side死柄木弔
「ジュリオさん!!アンナさんを連れて後ろへ下がってください!!」
「やるぜぇ!!来いやトゥワイス!!」
民間人らしき2人を後方へと下がらせるヒーロー達。
足元に横たわるオールマイトのパチモンを踏みつけながらトゥワイスを呼ぶ荼毘。
それぞれがそれぞれの戦闘態勢を整えようとし、
ビシッ!!!!!
「何だ!?」
「これは!?」
……した瞬間、俺達の立っていた地面!!このトンチキ野郎が生み出した虚構の城!!その偽物の大地に次々とヒビが走り!!そしてどんどんとそのヒビが広がっていく!!最初のビシッという音はやがて連続する轟音となり、この城の崩壊とともにその音量を一気に高めていく!!
「マジかよ!?崩れるのかよこの城!?」
崩壊の轟音に溶けて消えそうな俺の声。
城の最上階であるここはかなりの高所!!
コイツはかなり不味い!!
見れば視界のそこかしこで無数のヒビとヒビが繋がっていき、繋がったそこから切り離された地面が下へと落下し始めていた!!
大崩壊。そう大崩壊だった。
この虚構の城を作った道化……その個性を奪ったのがトリガーとなったのだろう。急速に出来た城は、まるでその巻き戻しのようにして急速に滅びの工程を進めていた。
視界の全てがヒビ割れ、下の階へと落下していく地面によって占められていた!!
そして当然!!その崩壊の波は!!
「キャッ!!なのです!!」
「ヒミコちゃん!!」
「うおお!!落ちる!!誰か助けて!!」
「この位余裕だぜ!!でも落ちる!!」
崩壊する地面に巻き込まれ、下の階へと落ちていくトガとトゥワイス!!それを追いかけるコンプレス!!
「トガ!!トゥワイス!!チィ!!」
トガは……コンプレスが助けに行ったか!!
ならば俺はトゥワイスだ!!
そして!!
「オマエもだ!!来い!!荼毘!!」
「ああん!!」
自分は空を飛べるからだろうが余裕な荼毘……こんな状況にも関わらず、一人戦意と狂気に侵された目でヒーロー達を睨みつけていた。
民間人2人をしっかりと保護しつつ、こちらへと警戒の視線を向けるヒーロー2人。
そんな2人を睨みつつ。
「は!!楽しくなってきたじゃねえか!!崩れてく城の中での殺し合いとか最高に滾るぜぇ!!さあ!!僕と!!俺と!!殺しあおうよ与一ぃぃ!!!」
こんな状況でも血気盛んな荼毘!!
だが!!
「ダメだ!!撤退だ荼毘!!」
「ああん!!ふざけんな!!萎えることばっか言うんじゃねえよ死柄木ぃぃ!!」
俺を止めるならオマエから殺す……そんな目で俺を睨む荼毘に対して俺は。
「ふさけてんのはテメエだろ荼毘!!仲間を助けんのが先だろうが!!それに!!」
そう、それに!!
「あのフルカウル100%流水制空圏!!」
「ああん!!」
あの、余りにもヤバ過ぎるタイマン最終決戦兵器!!
「トゥワイスのサポート無しで!!オマエ一人でアレに勝てんのかよ!!あんま調子にのるな!!まずは仲間を助けるのが先だろうがぁぁ!!!」
俺の渾身のその叫び!!
それを聞き荼毘は!!
「………ああああ!!!ああ!!あーーーー!!!!クソが……クソが……クソがぁ!!!」
その視線で、その声で、それだけでも誰でも呪い殺せそうなリアクションを示し……示してから、仲間を助ける為に俺よりも速く飛んでいった。
「…………」
それをしっかり見届けてから俺は……そんな俺達を警戒しつつ……しつつ、あのオールマイトの偽物も一応保護していたヒーロー達へと目を向けた。
「……正直、滅茶苦茶に不完全燃焼な訳だが……今日は、ここまでか?」
『主にコイツの所為で』
言外にそんな含みを持たせ、スパイラル……回原旋というヒーローがこちらにそう話しかけて来る。
俺はそれに。
「……ああ、そうだな。今日の所はこの辺にしといてやるよ」
「……は!!抜かせ!!」
俺のお約束の様な負け惜しみを礼儀正しく返したヒーロー。
その2人に背を向けて、俺も仲間と合流する為に動き始める。
まあ……しかし、
「……あーあ、だがなヒーローさん達よ」
「……何だよ」
しかし……やられっぱなしは正直……面白くない。だから!!
