side緑谷
「3対1の状況を上手く利用しろ!!燈矢を囲み、お互いにフォローしあいながら戦うぞ!!」
「はい!!」
「チッ!!」
エンデヴァーの指示に合わせて動く!!
周囲を薙ぎ払う凶悪な炎を後退して躱しつつ、お互いの攻撃が味方に当たらないような、かつ荼毘を包囲しつつ相互にフォロー出来るようなポジションを意識して動く!!
参考にするのは神野区の戦い!!
オールマイトと共に戦っていた回原くんの動きだ!!
あれ以来!!僕はあの戦闘の動画を何度も何度も繰り返し見たんだ!!
そしてかっちゃんともたくさん自主練をした!!
結論!!個性も使わずあんな動きをしてた回原くんはやっぱかなり
何で個性も使わず空中二段ジャンプとか普通にするのかな!?格ゲーじゃないんだけど!!
「それでも!!憧れてばかりじゃいられないんだ!!あの戦いを見ていて悔しかったのはかっちゃんだけじゃないんだぞ!!」
炎の次は強力な衝撃波が僕達を襲う!!
本来は平和であるべき病院周辺の土地!!その土地が荼毘の強力な個性による攻撃で凄まじいペースで破壊されていく!!
僕はそれらの攻撃を黒鞭で周囲の木々や電灯等を掴み、浮遊の個性と合わせ自分の体を引き寄せるようにして高速移動して躱す!!
そして次に来るのは凶悪な赤い線の走る黒い爪による攻撃!!僕の足の甲を貫いたアレだ!!
「フッ……させんよ」
「やってみろ!!テメエを糸ごと燃やしてやるぜ!!」
「そうかね?」
そこでベストジーニストが動く!!
荼毘に向けて右手を伸ばす!!その袖口から伸びるであろう繊維を警戒する荼毘!!爪の攻撃を急遽中断!!その手に炎を燃やす!!
しかし!!
「私が操作出来るのは自分が身に纏う繊維だけではないぞ!!」
「何ぃ!!」
荼毘の両の手!!その両袖口の繊維がほどけて互いに絡まる!!
「上手い!!」
思わず声が出る!!
更にその拘束された手に胴体から伸びた繊維が絡み荼毘の両の手をお腹に引き寄せる!!
一瞬!!僅か一瞬だが荼毘の腕が拘束された!!
「くらえ燈矢!!」
「クソがあ!!」
そこをアサルトライフル型のサポートアイテムでエンデヴァーが狙い撃つ!!弾はおそらく麻酔か電気ショックを与えるなどのヴィランを拘束する為の弾だろう!!
手が拘束され炎を放てなくなった荼毘!!
しかしそこまで強い拘束ではなかったのか?強化された身体能力で繊維をぶちぶちと引きちぎり、手を伸ばして防御用の障壁を張ってエンデヴァーの射撃を防ぐ!!
(ここだ!!)
荼毘の衝撃波によって砕かれた、手ごろな大きさの地面の破片。コンクリートの破片を手に取り!!
「ワン・フォー・オール・フルカウル!!20%!!くらえ!!荼毘!!」
そして!!そのコンクリートの破片を思いっきり荼毘めがけて全力でぶん投げた!!
「……!?うぉぉぉ!!!」
凄まじいスピードで飛翔したコンクリートの塊を警戒し!!慌てて荼毘が防壁をコチラにも張った!!
ドゴォ!!!という鈍く大きな音が響きコンクリートの塊が防壁にぶつかって砕ける!!
「テメエ……ワン・フォー・オールのクソガキがあ……」
そして僕を思いっきりにらむ荼毘!!
「……ヒーロー的な見栄えの良さ、派手さは無いが堅実で実にいい。それでいいぞ。その調子で頼むぞデク」
「……はい!!」
エンデヴァーからお墨付きをもらえた!!
やはり!!このやり方は間違っていない!!
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『なあ……何でテメエは神野の時のドリルみてえにモノを投げたりしねえんだ?』
『え?』
……それは、いつかのかっちゃんとの自主練の時の会話。
かっちゃんは続けて。
『風圧飛ばして牽制するのは悪くねえアイデアだが、どうしたってパワー不足だろ。それよりシンプルにワン・フォー・オールの超パワーでモノぶん投げた方が良いんじゃねえか?肉体強化して敵を殴れば反動もヤバいだろうけど、モノ投げるだけならそこまで負担も大きくないだろうしな』
『……あ!!』
それは!!確かに!!正直盲点だった!!
