回原のドリルは天を貫く   作:のりしー

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ダビダンスver魔王

sideエンデヴァー

 

「スゲーッ爽やかな気分だぜ。新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝のよーによォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」

 

「燈矢!!貴様!!一体!!一体何をしたんだ!?燈矢!?」

 

さっきまで俺の首を絞め馬乗りになっていた息子。

その息子は今一人で先に立ち上がり、指をパチン!パチン!と鳴らしながら軽快なステップを踏み出していた。

 

『それは、告白の踊り。嘲笑の踊り。そして、憎しみの踊り』

 

「……何をとぼけてんだよ?アンタ脳筋キャラに見えて実は頭良い系のキャラだろ?その明晰な頭脳でさ!!今のこの状況!!キッチリ理解してみろよ!!」

 

「燈矢ぁぁぁぁ!!」

 

俺も立ち上がり、燈矢を睨む。

 

「へへへ!!」

「なっ!!!」

 

絶えず鳴らされる指。パチンパチンと響く音。

軽快に連続するステップ。

 

ベリベリベリベリベリベリ……

 

そこに、更に一つの音が重なった。

 

「……どうだいお父さん!!あんな酷い火傷顔だと身内でも気付かないよなぁ!!どうだよ!!これなら自分の息子ってわかるんじゃねえかぁよぉ!!」

 

「あ……うぁ……」

 

ベリベリ……という、皮膚から何かを剥がす音。

その音共に、燈矢の……その酷い火傷跡が……ドンドンドンドンと剥がれ、その剥がれた下から綺麗な皮膚が……火傷もシミも一つない綺麗な肌が現れた。

 

「ハッハー!!スゲェよなぁ特殊メイクって!!された俺ですら本物の火傷にしか見えなかったもんなぁ!!イヤイヤ!!それより先にこっちを説明するべきだったよなぁ!!喜んでよお父さん!!何やかんや色々あって!!俺の火傷治りました!!イェーイお父さん見てるぅ!?火傷治りましたよ、お、と、う、さ、ンンンン!!!」

 

嬉しそうに……火傷の治った綺麗な顔……冷の……俺の妻の、あの美しさを受け継いだ綺麗な……ホントに綺麗な顔。

 

……火傷一つ残らない、顔。

 

「燈矢……お前は……」

 

「燈矢兄ぃ……」

 

……それが……それが一体どれほど非常識な事なのかなど、誰にでも簡単に理解出来てしまうような……そんな、あまりにも理屈に合わない非常識。

 

「なんだよ……ノリが悪いなぁ2人とも……もっと喜んでくれよ」

 

「「………」」

 

パチンパチン……指を鳴らし。

ゴォッ!!ゴォッ!!

 

「ぬ……ぬぅ……」

 

「はは!!」

 

今度はその度にその指先から強力な炎が生まれ、燈矢のステップを彩るようにして火の粉が舞い上がり漂う。

 

「ハッピーバースデーを歌ってくれよお父さんに冬美ちゃん」

 

母譲りのとても綺麗な顔で、その顔にまるで似合わぬ狂気を浮かべ、俺の息子が踊り、そして狂う。

 

「ハッピーバースデー・ディア・(お〜〜〜れ〜〜〜)!!ハッピーバースデー・トゥ・ミィィィー!!!!!」

 

そして歌い踊り狂った息子がそこでピタリと止まり。

 

「俺のことを大切に思って、ここまで来てくれてありがとうよエンデヴァー……おかげで俺は無事にアンタの個性を……炎系最強の個性を奪う事が出来た……そして、俺は……今日、この日をもって!!新たなる魔王として生まれ変わることが出来た!!喜んでくれよ!!お祝いしてくれよ!!今日は誕生日だよ!ハッピーバースデーだよ!!アンタの血筋から!!世界を滅ぼす魔王が生まれたんだ!!誕生したんだ!!喜んでアンタも踊ろうぜエンデヴァー!!!」

 

「燈矢ぁぁぁ!!!」

 

ダメだ!!やはりダメだ!

先ほどから何度も何度も試しているが!!

 

やはり個性が!!俺の個性が発動しない!!

 

ダメだ!!ダメだ!!絶対にダメだ!!

よくわからない!!理解を越えた再生?回復能力!!

他者の個性を奪う最低極悪な個性!!

そして!!更に俺の個性だと!!!

そしてそして更に!もしかしたら更に隠し玉まであるかもしれない!!

 

「燈矢ぁぁあぁあぁぁぁぁ!!!」

 

こんな恐ろしいヴィランを!!

この世に解き放していい訳がない!!

 

「はは!!ようやくだ!!ようやくアンタのそんな絶望的な顔を見る事が出来たぜ!!」

 

魔王!!

魔王だ!!

まさに魔王と評していいような!!そんな極悪なヴィランとして、俺の息子が!!今!!まさに目の前で誕生!!完成してしまっていた!!