「……しっかし、こんなトンチキな迷惑かけられながらも、そのマヌケをしっかりと保護しなけりゃならないお前らヒーローって生き方には同情するぜ!!」
「……それは……」
「……言わないでくれるかな……」
「……かは!!じゃあ!!今度こそホントにあばよ!!」
俺の捨て台詞にガチ凹みするヒーロー2人。その視線の先は例のアイツ。
最後の最後で一本取ってやった!!俺は、ほんの少しだけの自己満極まりない高揚を覚えながら、今度こそ先に落ちた仲間達に追いつくべく、崩壊した階下へと飛び込んだ。
そこそこに時間が経ってしまったからか?飛び込んですぐには仲間達の姿は見えない。まあ、あの連中の事だ。死ぬ事は無いと思うが………
仲間に追いつくために加速しながら、細心の注意を払いながら落下していく俺。そんな俺の脳裏をよぎるのは……
「……これが最終決戦のつもりだったが……中途半端に終わっちまったぜ……クソ……」
主にあのピエロの所為で。
正直に言おう。
俺達ヴィラン連合は、この戦いが最終決戦のつもりでこの戦いへと臨んでいた。
残っているハイエンド脳無も全て出撃させ、魔王・荼毘+コンプレス+泥ワープという切り札まで切った。
本当に、最後の最後の大決戦のつもりだったのだ。
……そして、おそらく、それはヒーロー達にとっても。
俺達ヴィラン連合程追い詰められてはいないだろうが……だろうが、正直、ココで決めておきたいという気持ちは強くあっただろう。そのくらいにはヒーロー達も気合が入っていたと思う。
だが……
「……その全て……その全てが、あのピエロ野郎の所為で……ああ……クソ!!」
俺達ヴィラン連合。
そして対峙するヒーロー達。
……その双方が最終決戦と位置づけていたこの大決戦……それが、アイツの所為で盛大にスカってしまったのだ!!
「マジで嫌な予感が……本当に、猛烈に嫌な予感がする……」
心中、暴れ回る大きな不安。
それは……
「……荼毘」
……あの、明らかに不完全燃焼感が爆盛だった荼毘。
無理も無い。
さあこれから血戦だ!!
……という所で全てを台無しにする酷い茶々が入ったのだ。
凄まじい破滅衝動。そしてそれを上回る程の大きなエンデヴァーとOFAへの執着。
その全ての想いを台無しにされ、お預けされた……まだまだ気持ちの昂ぶっているであろう荼毘と……
「……正直、厭戦気分のあふれる……俺含む残りのヴィラン連合メンバー……か……」
……目端の利くコンプレスやトガは辺りは間違い無く気づいているだろう。
今回、俺達ヴィラン連合は全てのカードを切った。
……そして、その上で荼毘の本体をヒーロー達に見つけられてしまい、そしてその荼毘の前に『アイツら』が立ってしまった。
『フルカウル100%流水制空圏』
「……あれは、どうしようもないくらいにリーサルの流れだ」
そう、それも何を対策してもどうしようもないレベルでの完全完璧なリーサルの流れだった。泥花市で直接対戦した俺だからこそなおさらわかる。アレはタイマンで対峙した時点で負けが確定する……それ程までに酷い組み合わせ。
ヒーロー達の狙いが今になってわかる。
トゥワイスの個性で増えた荼毘に対処しつつ人海戦術で本体の荼毘を見つけ出し……フルカウル100%流水制空圏で詰む。
……それがヒーロー達の狙いだったのだろう。
そして、あの最終局面……エンデヴァーに釣られて飛び出した荼毘本体と、その目の前に辿り着いたスパイラルチーム……
……それが、全てを物語っていた。
つまり……
「……俺達ヴィラン連合にとって……今回以上の結果は……おそらく、無い……それがわかっちまった」
……その、絶望。
当然、他のやり方は多少はある。
雄英高校襲撃しながら東京襲撃するとか?地方都市を襲撃するとか?そりゃアレンジは当然のように無数で、色々とやりようはあるのだ……が……
「……その全ての未来の先で……誘き寄せられた荼毘本体が……フルカウル100%流水制空圏で仕留められる……そんな未来が……いくらでも分岐するであろう未来の……その終着点が、今日、確定しちまった……」
……故の、絶望。
……俺は、そしておそらくドクターも、コンプレスも、トガも……全員、最後には倒されるであろう魔王・荼毘の姿を確信してしまった。
……故の、悪寒……。
故の、この胸騒ぎ……。
「いた、か……」
加速しながら落下する俺の視線の先に……荼毘が、コンプレスがトガが、そしてトゥワイスが……ヴィラン連合の仲間全員が無事に立っていた。
無事に一緒にいた。
しかし……
(その……胸の奥底は……どうなんだろ、な……)
今、俺達は同じ気持ちを抱いているのか?