『……つーか、ぶっちゃけテメエの超パワーでデカくて固いものをシンプルに高精度でぶん投げられる方がフツーに嫌だぞ俺は』
常にオールマイト並みのパワーで風圧攻撃出来るなら話は別だけどな。
……こうして、自主練のメニューに新たな項目が追加された。
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「……!?うぜえよ!!うぜえなベストジーニスト!!」
「フッ……つまり『効いてる効いてる!!』という事かな!?」
「……クソが!!」
吠える荼毘!!それをあしらうベストジーニスト!!
ベストジーニストが再び荼毘が着ている服の繊維を操る!!
今度は右肘と右膝の部分の繊維!!その繊維がお互いに解けて伸びて高速で絡まる!!
結果!!荼毘の右肘と右膝が引き寄せられるように近づき!!一瞬!!荼毘の体勢が崩れる!!
再びのチャンス!!
「くらええええ!!!」
黒鞭で手近にある手頃なサイズのコンクリートの塊を集める!!
そしてまたそれを全力で荼毘めがけてぶん投げた!!
「ちぃぃぃぃぃ!!!!」
ぶちぶちとまた繊維の拘束を解き、荼毘は僕が投げたコンクリートの塊を防御障壁を張って防御する!!
ドゴォ!!と鳴り響く轟音!!そこに!!
「燈矢ぁぁぁ!!!」
「ここで来るかよ親父ぃぃ!!」
背中に背負ったジェットパックで急接近!!飛翔したエンデヴァーが接近戦を仕掛ける!!
「おおおおお!!!!」
「舐めるなぁ!!!!」
弧を描くようにして荼毘の周りを旋回飛翔しながらアサルトライフルを撃ちまくるエンデヴァー!!それに対応する為、障壁を腕ごと!!体ごと振り回すようにして回りながら防ぐ荼毘!!
「……ここで、ちょいとな!!」
「またかテメエ!!」
ここで再びのベストジーニスト!!
今度は自分のデニムから伸ばした繊維で荼毘の右足を!!右足だけを全力で拘束した!!
「チィィィィィィ!!!!!」
当然!!荼毘の回転が止まり!!接近したエンデヴァーに大きなスキを見せることになる!!
「くらえ!!」
ここでエンデヴァーが胸元のサポートアイテム!!何かの爆弾型のサポートアイテムを荼毘に向けて投げつける!!
「は!!クソ親父!!実の息子に爆弾かよ!?ふざけやがって!!食らうかっての!!」
その爆弾型のサポートアイテムを防ごうと!!身体能力を瞬時に強化してベストジーニストの拘束を引きちぎり!!懸命に防御しようとする荼毘!!
「……知っているか燈矢?昨今のサポートアイテムの性能は非常に素晴らしいということを」
だが!!
カッ!!
エンデヴァーの投げつけた爆弾型サポートアイテムをかろうじて防いだ!!ように見えた瞬間!!
「ぐぁぁぁぁ!!!」
「……効果範囲を狭める代わりに発光量を増やした特製のフラッシュグレネードだ。衝撃は防げても光までは防げまい……燈矢、まずはお前の視界を奪わせてもらう!!」
猛烈な光の衝撃が荼毘を撃つ!!
その光に荼毘の目が焼かれる!!
思わず目を両手で抑える荼毘!!
「うおおおおおお!!!!」
今だ!!
これだ!!
(ここが!!勝機!!)
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『サー・ナイトアイみたいな飛び道具を持つのもいいんだろうが……あんまり重い物を持つのはテメエのスタイル的には合わないだろうなあ……サブウエポンの投げ技強化して持ち味殺したら意味がねえ』
……これも、いつかのかっちゃんとの会話。
かっちゃんとは、本当の本当に何度も何度も自主練・模擬戦を繰り返したんだ。そして終わった後には毎回振り返りの反省会をしていた。
『うん……そうなんだよね。サーの印鑑は5キロもあるから強力なんだけど、あまり多く持つと重くてスピードが出なくてさ』
『ダーツみたいな軽いモンに、痺れ薬塗ってサブウエポンとかもいいとは思うけどよぉ……やっぱ威力はでねえよな』
『うん……そうなんだよね。やっぱり強い威力を出すにはさ、重くて大きくて固いモノを高速でぶつける必然があるんだよね』
そして、やっぱり結論としては戦闘中に砕けたコンクリートの破片とかを投げつけるとかが一番いいのでは?という事になった。
でもこれがすごく難しい!!
戦闘中に砕けたコンクリートの破片なんて、重さも大きさも形も重心だってそれぞれバラバラなんだ!!