 

「どうしたらおまえが苦しむか人生を踏み躙れるかあの日以来ずうううううううっと考えた!

自分が何故存在するのか分からなくて毎日夏くんに泣いて縋ってた事知らねぇだろ

最初はおまえの人形の焦凍が大成した頃に焦凍を殺そうと思ってた!でも期せずしてお前がNo.1に繰り上がって俺は!お前を幸せにしてやりたくなった!!

九州はケッサクだったよなぁ!!あのクソ生意気なガキに炎ぶち込んだ時はマジのマジで大爆笑ものだったぜ!!あん時の気持ちを教えてくれよお父さんよぉ!!

念願のNo.1はさぞや気分が重かっただろうから、さっさと引きずり降ろされて良かったなぁ!!

短時間世間からの賞賛浴びて、その後に誹謗中傷浴びるとどんな気分になるんだ?教えてくれよ!!

子供たちと向き合う時間は取れたのか?悪ぃなあ俺の所為で!!まあアンタの所為でもあるけど!!No.1でいられる時間が少なくなったまってさぁ!!!

それから色々あって!!未来に目を向けていれば正しくあれると思ってきたか?思い始めてきたか?考えだした頃か!?」

 

踊る踊る踊る……指を゙鳴らし軽快なステップ。火の粉を纏い魔王が踊る。

 

「知らねェようだから教えてやるよ!!!」

 

そこでビシッ!!と胸元に手を当て、

 

「過去は消えない」

 

……そう、地獄の底から俺を誘うような不吉な声で、魔王は俺を断罪し続ける。

 

「ザ!!自業自得だぜ!!」

 

決して俺を許さないと。

 

「さァ一緒に堕ちよう轟炎司!地獄(こっち)息子(おれ)と踊ろうぜ!!!なぁ!!!お父さん!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side回原

 

「出たぞお!!異能解放軍のリーダー!!リ・デストロだぁ!!!!」

 

「……来たね」

「来ましたね」

 

 

群訝山荘へ突入チームが侵攻を開始してしばらく。

決して短いとは言えない程度の時間が経った頃、ついに異能解放軍のリーダーであるリ・デストロがその姿を現した!!

 

「……ヒュー……こちらの想定よりデカいねえ」

「ちょっとストレス与えすぎたんじゃないすか?」

「それは俺に言われてもねえ……ここにいない君の級友に言ってくれよ」

「……新白連合の仕込みですもんね……そらストレス天元突破くらいは余裕でしますよね……」

 

そう、現れたのは超巨大なヴィラン。

異能解放軍が立て籠もる群訝山荘。

その建物を自らの巨体で破壊し、破壊し尽くす……そう言わんばかりの超巨大なヴィランが出現した。

 

「……でもハゲてますね」

「……うんハゲてるね」

 

ただし!!ハゲ!!超ハゲ!!

 

超巨大なハゲヴィラン!!

 

むしろ超巨大なハゲが出現していた!!

 

 

「……ホークスさん、なんかこっちをめっちゃ見てませんかあの超巨大ハゲ?」

「ありゃ?流石に超巨大ハゲハゲ言い過ぎたの聞こえてたかな?」

「超巨大にハゲると耳も良くなるんですかね?」

「それは新説だね。流石に超巨大にハゲた事ないから知らないや」

 

『おおおおおお!!!!!』

 

「「……あ、こっち来ちゃった」」

 

『死ねぇ!!!!!』

 

超巨大なハゲのハゲパンチ!!

 

それを俺とホークスさんは飛んで回避する。

 

「……ともあれ、流石にネタにばかりもしていられないね。目測で身長は25メートル級……泥花市で倒したギガントマキア級の極悪ヴィランだよコレ」

 

「……ですねえ」

 

ホークスさんの言葉に頷く。

……そして、その先の言葉は互いに出さない。

 

エンデヴァーさんがいないこの状況。

……そんな状況で、俺とホークスさんの2人でコイツを倒さなければならないのだ。

 

口に出すことは許されない。

しかし、胸を強く叩くこの不安。

 

「クソドリル!!」「回原!!」

 

……そんな、俺と、ホークスさんの不安を……

 

「トンガリ?」

「焦凍くん?」

 

『おおおおおおおお!!』

 

超巨大ハゲの攻撃を躱す俺達2人。

そんな2人の元に近づいて来た、トンガリと轟!!

 

「個性合体だ回原!!」

「アアン!!何テメエが先に言ってんだボケ!!」

 

「轟……トンガリ……」

 

超巨大ハゲの攻撃を躱す俺たち2人に、少し離れて轟とトンガリが語りかけてくる!!

