短めです。
「へーそーなんトンガリはインターン大阪行く事にしたんか」
「おう。職場体験はヒーローランキングだけ見て決めて失敗したからよ。大阪は今繁華街の治安かなり悪化してるらしいしな。実戦経験積む為に大阪のデブの武闘派のとこにインターン決めたわ」
「実戦に勝る鍛錬は無しってね。まあトンガリらしいな」
「ウチの教室には歩くヒーロー辞典みてえなクソデクが落ちてるからよ!そのボケの意見を聞いて決めてやったぜクソが!」
「そーか。ちゃんと緑谷に御礼言っとけよ」
「放課後の自主練後にちゃんとジュース奢ったったわクソが!テメエはどうなんだよボケドリル」
「俺か?俺はリューキュウさんとこ」
「……色ボケするって柄でもねえだろ?他にも色々選べる立場のテメエがそこを選ぶ狙いは何だ?」
「空中で活動出来るトップヒーローって貴重だぜ?空中での戦闘やらヒーロー活動学べるかなってさ」
「……プロ相手でも陸戦では特に学ぶ事はもうねえよ、ってか。けっ!相変わらず気に食わねえヤツだ!」
「まあ否定はしねえよ」
「けっ!」
「お、もうそっちの教室か。んじゃまたなトンガリ」
「おう」
時刻は朝の通学路。
たまたまトンガリとタイミングが一緒になり、教室に向かいながら色々と話しながらの朝となった。
トンガリと別れ俺も自分の教室へと向かう。
そして教室のドアを開き中に入った。
「おはよ」
「おう回原おはよ」
「……なんか寮でもすでに挨拶してるのに教室でも挨拶しちゃうのは何でだろうな?何か不思議な感じ」
「まあ確かにそう言われるとそうだな」
「まあでも何となく会うと挨拶しちゃうのよね」
「わかる」
クラスメイト達と色々話しながら自分の席に座る。
しばらく話しているとまた教室の扉が開き、
「皆おはよ!」
「おー拳藤おはよ」
我等が委員長の拳藤が教室に入ってきた。
「一佳にしては珍しいね。アンタにしては教室来るの遅くない?」
取陰のセリフには『まあ確かに』と皆が思わず思ってしまうような説得力があった。
クラスの委員長である拳藤は、比較的早く教室に来ている事が多い。多いというかほぼだ。
それが今は比較的遅めの……もうすぐ朝のホームルームが始まるギリギリの時間だった。
優等生の拳藤にしては珍しい。
皆の顔に浮かんだ疑問を晴らすように拳藤はにっこりと笑い、
「実は朝から職員室に呼ばれててね!皆聞いて!拳藤一佳!正式にミルコの所でインターン決まりました!!」
そう言って皆の前でピースを決めてみせた。
その言葉に一瞬、クラスが静まり……
「おおおお!!やったじゃねえか拳藤!!」
「一佳おめでとう!!」
「一時はインターン受け入れ実績無いからダメかも?みたいな話だったもんな!!」
「うん!でもミルコがトップ10入りしてるヒーローって事と、『ここで拳藤呼べねえならもう二度とインターンなんて募集しねえ!』ってミルコが言ってくれたみたいでね。最終的には私の判断に任せてくれたんだ!」
「それで自分の意思でミルコのとこにインターン行くって決めたのか!!流石だぜ拳藤!漢だぜ!!」
「いや私女の子だから……その漢ってのは辞めてくんない?褒めてくれてるのはわかるんだけどさ」
鉄哲の言葉に微妙な表情で応える拳藤。
その様子を見て、思わずみんなで笑ってしまった。
一気に活気付く教室。
皆が新たにインターンが決まった拳藤を祝福している。
インターンにクラスメイト全員が呼ばれている訳ではない。
当然、声がかからず悔しい思いをしている奴もいた。
……それでも、クラスメイトの吉報を素直に喜べる。
そんな雄英高校ヒーロー科1年B組。
いいヤツらとクラスメイトになれたな。
本当にそう思った。
「……全く。インターンが決まっただけでいい経験が出来るかどうかなんて決まった訳じゃないのにね」
