回原のドリルは天を貫く   作:のりしー

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想い、空を駆ける

「死柄木弔!!これから僕の黒鞭で君と僕たちを繋ぐ!!それから浮遊の力で君を浮かせるから、その後ハイエンド脳無と離れてこちらに来てくれ!!ええっと!!それから1人増えるからフルカウルの出力調整をして!!」

 

「……正直、初めて見た時は地味な役割だと思っちまったんだけど……実はコイツが一番忙しいのかコレ?」

 

(((そうでーす!!!)))

 

それぞれ内心多分そんな事を考えながら、俺とトンガリと轟の3人が死柄木弔の言葉から顔を背ける。

正直すまん!!

いつもありがとうな緑谷!!

 

 

 

「……そうか……苦労してんだなお前も……」

「この場で一番僕に優しいのが敵の親玉!!」

 

 

若干可哀想なモノを見るような目で死柄木弔は緑谷を見ながら「……ん、よし手を離していい。お前は離れてろ」とハイエンド脳無を遠ざけて死柄木弔がこちらに近づいて来た。

 

 

「……で、どうすんだ?個性合体するのは良いが……何か合体の具体的なプランはあるのか?」

 

「当然、あるぜ」

 

その問いに俺は力強く応える。

 

「泥花市でお前が見せたあの破壊の化身の力……連鎖崩壊っつー破壊の化身としての力……それを俺達の個性合体で近い形で再現する」

 

 

「……ほう?」

 

俺の言葉に強く興味を惹かれた様子の死柄木弔。

 

 

 

「フルカウルで超強化された俺のドリルハリケーンの射程は優に1キロを超える。そのドリルハリケーンにのせて轟の氷の粒を飛ばす……当然、お前の崩壊の力を付与してだ、死柄木弔」

 

「は!!なるほどな!!それで俺を誘ったのかよ!!上等だ!!やってやるぜ!!」

 

 

 

 

触れたもの全てを崩壊させる氷の粒をその内に宿し、1キロを超える超射程で暴れ回る死の竜巻。

 

 

本来は俺達ヒーローが使うには相応しくない……そんな広域殲滅の為だけに特化した破壊の化身としての力。

 

だか……これぐらいやらなければ……この『ちゃんと増えすぎた後のトゥワイス』を止める事は……出来ない!!

 

 

 

「なるほどな……これが『エターナルフォースブリザード。相手は死ぬ』ってヤツか」

 

「「「「……ぶっほ!!!!」」」」

 

 

 

……そして空気を読まない天然爆弾の所為で皆が腹筋にダメージを受けつつ……

 

 

 

「……やめようね轟くん……そういうのは皆……中学2年生くらいで大体卒業するんだよ轟くん……」

 

「……テメエはそういうの好きだったよなデク……昔『僕の考えた最強ヒーローの必殺技コレクション!!』とか書かれてたノート見ちまった事を思い出しちまっただろうがコラァ……まあ、ちゃんと見た後に燃やしといたけどよ……」

 

「それは本当にありがとう!!アレ君だったんだねかっちゃん!!ここに来て初めて知った幼馴染の不器用な優しさ!!」

 

「けっ……あーいうのはもっとちゃんと誰の目にも触れないように隠しとけやボケ……見た瞬間思わず『ヒュッ……』てなっただろうがコラ……」

 

「色々あるんですぅぅうー!!中学2年くらいの僕が一番色々と溜め込んでたり拗らせてたりしてたんですぅ!!仕方無いんですうう!!」

 

 

じゃれるトンガリと緑谷。

幼馴染の黒歴史知っちゃったりとか知られたりとかアレよね。

だが……  

 

「……なかなかに香ばしい話題で大変に結構……ぶっちゃけ俺も中2位の時の事を思い出して胸が苦しくなってしまった訳だが……」

 

……流石は、あのヴィラン連合を゙まとめるリーダー。

 

「過去の思い出話を楽しむってのは、最終決戦の後でこそ真実楽しめるってもんだろ?だから……さっさとやって片付けるとしようぜ」

 

 

 

「ああ」

「けっ……」

「うん!!そうだね!!」

「俺はまたなんかやっちまったのか?まあ……その辺も後でか」

 

 

死柄木弔の言葉。

それに皆の意識が集約される。

 

「……デク、俺の分のフルカウルは死柄木弔にまわせ」

「……かっちゃん」

「俺達全員の移動は俺の個性で何とかする。今この状況で一番必要なのは広域殲滅力だ。だからテメエはそっちに力を使え」

「……うん!!君の言う通りだねかっちゃん!!」

「……けっ」

 

 

そして!!

