蹴り飛ばした黒い脳無。
アスファルトの地面を全力で踏み込み追撃をかける!!
地面があるのが本当にありがたい!!
「おかげでテメエを思いっきりぶっ飛ばせるぜ!!」
黒い脳無はその体の一部を槍の様に伸ばし俺の身体を貫こうと攻撃してくる!!
が!!
その全ての攻撃を掻い潜ってヤツの懐に飛び込む!!
「オオオオラァァァァ!!!!」
頭への攻撃をボロボロの腕で防ぐ黒い脳無!!
俺の突きと蹴りがヤツの腕を吹っ飛ばし、
「シャァァァァ!!!!」
ガードの空いた頭部に渾身の飛び膝蹴りをブチかまそうとし……
「うぉっ!!」
……ブチかまそうとした瞬間!!奴は首だけを上空に伸ばし直撃を避けた!!
結果、ヤツの伸びた首の一部に俺の膝蹴りが炸裂!!グニャグニャしてる首に上手く衝撃を逃された!!
「グッ……ギィッ……」
「チィッ!!空に逃げやがったか!!」
伸びた首を追いかけるようにして、黒い脳無の身体が空を飛ぶ。
やはりコイツ頭が良い!!ちゃんと状況を見て行動を考えている!!
今の一瞬のやり取りで地上戦での不利を悟ったのだろう。
奴は宙に浮かび、決してこちらに近づいて来ようとはしなかった。
「……はっ!!追いかけてこいよってか!上等!!」
両足の竜巻を全開!!
俺は空を飛びヤツを追撃!!
先ほどのように身体を槍の様に伸ばし攻撃してくる黒い脳無。
俺はそれを躱し、躱し難いと判断したものは化勁で受け流す。
クソ!!やはり地上と比べ上手く敵の攻撃を掻い潜って近づけない!!
足元に地面があるのが基本的な武術の前提。
訓練は続けているが、まだ空中では地上と同等の動きが再現出来ないのだ!!
牽制する黒い脳無。
それを掻い潜って近づこうとする俺。
俺達は空中で近づきまた離れ、時に俺の攻撃がヤツを捕らえ、それが決定打にならずヤツが再生するという交差を何度も何度も空中で繰り返した。
チクショウ!!
心中にあるのは、焦り。
(……決定打が、遠い!!)
ヤツが俺に対して油断や侮る気持ちがあれば別だが、最大級に警戒し俺を近づけないようにしているヤツを仕留めきる技が今の俺には無かった!!
体調に関しては過去一と言っていいくらい絶好調なのに、だ。
今も身体の奥底から力が無限に溢れ出すような、そんな不思議な感覚があった。
(……これがひょっとして動の気の感覚なのか?)
以前、長老から注意された事を思い出す。
俺はギガドリルブレイク中、気の性質が動の気に変化していると。
俺は本質的には静の気の人間なのだが……どうも後天的に成長の過程で動の気の素養が身についたレアケースらしい、と。
先ほどヤツがエンデヴァーさんを踏みつける光景を見てプッツンした事により、一気に怒りが限界を超え何らかの壁を超えてしまったんだろうか?
そんな、不思議な感覚。
「だが!!今は好都合だ!!テメエをブチのめすまではこのまま行ってやるぜ!!」
再び、気を解放する!
要領はギガドリルブレイクの時の感覚でなんとなく掴んでいる!!
「オオオオラァァァァ!!!!」
俺は吠え、再度ヤツに仕掛ける。
黒い脳無がまた槍の様に身体を伸ばし俺を貫こうとする。
俺はそれに頭から突っ込む!!
正面から来る細い槍状の攻撃に対し、最小限の動きで躱せるように正対する身体の面積を小さくする!!
ヤツの攻撃がいくつか俺を掠める……が、それと引き換えに!!
「喰らいやがれ!!!」
ヤツを俺の間合いに捉える!!
俺の放った渾身の突きがヤツの両手のガードを砕く!!
「まだまだぁ!!」
密着するような至近の間合い。
俺はヤツの頭をしっかりと両手で掴み、思いっきり膝蹴りを頭にぶち込んでやろうとした!!
それを砕かれた両手でガードする黒い脳無!!
ガードごと頭蓋骨を粉砕してやる!!という俺!!
さっきみたいには逃さねえぞ!!
