回原のドリルは天を貫く   作:のりしー

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地下通路

地下への階段を降りると、そこにはナイトアイさんが事前に予知で見たという広大な地下通路が広がっていた。

 

「……やはり通路の一部は個性で塞がれているようだな……ミリオ!」

 

「わかってるんだよね!サー!」

 

通形先輩がナイトアイさんの指示で、本来は通路が続いていそうな所にある怪しい壁を調べる。

 

透過の個性で壁に潜り、壁の後ろがどうなっているか確認し、

 

「サーの言った通りなんだよね!!この壁の裏には普通の通路が続いているんだよね!!」

 

通形先輩の言葉に、ナイトアイさんは、

 

「よし!!ならば行けミリオ!!」

 

「了解!サー!」

 

通形先輩が個性を使い、壁を通り抜け先行する。

そして、

 

「……追えるか?スパイラル?」

 

ナイトアイさんは俺を見てそう聞いてくる。

が、

 

「追います」

 

追えるかどうか?じゃないだろう?

 

俺の言葉に、ナイトアイさんはふっ……と笑い、

 

「ならば追え!スパイラル!!ミリオをフォローしてみせろ!!」

 

「はい!」

 

そうだ!貴方は指揮官だ!!

するなら確認ではなく命令でいいんだ!!

 

俺は胸元のコアドリルを外し、腰のベルトにつけたオプションパーツをそれに取り付ける。

 

壁や地面を掘り、前に突き進む為のドリルのオプションパーツ!!

 

俺は前方の壁に駆け出しながら叫ぶ!!

 

「ギガァドリルゥブレェェイクゥ!!!!」

 

両足で竜巻を起こし前方に飛翔!!

ドリルを持った手を前に突き出し、ドリルごと超回転!!!

そして壁に正面から突っ込む!!

 

「おおおおおおお!!!!!」

 

俺のドリルは前方の壁を突き破り後方の通路へ抜けた!!

その勢いそのまま身体ごと後方の通路に抜ける!

 

良し!これくらいの壁なら問題ない!!

当然、壁をドリルで貫くから通形先輩より時間はかかるが、追いかけることは出来そうだった!!

 

俺が壁を抜けた事を見届け、後方からナイトアイさんの声、

 

「グラントリノ!爆豪!2人も先行しミリオとスパイラルを追え!!我々は残りのメンバーで確実に進む!」

「おうよ!」「わかった!そっちも気をつけろよ!」

 

その声を聞きながら……

 

「そこかよ!!」

 

「!!!!!」

 

前方の天井の壁。

怪しい殺気を感じた壁に突きを叩き込む!!!

 

「……逃げられた、か」

 

手応えがなかった。

 

「仕損じたな小僧?」

 

これは追いついて来たグラントリノさん。

 

「はい……壁の中に潜り込んで逃げられました。ただ一時的にでも一部とはいえ壁の外に出たという事は、やはりナイトアイさんの予知の通り、こちらを目視しないと直接的な個性での妨害は出来ないようですね」

 

「とはいえ一度壁の中に完全に隠れちまうと、こっちもヤツを見つける事は出来ねえってか!ケッ!時間が無いってのにタチの悪いかくれんぼだぜ!!」

 

3人で軽く、壁の中に潜り込み通路を操作し妨害するという個性持ちについて話す。

 

「……よし!ドリルの小僧はさっきの通り先行!壁があればドリルで突き抜けてドンドン前に進め!!爆破の小僧はそのドリルで空いた穴を爆破で拡張し通り抜けろ!俺は全体を警戒しつつ前に進む!厄介な個性持ちを見つけたら見つけたヤツがしかけろ!それぞれフォローの意識も忘れんな!!」

 

「了解!」「おうよ!」

 

指示が的確なのでトンガリも特に反論せず、大人しく指示に従う様子。

 

俺は再び前に向けて駆け出す!!

そしてまた見つけた壁にドリルで突撃!!

先ほどの様に壁を貫通し身体ごと壁の後ろに通り抜けた!

 

「オラァ!!」

 

その穴をトンガリが個性で拡張!!

少し大きくなった穴を繊細な個性のコントロールで飛んでくぐり抜ける!

