回原のドリルは天を貫く   作:のりしー

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デスパレードが照らす光と闇

sideコンプレス

 

「ドクター!!」

「わかっとる!!もうすぐじゃ!!」

 

ここはドクター(正確にはAFO)が所有しているアジトの一つ。

トゥワイスの暴走から何とかかんとか泥ワープで逃げ出した俺達ヴィラン連合。

 

死柄木は状況把握の為先行してトゥワイスの元へと再度向かった。

そして俺達……というか正確にはドクターがであるが、暴走したトゥワイスを止める為のとあるモノ(・・・・・)を作る為にアジト内にあった研究&開発の為の機械を凄まじいスピードで操作していた。

 

そのドクターの直ぐ側にはエリちゃんの姿に変身したヒミコちゃん。お守りのようにヒミコちゃんが手元に残していた為、ちょっとだけ残っていたエリちゃん最後の血を使い変身したのだ。

 

コレ以外の血はどうしたかって!?んなもんさっきまでのアジトに残してきてるに決まってんだろ!!今頃ぐちゃぐちゃになってる事だろーよ!!

 

 

だが!!ヒミコちゃんがほんのちょっとだけその血を手元に残していた(ガメていたとも言うけど!!)おかげで!!だいぶ状況は絶望的ではあるのだが!!それでも!!こうして微かな希望の火は灯っていた!!

 

「元々存在は知っとったし!!今後正式に量産してこのヒーロー社会ブッ壊す為に活用しまくるつもりじゃったからのお!!ちゃんとしたデータはさっきのアジトに置いてきてしまったままじゃが!!それでもワシの頭にデータが残っていたのは幸いじゃったな!!何だかんだでやっぱ優秀よねワシって!!」

 

「マッドサイエンティストの極まったマッドっぷり見て頼りになるって感じるとか世も末よね……って思っちまったけど、今がまさにその世も末状態なんよな……」

 

 

これでドクターが『データとか消えちゃいましたーさっきのアジトの中ですぅ!!もう無理ぽよ〜』とか言い出したら完全に終わりだったが。ここでも幸運な事にそうはならず、何とかかろうじてだが希望の細い糸は続いていた。

 

……だから。

 

「よし!!出来たぞい!!」

「ドクター!!」

 

ドクターの渾身の叫び!!そしてそれに応えるヒミコちゃん!!

 

 

「個性消失弾じゃ!!これを本体のトゥワイスに撃ち込めれば!!『少なくとも』本体のトゥワイスだけは確実に止められる!!」

 

 

……だから、ここまで幾つかの『幸運』に助けられて、微かに繋がってきた『希望』

それを『現実』に変えに行こう。

 

そんな『奇跡』を『現実』でも起こしてみせる。

例えそれがペテンであっても。

 

「行きましょうあっくん!!仁君を助けに!!」

「ああ!!行くぞヒミコちゃん!!」

 

それこそがエンターテイナーのお仕事なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideホークス

 

フルアーマー・エンデヴァーさんと共に戦場に立つ俺達。

 

精神的にも、戦力的な面でも大きく強化された訳だが。

 

 

「……はっ!!今さら親父1人が来たからって……だから……何だってんだよ!!」

 

だかそれでも……まだ、荼毘は強い!!

 

 

叫ぶ声とともに雷の轟音が鳴り響く!!

威嚇する為だけに自らの周囲へと雷を落とし続ける魔王・荼毘は、例えエンデヴァーさんが最前線に復帰したとしても……それでもまだ最悪のヴィランであり続けていた、

 

 

だけど。

 

「……本来の元々のエルクレスの仕様は、雄英高校1年A組の生徒20人の個性……それをサポートアイテムとして再現し戦う強化アーマーというのがコンセプトだった。元はオールマイトが使用する事を想定していた装備だ。当然……俺が使うにあたって俺用の調整をさせてもらった……つまり燈矢……対・お前との戦闘を想定してな」

 

「ああ!!だから何だってんだよ!!」

 

 

それでも、エンデヴァーさんは揺るがない。

 

 

 

 

「広域拡散・避雷針モード……『ネオ・チャージズマ』」

 

 

 

 

エンデヴァーさんの背後に舞っていたファンネルのようなパーツ達。それが自らの意思を持つように空を駆ける!!