「物間?」
気がつくと、物間が俺の近くに立っていた。
「……ちなみに、僕もインターン決まったんだけど……」
「……マジで?え!!おめでとう物間!!」
拳藤の祝福一色の教室。
そこに割って入った物間の言葉に教室の注目が一気に移る。
「マジ!?物間もインターン決まったの!!」
「やったじゃん物間!!」
「くっそー!!何でオイラはインターン決まらねえんだよ!!うらやましいけどおめでとうだぜ物間!!」
皆の祝福の声。
それを聞きながら物間は複雑そうな……そう、非常に複雑そうな顔をしながら……
「うん……インターンは決まったというか……声かけてもらった所が一つだけだから、まあそこしか行ける場所がなかっただけなんだけどさ……」
「それでもスゲえな!!」
「一つでも声かけてもらえたらいいじゃん!!」
「頑張ってね物間!!」
そのお祝いの、素直にクラスメイトを祝福をする言葉を聞きながら物間は……
「うん……でも、声かけてもらったインターン先が『新白連合所属ヒーロー事務所』ってかなりマイナーな所でさ」
「………へあぁぁぁぁ!!!!!!!」
「……回原?」
「……どうしたの?」
「……ん?」
物間の言葉。
……それに正直脳がショートする。
新白連合……だと?
……え、マジで?
……物間が俺のクラスメイトって知ってるよなあの人達……
「か?回原?」
不安そうに俺を見る物間の顔を見返す。
……うん、まあ流石は総督……
物間は間違い無く逸材である。
それは絶対に間違いない。
それをピンポイントで目をつける眼力。
人を見る目は本当に凄まじいと思う。
流石総督。さす督。
ちゃんと物間に目をつけてるあたり本当に流石としか言いようがない。
「え……まさか……新白連合って君のあれ……あれというかウルトラ非常識界隈の関係なのかい…?その世界線の人達なのかい……?」
その物間の……最後の希望というか……天から吊るされた細い蜘蛛の糸にすがるような、そんな絶望一歩手前の顔を正面から見ながら……
「残念ながら……俺の界隈です……」
そう、正面から事実を告げてあげた。
……悲しいけど、これが現実なのよね……
「ガッデム!!!」
地面に崩れ落ちる物間。
「「「「「「物間ぁ!!!!!」」」」」」
「しっかりしろ物間!!」
「絶望するな!!」
「まだ希望はあるかもしれないだろ!!」
「実際どうなの?物間ヤバそ?それとも大丈夫そ?」
取陰の疑問。それに俺は。
「う〜ん……ウルトラ吉かウルトラ凶の2択過ぎてなあ……なんとも」
と答える。
「うわあぁぁ!!!」
その言葉に物間がさらにショックを受ける。
「2択が極端過ぎるだろ!!」
「せ、せめて中間は無いノコ!?」
「そ!そうだ回原!!対処法とかあったら物間に教えてやれよ!!」
「対処法ってもなあ……」
対処法とかあるんか?あの人に……
「うーん対処法ねえ……しいて言うなら……」
「「「「言うなら?」」」」
教室全ての注目が俺に集まる。
皆がゴクリ……とツバを飲む。
そして……
……そこで、ガラガラと教室の扉が開き、
「よし、皆揃っているな。では朝のホームルームを始めるぞ」
……と。ブラキン先生が入って来た。
「ぎゃあぁぁぁ!!!」
「な、生殺しすぎる!!!」
「こ!!ここで中断かよ!!」
「物間!!物間!!お前大丈夫か!?」
「胃薬いるか!?水飲むか!?」
またも阿鼻叫喚の教室。
「は、ははは……ははははは……」
呆然とする物間。
「……?何が何やらよくわからんが……とりあえずホームルームが終わってからにしろ」
「「「「「正論!!!!!」」」」」
こうしてホームルームが始まる。
真っ白になった物間を放っておきながら……