全員同じ気持ちなのか?
嫌な予感……猛烈に嫌な予感……それが胸を激しく叩く。
この最終決戦……それを不完全燃焼で終えてしまったメンタル不安定な荼毘と……それ以外のリーサルが見えてしまった俺達。
その身全て滅んででも何もかもを滅ぼしたいという破壊の化身である荼毘。
……そして、生と死の
……ギシッ……ギシッ……パリ……ン……
……決定的な崩壊の音色が、今……聞こえた気がした。
今この瞬間まで……ギリギリのギリギリで……俺達ヴィラン連合がギリギリのギリギリでかろうじて仲間として成立していた……成立させていた何かが……あのピエロの所為で砕けてしまった……そんな、音が……
今日アイツが来なければこんな事にはならなかったかもしれない。俺達の作戦が大成功して、ヴィラン連合が日本を制圧していく……そんな未来があったかもしれない。逆に俺達は全員ボロボロに大負けして……この国に完全に見切りをつけて、国外に皆で逃亡する未来もあったかもしれない……
でも、ダメだ……ああ……ダメだ……その未来はもう無い。
誰にとってもどちらの勢力にとっても……この最終決戦は不完全燃焼なままに終わってしまったのだ。
そう、終わってしまった……
……もしかしたら、最終決戦を終えて燃え尽きた後の荼毘ならば……ああ、そんな燃え尽きた荼毘であるならば……俺達と一緒に国外逃亡する芽もあったのかもしれない……けど……
(……ああ……頼む……頼むぜ、おい……)
……ああ、頼むよ神様。いやヴィランが願うなら悪魔なのか?
(……この嫌な予感……頼むから……外れて、くれ……)
ああ……多分だが……
多分だが……この不吉な予感は……きっと外れない……
side緑谷
(……何でこんな事になったんだろう……)
……ふと、そんな事を思う。
僕の目の前には、顔を赤くしてモジモジしている麗日さん。凄く可愛い!!
少し離れた所には色々と茶番劇をやった後に結論イチャイチャプレイしてるジュリオさんとアンナさん!!
それを離れた所から見守る切島くん&芦戸さんペア。上鳴くん&耳郎さんペア。黒色くんと小森さんもなんかイチャイチャしてるし!!蛙吹さんと印照さんは物間くんを挟んでバチバチしてる!!これは少し違うのかな!?
……何でこんな事になったのか?
……その原因、それはほんの少し前に遡るのだけど。
城の崩壊から逃れた僕達4人。
そして、それぞれ上手く脱出!!誰も欠ける事なく無事に脱出した僕達雄英高校の生徒+エンデヴァー!!
そんな皆と僕達は合流したのだけれど。
オールマイトに呼ばれてこの場からエンデヴァーが離れたまではまあ良かったと思う。
問題はその後で……
目を覚ましたアンナさんと……回原くん的に需要の無い男のツンデレを見せるジュリオさん。そこから繰り広げられるありがちなラブラブコメコメ!!そんなやり取り!!
「執事とお嬢様の恋愛っていいよねえ!!!」
そんな感じでキャッキャッしつつ!!「じゃあ私たちも!!」みたいな感じでさっき名前を挙げた人達が
そこからが僕の迂闊な所で!!
「……どうした緑谷?今、麗日の事スゲェ見てたぞお前?」
「ギャァァァ!!おいコラやめとけや半分野郎!!」
「こういう流れでお前が出てくると嫌な予感しかしねえんだよ俺達!!」
迂闊にも……なんか飲み会の最中の一幕みたいに麗日さんを僕は注視してしまっていたらしい。
そこに天然らしきツッコミをぶちかます轟くん。
そして「「やめとけコラ!!」」と叫ぶ!!主に天然爆弾の被害者である2人!!具体的に言うとかっちゃん&回原くん!!
しかし轟くんはそんな吠える2人には欠片も意識を向けない!!マジで強いな天然爆弾!!