 

「「「「「個性合体!!!!!」」」」」

 

移動と姿勢制御の全てをトンガリに任せ、ここに破壊の化身が顕現する!!

 

 

 

 

 

「「「「フルカウル・トータル100%!!!!崩壊のドリルブリザードだぁぁぁ!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

……そして、破壊の力が解き放たれた。

 

 

後世、この事件について研究するヒーロー史研究者達が声を揃えて、

 

 

『破壊神最強決定戦』

『どっちがヴィランかわからない』

 

 

……そう語るほどの圧倒的な破壊の力。

それが……国を亡ぼす力と、正面から衝突した。

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

sideエンデヴァー

 

(当初の予想よりも遥かに『タフ』だな!!)

 

 

「赫灼熱拳!!Verテンタコル!!」

「ぐほぉぉぉ!!」

 

 

こうして背後のパーツから機械式の複製腕を動かし、複製の赫灼熱拳を燈矢にぶち込みながら、そんな事を考える。

 

(……流石にコレは……余りにもタフ過ぎる!!)

 

ここには今、日本国内のトップオブトップのヒーロー……その全てが集結している。

 

そんなトップヒーロー達の総攻撃を受けながら……燈矢は、

 

 

 

 

「……自己再生能力強化✕3……骨組織、筋組織強化✕5……ああ……錬金……錬金もあったなそう言えば……ああ錬金、テメエは暴走しろ……俺の為の偽の肉体を生み出せ。僕の為にヤツラを打ち倒す偽の巨体を作り上げるんだ……タルタロスに幽閉されたままの僕本体の財産……その全てを捧げよう……だから、この場の全てを亡ぼす為に必要な力を……いや、それはダメだよ錬金……何言ってんだよ僕?お前は俺の全てをぶち壊したんだぜ?だからお前も……僕のために全てを費やすべきで……ダメだダメだダメだダメだ……ああ!!でも!!そんな事は俺が認めねえ!!全員!!何もかも!!ありとあらゆるものを亡ぼせ!!その為に全て費やせよ俺!!だから!!僕は!!ここで全部使えって言ってんだろがぁぁぁ!!轟!!燈矢ああぁぁ!!」

 

 

複製腕による赫灼熱拳の多段ヒットにより大ダメージを受け、さらに盛大に吹っ飛び……しかしそれでも倒しきれなかったため燈矢が、自らの肉体の超強化を始める!!

 

 

 

 

「……ぬぅぅ……」

 

遠隔でAFO本体の所有する資産を消費する。

そんな事が可能なのか?

 

「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 

 

……しかし、おそらく可能なのだろう。

 

 

ヒーロー達の集中攻撃を受けて傷ついた燈矢の肉体……それが複数の個性の影響で醜く膨れ上がり……そして爆発的に巨大化していく!!

 

 

「来いよ親父!!殺してやるよヒーロー共!!何もかも全て今日終わらせてやる!!」

 

 

その肉体を醜く巨大化させつつ……その巨体に相応しいパワーとタフネスを手に入れた燈矢。

 

「……ここからが、第2ラウンドという事か」

「そんな簡単に終わらせてもらえる相手だとは思ってなかったですけど……」

 

 

実に恐るべき敵だ。魔王となった我が息子は。

ワン・フォー・オールという超級の力無しでは……決定打が、コレほどまでに遠い……

 

 

「死ね……もう俺には何も無い……与一は……与一どこだ……与一……知らねえよ与一とか……全員殺すんだろ……ああ……死ねよ死ね死ね死ねよ……親父……どこだよ親父……ああ……俺はまずアンタに……親父……」

 

 

決着は未だ遠く。

ヒーローチーム VS 魔王・荼毘。

その戦いは第2ラウンドに突入する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side小大唯

 

「こっちのブロックの避難は完了したよ!!」

「こっちはもう少しかかる!!」

「落ち着いてください!!慌てず落ち着いてもらえれば大丈夫ですから!!ゆっくり確実に避難をお願いします!!」

 

 

旋達が戦う戦場。

プロヒーロー達が戦う戦場。

 

私達雄英高校ヒーロー科の生徒達は、その2つの戦闘に巻き込まれそうな地域に住んでいる人達の避難活動を゙行っていた。

 

 

トゥワイスの暴走が余りにも急だった為に、全体的にかなり後手後手の対応を強いられている。

 