それを強く早く正確に敵に投げつけるだなんて!!しかもそれを極限の戦場でやるだなんて!!ハッキリ言って滅茶苦茶難しい!!
……結論、やっぱ回原くんは色々とハッキリと確実にメッチャ
……なんであんなに高速で移動しつつコンクリの塊を敵に正確にぶん投げまくりながら、スキを見てAFOに飛び膝蹴りとか仕掛けてるんだろう!?あり得ないレベルでマジで異常だと思う!!
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「……だけど!!目指すべき道は見えた!!」
『……いいか?ドリルの戦い方は一見するとド派手だが、実は滅茶苦茶堅実で、滅茶苦茶手堅い』
エンデヴァーの攻撃で視界を失った荼毘!!
その荼毘に黒鞭+浮遊+フルカウル20%の!!今出せる全速力で突っ込む!!
「おおおおおお!!!」
『考えてみれば当然なんだがよ。緩急織り交ぜた複雑な動き、フェイント含む牽制の攻撃で敵の防御を崩し、一撃必殺の攻撃を敵の急所にぶち込む……アイツはそれを計算し、その結果に最短で辿り着けるように逆算して全ての攻防を組み立てている。ドリルはそれが雄英内でダントツに上手いし、何ならトップヒーローの中に混ぜても遜色無え程の最上位クラスだ。それがアイツの強さの一因だ。だからデク……テメエもそれを意識しろ』
かっちゃんの言葉が脳内に響く!!
『普段から常に全力全開のパンチだのキックだのの連発はいらねえんだよ。手持ちの札を組み合わせて敵の防御を最短最速で崩して、一発だけ、渾身の一発だけをワン・フォー・オールの力で急所にぶち込めればテメエに勝てる奴はそうそういねえ。テメエは多少マシな頭をしてんだろ?その小癪な頭脳を駆使して、周りの全てを活用して、その最強の一発を叩き込む技術を高めるべきだ』
モノを投げるのも、周囲のヒーローに合わせて動くのも、全てはこの時の為に!!
そして!!
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『ん?俺に蹴りを教えてくれって?』
『ダメかな回原くん?』
それは冬のとある1日。
たまたま教室からの帰り道で一緒になった回原くんに、ふと思い立ってお願いをしてみた。
『うーん……師匠達との約束で本格的に教えるのは止められてるんだけど「こうしたらもっと良くなるぞ」とかのアドバイスなら良いって許可もらっててさ。それでもいいか緑谷?』
『うん!!お願いするよ回原くん!!』
何か回原くん的に譲れない細かいこだわりがあったようなのだが、条件付きでOKをもらえたので、その後互いに着替えて早速教えてもらう事になった!!
『……なあ、緑谷?』
『なに回原くん?』
そして着替えて寮の近くで早速蹴りの練習を見てもらった。
回原くんは、僕の蹴りを何度か見て、そして、
『確か、これまでの無理し過ぎた影響でパンチ封印して蹴り主体のスタイルになったんだよな?』
『うん。そうだよ』
『だったらさ……』
………そうして、回原くんは『ちょっと手本見せるから、俺の動き見ててくれ』と言って、その場で演武を見せてくれた!!
凄まじい程美しく、そしてとても危険な演武を!!
『……まあ、こんな感じでさ。パンチ封印されたから蹴りってのはいいんだけどな、何も蹴りの種類を限定する必要もないだろ?』
それはムエタイの演武!!
肘打ちと膝蹴りが中心!!
凄まじい程美しく!!かつ驚異的な破壊力を秘めた演武!!
『やっぱブッ殺すならムエタイだよな!!』
そして、回原くんはニッコリ笑ってサムズアップしてそう言った!!
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(膝蹴りのアドバイスくれてありがとう回原くん!!)
でも!!!
「正直!!ヒーロー志望で『ブッ殺す!!』系の技を勧めるのはどうかと思うよ!!」
だけど!!今は使わせてもらう!!
「……サーチの気配に反応!?ワン・フォー・オールのクソガキか!?」
目の潰れた荼毘が僕の接近を感知する!!
しかし!!遅い!?
「おおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」
すでにここは僕の間合いだ!!!!
ワン・フォー・オール・フルカウル!!30%!!
「
ゴシャァァァァァ!!!!!!
ワン・フォー・オール+黒鞭+浮遊の全力全開!!
高速で宙を駆けた僕の渾身の飛び膝蹴りが、轟音をたてて荼毘に直撃した!!!