「回原先輩!!俺先輩の大ファンです!!握手して下さい!!」
「物間さまー!!素敵ー!!こっち向いてー!!」
「回原先輩はハーレム願望があると聞きました!!今年入学した経営科です!!先輩の大ファンです!!ヒーロー活動を経営面からサポート出来ます!!4人目のハーレムメンバーとして是非!!」
「ファントムシーフ様ー!!せめてファンレターだけでも受け取って下さいー!!」
「悪ぃ!!握手とか何とかもうちょっと付き合ってやりたいけど時間が無いんだわ!!後!!ハーレムは結果論であって願望は無いの!!そこんとこよろしく!!」
「ファンレターありがとう!!でももう朝のホームルームの時間ギリギリだよ!!皆も遅刻しないように急いで教室に向かわないとね!!また今度!!」
「「「「「はーい!!!!!!」」」」」
最終決戦から少しの時間が経ち4月となった。
俺達は2年生に進級した。
俺達が2年になるという事は当然新しく1年になる人達もいるってな訳で……まあ慕ってくれるのは素直に嬉しいんだけど……こんな感じにパワフルな新入生達が加わり、俺達の学生生活が再スタートした。
学徒動員とマスコミ共に揶揄されながらも戦い抜いた、1月から続いたヴィラン達との決戦。多くの学生ヒーローたちも参加していた戦いを主力として戦っていた俺や物間、A組ではトンガリ、緑谷、轟辺りかな?その辺りのメンバーはこんな感じで慕ってくれる後輩達の熱意に押され気味かつ戸惑いまくりの……そんな日々を過ごしていた。
しかも油断すると危ないのよね。
具体的に言うと、トンガリのヤツが迂闊に1年女子から受け取ったファンレターなるものが実はラブレターだったらしく、塩崎に吊るされるなどの事件もあった。
うん。あれは実に悲しい事件だったね。君のことは忘れないよトンガリくん。
「……死ぬかと思った……」
げっそりとした顔でトンガリが歩いて来る。
とある昼休みの事である。
進級してさーて2年生だぜーこれからより本格的なヒーロー基礎学の授業だー燃えるぜーうぉーー!!
……と、そんな燃える俺達2年生、後3年生の主なヒーロー基礎学の授業内容ではあるが、まずはボロボロになった雄英高校敷地内の整備のお手伝いとあいなった。
まあ倒しても倒しても増え続ける荼毘を雄英高校敷地内に誘き寄せて怪獣大決戦をやった訳である。
敷地内だけで被害が収まったのは不幸中の幸い。
逆に敷地内に関しては二度とペンペン草も生えねえんじゃねコレ?ってレベルの酷い有様で……当然、外部から業者も入れてるけど、ヒーロー見習いの俺達がそれを手伝うのはまあ当然っちゃ当然だった。
一部そんな活動に文句を言う生徒もいたが……血走った目でエナジードリンクがぶ飲みしながら「生徒のため……生徒のため!!」っと言いながら黙々と働くセメントス先生を見て何も言えなくなっていた。実は一番チートな人ってこの人な気もするのよねセメントス先生……
「……オイコラ無視かよテメエ……」
「……ん、ああ……わりわり、どしたんトンガリ?話聞こか?」
「エロ構文やかましいわ……ツッコむ気力もねえ……」
「まーツッコんでるけどなお前」
んでそんな屋外での整備活動の真っ最中。その昼休憩のタイミング。
げっそりとしたトンガリが歩いて来ると、俺の隣にドカッ!!と座る。
「何よ?今度は何やらかして塩崎にしばかれたワケ?」
「……俺は何もしてねぇ……何もしてねぇ……」
「何もしてねぇのにしばかれたワケ?流石にそれは無いんじゃね?」
「………」
俺の問いにぶっすー……と横を向くトンガリ。
「あはは…………どうも、かっちゃんは上鳴くんに騙されたみたいでね。アッチの片付け大変だから手伝ってくれよ、って言われて行ってみたらかっちゃんファンの女の子に囲まれちゃったみたいなんだ。それが塩崎さんの目に入っちゃったみたい」
「……けっ!!アイツはもう二度と信用しねえ!!」
「……あーそれでアッチで上鳴が耳郎に土下座してる訳。トンガリ紹介してその代わりにその子の友達でも紹介してもらう予定だったんかね?」
