『さあ長かったこの雄英体育祭もついに決勝戦!!勝ち上がって来たのはどちらもヒーロー科!!回原旋VS爆豪勝己だあ!!』
『準決勝の轟VS回原や、爆豪VS常闇と違い、この2人には個性の相性差による有利不利が無い。面白い試合になるだろうな』
『先ほどの轟VS回原の試合の中断の件でクレームがあったから、リングでの会話が聞こえるように集音マイク設置済みだぜえ!』
『闘争心を高めるのは大切だが、2人ともあまり過激な発言はしないように慎めよ。特に爆豪。でないと雄英体育祭のスレが荒れる』
解説2人の声を聞きながらリングに上がる。
丁度トンガリも上がってきた所だ。
リング中央に進み、向かい合い睨み合う。
「やっとテメエをぶち殺せる機会が来たなあクソドリル野郎!!入試の実技試験から今までずっと!!ずっとだ!!俺はテメエをぶちのめしたくて仕方なかった!!これでようやくテメエをぶちのめせるぜ!!」
『爆豪早速やらかしてねえかコレ!!!』
『やらかしたな軽く。まあ会場は盛り上がってるけどな』
「あの舐めプの半分野郎を倒しただけで調子のってんじゃねえぞコラァ!!!俺はあんな甘くねえからよ!!ちゃんと全力出して全開で俺を殺しにこいやあ!!!」
『……大丈夫かコレ?やっぱ今からでもマイク外すか?』
『……いや、意外に回原が冷静だな。もう少し様子見るか』
『さあ言われっぱなしだぞ回原!!どうするどうする!!』
『だからってお前が煽るなよ……』
「言われるまでもねえよトンガリ……俺はマジのマジのマジで全力でお前を叩きのめす。だからなトンガリ……」
だからな……
「…全力で行くけど心折れたりするなよトンガリ。俺これから圧勝するけど、お前が在学中に俺の全力戦闘に食らいついてこれるようになるまで強くなるって信じてるからやるんだぜ」
オマエはマジの才能マンだよ。
多分師匠とか無しの我流。
それでこんだけ強い。
そして目の前の壁がデカけりゃデカいほど、その壁を叩きのめす為に更に強くなれるだろお前ならさ。
だから俺はここで、とてつもない大きな壁をお前に見せてやる。
「あんだとテメエ!!」
「だからもっともっと強くなれよ
そして爆豪と俺はしっかり目を合わせる。
第一段階
本来自分の間合いを覆っている制空圏を、自分の体から薄皮一枚まで範囲を絞る。
これにより反射能力を強化。相手の動きの流れに逆らわず合わせる。
第二段階
相手の目を見て、相手の立場に立って相手の心と同調し、相手と一つになる。
そして、第三段階へ……
さあ行くぞ爆豪勝己。
これがギガドリルブレイクと並ぶ、もう一つの俺の切り札だ。
「
自分自身の集中力を極限まで高めた。
そして、極限の集中した意識の片隅で、試合開始の合図を聞いた。
『さあ決勝戦始まったぜえ!!まずは先手は爆豪だあ!!』
「くらえクソドリルがあ!!」
『回原上手いな。手から発生させた竜巻を、まるで自分の腕の延長のように細く伸ばし、爆豪が本来手を伸ばし爆破の起点にしたかったスペースを先に制圧してる。始点からズラされた爆破が竜巻に乗って受け流されている』
『結果!!爆豪の爆破が回原を掠めるようにして回原の後方に流れてく!!回原ノーダメージだ!!』
「は!知るかよドンドン行くぜぇ!!!」
『爆豪の爆破による連続攻撃だ!!』
『……信じられん……先ほどと全く同じだ……回原の奴…爆破の起点となる爆豪の手、その全ての起点を完全に先回りして竜巻で制圧してやがる。結果、個性を発動させる手が、本来爆豪の意図していない所で個性を発動しちまってる』
『爆豪止まらねえ連続爆破攻撃!!だがしかし回原の竜巻の所為で狙った所から爆破が撃てねえ!!更に竜巻に逸らされて全部全部全部の爆破が回原に当たる事なく後方に流れちまってる!!!』
「クソがあ!!これならどうだあ!!!」
『爆豪!!攻め手を少し変えてリングのコンクリを爆破で砕いて回原に向けて爆片を飛ばしたあ!!』
『が……同じだ……そこもすでに回原が竜巻で先にスペースを掌握してやがる!!』
『回原を掠めて爆片が背後に飛んでいく!!なんだなんだなんだなんだこれはよう!!何なんだよコレは!!俺たちは一体何を見せられてるんだ!!』
『回原のヤツ!あの爆破と爆片の雨嵐の中を、まるで散歩でもしてるみたいにゆっくり歩きながら爆豪に接近してやがる!!』
「クソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソが!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