それを続いてくぐるグラントリノ!

 

「……薬で個性ブーストしてんだってなあ!!興奮してんのか!!殺気がダダ漏れだぜ!!」

 

感じた殺気!

少し右側前面の横壁から感じた殺気の元に俺は突撃する!!

 

「オラァ!!!」

「!!!!!」

 

チッ!!また潜って逃げられた!!!

 

「テメエでも仕留めらんねぇのかよ!!厄介だな!!」

追いついてたトンガリ。

 

「かまわん!!構わず前に進め!!俺達がヤツを引きつければ!!それだけでも後方の仲間は妨害無く前に進める!!俺達がやってる事に何一つ間違いはねえ!!俺達3人だけを足止めするか!!それとも後方の大勢の連中を足止めするか!!やがて奴は選択を迫られる!!それまで俺達は最速で前に進むだけの事よ!!」

 

その言葉に俺とトンガリは顔を見合わせ頷く!!

 

「先行します!!」

 

「タラタラしてっと追い抜くぞボケドリル!!さっさと行けや!!」

 

駆け出す俺とトンガリを後ろから頼もしそうに眺めながらグラントリノさんが、

 

「はっ!頼りがいある若ぇの2人を先行させて悪党退治たぁ洒落た気分になってくるぜ!!まるで水戸黄門で主役張ってる気分にならぁな!!」

 

「ふざけろボケジジィ!!テメエみたいな物騒な水戸の御老公がいてたまるかよ!!」

 

「はっはっは!!少しは敬老精神持てよ小僧っ子!!」

 

「敬老精神持って欲しけりゃこれからもそれなりの姿見せやがれジジィ!!」

 

……なんかこの2人相性良くね?

 

そんな事を考えながら前方の壁をドリルするーーーーー。

なんか俺だけ頑張りますしてる気がががががが!!

ゴリゴリ壁を砕きながらそんな事を考えてしまう。

 

連続する前方を塞ぐ壁を貫き続けながら、壁から漏れる殺気にも警戒しながら前へ前へと進む!!

 

……不味いな。思ったより時間がかかっている!

そこそこ壁は厚い。

 

透過で通過する通形先輩。

 

物理的に壁を砕く俺達。

そして壁からの殺気にも警戒!!

 

これらの作業が先行する通形先輩との距離を開きつつあるのを感じていた。

 

グラントリノさん曰く。

多分、壁の奴はそのうち俺達3人を足止めするのではなく、後方のより数の多いヒーロー・警察の集団の足止めに行くだろう、と。

 

 

これは根比べなのだ、と。

死穢八斎會の構成員は若頭である治崎への、治崎の力への信頼が異常に高い。

故にそんな風になるだろう、と。

 

多少の人数を通しても、治崎であれば、その多少を殺して終わりだろう、と。

 

 

……そういう信頼がヤツらにはあるのだ、と。

 

先に1人だけ先行させ、その後時間差で3人を通す。

 

……それだけで、それだけでも十分だと奴らは考えているのだ、と。

 

やがてグラントリノさんの読み通り。

壁からの殺気は完全に消え、俺達はただただ壁を破壊し前に前にと進むフェーズとなった。

 

 

……壁に潜り込み妨害する奴は、恐らく後方の俺達の仲間へと対応する事に決めたのだろう。

 

だから!だから俺達はドンドン前に前にと進む!!

 

やがて通路で倒れている2人の死穢八斎會メンバーを見つけ、ソイツ等を通り過ぎ!!

 

「……いたぞ!!小僧共!!!!」

 

そこは恐らく!!個性で拡張された地下の空間!!!

 

そこでは通形先輩が1人の女の子……おそらくエリちゃんを守りつつ、死穢八斎會の2人と1人で戦っていた!!