少し離れた所に土下座する上鳴とそれから目を背ける耳郎。
プンスカプンスカしてる塩崎をまーまーとなだめる麗日。
そんな様子を少し離れて暖かく見守っている黒色&小森や、切島&芦戸、尾白&葉隠など……それを見て思わず、
「何と言うかまあ……急に平和になったもんだなあ」
この前まであんな殺伐とした決戦してたのに。
何て事を思ってしまう。
まあ良いんだけどさ。
そんな俺のボヤキに。
「……ま、良いんじゃない?こういう何気ない光景こそが平和って気がするけどね僕は」
「物間か」
何人かの生徒達と昼食のカートを運んできた物間が笑い、
「さあ食事を持ってきたよ!!ヒーローと言えども腹が減っては戦はできぬ!!ってね!!たっぷり食べてしっかり休んで、午後も頑張ろうじゃないか!!」
その物間の言葉に歓声が上がり、腹ペコ学生達が昼飯に群がった。
何となく、そのまんま4人で飯を食いながら話す。
「なんか……あっという間に1年経っちまった気がするよなー」
「うん……僕もそんな気がしてる」
共におにぎりを食べながら、隣の緑谷とそんな事を話す。
1年前。この雄英高校に入学してからこれまで……色々な出来事があり過ぎて……ホント、息をつく間も無く今日まで駆け抜けてしまったような……そんな不思議な感覚。
俺にはそんな感覚があったし、多分緑谷の奴もそうなんだろうな。
まあ無理も無い。
無個性の状態からオールマイトのワン・フォー・オールを受け継いで……それからのこの1年だ。さぞ大変な1年だっただろう。
「……はっ!!過去の事を思って黄昏れるだなんて余裕だなテメエらは!!」
「かっちゃん!!……もーー……」
「んだよトンガリ急によぉ……」
しみじみとした俺達のセリフを遮るようにしてトンガリが叫ぶ!!
「テメエとはこれまでしゃあなしで協力してきたワケだがよ!!ヴィラン絡みの問題が片付いた以上!!その馴れ合いももう終わりだぜ!!」
「……へえ!!」
「フフ……燃えてるね爆豪……取り敢えず、君の狙いは5月の雄英体育祭かな?」
「……あっ!!確かに!!すっかり忘れてた!!」
そう言えば!!と声を上げる俺と緑谷。冷静な物間はある程度予想していたのだろう。
そんな俺達の様子を楽しそうに好戦的な笑みで見回しトンガリは、
「去年は負けた!!ああ!!確かにあれは俺の負けだ!!完全な負けだったぜ!!だがよ!!今年は負けねえからなクソドリル!!」
「は!!いいね!!燃えてくるぜ!!」
そうだよな!!最近大人しかったけど!!基本的にトンガリはこういうヤツだ!!
たとえ一歩だけだとしても!!自分より前を歩くヤツを決して許さない!!
そんな狂犬のような向上心と競争心、そしてあまりにも強過ぎる自我。故に上を目指し続ける才能マン。
それが爆豪ことトンガリである。
「……なんか楽しそうな話をしてるな……俺も混ぜてくれよ」
「轟か」
「おう」
俺への体育祭でのリベンジを宣言したトンガリ。
それを見て轟もこちらに近づいて来た。
「回原。俺はお前の事を大切な友人だと思ってる。感謝もしてる。ウチの家族にまつわる色々な事……多分、こういう形で比較的にマトモに終わったのはお前のおかげだと思う。本当にありがとう」
轟はそう言って、俺に向けて頭を下げる。そして、
「……でも、それとこれとは話が別だ……世の中にはそういう事ってあるだろう?」
そして、顔をあげて俺を正面から見ると、
「去年の体育祭でも、年末のクラス対抗戦でも俺はお前に負けっぱなしだ。でも……それは、これからもそのままで良いって訳じゃねえんだよ。このまんまで良い訳がねえんだよ。だから、次の体育祭で俺はお前に挑戦するぜ。そして俺が勝つ。悪いが今年の優勝は俺だ!!」
「はは!いいじゃねえか!!楽しくなってきたぜ!!」
……まるで!!去年の体育祭の!!騎馬戦前のあの時みたいだ!!
俺とトンガリと轟の3人。
最終決戦まで駆け抜けたこの3人。
その3人が初めて手を組んだ……それがあの時だった!!