そして!!

 

「何だとぉ!!」

 

 

その空を飛ぶパーツ達が、荼毘の放った雷を次々と引き寄せていく!!

 

 

「元来器用なタチでもないのでな。20人分の個性なんぞ与えられてもとても使いこなせん。なので悪いとは思ったがその内の10の個性を集約し、1の個性の力を昇華させてもらった。それがこのネオ・チャージズマだ。当然、対・お前との戦いの為にな」

 

「親父ィィ!!アンタは!!アンタはぁぁ!!」

 

 

放った側から次々と空を飛ぶ無数の避雷針パーツへと吸い込まれていく雷の群れを見て荼毘が叫ぶ!!

 

 

 

 

「事前に雨が降ると分かっていれば、あらかじめ傘の用意をしておくのが大人というものだ。燈矢……お前の持つ数多の力の中でもダントツに厄介な雷の力……悪いが、封じさせてもらった」

 

「と・ど・ろ・きぃぃぃい……炎司ィィィィ!!!!」

 

自分が持つ最大の武器を無力化された荼毘が、その有り余る悔しさと憎しみの心のままに、大声で叫ぶ!!

 

「さっきも言ったはずだぞ。俺はここで全てを終わらせる為に来たのだとな」

 

ガコォ!!

 

その轟音とともに足元のパーツが変化する!!

 

あれは!!インゲニウムの個性『エンジン』だ!!

 

そして!!

 

「焦凍の『半冷半燃』……当然……俺が使うに当たってまず最初にテコ入れするべきはここだな。当然だ。だからこうなる」

 

 

……ゾクゾクゾクゾク!!

 

エンデヴァーさんの強火ファンである俺!!

 

「『赫灼熱拳』」

 

(戻って来た!!本当に!!戻って来た!!)

 

 

両の足元からは加速の炎を。

そして両の鉄拳からは灼炎を。

 

(エンデヴァーさんだ!!これでこそエンデヴァーさんだ!!)

 

こんなん鳥肌もんだぞ!!感動に打ち震えている俺に。

 

「何を呆けているんだホークス?」

「……はい?」

 

そんな甘えは……当然許してくれない訳で。

 

 

 

「燈矢の厄介な雷は封じた。つまり、この空はお前のモノだ」

「……は、はは!!」

 

 

 

「俺は以前ほど自由に空が飛べん。だから貴様の役割は俺の為の『特注ハエ叩き』だ。燈矢が飛んだら地面に叩き落し続けろ。そうすれば俺が必ず仕留めてみせる」

 

「はは!!相変わらずNo.1ヒーローに頼むにしては地味な役割ばかり振ってくるっすねえエンデヴァーさん!!」

 

「……フン」

 

 

かつて泥花市で似たようなやり取りをした。

そして今もこうして似たようなやり取りをしている。

それが!!たまらなく俺には嬉しい!!

 

「行くぞ!!」

「はい!!エンデヴァーさん!!」

 

そして足元のジェットを吹かして一気に加速!!

エンデヴァーさんが荼毘に向かって飛び出す!!

それに遅れずついて行く俺!!

 

 

 

「……なあ?どう思うよリューキュウ?あれやっぱ嬉ション垂れてるよな?てか垂れ過ぎじゃねアレ?」

 

「……困ったわねえ……この界隈、何故か全員デフォルトで口が悪いからミルコがいつもよりイキイキとしてるのよね……本当に困ったわ。どうしてこうなったのかしら?」

 

 

 

「あーああー!!聞こえなーい!!聞こえまっせーん!!」

 

 

明らかに聞こえるように言ってきたこの2人!!

飛び出した俺たち2人の背後には同じく飛び出したミルコさん!!そしてリューキュウさん!!

