回原のドリルは天を貫く   作:のりしー

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最高のヒーローになる為の物語

「ねえねえ旋くん旋くん知ってる?知ってる?もうすぐ卒業式なんだよ!もうすぐ私卒業なの!不思議不思議!!それでね雄英の卒業式ってとってもスゴイんだよ!!知ってる?ねえ知ってた?ねぇねぇ何であれで教育委員会とか怒らないのかな?雄英だし良いか?って思われてるのかな?不思議不思議!!」

 

蛇腔総合病院の決戦から一夜明けた昼下がり。

雄英の食堂で俺とねじれ先輩、唯、一佳は昼食を食べていた。

 

俺の両隣がねじれ先輩と一佳。向かって正面に唯が座っている。もはや恒例となった『俺の隣に誰が座るかじゃんけん』の結果、今回はこういう席の並びとなった訳だ。

 

何時ものように会話はねじれ先輩がリード……というか色々と気になった事、思いついた事をどんどんと話しまくるから自然そうなるのだが、ねじれ先輩の話に俺達が相槌を打ったり気になった事を質問するなどして会話が続いていく。

 

しかしスゴイのね雄英の卒業式って。

去年の卒業式の話を楽しそうに話すねじれ先輩。

 

「……流石にそれはいくら雄英でも……なんて思ったけど、ウソついてる感じもないし本当なんだろうねこれは……」

 

「……ん」

 

クラス委員長であり根が真面目な一佳はええ……と『マジで?』といった顔を隠さず。

あまり騒がしいのが得意ではない唯は『うーん……ちょっと苦手かも?』といった感じの少し困った顔をしていた。無表情のように見えて何故かわかるのである。不思議だなぁ。これもカップル故の愛の力なのだろうか(白目)

 

「あ〜あ、でももう卒業かあ……なるべく時間作って会いに来るけど、旋くんと学校で会えなくなるのは寂しいなあ……あ!私良い事思いついちゃった!!ねぇねぇ旋くん!!今のうちにギューッて!!いっぱいいっぱい抱きついてていい?いいよね?大丈夫だよね?うん!!今のうちに旋くん成分をいっぱいいっぱい貯めておくの!!ねえこれすごくいい考えだと思わない?そうだよねいい考えだよね!?うん!!これなら私先に一人だけ卒業しても頑張れそう!!うん不思議不思議!!」

 

「あ!!」

「ん!!」

 

そんな事を言うやいなや「むぎゅー!!」と言って抱きついてくるねじれ先輩。俺の身体をとても素晴らしい柔らかさと暖かさが包み、反面周囲のテーブルで飯食ってた男連中の視線がメッチャ冷たくなる。

正直すまんて。

 

「……ん」

 

「ん?ああ……両手塞がってるから食べれないでしょ?私が食べさせてあげるってか?ありがとうな唯」

 

「ん」

 

そんなねじれ先輩に負けじと唯が「あーん」と俺の食べていた生姜焼きの肉を一切れ食べさせてくれる。そんな唯の甲斐甲斐しい様子に、更に周囲から俺へと向けられる視線の温度が下がる。

いやすまんて。

 

「……ああ、口の周りにタレついちゃってるじゃん。ほら旋こっち向いて……拭いてあげるからさ」

 

「ん……さんきゅ一佳」

 

そして次に俺の口の周りについたタレを一佳が拭いてくれまして以下略。

正直すまんて。

 

 

こんな感じで俺達は楽しい昼食時を過ごしていたのだが。

 

ブッ!!

