回原のドリルは天を貫く   作:のりしー

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VS危険なバニーさん

猛獣跳撃(スラガンハリマウ)!!」

「うおおお!!」

 

シラットの極悪技を横っ飛びで避ける!

俺が避けた瞬間!ミルコさんはさらに俺に向け跳躍し、

 

満月乱蹴(ルナラッシュ)!!」

「ちいい!!!」

 

そのまま連続の蹴り技で追撃してくる!!

その圧倒的な脚力から繰り出される蹴りを俺は時に躱し!時に個性を活かした化勁で受け流す!!直撃もらった時の事なんて考えたくもない!!

そのくらい一発一発に凄まじい威力が秘められた連続蹴りだ!!

 

 

「大した化勁だな!!個性との相性も良い!!化勁だけなら達人級かテメエ!!生意気だ!!」

「それはどうも!!」

 

止まらない連続蹴り!!

向こうは蹴り、俺は捌く!

俺達は高速で動き回り、一瞬たりとも動きを止めることなく動き続けていた!!

 

俺達は時に地面を滑るように駆け!時に跳び!周囲の建物の壁を利用し跳ね回りながら闘いを続ける。

 

「あの回原が防戦一方なのかよ!!流石はミルコ!!」

余裕ないから見れないが円場らしき声。

 

「いや!!あれは違う!!」

 

「拳藤!?」

 

「回原!!私が代わる!!アンタ女性を攻撃出来ないだろ!!」

 

ここで何が起こっているかを聞き、俺を心配し慌てて駆けつけてくれたのだろう拳藤が俺に向けてそう叫んだ。

 

拳藤の叫びを聞き、一旦距離を取るため後ろに飛び退いたミルコさんが口を開く。

 

「……なるほどな。さっきからやたらと回避と防御……後は投げか絞め技ばかり狙ってるから何かと思えばそういう事か……」

 

「……バレてましたか。狙いは隠してたつもりでしたけど」

 

「何となくな。ウサギのカンってやつだ」

 

やれやれ……とミルコさんはそんな呆れたような空気を隠しもせず。

 

「難儀なヤツだ……そっちのお前!この勝負に割り込もうとしてるみたいだけどやめとけ。この悪ガキは言い難いだろうから私が代わりに言ってやるが……お前がこの舞台に上がるにはまだ早い」

 

「!!!」

お前じゃ私の相手するには力不足だ。という意図の言葉に拳藤がショックを受ける。

 

 

「……そんな顔すんなよ。その年にしちゃお前も上出来な部類だよ本当にな。ただこの闘いに割って入るにはまだ早いってだけで、それはお前が恥じる必要の無い事だ……っても納得出来ねえか……そうだよな」

 

「でも!」

悔しくて悔しくてたまらない……そんな顔で、そんな声で拳藤が叫ぶ。

 

「お前、名前は?」

 

「……拳藤。拳藤一佳です」

 

「拳藤一佳、拳藤……拳藤……よし覚えた。拳藤、お前がこの仮免試験受かってたらインターンで指名して鍛えてやる。だからここは退け」

 

「ミルコ……」

 

「今、その胸の内を焦がしてる悔しさを絶対忘れるな。お前は今より間違いなく強くなれるよ。だから……今はその悔しさを噛み締めながら退け。この先の未来でもっともっと強くなる為にな」

 

「わかり……ました……」

 

「いい子だ」

 

下を向き、悔しさで口元を歪めながらふり絞って出したその言葉に、ミルコさんはそう優しく応じた。

 

「……回原、ここの抑えを頼む……私……私は、私が今出来る事で頑張るから!!」

 

「ああ……任せろ」

 

「円場!!行くよ!!」

「おう!!」

 

そして2人が走ってこの場を去って行く。

 

「……さあて、続けるか!!」

 

「ですね、では…」

拳藤のおかげで仕切り直し出来たのは好都合!!

だから!!

 

第一段階。制空圏を自分の身体から薄皮一枚まで絞る。

そして第二段階……

 

「やらせっかよ!!かあああああぁぁ!!!!!!!」

 

「く!!」

激しい動の気が叩きつけられる!!

 

「この前会った時に先生(グル)が言ってた流水制空圏対策はやっぱ有効みてえだな!!」

 

流水制空圏が第二段階で外された!!

やはり、この人……強い!!

 

「わざわざ面倒な仮免試験への協力だなんて、そんな似合わない事までしてテメエと遊びに来たってのに、まさか女だからって舐めプかまされるとは思わなかったぜ!!」

 

爆発する、圧倒的な動の気。

 

「さっきまでは拳藤の心意気に応えて冷静なフリしてたが……中身は怒りで腸煮えくり返ってんだ!!第二ラウンド開始だ!!蹴り殺したる!!」

 

そう叫び飛びかかってくる!!

また蹴りか!?

 

「普段は蹴るだけだ。そんで大概片付くからな!!でも手技が出来ないとは言った覚えはないぜ!!」

 

「な!?」

 

「第一のジュルス!!」

「うおおお!!」

 

腹部への突き!膝裏へは蹴り!!それを避けたと思えば首に腕を回し投げ飛ばそうとしてくる!!