 

何他人事チックに言ってんすか!!貴方も今のでコチラの界隈入りですよリューキュウさん!!

 

 

「……嬉ションはデニムNGだな。流石にそれは付き合えんが」

「だが……『特注ハエ叩き』の手伝いくらいは俺たちにもさせてもらえるんだろうな!?」

 

 

その更に後ろからはベストジーニストさん!!エッジショットさん!!

……そして、2人の背後にいる多くのヒーロー……前に踏み出すエンデヴァーさんに合わせて前方へ飛び出すトップオブトップのヒーロー達!!

 

誰もが……皆が……声には出さずに強く強くその輝く瞳で訴えかけていた。

 

 

 

『さあ!!共に戦おう!!エンデヴァー!!』

 

 

……と!!誰もが声には出さず。だけど強く!!そう!!心が強く叫んでいた!!

 

 

 

 

 

 

「……何でだよ?」

 

……対して、一人ぼっちの……荼毘、

 

 

「……何で俺が一人で……アンタの周りには……こんなにも人がたくさんいるんだ……何で……何でだよ……」

 

 

それは寂しそうな声で……声で、しかし段々とそのトーンが変わり……やがて……

 

「……与一は居なくなった……弔も、ドクターも……そして親父も隣にはいない……でも轟炎司……アンタの側にはこんなにも人がいるんだな……俺は……僕はずっとずっと一人なのに……許せるか……許せるかよ……こんな……こんなの……許せるかよ!!認められるかよ!!」

 

「……燈矢」

 

荒ぶる感情のままに魔王が叫ぶ。 

悲しい程に、叫んだ。

そして。

 

「雷だけが僕の力じゃない……死ね……死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!死ねよ!!テメエらぁ!!」

 

 

「これが最後の決戦だ!!行くぞ!!」

「「「「「「「「「「応!!!!!」」」」」」」」」」

 

 

……炎が、竜巻が、ビームが、衝撃波が舞う。

 

でも雷は消えてなくなり。 

エンデヴァーさんがここにいる。

 

 

決戦が始まった。

ヒーロー達の、大人達の大決戦が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side回原

 

「死柄木弔!?まさかトゥワイスの援護に来たのか!?クソ!!トゥワイスだけで手一杯だってのに!!」

「でも!!だけどやるしか無いよ轟くん!!」

 

「待て!!緑谷!!轟!!」「落ち着けやデク!!半分野郎!!」

 

ハイエンド脳無に抱えられて空を飛び、この戦域に現れた死柄木弔。

 

その姿に警戒する轟と緑谷。

それを止める俺とトンガリ。

 

 

「死柄木の奴からは戦意や殺気が微塵も感じられねえ!!」

 

「俺達を襲うつもりなら!!この状況で考え無しに空飛んで間抜けに見つかる程間抜けじゃねだろ!!」

 

トゥワイスへの攻撃は全員継続しつつ。

その攻撃の間に意見を交換しあう俺達。

それぞれの判断理由で緑谷と轟を止める俺達の声。

その声に、

 

 

「……そっちの2人の言う通りだ。攻撃を仕掛けられない限りこっちから敵対するつもりはねえ」

 

 

少し離れた所から、死柄木弔が被せてくる。

 

 

「……それを信じろ、と?」

 

「……無理に信じろとは言わねえ。理由は話す。後はそっちで判断しろヒーロー共……視界に入るのが不安だってなら、俺は別にここから離れたって構わねえ」

 

「……ウソを言ってる感じじゃない……とりあえず……理由を聞いてみよう轟くん」

 

とりあえず様子見といった感じの2人。

この間にもトゥワイスの群れへは攻撃を続けている訳で!!クソ!!本当に厄介なヴィランだぜトゥワイス!!