『後ろにじりじり後退していく爆豪!!下がりながらも爆破攻撃は緩めるどころか更に更にスピードアーーップ!!!』
『だが!!だが同じ事だ!!全部同じだ!!まるで昼寝してる猫でも撫でるように!!回原の竜巻が全部その攻撃を逸らして後方に受け流してやがる!!何だあれは!!何なんだよあれは!!』
『あ、相澤!?お、落ち着けって!!俺がテンション上げてお前がクールにってのが互いの役割だろ!!お前が落ち着かねえと解説にならねえよ!!』
『これが落ち着いていられるか!!』
『あ、相澤!!』
『何なんだよあの技術は!!何をどうしてどうやればあんな事が現実で可能になるってんだ!!』
『お、落ち着けって……』
『これが落ち着けるか!!回原のアレがどんなヤツにも使えるのだとしたら!!雄英高校内どころか国内外のトップヒーロー達ですら!!近接と中距離を得意としてる奴はプロアマ問わずアイツには誰も勝てねえってことになるぞ!!!』
『ま!マジかよ!!』
『今目の前で起こってる現実を見ろ!!爆豪は下手すりゃ今すぐプロでも通用しかねないくらいには強い!!だが!!!』
『爆豪決死の表情でラッシュラッシュラッシュ!!!だけど回原の野郎!!マジで散歩中みたいにのんびり前に歩きながら全部の爆破と爆片攻撃を逸らしてやがる!!』
『完全にそんな爆豪の攻撃を涼しい顔で無傷で捌き切ってやがる!!あり得るのかよあんなトンデモナイ芸当が!!!何なんだよあの技術は!!!』
「クソッタレがあ!!!」
『爆豪ここで大きく後方に飛び退く!!大技を撃つつもりか!!』
『……プレッシャーに耐えきれなかったか、爆豪……だが、それは回原の前では完全に悪手だ……』
『そこを回原が追撃のギガドリルブレイク!!!後ろに飛び退いて空中の状態の爆豪を一撃で吹っ飛ばしたぁ!!!!そのまま爆豪が後方の壁に激突!!!!』
『……場外だ……決着、だな……』
極限の集中状態を解き、意識を平常に戻す。
スタジアムは無言。
無言で静まりかえっていた。
まるで今さっきまで目の前で起こっていた現実が信じられないとでも言うように。
今見ていた光景が、本当に現実で起こっていた事なのか理解出来ないとでもいうように。
……だから。
俺は、天高く、左手を突き上げた。
そして……
『……回原!!ここで勝利のスタンディングだあ!!!!』
プレゼントマイク先生のその叫び。
『優勝はヒーロー科1年B組の回原!!回原旋だあ!!』
その叫びで皆の意識が現実に戻ってきた。
ワッ!!!と少し遅れて歓声がスタジアムを埋め尽くす!!
『回原勝利のスタンディング!!まるでオールマイトみてぇじゃねえか!!痺れるぜぇ!!!あ!でも!!!』
……そう、このスタンディングはオールマイトとは少し違う。
俺は子供の頃、オールマイトではなくグレンラガンに憧れたのだから。
だから、俺の勝利のスタンディングはこうあるべきだ!!!
『人差し指!!回原の突き上げた左拳の人差し指が!!拳よりも更に一段高く天を突いてやがる!!!そうだよそうだよ言ってたよな回原!!お前は選手宣誓で間違いなく言ってたよなぁ回原!!見事だぜ回原!!お前の天を貫くドリルが!!今間違いなく雄英体育祭の天を!天辺を貫いてるぜぇ!!!!』
プレゼントマイク先生の言葉で俺の突き上げた指先に気づき、場内がさらなる歓声に包まれた!!
そして……
「「「「「「「回原ァァァ!!!」」」」」」」
『おおっと!!ここで1年B組の生徒達がフィールドに乱入だあ!!いいんですか?いいんですかいいんですか?審判のミッドナイト先生!!ミッナイ先生!!!』
『体育祭で優勝したクラスメイトを祝福するためフィールドに乱入とか私得過ぎる青春!!当然!!許します!!』
『はーい許されましたー!!B組の皆盛大に祝福してどーぞ!!!』
『茶番だな。聞く意味あったか今の』
『おおっとB組!!ここで優勝した回原を胴上げだあ!!!いいんですかいいんですか審判さーん!審判さーん!!この後表彰式も閉会式も控えてるのに!このままじゃスケジュール遅れちゃいますよ審判さーん!!』
『これぞ青春!!これこそが青臭い青春!!当然!許す!!感激した女子生徒のキスぐらいまでは許しまくるわ!!!』
『はーい許されましたーー!!天を貫くくらい高く胴上げどうぞーーー!!!!』
『茶番だな。後キスは止めろ審判。雄英体育祭のスレが荒れまくるだろうが』
クラスメイト達の祝福!
会場から届く歓声!
その全てが俺の心を昂らせる。
こうして、雄英体育祭は俺の優勝で幕を閉じた。
流水制空圏の表現が難し過ぎる……