 

「背負い投げ!!」

 

「やるじゃねえか!!」

 

……の首に回った腕を逆に掴み、背負い投げをしかける!!

地面に叩きつけるのではなく、近くの壁の方へ投げ飛ばす。

ミルコさんは空中で反転!!壁を蹴り跳躍し再度こちらへ向かってくる!!

 

「ダブルドリルハリケーン!!」

俺は両手で竜巻を放ち、その進撃を妨害しようとする!!

……が!!

 

「しゃらくせえ!!踵月輪(ルナリング)!!」

空中で繰り出された回転蹴りが俺の竜巻を真っ二つに切り裂く!!

とはいえ!!流石に一瞬だがその進撃スピードは落ちる!!

だから!!

 

「やりたくないが!!やりたくないが!!仕方ない!!すみません!!先に謝っておきます!!梁山泊師匠二極の術!!」

 

これは拳藤との個別訓練ですら使わない禁じ手!!

 

女性を狙うイヤらしい動きと雰囲気で相手に悪寒を与えるなどで怯ませ隙を作り出し、柔術で関節を極める技だ!!

 

俺は馬師父のように手をワキワキとイヤらしく動かしながらミルコさんへ飛びかかった!!すみません!!やりたくてやってる訳じゃない!!訳じゃないの!!本当!!ホントなの!!

 

「は!!悪ガキなだけじゃなくてエロガキでもあんのかよ!!こちとらミルコさんだぜ!!人様に見られたり揉ませたりして恥ずかしい身体はしてねえぞ!!揉めるもんなら揉んでみやがれ!!蹴り殺すだけだ!!」

 

「ヤバいエロ攻撃に全然怯んでない!!やり損だ!!やり損じゃねえか完全に!!」

 

「テメエでテメエの株を勝手に下げただけだったな!!オラァ!!第二のジュルス!!」

 

「うおお!!」

 

腹部や顎を狙いつつ金的狙いの凶悪な蹴りが飛んでくる!!

それを化勁で凌ぎながら頭を必死で回転させる。

 

どうする!!馬家縛札衣を使えればいいんだけど、ミルコさんのコスチューム的に使用が難しい!!

俺の上着使ってもいいけど、多分布の量が足りなくて完全には拘束できない!!

 

流れようなミルコさんの連続攻撃を躱しながら、俺は必死で必死に頭を回転させる!!今までの戦闘経験から、この状況をどうやって打開するか!!その手段を必死になって探す!!

 

「生意気だな!!生意気過ぎるぜ悪ガキ!!テメエ!!時間稼いで試験終了まで凌ぐんじゃなくて!!この状況でも私に勝つつもりだろう!!そんな生意気な目をしてやがる!!」

 

凶悪な蹴りを放ちながらミルコさんが叫ぶ!!

 

「当然でしょう!!女性殴れないのは俺の流儀ですが、だからってそれでヴィラン退治や勝負で負ける気は更々ありません!!」

 

「生意気過ぎるぜ!!やれるもんならやってみろや!!」

更に苛烈さを増すミルコさんの攻撃!!

 

動き、跳び、跳ね回りながら俺はその攻撃を躱し、凌ぎ、勝機を伺う。

シラットを取り入れたミルコさんの変則的な立体機動からの攻撃を辛うじて凌ぎつつ、俺は僅かなチャンスを伺う。

 

……おそらく、勝機は、ほんの一瞬!!

 

月堕蹴(ルナフォール)!!」

 

ここだ!!

上から叩きつける凶悪な蹴りを、俺はそれまでの武術的な動きではなく!!

 

「旋回!!」

「何いっ!!」

 

軸にした左足だけを残し、身体全体を回転させその攻撃を避ける!!

 

「しまっ!!」

「もらいました!!」

 

武術ではなく個性を使った変則的な回避!!

流石にこれは読めないでしょ!!

 

微調整し身体を元に戻した瞬間!!俺は蹴りを放ち終えたばかりの目の前のミルコさんに絞め技を仕掛ける!!

 

「岬越寺流柔術!!螺旋・暗外旋風締め!!」

 

腕全体を使った絞め技!!

更に急速な回転を加え、強いGでブラックアウト状態にしてコンマ1秒で絞めを行う技!!

師匠ほどの熟練はまだないが、代わりに俺には旋回の個性がある!!

 

ヴィジランテ時代では出来なかった武術と個性の融合技!!

 

その極悪技は一瞬でミルコさんの意識を刈り取った。

 

「……ふう……やれやれ…な、何とかなったか……」

 

意識を失ったミルコさんをゆっくり地面に寝かせる。

と、同時に試験終了の知らせがフィールドに響いた。

 

大丈夫かなこれ……俺最後ほぼ戦ってただけなんだけど……ちゃんと試験受かったのかしら……

 

一抹の不安を抱えながら、俺のヒーロー仮免試験はこうして終わりを迎えた。

 

後は結果発表を待つだけだ。

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