そして……
「……うん、じゃあ僕も……君に挑戦させてもらうよ回原くん!!」
……あの時、俺たちのターゲットの一人でしか無かった緑谷。
その緑谷が成長し、俺に手袋を投げつけてきた。
「去年の僕は受け継いだばかりの力を使いこなす事が出来ず、轟くんに負けてしまった。あれは僕のミスだ。例えば、オールマイトと出会う前から僕が自分の身体を鍛えるとかしていたら、もっと違った結果もあったかもしれない。だから去年のあれは僕のミスで、僕の後悔だよ。でも今年は違う。完全とは言えないけど、僕は去年の僕より成長している。だから僕も優勝を目指す。例え誰が相手だとしても、その全てを倒して優勝してみせる!!」
「……良いじゃん……緑谷!!それでこそだぜ!!」
去年見たコイツの戦い。
あの力を制御出来るようになったなら……コイツは間違いなく強敵になる!!
……その予想が!!ついに現実になったのだ!!
「は!!良いじゃねえか3人共!!楽しくなってきたぜ!!そんなお前ら全員ぶっ飛ばして!!俺が雄英体育祭2連覇飾ってやっからよ!!覚悟しとけ!!」
それに応えて叫ぶ俺。
そんな俺と3人の視線が重なり火花を散らす。
「ま……良い感じに楽しそうでいいね君らはさ。僕は下手すると司会か解説みたいな裏方に回されそうで……全く、人の事を何だと思ってるんだか」
「そりゃテメエが腹黒黒幕野郎だからだろ……」
「あはは……物間くんをフリーにさせると、ヒーロー科以外の生徒全てに裏から手を回して、とてつもなく邪悪な事をしかねないと思われてるんじゃないかなきっと」
「間違いねえな」
「風評被害だね。困ったものさ全く」
「「「「絶対違う」」」」
ヤレヤレポーズの物間。それを呆れたような何とも言えない目で見る俺達。
ホントに物間のやつは突き抜けちまったなあ……全く。
そんな姿を見て、
「物間もスゲェよなホント……俺も負けてらんねえな……1回、梁山泊戻って徹底的に鍛え直してもらってくるかな?やっぱ妙手級は卒業して達人級にはなりたいし」
武術家として目指すべき場所。それが達人。
この一年は個性伸ばしばかり頑張って来たけど……そろそろ基本に戻って、武術の腕も鍛え直していくタイミングかもしれない。
「回原くんはそっちの方面か……僕は取り敢えずフルカウル100%を自力でぶつぶつぶつ……」
「チッ!!俺だってなぁ!!アイデアはあるけどまだそこまで辿り着いてねえ領域があるんだ!!見てろよテメエら!!」
「……本来、親父が俺に望んだ事……俺は、自分の意思でそこまで辿り着いてみせる……じゃないと、コイツラについていけないから。やってみせる。俺は俺の意思でやってみせるよ親父」
4者4様の思い。
それを楽しそうに見ながら物間が、
「……うん。実にいいね。これでこそ僕たちのヒーローアカデミアだ」
そう笑っていた。
不思議と俺達も笑っていた。
そこらでイチャコラしてるカップルたちも笑っていた。
塩崎と麗日の2人もいつの間にか笑っていた。
唯と一佳は蛙吹と3人で笑っていた。
最近顔と名前の一致して来た1年ヒーロー科の生徒達が混ざって来る。彼らも皆笑っていた。
うん。
いいね。
こうして俺達は笑いながら、時に苦しむ事もあるかもしれないけど、こうやって全ての障害を乗り越えながら前へ前へと進んでいくんだろう。
ドリルは、一回転ごとに少しづつ少しづつ前へと進んでいく。
だから俺達も、一回転、一回転……ゆっくりゆっくりと前に進んでいくんだ。
体育祭があって、それが終われば期末試験……夏休みはまた合宿があるだろう。文化祭もあるし、インターンも行くと思う。
そうして2年生が終わり、次は3年生になって……同じように俺たちは競いながら協力しながら前へ前へと進んでいくのだ。
時にはぶつかり、時には恋愛もして、少しづつ、少しづつ。
そうして、その先の未来へ。
さあラストへ向けてのまず一歩。
活動報告に質問箱を作りました。
感想で聞きにくい事などありましたらそちらへコメントお願い致します。
この物語が終わってから、落ち着いたらあとがきでも書きたいと思っております。
質問箱に書いて頂いた質問は、出来る範囲で全て答えたいと考えています。
まあただ……こまめに質問返すタイプなので、今さら質問とか無いかもしれませんが……
まあそれならそれで……(白目)