 

「ん!!」『避難経路を広く取るために邪魔な障害物を小さくしたよ!!』

「ありがとね!!唯!!」

「ね!!」

 

そんな中で私と骨抜のメインの仕事は、なるべく短時間で多くの人を避難させる為の避難経路の整備だった。

当然、周囲の民家に被害が出るから罪悪感はあるのだけど……とにかく時間が無かった。

 

増え続けるトゥワイスを止めるのは旋達ですら困難で、魔王・荼毘はさらに力を増していたのだから。

 

 

『後の事は保険なんかの対応で何とかする!!まずは人命第一で行動してくれ!!』

 

 

物間のその割り切った指示に従い、私達はスピード重視、人命最優先で避難活動を行っていたのだ。

 

 

(……旋。あんま無茶しすぎてなければいいけど)

 

 

どうせ何を言っても無茶をするのはわかってる。

私が好きになったのはそういう人だから仕方無い。

でもせめて……それでも無茶のしすぎだけは辞めて欲しい……そんな私の複雑な思い。

 

だからこそ私は遠くの空をちょこちょこと見てしまっていた。

 

……だからこそ、私と『彼女』が、真っ先にそれに気が付いたのだろう。

 

 

 

 

「ん!!」『あれは!!』

「トガヒミコ!!」

「ね!!」『ハイエンド脳無に抱えられてる!!もう一人はコンプレス?』

 

 

たまたま近くで活動していたA組の麗日さんとほぼほぼ同時に、私はそれを見つけて声を上げる。

 

そんな私達の声に近くの仲間達が、

 

 

「ウソだろ!!」

「マジかよ!!こんな状況で!!」

「アイツラの相手してる余裕なんて正直ねえぞ!!」

 

 

クラスメイトの男の子達のそんな悲鳴の声。

そうなのだ。

状況はかなり緊迫していて……こんな状況で、さらにヴィラン連合の相手だなんて……とても出来そうになかった。

 

「……でも、やるしかないんだよね」

「……ん」

 

指揮官兼前線も支えられる一佳が前に出て来る。

それに合わせるように、近くにいたA組・B組の戦闘力の高いメンバーが動く。

 

 

 

そう、やるしか無いのだ。

どんなに辛くとも、私達はやるしか無いのだ。

だって、それが、それこそがヒーローなのだから。

 

 

 

 

「……待ってください!!私達は貴方達ヒーローと争うつもりは無いのです!!」

 

 

 

 

 

「……え?」

「……ん?」

 

 

 

そんな私達全員に聞こえるように、ハイエンド脳無に抱えられて空を飛ぶトガヒミコが空から大声で叫んだ!!

 

 

 

 

「私達は大切なお友達を助けに行きたいだけなのです!!貴方達ヒーローと争うつもりはありません!!私達を助けてとは言わない!!言わないから!!せめて!!せめてここを通して!!通してください!!それだけでいいのです!!ねえヒーロー!!」

 

 

 

「「「「「……………」」」」」

 

 

 

その決死の叫び。

私達ヒーローが、自分達の仲間を心配するのと全く同じ……本当に心の底から誰かを心配している……そんな、トガヒミコの叫び。

 

 

「ん」『……ねえ、一佳?』

「……うん。わかってるよ、唯……私はここの指揮官を任されてる拳藤一佳だよ!!一旦そこで止まって!!そしてもう少し事情を教えて!!じゃないとコレだけじゃ判断出来ない!!」

 

「……わかったのです。では、時間が無いので手短に」

 

そしてトガヒミコが説明を始めた。

ヴィラン連合の仲間割れ。

 

 

メンタル不安定とヒーロー・ヴィランどちらも認識が一致している荼毘の暴発。

 

そして……ヴィランなのにいいヤツなトゥワイス。

そのトゥワイスを……荼毘の思いすら無視するような形でAFOが利用……個性を暴走させたのだ、と。

 

 

「……だから私達は仁君を……貴方達の言うトゥワイスを助けたいだけなのです。その為に必要な個性消失弾も用意してあります。私達は貴方達の邪魔をするつもりはありません。だから……助けて、とは言わない。でも……ここを通してください。それだけでいいのです」

 

「………」

「「「「…………」」」」

 

 

その言葉に一佳が、そして皆が考え込む。

 

「本体であるトゥワイスさえ救出出来れば……活人拳の旋も動きやすくなる、か……」

「ん」『……うん。本体さえ助けられれば後は個性で増えたコピーだからね……ねえ、一佳?』

 

