巨大ロボット撃破後、暴れたりないのでもう少し暴れる事にした。
とりあえず巨大ロボットの破片が周囲に被害を与えないようにしないとだなあ。
人がいないことを確認し、空いた場所に適当にロボットの破片を蹴り飛ばしていく。
「よっしゃ処理終わり!さて次々っとな」
さーて残ってる獲物いるかなー?と気配を探っていると、
「試験!終ー了!!」
プレゼントマイクの響く声。
同時にサイレンが鳴る。
「あらま、もう終わりか」
正直少し物足りないんだけど。
残念、試験が終了してしまったようである。
「暴れたりねえなあ」
「マジで言ってる?あのデカいの倒しただけで十分でしょ」
「ん」
気づいてはいたけど、俺の背後から近づいて来た2人の少女が声をかけてくる。
先ほどの2人の少女だ。
俺は2人の方に振り返る。
黒髪の可愛い少女。
オレンジ色の髪をサイドテールにした美少女。
2人の少女。
「私は拳藤一佳。さっきは助けてくれてありがと!」
「小大唯。ありがとう」
「回原旋だ。2人とも無事で何より。でもお礼の必要あるか?2人とも俺が助けなくても多分無事逃げ切れてただろ?」
これは状況から見て間違いないと思う。
助けたのは事実だが、多分俺の手助けがなくてもこの2人はあのデカブツから逃げ切れていたに違いない。
ある意味俺の行動は余計なお世話でもあった。
「あはは!…まあ、多分大丈夫だったけどさ。でも助けてもらったのにお礼しないのもね」
「ん」
悪びれずはっきりと拳藤がそう言う。
それに俺は好感をもった。
この子はこういうはっきりとした物言いをする子なんだろう。
武術家あるあるだと思うが、こういうはっきりしたタイプは非常に好ましい。
「そっか。ならありがたくお礼は受けておく」
「ん」
「ん?どした?」
「ん」
「ああ、私は一人だと厳しかったかもしれない。だから本当にありがとうってか?気にするな、困った時はお互い様だろ」
「ん」
「…不思議だね。何故か何でかこの子が何て言いたいのかわかっちゃう…ほんとなんでだろね…」
「確かに…不思議だ…」
無表情かつ言葉の少ない小大。
でも何故か何を言いたいのか不思議と伝わってくるのだ。
なんなんだろうほんと…
「…まあ、とりあえず皆無事試験に受かってるといいな」
「…だね。春から同じ雄英高校で学べるのを楽しみにしてるよ!」
「ん」
俺と拳藤は考えるのを放棄した。
これはそういうものだと思うこととした。
試験会場から出るため3人で話しながら移動していると、
「おいゴラァ!!そこのクソドリル野郎!!!」
「ん?俺か?」
ぞろぞろと試験会場から出ていく人の群れ。
その中で一人、出口で仁王立ちしているトンガリ頭がいた。
そして俺に話しかけて来た。
話しかけるみたいな友好的なテンションでもないが。
「おうコラテメエ!聞いてるのかアアン!!!」
「聞いてるよやかましいヤツだなおい」
「なんだとオラァ!!」
「回原!ケンカは辞めなよ!」
ヤレヤレ…2人の女の子と並んでいた脚を早め、少し前に出る。
俺を止めようとした拳藤に「大丈夫だよ」と伝えるのも忘れずに。
口調は荒いが、言うほど殺意は感じない。
そもそもこちらに飛びかかるような体勢でもなかった。
コイツは多分、単純にこういう口調が素なのだろう。
コミュニケーションの基本が喧嘩腰というのは正直どうかと思うけど。
「…ッチ!おいドリル野郎テメエ、名前は?」
「人に名前聞くより先に、自分の名前を名乗れよトンガリ」
「ッチ!爆豪だよ。爆豪勝己」
「回原旋だ」
俺の名前を聞くと爆豪は、
「テメエの名前覚えとくぜ。雄英で会ったらブッ潰すから覚悟しとけよドリル野郎!!!」
「おーお互い受かってるといいなトンガリ」
「トンガリ言うんじゃねえ!このドリル野郎!」
「ああ、わかったよトンガリ」
「…ッチ!クソが!」
そう言うと、くるりと俺達に背中を向けて出口から出ていく。
「全く、賑やかなヤツだなあ」
「…アレを賑やかで済ますのアンタ…」
「ん」
呆れた拳藤と無表情の小大。
何とも対称的である。
「…ま、とりあえず俺達も会場出て一息つくとしようぜ」
そう言って、俺達は試験会場を出る。
雄英高校の入学試験の実技はこうして終わった。
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「実技総合成績出ました!」
その言葉を合図に、教師陣が成績の表示された画面を見る。
画面を見て、思わず「おお!」という声が上がった。
「100点超えが出たか…いつ以来だ?」
1位。回原旋。
ヴィランポイント…95
レスキューポイント…20
合計115
「回原のレスキューポイント低くないか?」
「大型ヴィランを倒したのは素晴らしいが、敵と要救助者の位置関係などを考慮すれば倒さずに避難のサポートをした方が適切だった。避難よりもリスクを取り倒す方に舵を切ったのだから妥当だろう」