 

「今ここに親父は!!エンデヴァーはいねぇ!!だけど!!だけど俺が!!俺が親父の穴を埋めてみせる!!俺と個性合体だ回原!!」

 

「ダボがぁ!!テメエの出る幕じゃねえんだよ半分野郎!!やるぞドリル!!個性合体だ!!ここでこのクソデカハゲ虫をブチのめす!!!」

 

『ならば貴様らも死ねぇ!!!』

 

「「おおおっとぉ!!!」」

 

「トンガリ!!轟!!」

 

俺たちへと協力を申し出る2人に超ハゲが「そうはさせん!!」と攻撃をしかけ、2人がそれを回避する!!

 

「さあどうするんだ回原!!」

「あまり時間はねえぞボケドリル!!」

 

そして、2人は同時に!!

 

「「さあ!!どっちを選ぶんだ!!どっちと個性合体するんだよ《ドリル!!》《回原!!》」」

 

「は、はは……」

 

……上等だぜ、2人ともよぉ……

 

「うお!!」

「くっ!!」

 

俺とホークスさんへの攻撃と同等の……つまり、それだけ凶悪な攻撃。

 

そのデッドゾーンに自ら踏み込んだ2人。

命の危険を覚悟し、今ここにいないエンデヴァーさんの為に、身体を張ると決めたこの2人!!

 

……その覚悟を、無駄にするのは俺の流儀ではない!!

 

「はっ……はは!!はははははははは!!!」

「……ふっ……そうこないとね!!」

 

「ドリル?」「回原?」

 

突如笑い出す俺。そんな俺を楽しそうに見るホークスさん。 

そんな俺達を訝しむトンガリ轟。

 

「……お前らどちらかと個性合体するか選べって?何間抜けな事言ってんだよ。どちらかを選ぶまでもねえよ、どっちも来いよ有精卵ども」

 

「……テメエ……」「……回原……」

 

「はは!!」

 

笑うホークスさん。

そして、俺も笑う。

 

「俺達は『あの』エンデヴァーさんと個性合体してここまで来てるんだぜ……テメエら有精卵どもが、たかだか一人、一人と来てあの人の代わりが務まるとでも思ってんのかよ……2人とも来いや!!4人だ!!4人で個性合体だ!!!テメエら2人程度じゃエンデヴァーさん1人分にも足りねえんだよ!!足りねえ分は俺とホークスさんで補ってやるから!!遠慮せずかかってこいや2人ともよぉ!!」

 

ヒュー!!と口笛を吹きながらホークスさんが笑っている。

 

「……マジで遠慮しねえで全力全開でこいや!!テメエら2人の力がエンデヴァーさんを超えれるってんなら見せてみろや!!『あの』最強ヒーローの力を!!たかだかテメエら程度で超えれるってんならやってみろや!!ああん!!俺は余裕だ!!余裕だぜ!!クソみてえな半人前2人とホークスさんとの4人での個性合体だろ!!余裕だわ!!余裕でやったるわ!!エンデヴァーさんとホークスさんの3人での個性合体より余裕に決まってるわ!!悔しかったら!!テメエら2人も限界超えてみろや!!」

 

俺のそんな叫びに……挑発に2人は、

 

「「……上等!!!!!」」

 

「……は!!」

 

怒りと闘志に燃える瞳で俺を睨みつけ、

 

「辞めた……辞めたぞ。俺は遠慮とか辞めたぞ爆豪」

 

「……当然だわ。俺も辞めるわ辞めまくり殺したるわクソが!」

 

「……回原の今までの個性合体の上限は3人……だから、4人でするならせめて少し力をセーブするしかないとか思ってたが……」

 

そして、轟の言葉を引き継ぎ、トンガリが叫ぶ!

 

「いらねえんだろ!!いらねえんだよなぁ!!なあクソドリル!!俺も半分野郎も限界超えてやるわ!!超えまくってやるわ!!全力の全開ぶちかましたるわ!!だから!!だからテメエも!!テメエもだ!!テメエも限界超えてみせろや!!」

 

「遠慮しねえぞ回原……俺も爆豪も限界の限界を超えて個性合体に力を注ぎ込む……だから、お前も4人での個性合体!!やってみせろよ回原!!」

 

「あたぼうだ!!どっちも来い!!全員でヤツを!!4人で超巨大ハゲを倒すぞ!!行くぞぉぉぉ!!!」

 

『させるものかぁ!!!』

 

「……ふっ、それをさせるのが大人の……仕事出来デニムの役割というものだな」

 

『ベストジーニストォォォォォ!!!』

 

そしてベストジーニストさんの操る炭素繊維入りのワイヤーが超ハゲを拘束する僅かな一瞬、俺達4人は宙で集まる。

 

ホークスさん

トンガリ

 

 

 

「「「「行くぞぉ!!!PlusUltra!!!!!!!」」」」

 

 

 

 




そして闇は産まれた。
そして濃い闇の中でこそ、微かな、しかし強い希望が産まれる。
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