私の言葉に、一佳はこっちをチラッと見て、

 

 

 

「トガヒミコの言葉を素直に信じるのは危険だけど……確かにこちらにもメリットはあるね。そして危険がある以上は、流石にヴィラン連合達だけを向かわせる訳にはいかない。でも……危険だよ。本当にいいの唯?」

 

「ん!!」『もちろん!!』

 

「……ヒーロー?」

 

私達のやり取りを不思議そうに見ていたトガヒミコとコンプレス。そんな2人に。

 

「話はわかったよ。アンタ達を通してあげる。でも、流石にヴィラン連合だけで通す訳にはいかないから監視はつけさせてもらうよ」

「ね」

 

「という訳でサポートアイテム使えば空を飛べる唯を監視役につけさせてもらう。けど……そっちが2人でこっちが1人は流石に不味いな……私はここを離れられないし……」

 

「拳藤さん!!良ければ私が行くよ!!」

 

そんな不安げな様子を゙見て、麗日さんが名乗り出た。

うん。彼女くらいの体重なら飛行用ドローンをもう少し大きくすれば乗せられる。

 

 

確認でこちらを見る一佳に、私はコクンと頷く。 

 

「ありがと麗日。じゃあ改めてトガヒミコ。アンタ達を通してあげる。でも一応監視はつけさせてもらうよ。これが最大限譲歩しての結論だ。これが受け入れられないならここは通せない」

 

「………」

「……ヒミコちゃん」

 

黙り込むトガヒミコ。

そんな彼女を促すようなコンプレスの声。それを受けて、

 

「……わかったのです」

 

 

……トガヒミコが頷いた。 

 

「確かに……いきなりコチラの言い分を全て信じろってのも虫が良すぎましたね……じゃあ……お茶……じゃなくて麗日さんと……小大さん?監視、お願いするのです」

 

 

「「「……………」」」

 

 

少し寂しそうに……でも、とりあえずここを無事に通れると決まった事にホッとした様子の彼女。

 

……そんな、寂しそうで……でも仕方無いな……なんて、そんな年頃の女の子みたいな顔をするから。

 

「ん」『……唯でいいよ』

「……え?」

 

 

……思わず、私はそう言ってしまっていた。

だって。

 

(……多分、というか旋なら絶対にこうするから)

 

……例え相手がヴィランでも……あんな必死な顔をして仲間を助けようとする寂しそうな女の子がいたなら……旋だったら絶対に手を差し伸べると思うから。

 

「唯ちゃん……」

 

「……なんか。これだと私が厳しい事ばかり言ってる悪者になっちゃうだろ……拳藤一佳……私も一佳でいいよ」

 

「……一佳、ちゃん」

 

「……役割として一線は引かせてもらうけど……アンタの必死な声は、助けを求める声はちゃんと私達ヒーローに届いてる。個人だったらとっくに信じてる」

 

「…………」

 

「……私も、お茶子……でいいよ」

 

「お茶子……ちゃん……」

 

……そして、麗日さんも。

 

「こうやってもっと前に色々と心の底から皆で叫んで色々と話し合えれば良かった……そうしたらきっと……もっとなんか……こうじゃなかった、そんな未来もあったかもしれないから……だから、今はせめてとりあえず……皆で名前を呼ぼう……名前で呼び合おう?ね、ヒミコちゃん?」

 

 

「………」

 

その言葉に、トガヒミコは少し俯き黙り……そして!!

 

「はい!!私もヒミコって呼んでください!!お茶子ちゃん!!唯ちゃん!!一佳ちゃん!!」

 

……そして!!少し目の端に涙の浮かべながら、とても綺麗にヒミコちゃんは笑ってそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

(………空気を読んでギリギリまで身体を小さくし存在感を殺すコンプレス………)

 

 

 

 

 

 

 

……そして、私達は空を駆ける。

 

 

ハイエンド脳無に抱えられあヒミコちゃんとコンプレス。

巨大化させたドローンに乗る私とお茶子。

この機に名前を呼ばせてもらうことになったのだ。色々これから相談したいことがあるそうな?緑谷くんの事かな多分。

 

 

うん。全部終わったら皆で色々話そう。

ガールズトークとか、とっても楽しそうだから。

 

そして……

(……旋)

 

私にとって一番大切な彼。

(……お願い、無事でいてね)

今から私もそっちいくね。お願いだから無事でいてね。

 

だからお願い……この想いよ……彼に届け。

 

 

 

 

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