこっそり誓った。

後は胃薬とかかな。

 

その様子を不思議そうにねじれ先輩は見ていたが、

「皆どうしたの不思議…!あっ!」

 

と気付いたらしく、顔をポン!!と赤くする。

 

「ん」

小大の追撃。

「…あ!ゴメンね旋くん!手握ったままだったね!ゴメンね興奮しちゃってた!!」

 

そうして顔を赤くしパタパタ手を振りながら俺から離れた。

大変可愛らしいので眼福です。 

後手はスゴイ柔らかかったですね。

 

その様子を、血の涙を流しながら峰田が叫ぶ、

 

「チックショー!!オイラだって!オイラだって体育祭頑張ってやる!!そんで女の子にキャーキャー言われてモテてモテて!女の子とのウハウハヒーローアカデミアしてやるからなー!」

 

「峰田は頑張る方向が違うんだよなあ」

「ん」

「別の意味でキャーキャー言われそうだしね」

 

 

 

そうして今日が終わる。

 

ここから、各自体育祭に向けた特訓が始まる。

 

我が梁山泊もそうである。

むしろ何かしら理由をつけて修行をハード方向にレベル上げしたいだけとすら感じる。

 

絶望した。

 

 

そして、体育祭当日を迎えた。

 

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