 

「!!回原くん!爆豪くん!グラントリノさん!!」

 

「よく耐えたぞ小僧!!」

 

「……ちっ!」

 

死穢八斎會の2人を飛び蹴りで牽制し、グラントリノさんが通形先輩と敵の2人の間に降り立った。

 

「はっはー!!どうやらミサの開始時刻には間に合ったみてぇだなぁ!!!」

 

「ミサって!!ミサってテッメェ!!せめてそこはダンスパーティの開始時刻とかにしとけやボケトンガリ!!こんな物騒なミサがあってたまるかボケ!!!」

 

そのグラントリノさんの両脇をフォローするように、言い合いながら俺とトンガリが降り立つ。

 

「ふん……足止め連中も使えないな……結局ご団体様のお越しとはな」

 

殺す敵が増えた。ただそれだけの事のように、若頭の治崎がそう言う。

ただ自分が多少疲れるだけで、結局結果は何も変わらない、と。

そんな、つまらなそうな声で。

 

「へん!でけえ口叩くじゃねえか三下の若頭さんよぉ!!」

 

「……何ぃ?」

 

グラントリノさんの挑発的な言葉に、治崎が反応する。

 

「テメエの親父……現組長はそら立派な漢だった……あの地獄のような超常黎明期……あの過酷な日々で、侠客としてのあり方を貫いた立派な大人物よ!!そら世間的には褒められたばかりの事はしちゃいねえが!!それでも弱きを助け強きを挫く!!立派な侠客だったんだぜぇ!!」

 

「……アンタ……親父を知ってるのかよ?」

 

「直接の面識はねえよ!!だがなあ!!だがなあ!!同じあの地獄の時代を生きて!!その中で自分の生き方を貫いた侠客として!!俺はテメエの親父さんを尊敬してたんだ!!その息子がこんな外道って知って失望する程度にはなあ!!!」

 

「……このクソジジィがぁ………」

 

褒めといてから極限まで落とす。 

お手本のような挑発をグラントリノさんが行っていた。

 

「あの侠客に共感を抱いたジジィの仕事だなあこれは……テメエをぶちのめして組長との器の違いを教えてやるってのはよぉ……」

 

「……やってみろ時代に取り残された老いぼれ……ヤクザが今のこの個性社会で復権するための手段を模索する俺と貴様では考え方のレベルが違う……思い知らせてやるさ」

 

「時代が変わろうがなんだろうが、人が人である以上、踏み越えちゃならねえ一線てのがあるだろうが!下衆外道畜生道に堕ちたテメエにはわからねえかもしれねえがなぁ!!!」

 

「……ジジィ!!!」

 

丁々発止のやり取り。

グラントリノさんと治崎のやり取りは、やがて臨界点へと向けてどんどんとエスカレートしていく!!

 

ドンドンと高まる闘気と殺意。

 

今にも……今すぐにも始まりそうな戦い。

その気配にこちらの4人と……死穢八斎會の2人がそれぞれ構える。

 

「チッ……水戸黄門気取るなら印籠出して跪かせろやクソジジィが……」

 

その、一見この場の闘争を止めようとするような言葉ながらも、逆に闘争への期待に満ち溢れた言葉を聞き、グラントリノさんは呵々大笑。

 

「は!すまねえな小僧!!最近歳の所為か物忘れが酷くてよぉ!!印籠は家に忘れてきちまったぜ!!」

 

その実に……実に実に楽しそうな声を聞き俺は、

 

「へえ……じゃあ、例のあのお決まりのやり取りのアレは出来ないですねぇ……どうしましょうか?」

 

と、獰猛な笑みを浮かべて聞く。

 

それに、俺以上に獰猛な笑み……流石、超常黎明期から戦い抜いてきた古強者!!俺以上に獰猛な笑みを浮かべ、グラントリノさんは!!

 

「なぁに!!印籠なんぞ有っても無くともやる事はなんも何一つ変わらんだろうが小僧!!結局あの話も印籠見せても最後は喧嘩で終わるんだぜえ!!!」

 

そこで「にぃっ!!」とグラントリノさんは更に更に笑い!!

 

「さぁて!!火事と喧嘩は江戸の華ってなあ!!スケさんカクさん!!ついでにハチベエ!!やってしまいなさい!!」

 

「やっぱ水戸の御隠居にしては血の気が多過ぎだぜクソジジィがぁ!!!!!」

 

「後ろに控えず最前線に出たがる辺り特になぁ!!!」

 

 

そして!

死穢八斎會・若頭!治崎廻との決戦が始まった!!

 

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