 

 

その緑谷の声に、少しホッと……安心した様子で死柄木弔が口を開いた。

 

 

「俺がここに来た理由は本体のトゥワイスの救出が目的だ。今のトゥワイスは暴発した荼毘の所為で強制的に個性を暴走させられている。トゥワイス本人の、そして俺達ヴィラン連合の意図していない方向でな。だから俺はヴィラン連合のリーダーとしてトゥワイスの本体を救出しにここに来た」

 

 

 

「……なるほど、な」

「……筋は通る、か」

 

 

 

泥花市の作戦前のホークスさんの言葉を思い出す。

国を亡ぼす程の凶悪な異能。

ただし、今は何らかの理由でトゥワイス本人の意思でそれが発動出来ない……確かそんな話だった筈。

それを知った荼毘が……この追い詰められた状況で本人含む他のヴィラン連合の了解も得ずに発動・暴走させて……今、こうなっている、ってことか。  

 

 

(……ならば)

 

「……納得してもらえたよーで何よりだ。とはいえ、俺がここにいるとお前らも不安だろ?ここから少し離れた所で俺はチャンスを待つ。お前らはお前らで頑張ってくれや」

 

そう言って、背中を向けてここから離れて行こうとする死柄木弔。

 

「……待て、死柄木弔」

「……あん?」

「ドリル?」「回原くん?」「回原?」

 

 

……その背中に声をかけて、俺は死柄木弔を呼び止めた。

振り向いた死柄木弔に、俺は、

 

 

 

「俺達に力を貸せ、死柄木弔」

「なっ!!」

「おい!!ドリル!?」

「回原くん!?」「回原!?」

 

 

振り向いた死柄木弔の目を正面からしっかりと見て、俺は死柄木弔に言葉を゙ぶつけた。

 

 

 

 

「今、泥花市で使ったあの凶悪な連鎖崩壊を使えないんだろ?正直、お前1人じゃ手詰まりなんじゃねえか?俺達も今困ってる……だから、手を貸せよ死柄木弔……今!!この状況を打開する為には!!お前の『崩壊』の個性が必要なんだ!!」

 

 

 

 

「正気かよ!?おい!!ドリル!!」

「…………」

 

叫ぶトンガリ。

無言で俺をじっと見つめる死柄木弔。

 

そんな死柄木弔に……

 

 

「協力しろ、死柄木弔……」

 

 

 

 

……俺は、この状況を覆す為の……

 

 

 

 

 

「個性合体だ死柄木弔……この盤面をひっくり返す為にお前の力がいる。俺達に協力しろ死柄木弔」

 

 

 

……起死回生の一手とする為の協力を要請した。

 

 

死柄木弔は一瞬黙り……そして、

 

「正気か?俺と個性合体だと?……俺のこの手がお前らの誰かに触れれば……ソイツはそこでおっ死ぬかもしれねえんだぜ?」

 

「今さらお前がそんな安い手を打つような三下だとは思ってねえよ。時間がねえんだ。変に悪ぶって俺達を試すなよ死柄木弔……どの道、これしか打つ手は無いってお前も分かるだろ?」

 

「………」

 

 

 

 

 

沈黙……瞑目……そして、

 

 

 

「ヴィランとヒーローの2つの道が捻って交わる……これが奇縁ってやつか?全く……だが……これもまた一興!!」

 

 

……そして、死柄木弔は目を開けて、口を開いた。

 

 

「馴れ合う訳じゃねえ……だが!!テメエの提案にはのった!!俺もお前らに力を貸してやる!!だからお前らも俺達ヴィラン連合に力を貸せやヒーロー共!!」

 

 

口を開き!!そして!!叫ぶ!!

 

 

 

 

 

 

「個性合体だヒーロー共!!俺の『崩壊』の力を貸してやる!!トゥワイスを!!俺の仲間を助けるまでだ!!精々俺の役に立ってみせろよヒーロー!!」

 

「は!!上等だぜ!!」

 




何となくですが死柄木弔ってヴィラルと似てるよなー……なんて思ってたんてすよね。
まあだからこうなる。 
最終決戦でのこれもまた作者の性癖な訳で……(白目)
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