教師達の話題の中心は、実技1位の回原旋だった。
実技試験久しぶりの合計100点超え。
しかも大型ヴィラン撃破のオマケ付きである。
自然そうなっていた。
「…個性使わず素手で仮想ヴィラン倒してるよなコレ…」
両手両足をドリルのように回転させ、発生させた竜巻で空を自在に駆け回り仮想ヴィランを蹂躙していた。
比喩ではない。
まさに蹂躙だった。
「公安の知り合いから聞いたけど、彼は梁山泊の内弟子なのさ!これぐらいで驚いていたらダメなのさ」
「校長…その、梁山泊というのは一体?」
「梁山泊…確か都市伝説で聞いたことがあるようなないような…」
校長が皆に説明する。
梁山泊
それは個性社会となり、今やスポーツとしても価値が薄くなりつつある武術。
そんな個性社会に馴染めない、武術を究めた豪傑や達人、超人達が集まっている武術道場だと。
校長は続ける。
「彼は学生だが、学生として扱い過ぎないように注意するのさ」
「…ええと、その…なんと言いますか…俗に言う『相手は人の
「惜しい。彼の事は人の
えええ……まじかよどんだけなんだコイツ…
校長を除く教師陣がドン引きした。
「さて!彼の事ばかり話していては仕事が終わらないのさ!次の生徒について話すのさ!」
校長の一声で、他の受験生へ話題が移る。
回原に次ぐヴィランポイント2位の爆豪。
ヴィランポイント0でレスキューポイント60の緑谷。
ヴィランポイントとレスキューポイントをバランスよく加点している生徒などなど。
そして、筆記試験の結果も含め、今年の合格者達が決まった。
そうなると次はクラス分けとなる。
「これはA組・B組の組み合わせ考えるのが大変だな…」
「回原くんの入るクラスの方は、直接的な戦闘能力の高さを特徴としない生徒を多めにした方がいいのさ!じゃないとバランスが取れないのさ!」
「じゃあ爆豪と、推薦の轟はこちらかな」
「それだとバランスが悪いのでは…」
「これをこうしてはどうだ…」
「…A組の回原と峰田を、B組の爆豪と轟と入れ替えればちょうどよくなるのでは?」
「それだ!」
そうして試験結果を元にしたA組・B組のクラス分けが決まった
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試験からしばらくして、雄英高校合格の知らせが届いた。
梁山泊の師匠達は皆大いに喜び、特別ハードデンジャラス修業メニューでお祝いしてくれた。
毎度の事だけど解せぬ。
絶望した。
ふっふっふっ…
だが、そんな我慢も後しばらく。
春からの雄英高校進学が決まったのだ。
つまり、俺の内弟子生活終了のお知らせである。
やったぜー!僕のハッピーヒーローアカデミア確定だ!
そう思えばこの辛い修業にも耐えられる。
後ちょっとなんだから!
高校行っても道場通いは辞めるつもりはないのだが、それでも過酷な内弟子生活よりはなんぼかマシだろう。
「あ、旋ちゃんや」
「?何でしょうか長老?」
「今週の土日から泊まりがけで静岡行くから準備しておくように」
「へ?」
…なんだろう。
この鍛えられた俺の危機感知センサーが最大限の警報を鳴らしています。
ヤダ!もうこの先の言葉なんて聞きたくない!
聞きたくないの!
絶対の絶対にろくな事ないもん!
「静岡の雄英高校近くの広いボロ家を譲り受けたから、そこを住めるように皆でリフォームしにいくんじゃよ」
「ひ!」
「やったね旋ちゃん!これで東京〜静岡の距離の問題は解決じゃ!春からも内弟子生活継続出来るぞい!!!」
「ぎゃあああ!!!!」
頼むからそんな「もう一回遊べるドン!」みたいに言わないでー!!!!
死ぬ!
死んじゃう!
死んじゃうから!
流石に雄英高校でヒーロー科の授業受けながら内弟子生活なんてしてたら死んじゃうから!!
「ハッハッハ!!コイツ嬉しくて泣き叫んでいやがるぜ!」
「ホッホッホ!」
「いやー!!鬼ー!!鬼畜ー!!師匠ズー!!!」
「「「「「ははははははははは!!!!」」」」」
「いーやーーー!!!!!」
「嬉しそうじゃのう旋ちゃんは」
「ですな。元気もあり余っている様子。せっかくだから走って静岡まで行ってもらうとしましょうか。ええ、鍛錬がてら」
「おー。なら俺がバイクで見張っててやるよ、逃げないように」
「いーーやーー!!!さり気にトンデモナイ事が決まってるー!!!せ、せめて重りは無しにしてーーー!!!!!」
こうして、俺は晴れて春から雄英高校への進学が決まった。
そして、結局絶望した。
どうなるんだ俺のヒーローアカデミア生活は……
今度こそ、マジで死ぬかもしれん……
絶望した。
長老「やったね旋ちゃん!ライバルらしきトンガリとのフラグが立ったよ!!」