いよいよ最終種目のガチバトルトーナメントが始まった。
俺達は客席内に用意された生徒用のスペースで観戦する。
そこから試合を控える者は控室に行くような感じ。
控室にもモニターはあるそうで、そこで試合は見れるとの事。
でもモニターだと限界もあるしね。
注目試合は出来るだけ生で観戦したい。
「回原は塩崎の試合見てから控室行くの?」
「いや、流石にギリギリはマズイだろ。轟の試合まで見て塩崎の試合は残念だけどモニターかな」
拳藤の問にそう答える。
「ん」
「……ああ、初っ端から異質な試合してるなあ」
小大の言葉なのか言葉じゃないのか?よくわからないけど何故か何となく言いたいことはわかる言葉に答えた。
ほんと不思議不思議である。
第一試合の心操VS緑谷戦は変わった形で始まり、変わった形で終わった。
序盤心操の個性で操られた緑谷が場外に向かって1人で歩き、このまま場外に降りて決着か!!という所で何故か緑谷が正気に戻る。んで何やかやあっての緑谷勝利。
解せんなあ、不思議である。
続いて轟の試合。
これは相手が悪い。
一瞬で対戦相手を氷漬けにして轟が勝利した。
まあアイツならこれくらいするだろうな。
そして会場に響くドンマイコール……流石に武士の情けだ。俺はのらないでおいた。
「…よし、んじゃ控え室行ってくるわ」
「ん」
「頑張ってな回原!」
「おう!」
クラスメイトの応援の声を背に、俺は控え室に向かった。
塩崎の試合も割と早く決着がついた。
電撃はツルに相性悪いな。
相性ゲーの所は正直ある。
まあ塩崎が勝ったのはクラスメイトとして素直に嬉しい。
さて、では俺の試合だ。
『さあ!!次は飯田VS回原だあ!!』
『飯田のスピードが回原に通じるかどうかがポイントだな』
闘技場に上がる。
目の前には俺の対戦相手。
A組の飯田。
クラスメイトからの情報だと、足のエンジンを使った超スピードが武器だそうだ。
「君と話すのは初めてだな回原くん。俺は君をウチの轟くんや爆豪くん、そして緑谷くんと同等かそれ以上の相手と想定して戦わせてもらう!!」
「ご丁寧にどうも。だが、そのレベルの想定で対応出来ると思ってるなら舐められたもんだな」
「何だと!!」
「仕方ないんだよ単なる事実だし」
一対一のガチバトルこそが俺の本来の土俵なのだから。
今までの競技を見ての想定がそれならば、正直飯田の想定が甘過ぎる。
そして試合開始。
足のエンジンを全開!!暴走気味にまで吹かして飯田が突撃してくる!!
……が!!
「……フェイントも無しで真っすぐ来て、しかも蹴りも大振りだ。なんぼ脚に自信があったとしても悪手だぜそりゃ」
俺の制空圏に入った飯田。
その蹴りを半歩前に出て躱しながら顎にカウンターで掌底をお見舞いする!!!
「がっ!!!!」
一撃で確実に脳を揺らす。
まず間違いなく脳震盪必死だろう。
そう打ったし、しかもあのスピードを利用してのカウンターである。
実際、飯田は背後に倒れ動く気配がまるで無かった。
「飯田くん戦闘不能!!勝者回原くん!!!」
おおおおおおおお!!!!!!!
歓声が上がった。
『回原スゲェ!!飯田を一蹴しやがった!!』
『飯田のあのスピードに対し顎に正確にカウンターを入れていたな。単純に接近戦での技量に差があり過ぎた』
こうして俺の1回戦は終わった。
正直、個性社会になってから武術に関してみんないい加減過ぎるんだよなあ。
単純に個性強化して個性で殴るのが大多数にとっての大正義何だから仕方ないんだけど。
俺くらい武術漬けになると、結構皆個性頼りの隙だらけに見えてしまう。
テレフォンパンチとテレフォンキックばかりって感じ。拳藤などのちゃんとやってる奴は除く。
まあ強個性だとそれでも勝てちゃうんだけど。
正直武術家の端くれとしては、この世界の武術軽視され過ぎ問題については物申したいところである。
そしてリングを降り客席に戻る。
次は塩崎なんだが……これは相性ゲーなんだよなあ………
B組の生徒達の席に戻り祝福を受ける。
闘技場では芦戸VS青山。
戻ってしばらくすると決着。
芦戸の勝ち。
続いては少し注目していた常闇VS八百万。
常闇のあの影気になるんだよなー。人と違った動きもするし戦ったら楽しそうなのだ。
俺の願いが通じたのか常闇勝利。
続いては鉄哲VS切島
「どちらも似た個性だね。回原、どちらが勝つと思う?」
「うーん……あの2人を横に並べて殴り比べた事ないから何とも言えないなあ……」
「何なのさその独特の殴って確かめるって判別方法は……蛮族かな?」
呆れる物間。周りの皆もええ……みたいな顔をしている。
でもしょうがないだろう。
2人とも見た感じ体捌きとかはあまり変わらない。
後は個性の耐久力勝負じゃないか?