 

「……ん?スマホになんか通知来たな」

「うん!!私も来たよ!!」

「ん!!」

「私もだね」

 

……そんな楽しい昼食時に水を差すような一件の通知。

 

「……物間か」

「……まぁた何か悪巧みでも思いついたのかねこれは……」

 

その通知は物間からのメッセージ。

 

『この連絡を受けとった人は昼食が終わり次第1年A組の寮まで来て欲しい。よろしくね』

 

そんな、シンプルなメッセージ。

 

「ん?」

 

「……ん、ああ悪い……何でもないよ唯」

 

……メッセージ自体はシンプルだが……なのだが、昨日の今日でこれだ。

 

そう、1年A組には緑谷が……オールマイトさんの後継者である緑谷がいるのだ。

 

そして、昨日オールマイトさんから直接一緒に説明を受け、その後にホークスさんやベストジーニストさん達と打ち合わせをしていた物間が、このタイミングでA組の寮に招集をかけた。

 

何か……何かきっととてつもなく大きな物事が動くのだろう……その予感、そんな強い予感が俺の胸の中で暴れ出していた、

 

「……上等……何であろうがやってやんぜ」

「旋くん?」

 

俺に抱きつき上目遣いで俺を見上げるねじれ先輩。

そして唯と一佳。

 

(……何があろうとも、何が起ころうとも……絶対に、この3人は俺が守ってみせる!!)

 

3人の視線を浴びながら、俺はそう強く決心した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ!!来たね回原くん!」

 

「ホークスさんも来てたんですか!!」

 

食事を終えて4人で1年A組の寮に移動すると、中にはなんとホークスさんがいた!!

 

暫定とは言え現役No.1ヒーローであるホークスさんがわざわざここにいる。それだけでこの後の話がそれくらいに重要なのだと無理矢理理解させられる。

 

 

「ふむ……すまんな、少し遅れたか?」

 

「エンデヴァーさんまで!?」

 

そして俺達4人到着から暫くして、A組寮の入口の扉が開いたかと思いきや!!なんと!!エンデヴァーさんも現れた!!

 

 

まだ見慣れなくて正直違和感があるのだが、各種サポートアイテムを身に着け武装したエンデヴァーさん。

 

個性を奪われても、それでも戦い続けるという茨の道を選んだヒーローがそこに立っていた。

 

 

「……うーん、いやぁ、アレですねえ!!」

 

「……ふん、不快な笑いだな。何かあるなら言ってみろホークス」

 

そして、そんなエンデヴァーさんをニヤニヤと見て笑っていたホークスさん……そんな彼がエンデヴァーさんに笑いながら声をかける。

 

「いやぁアレですねえ!!うーん!!傷だらけボロボロのムキムキマッチョメンが全身武装で敵と戦いに行く姿ってすんげぇクルっすねぇ!!……というか!!うん!!ムンムンな色気がヤバいっすねエンデヴァーさん!!」

 

……うーん!!隠れ強火ファンなのは知ってますし気持ちはわかるけども!!

 

 

ちょっとええ……マジか?みたいなホークスさんの言葉を聞き、エンデヴァーさんは、

 

「……ふむ、マジか貴様……正直、顔も悪く無いしヒーローとして成功していて地位も金もあるにも関わらず、女っ気が無さすぎるのは少し気になってはいたのだが……まさか『そっち』の趣味だったとはな……いや、理解はするのだが生憎俺はノーマルでな……すまんが今後は一定の距離を保ってもらえると助かる。ああ、後、焦凍にはなるべく近寄らないでもらえるか?これ以上貴様から影響を受けると流石に今後が心配でな」

 

「おおーい!!何勝手に人の事ゲイ属性にしようとしてんすか!?違うでしょ!?ねえわかるでしょ!?そんなつもりで言ってないすよ俺は!?ねえ君ならわかるだろ回原くん!?」

 

「うーん……それは今後の『模擬戦貯金』の消費の仕方次第かなぁ、と」

 

「あっ!!クッソ!!ねえわかってるだろわかってるよねえ!!良くない!!良くないと思うよ俺はぁ!!そういうの良くない!!良くないぞ!!ねえ回原くん!回原くぅん!?」

 

「回原。お前の性格上、目上の者に食事等に誘われて断るのは難しいかもしれんが、ホークスに2人で食事に誘われたなら気をつけろ。最近はハラスメントも厳しいのだ。あまり我慢せず周りを頼るようにな」

 

「そうですねありがとうございますエンデヴァーさん!!……まあ今後の模擬戦の行方次第何ですが」

 

「キタナイ!!キタナイぞああもう!!何かやっぱ俺だけ扱い悪い!!悪いでしょコレねえ!?」

 

