「おはよ」
職場体験終わって初めての学校。
教室に入ると早速皆の視線が俺に集中する。
「回原まーた派手にやりやがったな…」
「動画見たぜ。特定班がコレ雄英1年の回原じゃね?ってすでに突き止めてるぞ」
目の前の席の泡瀬と、近くにいた円場に早速そう言われる。
「……みたいだな…全く、あんま変な事で目立ちたく無いんだけどなあ」
「大丈夫かよ回原?4月のヴィラン連合の襲撃とかの事もあるし気をつけろよ。目立つ奴って狙われやすいしさ」
峰田が心配そうに俺の席まで来てくれてそう言う。基本エロが絡まなければ本当にいい奴なのだコイツは。
「だな。しばらく気をつけるわ」
そんなこんなで近くに来たクラスメイト達と話す。
主な内容はやはりお互いの職場体験での出来事だった。
途中、峰田が女性不信になっていたので皆で笑うなどする。
「ま!峰田の事だから夕方にはどうせいつもの峰田に戻ってそうだけどな!」
「色欲の闇からはそう簡単に逃れられまい」
そんな事を話しているとブラキン先生が教室に来た。
「よーし久しぶりだな皆。元気そうで何よりだ。話題が尽きないのはわかるがホームルームを始めるぞ。席に着け」
そうしてホームルームが始まる。
普通の学校の授業。
それがとても新鮮な事に感じた。
「おートンガリじゃん」
「ちっ!ドリル野郎か」
昼休み。
今日は学食行くメンバーと飯食うことになったため、弁当持って移動中に同じく学食に向かうトンガリと出会った。
「……どーだったよ職場体験?」
「おーめちゃくちゃ充実してたわ勉強になった色々と。そっちはどーよトンガリ?」
「クソが!!礼儀やら見た目やらファンサやら言葉遣いの指導ばっかだったぜくだらねえ!!マジで無駄な時間だったわ!!!」
どーもトンガリ的にはイマイチな職場体験だった様子。
不機嫌そーね色々と。
そこに……
「そうでしょうか?悪意を持ってヒーローがわざわざそんな嫌がらせをするとは思えません。その方は貴方にとって今1番必要な事がそれだと考え、そう指導したのではありませんか?駄ヤンキー」
「んだようっせぇなツル女!」
「塩崎か」
職場体験の情報交換も兼ねて、今日の昼メシは普段より多い人数と一緒の予定だった。塩崎もその1人だ。
塩崎は続けて。
「正直、貴方の戦闘能力に関しては特に急いで指導の必要を感じなかったのでしょう。その為他の指導に力を入れたのではないでしょうか?まあ、駄ヤンキーが焦っているのはわかりますが……」
そう言って塩崎は俺をチラっと見る。
まあわかるけどな。
「けっ!んなのわかりきってるんだわ!!だがそれが無駄だって言ってんだよクソが!!」
塩崎はトンガリのその言葉を聞いて、ヤレヤレと首を左右に振りながら。
「……まるでわかっているようには思えませんが……『出来るけどあえてやらない』と『出来ないからやらない』では天と地ほどの差があります。今の貴方は本来それをやるべき所ですらそれが出来ず、将来不要な問題を抱えてしまうように思います」
「ちっ!」
「ふむ……わかっていない訳ではないのですね、なるほど…」
ふむ……と、そこで塩崎は少し考えた後。
「毎週日曜日私が参加している教会の日曜礼拝があります。良かったら今度一緒に行きませんか?祈り、賛美歌、聖書朗読や神父様のお言葉などの綺麗な言葉に触れる事で、貴方のその言葉遣いも自然と良くなるのでは無いでしょうか?」
「は!んなの行くわけねーだろボケが!」
「おやおやこの駄犬……綺麗な言葉を口から話すと舌が溶ける呪いにでもかかっているのでしょうか?それとも単に聖書の難しい言葉が覚えられそうにないから行きたくないだけなのでしょうか?一体どちらでしょうね?」
「舐めんなや!!んなもん一瞬で暗記したるわ!!聖書でそらんじ殺すぞボケが!」
「なら決まりですね、では早速今週の日曜にでも」
「おう!連絡先教えろやツル女!」
そんな事を2人で話しながら、トンガリと塩崎が先に行ってしまった。
俺達その場にいたAB組の生徒達はそれを呆然と見ながら…
「トンガリが教会……」
「「「爆豪が聖書………」」」
「か!かっちゃんが……かっちゃんが……あのかっちゃんが……」
「デ!デクくん!!!大変だ!!!デクくんが脳を破壊されとる!!」
「しっかり!しっかりしたまえ緑谷くんー!!!」
「なあ回原よう……」
「……どうした峰田」
「……あそこ、何か変なフラグたってね?」
「……かもな」
