「スゲえな回原!!結局ミルコ倒しちまったのかよ!!」
「俺の同級生がちょっと無茶苦茶過ぎる」
「まあ何とかな。でも途中から救助活動全然出来なかったんだよな。試験結果はちょい心配だわ」
「流石に大丈夫だろ。トップヒーローにタイマンで勝つ奴を試験で落としたりしないだろ普通」
「だといいんだけど」
あの後俺は試験官に気を失ったミルコさんを預け、クラスメイト達の元に向かった。
クラスメイト達と合流し更衣室で着替えた俺は、控室で鉄哲や麟と話しながら試験結果の発表を待つ。
そして結果発表の時間となり、合否の結果が巨大なモニターに映し出された。
合格者の名前一覧。
五十音順のそれから回原旋の名前を探すと……
「良かった……無事受かってたか」
あった。俺の名前。
俺はモニター内に自分の名前を見つけてほっと一息をついた。
「やったぜ!!回原!!オイラもちゃんと名前あった!!」
「お!お互い受かってたか!!良かったな峰田!」
他次々とクラスメイト達から喜びの声が上がっていく。
結果は俺含めクラスの連中は全員合格という嬉しい結果だった。
その後個別に配られた試験の採点内容の書かれたプリントを受け取る。
うわ61点か……結構厳しかったんだな俺やっぱ。
ヴィラン役のミルコさんが女性だからって手加減した事や、セクハラまがいの行動で結構減点食らってる。
……まあ仕方ないか。
他の受験者の中には不合格の人もいたが、特別講習を受ければ仮免許を取得出来るそうな。
1次試験は落とす試験で、2次試験まで進んだ100人はしっかり育てる方針との事。
例年より大分合格者絞ってるもんなあ。
ここで更に落とすより、育てるってのもわからなくもない。
こうして俺達の仮免試験が無事に終わった。
その夜は寮の食堂で皆の合格を祝い、軽いパーティーをする事になった。
楽しいからいいけど、なんか最近しょっちゅうパーティーしてる気がするなあ。
『旋くん旋くん!!大丈夫だと思うけど仮免試験大丈夫だった?合格出来た?』
『何とか無事合格しましたよ』
『ほんと!良かったね!!おめでとう旋くん!!』
『ありがとうございますねじれ先輩』
「回原ー今日は何作ってくれるんだ?」
「そーねー……鶏肉安かったから油淋鶏でも作るか。あれだとキャベツも美味いし量食えるし」
「あのキャベツ美味いよな」
「わかる」
一階のソファーでねじれ先輩からのお祝いメッセージに返信しながら、今日は何作るか考える。
前回同様にパーティーは俺みたいに自分で料理作ったり、ランチラッシュ先生のデリバリー頼んだりして食べ物を揃える感じとなったのだ。
「ん」
「ん?どうした小大トマトなんか持って……て、前のあれまた作れってか?まあ全然かまわないけど」
「ん!」
どうにも今夜も2品作る必要があるらしかった。まあ小大も手伝ってくれそうだし問題はないか。
そして夜。
仮免試験全員合格おめでとうパーティーが始まった。
「油淋鶏のタレしみしみのキャベツ美味い……むしろこっちが油淋鶏の本体な気さえしてくるな」
「「じゃあ肉は食うな。俺達で全部食うから」」
「待て待て待て待て!!食うよ!俺だって肉食いてえよ!!わかるだろネタだって!!」
今夜の料理も好評みたいで何より。
何だかんだ自分の料理を人が美味しそうに食べてくれると嬉しいものである。
B組の常識人3人衆(最初は俺も入れて4人だったのだが、何故か外されました……解せぬ)の泡瀬、円場、麟のいつもの軽快なやり取りを聞きながら、
「んん!」
と美味しそうに俺の料理を食べている小大を見る。
いつもと同じ感じなのに、何だか幸せそうな小大。
あんま表情とかに感情出さないのに、何故かなんでかわかってしまうので本当に不思議である。
「回原、君インターンどうするんだい?職場体験と同じエンデヴァー事務所行くのかい?」
「あーインターンね……」
物間の問いかけに俺は、
「本当はベストジーニストさんとこ狙ってたんだけど……大ケガしてるからインターン無理だろうし、当初の予定通りリューキュウ事務所かな」