個性の耐久力が互角だとしたら根性勝負になると思うけど。
そんな事を説明すると納得はしてもらえた。
蛮族扱いが撤回された事に少しホッとする。
そして実際そうなった。
結果はダブルノックアウト。
後でまた追加勝負して勝ち上がりを決めることに。
「次は麗日とトンガリか」
「大丈夫かなあの子……」
拳藤の心配ごもっともである。
実際、あのトンガリは女子相手でも一切油断はしなかった。
それはそれで大切なんだけどね。
気づく人だけが気づいていた麗日の奇襲をトンガリが凌ぎ、トンガリの勝利で終わる。
「よし控室行ってくるわ」
「ん」
「ああ、ありがと小大」
小大に見送られ控室に向かう。
次は同じクラスメイト同士の対戦という事もあり、皆どちらを応援するか決めかねている様子だった。
まあ仕方ない。
控室に着き、轟VS緑谷の勝負をモニターで見る。
緑谷かあ……
俺を出し抜き障害物競走で1位を取った男。
正直よくわからないヤツだ。
体は鍛えてるが正直俺ほどではない。
武術もそんなって感じ。よく見ても近接を得意とする同学年と同じレベルだろう。
正直100回やっても負ける気はしない。
合理的に見ての正直な感想だった。
でも何だか不思議なもので。
『油断するとワンパンで死ぬ』
という第六感がビンビンに警戒してるのだ何故か。
大概この感が働く時は師匠達に殺されかける時だから多分間違いない。サンズ・リバーの最前線で鍛えられた第六感だ。そんじょそこらのものとは精度が違う。
そして精度が悪ければ俺の死ぬ頻度が増える。
世知辛い話である。
コイツは、普通の学生ぽいけどまだ何か隠している。
それが俺の緑谷の総評だった。
……で、轟との勝負でその片鱗は見えた。
「自分の体を破壊する程の超パワーか……でも全然コントロール出来てないのね」
第六感の理由はこれか。
確かに油断してワンパンくらうと死ぬかもなコレ………
試合は結局轟の勝利。
だが、俺の中のライバルリストに緑谷も追加しておく。
アイツは障害物競走でおそらくこの超パワーを使わず俺を出し抜いた。
つまりそれは、超パワーを使いこなせるようになれば強敵となるって事だ。
それがいつかはわからないけど。
そのいつかに期待しておこう。
また一つ楽しみが増えた。
そして轟……
障害物競走では使わず、騎馬戦でも最後にしか使わなかった炎を使っていた。
今までは温存していただけなのか?
よくわからんけど、警戒度を引き上げておく。
そしてこの試合でリングが盛大に壊れる。
直すセメントス先生、ご苦労さまです……
『さあて今度は塩崎VS回原だあ!!さっきの騎馬戦で素晴らしい活躍をしたチームメイト同士の対決!!これは注目だぜえ!』
『注目だが…試合会場が悪い』
『ミイラマン?』
「回原さん。よろしくお願いします」
「ああ、よろしくな」
ペコリと一礼する塩崎。
その顔に悲壮感はないが、相性の悪さは自覚していそうだった。
試合開始の合図と同時!!
「ダブルドリルハリケーン!!!」
「くっ!!!」
俺は両手から竜巻で風を起こし、塩崎を吹き飛ばす!!
塩崎は懸命にツルをリングに伸ばし体を固定しようとするが、遮蔽物のないこのリングでは焼け石に水だった。
故に、この勝負は相性ゲーなのである。
『塩崎場外!!回原の勝利だあ!!!』
『遮蔽物が無いのが勝負を分けたな。市街地模擬戦であれば塩崎もこんな簡単には負けなかっただろう。ツルで体を固定し、もう少し違った戦いとなったはずだ』
まあそういうことである。
塩崎との勝負を終え、俺は自分の席に戻った。
「回原お疲れ!!ナイスファイト!!」
「塩崎もお疲れ様!!対戦場所が悪かったな!!」
戻った俺達をクラスメイトが暖かく迎えてくれた。
拳藤と物間辺りの気配りだろう。
いい奴らだと思う、本当に。
そして次の試合を見る。
芦戸VS常闇。
やっぱあの個性強いわ、常闇の勝ち。
あの影強いなあ!!やっぱ戦ってみたい。
殴るとどんな感触なんだろか?
「回原……顔に出てるぞ……」
「ステイ……そこの蛮族ステイしなさいステイ…」
円場と鱗のストップが入りました。
ヒデェな、そんな顔に出てたのか?
でも蛮族ステイはないと思うの…
くすん。
んで次は切島VSトンガリ。
鉄哲との延長戦を制した切島が勝ち上がりトンガリと勝負していた。
んでトンガリの勝利。
まあ妥当かなあ。
実際トンガリは強い。
それは雄英高校入試の実技試験からわかっていた。
おそらくは我流。
完全なる才能マン。
それでもアレだ。正直恐れ入る。
強い。強いのだトンガリは。
梁山泊に入っていなかったら、俺など足元にも及ばない存在だろう。
それくらいトンガリは強い。
だからこそ、俺はこの体育祭でアイツと戦うのを楽しみにしている。
この才能マンにはもっともっと強くなってもらわないと俺が面白くないのである。
ここで完膚なきまでにトンガリを倒し、それを糧に更に成長してもらわないと面白くない。
ので、俺はコイツと決勝戦で戦い、圧倒的にぶちのめすのが目的の一つとなっていた。
こうして雄英体育祭のベスト4が決まる。
轟VS回原
常闇VS爆豪
この4人が勝ち残っていた。
そして、ベスト4戦が始まる!