「オイラさ……お前がモテたり、オイラより先に彼女出来たりするのはまあ理解するんだけどさ……あのヤンキーに先越されるのはどうも納得行かないんだよ……この考え間違ってるのかなオイラ……?」
「わかる……わかるぞ、B組の峰田だっけ?」
「言いたいことはめっちゃわかる……」
「……そっちはA組の上鳴と瀬呂だっけ……そうだよな…オイラが変な訳じゃないよなきっと……」
なんか不思議な連帯感がAB組の間に生まれていた。
正直、この後の昼飯の味はあんま印象に残っていない。
その後のヒーロー基礎学の授業は、オールマイトを誰が先に助けるかというレクリエーション要素を取り入れた障害物救助競走のようなものだった。
5名に別れてのレースとなる。
飛行出来る俺が有利。
当然その組では1位となる。
「ん」
「おーよくわかったな小大。確かにちょっと飛行スピード上がったんだよ。職場体験でいいヒントもらえてさ」
「ん」
「何、私も負けてられないって?でも小大もさっきの上手かったじゃん。ピンポイントで物を大きくしたり小さくして障害物避けて上手く進んでたし」
「ん」
「でも負けちゃった、か。そら俺もそう簡単に負けるつもりはないさ。お互い頑張ろうな」
「ん」
お互いにそんな感じで先ほどの授業を振り返ったりする。
そうして授業が終わり更衣室。
男子更衣室で皆で着替えていると。
「か!回原ヤベェ!ヤベェよ!!オイラヤバい事に気づいちまったよ!!」
「ん?どした峰田?」
突如峰田が壁の近くで騒ぎ出す。
「見ろ!コレ!!」
「それは……流石によろしくないんじゃないかい峰田……」
近くにいた物間がそう言った。
峰田が指指す先には、先ほどまでポスターで隠されていた、壁にポツっと空いていた穴があった。
方向的にその先は……
「峰田……同じ男として気持ちはわからんでもないが、流石にそれは犯罪だぞ」
うん、言うまでもなく女子更衣室である。
「流石にそれは見過ごせないぞ峰田……」
「小森を見たら目をつぶす……」
「黒色怖いってそれは……」
「同級生が犯罪行為に手を染めるのは見過ごせないですね」
次々とクラスメイト達が峰田を止めようとする、
しかし……
「犯罪と言われて止まれるかよ!!」
「「「「「待て峰田!!!!」」」」」
俺達の静止を振り切り、峰田が壁に取り付いた!
「オイラのリトルミネタはもう立派なバンザイ行為なんだよォォ!!」
「あ、くそ意外に素早い!」
「拳藤の武道家おっぱい!
取陰のギャルおっぱい!
塩崎の聖職おっぱい!
小森のロリデカおっぱい!
角取の海外おっぱい!
柳のうらめしおっぱい!
小大は絶対美乳おっぱぁぁぁぁぁぁ!!!」
そして、その穴から向こうを覗こうとした、その瞬間!
ぐさ!
「ぎゃあああ!!!!!!!」
壁穴から伸びた塩崎の茨が、峰田の目に突き刺さった。
「まあこんだけ騒いでたら向こうも気づくよねえ」
「だなあ」
「しかしあれですな……女性恐怖症の峰田氏よりも、こちらの峰田氏の方が見ててホッとするというか安心しますな」
「それはある」
「でも小森見てたら目をつぶしてた…」
「どうどう……落ち着け黒色……」
「童心に帰ってるな。さっきから口調が普通に戻ってるよ黒色……」
そんなこんなで先生を呼び、穴を報告。
後は先生達の判断に委ねる事となった。
「なるほど……やはり学校でも君を心配する声が上がったか」
そして放課後、静岡の家に戻り修行中。
話題として教室での峰田との話になった。
「4月の襲撃は失敗……それでもあれほどニュースになった。つまり名を上げたいヴィランからすれば雄英高校の1年ヒーロー科は格好のターゲットということだ。特に旋くんのように目立った活躍をした生徒は狙われやすいだろうね」
「そうですね……」
ふむ……と、しばらく師匠は悩み、そして、
「仕方無い……心苦しいが、修行のレベルをさらに三段飛ばしくらいで上げるとしようか」
「なして!!!???後!!絶対心苦しいのは嘘でしょ!!!」
「簡単な話だ。ヴィランに君が命を狙われるというならば、狙われても大丈夫なように君が強くなるしかないだろう?」
「そ!そうかも知れないですけど!!死ぬ!死んじゃいますよ!!ただでさえ修行キツイのに!!ここから三段もレベル上げるだなんて!!!」
「はっはっは。ならばヴィランが殺しちゃうのが先か、修行で殺しちゃうのが先か……勝負だあ!!!!!!!!」
「ぎゃあああ!!!!!!!!!」
そうして今日の修行も無事終わる。
絶望してました。