「ああ、そう言えば波動先輩に誘われてたね」
「そゆこと。まあ飛行しながらのヒーロー活動学べるし、いいかなって」
「リューキュウ事務所は確か女性ばっかの事務所だぜ。何か男一人だと肩身狭そうだな」
こちらは骨抜。料理取りに来がてら話に交じってくる。
「それな。ぶっちゃけインターンで何するかよりもそっちのが気になってるわ俺」
「回原よう……大人の女は怖いぜ……」
「だから職場体験で一体何があったんだよ峰田……」
こんな感じで俺達B組の夜は楽しく過ぎていった。
「全く……ケンカして謹慎だなんて一体何やってるんですかこの駄犬は。せっかく仮免試験に受かったというのに」
明けて翌日。
雄英高校の二学期の始業式の日。
何とトンガリと緑谷が謹慎になったという驚くべきニュースが入ってきた。
とりあえず様子見に塩崎と鉄哲と一緒にA組の寮にお邪魔したのだが、一階の共有スペースを掃除しているトンガリを見つけた瞬間、早速塩崎の舌鋒が火を吹いた。
「駄犬駄犬駄犬とうるせえぞツル女!!」
「闘うべき時に噛み付くのが闘犬。狂って噛み付くのが狂犬。闘うべき時期も考えず、狂いもしてないのにただただ噛み付く貴方なんて駄犬で十分でしょう?何か反論でもありますか?」
「がるるるる!!!」
「おやおやこの駄ワンちゃん。ついに人語を忘れてしまいましたか。哀れですねえ」
「爆豪に対しての塩崎が特攻過ぎるな」
「何だかんだで感謝もしてるんだろ。仮免試験の2次試験を何とかギリギリクリア出来たのは塩崎のおかげだしな」
「殺す発言滑りまくり芸人みたいになってっからな今の爆豪は。採点してる人に『救助者をギャグで励ますのは良いですが、もう少しマイルドなギャグがいいと思います』って書かれて減点幅少なめだったらしいぜ」
「なにそれマジで草」
「……ま、後は爆豪にしては比較的マイルドな言動が多かったしな2次試験中は」
「あくまで爆豪にしてはだけどな」
その様子を見ながら鉄哲と切島、あと上鳴と話す。
「お前塩崎に世話になりっぱなしじゃねえかトンガリ。ちゃんと礼とか言っとけよ」
「だな。俺だったら御礼に美味しいご飯かお茶でもご馳走するくらいするぜ」
「上鳴のはお前がただ単に女の子とお茶したいだけだろが」
「バレた!!」
俺達のそんな声が聞こえたのかな?トンガリが、
「たりめえだろが!借りっぱなしは性に合わねえ!!聖変化したパンとワインでもてなし殺したるわツル女!!」
「相変わらずツッコミどころが多いのですが……まずワインは辞めなさい。私まで謹慎に巻き込むつもりですかこの駄犬」
「ああん!!それなら紅茶とケーキでどうだぁ!!」
「ふむ……貴方にしては悪くない提案ですね。特別に駄犬からチワワに昇格してあげましょう」
「謹慎終わったら行くぞオラァ!!」
飛び交う言葉はなかなか互いに攻撃力高めながらも、どこか楽しそうなトンガリと塩崎のやり取り。
それをによによしながら皆で見ていると。
「テメエ等!!見せもんじゃねえぞ!!あんま見てんじゃねえよボケどもが!!」
「何言ってんのよトンガリくん。正直見せ物でしかねえだろこんなの」
俺の言葉にその場の全員が頷いた。
いやマジで見せ物だろこんなのさ。
「やんのか!!ケンカなら買うぞゴラァ!!」
「待て爆豪!!お前謹慎中だぞ!!わかってんのか自分の状況!!」
慌ててトンガリを抑える切島。
「……全く、やはり駄犬は駄犬ですね。チワワへの昇格は取り消す事にしましょう」
まあ、こんな感じで陣中見舞?は終わった。
しかしまじか……轟の奴、仮免落ちちゃったのか。
雄英1年ヒーロー科で唯一の不合格者。
正直A組で一番落ちなさそうな奴なのだが。
どうも他の受験者の人にケンカふっかけられてやらかしたらしい。何とまあ。
凹んでそうだなあ。後で何か連絡しよかな?
でもこういう時は連絡とかしないでそっとしといた方がいいのかな?
色々と悩みながら今日が終わっていった。