「……ふん」

「あはは……」

「……全く、もう……」

 

 

……やっぱ、俺、この3人の空気感好きなんだよなぁ。

 

 

エンデヴァーさんとホークスさんと俺。

やっぱこの3人が揃った時の空気感が好きだ俺。

 

例え敵がどんなに強大で、どれだけ恐ろしく強かったとしても……この3人が揃っていれば、絶対に何とかなるのだと、どうにでもなるのだと確信させるこの安堵……安心感。

 

「ふむ……役者デニムの揃い踏みだな、壮観だ」

 

「……ああ……あれが爆豪の……ふむ、良い子選んだじゃないかアイツ。別れたらソッコーデニムナイトで説教だが」

 

そして続々と集まってくるトップヒーロー達。

ベストジーニストさんにエッジショットさん。

 

「……最近の学生寮ってのはキレイなもんだの」

「グラントリノ……多分、ここは大分特殊です」

 

グラントリノさんにナイトアイさん。

 

「……けっ!!こんな綺麗すぎる所で仲良くお勉強しててホントに強くなれんのかよ生意気だな!!」

 

「ミルコ。あんまり周りを威圧しないの」

 

ミルコさんにリューキュウさん。

 

「サンイーター引っ張って来たでぇ!!お!!もう皆揃ってるんか!?」

 

「……もっと静かに入りたかった目立ちたくない帰りたい帰りたい……」

「まあ諦めるんだよね!!」

 

ファットガムさんに、天喰先輩に通形先輩まで!!

 

それにブラキン先生に相澤先生!!ミッドナイト先生や校長も!?そして他のヒーロー科の先生達全員!?

 

思ってたより大分スゴイメンバー集まってるぞ!!大丈夫かこれ?

 

いや、しかし、無理も無いのか?

 

何せ……

 

「……ふむ。皆さんお集まりいただけたようですね。少し早いですが全員集まりましたし……もう始めてしまいましょうか」

 

「「…………」」

 

 

「物間に……緑谷?」

「それにオールマイト?」

 

 

ギリギリまでどこかで打ち合わせしていたのか?

階段を降りて来た3人に皆の目が集中する。

 

「「「………」」」

ホークスさん、ベストジーニストさん、エッジショットさん。

 

「「「………」」」

ブラキン先生、相澤先生……そしてその他の先生達。

 

そして、

「…………」

「…………」

「「「「……………」」」」

 

俺とエンデヴァーさん……そして、ここに呼ぼれたヒーロー科の生徒達。

 

その全ての視線が、物間と緑谷、そしてオールマイトさんに集中する。

 

「……集まってもらいすまない。これから少し長い話をしよう……そして、それが終わったらこれからの話をしたいんだ。悪いけど付き合って欲しい」

 

……そして、3人を代表しオールマイトさんが口を開く。

そして語られる物語。

 

AFOと、そこから産まれたOFAの話。

オール・フォー・ワンとオールマイトさんの話。

 

その後継者である緑谷の話。

 

(……この場で、皆に話すって決めたんだな)

 

……これが、この後の展開にどう影響するかはわからない。

わからない……が。

 

(……何があっても、全ての障害を食い破って守ってみせる!!)

 

両脇の一佳、唯、そしてねじれ先輩。

「ん」「旋」「旋くん」

 

ぎゅっと抱き締めるようにして3人を抱き寄せる。

 

そんな俺と、緑谷の目が合う。

 

……緑谷は、コクンと頷いた。

 

……わかった、お前も覚悟を決めた。決めてるんだな。緑谷。

 

だったらやってやろうぜ。

やってやろうぜかましてやろうぜ。

 

全てのヴィランを、障害を、壁を貫いて、俺とお前で天まで登ろう。

 

運命すらも、天元すらも、何もかもを貫いて。

 

大丈夫だよ。緑谷。

ここには俺達だけじゃない、皆もいるんだ。

だから皆も力を貸してくれる。

 

全員の力が集まれば!!集まれば俺達なら何処までも行けるさ!!

 

そう!!だからきっとこれは!!

 

 

きっとこれは、俺達が最高のヒーローになるまでの物語なんだ。

 

 

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