「……ふむ……わかったぞ緑谷」
「何をわかったのかな轟くん!?正直不安しかないよ!?」
「俺はな緑谷。ベストジーニストとエッジショットの2人に鍛えられた事で、多少は男女の恋愛の事がわかって来たんだ」
「ああ!!もう!!前フリの時点で不安!!てか絶対に不穏になるヤツじゃん!!」
叫ぶ僕!!しかし轟くんは菩薩のような、絶対に菩薩じゃ言わないような事を真顔で言った。
「大丈夫だ緑谷。安心しろ。俺はキャバクラでもメイド喫茶でも安全地帯というか……そう、休憩スポットみたいな男なんだ。俺はそういうポジションなんだよ緑谷。俺は女の子にはギラつかないし、休憩地帯のように皆が安らげるような、そんなキャラを目指しているんだよ。普段接客で張り詰めた気持ちになっている女の子達……そんな女の子達も俺の側では休憩スポットのように安らげる……仕事ということを忘れて、仕事中なのに俺の側では休憩出来る……そんな男なんだよ俺は」
「ああ無理!!絶対に無理だって!!キャバクラとかメイド喫茶に自発的に行ってるのに!!そんな事を言う人は流石に信じられないよ轟くん!?」
叫ぶ僕!!ああ!!でも!!
「そんな訳で俺は俺なりに緑谷……お前の力になってやる。そう……ベストジーニストが言っていた。自分がモテる為だけでなく、友達がモテるように行動出来る男……それこそが真のイケデニメンズなのだと」
「ボケ!!イケデニメンズ認定とかいらんわ!!」
「止まれぇ!!この辺で止まっとけ轟ぃぃ!!」
被害者✕2(略)とかが叫ぶ!!
しかし!!
「おーい麗日」
「……ん?どしたん?轟くん?」
「「「ギャァァァ!!!やめろぉぉぉ!!!」」」
しかし!天然爆弾が止まらない!!どうすればいいのこれ!?
そして、轟くんが決定的な一言を放ち……舞台は回想の最初の場面に辿り着く。
「なんか俺良くわかんねえけどさ……うん、緑谷のヤツが麗日と2人だけで話したい事があるらしいぜ。うん。俺は内容知らねえんだけどよ。じっくり2人だけで話したいらしんだわ。大切な話らしい。麗日、ちょっと緑谷に付き合ってやってくれよ」
「「ギャァァァ!!ホントにやりやがったぞこのボケ!!」」
吠えるかっちゃん&回原くん。
そして最初は真顔。その後に言葉の意味を理解し!!そしてその後の事を想像してテレテレしてる麗日さん。スゴク可愛い!!
そして「ふんす!!」みたいにドヤる轟くん!!
これに関してははマジで殴りたい!!殴れないけど!!
……ココで冒頭のシーンに帰ってきました。
どうしよう!!
どうすればいいの!!
困ってしまい……僕は思わずかっちゃんを見てしまいました!!
「……ぐ!!」
その視線に!!思わずマジのマジで困った顔を隠せないかっちゃん!!頼むよ!!助けて!!
助けて!!助けてよ!!かっちゃん!!
これはちょっとシナリオ外だよお互いにぃぃ!!
どうすればいいのこれ!!
「…………」
僕の視線……それを受けてマジ困り顔のかっちゃん。
そして僕の近くにはテレてる麗日さん。凄く可愛い。
「…………」
そして僕の視線の先には!!ホントに困り顔のかっちゃん!!
からの!!
「……まあ、丁度いい懺悔の機会なのではありませんか?ねえ駄犬?」
……からの!!塩崎さん!!
塩崎さん来たぁ!!来たぁ!!
これだ!!これで勝つる!!勝つるよ!!知らんけど!!
この流れに困り過ぎて何も言えないかっちゃん!!
そのかっちゃんの隣に立ち、塩崎さんが、
「……前に言ってたでしょう?俺は緑谷さんに対して十年分くらいの色々な負債があると。いい機会なのではないですか?ここで緑谷さんを助けてあげられれば、だいぶ精算出来ると思いますよ」
「…………」
……あ、かっちゃん……君、僕との昔の色々な事を……塩崎さんにはちゃんと隠さずに全て話してるんだね。
ホントのホントに本気なんだなぁ塩崎さんには……思わずそう思ってしまう。
すまし顔の塩崎さん。苦悶するかっちゃん。
塩崎さん来たし、まあ俺はもういいか……そんな感じで逃げようとする回原くん。その胸ぐらを掴むかっちゃん。仲いいね君らホントに。
……そして、
「……すぅぅぅぅ………」
かっちゃんが……
「作!!戦!!タァァァイムゥゥゥゥゥ!!!!だ!!ゴラァ!!!!!!!!!」
……吠えた。
かっちゃんが、吠えた。
……本来であれば、絶対に言わないような言葉で……
かっちゃん……君……作戦タイム!!とか言うキャラだったっけ?かなり解釈違いなんだけど……
まあとりあえず……かっちゃんが吠えた。
吠えたね。結構な解釈違いがあるんだけれど。
……ご丁寧に、バスケの試合のタイムアウトでやる時のハンドサインまでしていた。ホント君は才能マンだね……