俺の膝蹴りはヤツの腕を粉々に粉砕し……しかし、
「クソ!!浅いか!!」
それでも、黒い脳無を仕留めきれなかった!!
火力が……火力が、欲しい!!
ヤツを一撃で消滅させられるような、そんなとてつもない火力が!!
悔しくて思わず歯ぎしりしてしまう。
そんな俺の背後から……
「不様を゙晒した……手間をかけさせたな、スパイラル」
圧倒的な熱量と共に、あの頼れるヒーローがやって来た!!
「エンデヴァーさん!!」
良かった!!かなり酷い負傷だと思ってたけど無事だったのか!!
「地上に落ちた白い脳無も全て撃破した!!後はあの黒い脳無だけだ!!」
「ホークスさん!!」
そして更にホークスさんも駆けつけてくれた!!
「俺がヤツを仕留める!俺の最大火力で一片の欠片も残さずヤツを焼き尽くす!!」
エンデヴァーさんのその力強い言葉。
負傷は酷いが闘志は全く衰えておらず、逆に内なる炎がその闘志を更に強く燃え上がらせているようだった。
「ホークス!スパイラル!貴様ら2人でヤツに仕掛けて隙を作れ!!そうすれば俺が確実に仕留めてみせる!!」
No.1ヒーローの、その力強い言葉。
「はい!!」
「了解!!良い所譲るんだからしっかり仕留めてくださいよエンデヴァーさん!!」
その言葉に従い、俺とホークスさんが前に飛び出した。
sideホークス
(しっかしあれだね!!最前線を任せる仲間として頼りがいがあり過ぎるなこの子は!!)
今も俺の前を飛翔するスパイラルの、その背中を見ながら思う。
俺ほどでは無いが、自由自在に空を翔けるその優れた機動力。
本人的にはまだまだ不満なのだろうが、空でも衰えぬ高い攻撃力。
高層ビルの襲撃からここまで、全力で動き続けている驚異的なスタミナ。
……そして、極悪な修行の日々で身につけた圧倒的な回避・防御力。
高校1年でこの完成度の高さ!!
正直、やり過ぎじゃないのか梁山泊?と思ってしまう。
(それくらい凄まじい!!仮にもNo.1とNo.2がいる戦場に違和感無く参戦出来る程に!!)
特に回避と防御がずば抜けて上手い。
あの化勁?とかいう技術で当たりそうな攻撃も上手く捌いている。凄まじい技量の高さだ。
彼の存在もあり、この3人のチームはかなりバランスの取れたチームとなっていた。
一撃必殺の超火力を持つエンデヴァーさん。
超スピード、広範囲をカバー出来る俺。
高い防御力と機動力を合わせ持つスパイラル。
最前線を進むスパイラルとそれを援護する俺。
そして一撃必殺の機を伺うエンデヴァーさん。
……いいチームだ。
マジでいいチームだと思う。
(……この後、これからどんな強敵と戦う事になったとしても……この3人が揃えば絶対に負けない。絶対に勝てる……かもしれないな)
……なんて、俺がそう思ってしまう程に。
そしてスパイラルの後ろ回し蹴りが黒い脳無を捉えた!!
ガードの上からでもヴィランを吹き飛ばす凄まじい破壊力の蹴り!!
仰け反った黒い脳無。
「ウオオオオオォォォ!!!」
その隙を、この人は決して見逃さない!!
後方から瞬時に最大速度まで加速したエンデヴァーさんが黒い脳無に取り付く!!
そしてその勢いのまま空高く駆け上がっていく!!
「ホーーークスゥ!!!!!!!」
エンデヴァーさんが俺に向けて叫ぶ!!
「ハイハイ!!任せてくださいよ!っと!!」
その背中に。
その背中を支えるように、支えながら前に押し出すように俺は自分の羽をエンデヴァーさんの背中に集中させた!!
「オオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!」
更に更に加速し!
更に更に空高くへとエンデヴァーさんが飛んでいく!!
誰も!!周囲の人も巻き込む事無く、全力で自分の炎を解き放つ事の出来る高所まで!!!
……ふと、微かにPLUS ULTRAと……そう聞こえた気がした。
(ひょっとしてエンデヴァーさんが叫んだのかな?)
もしかしたらそうかもしれない。
きっと、あの人でもそういう気分になる時もあるのだろう。
そして、誰も巻き込まれることの無い高い高い空。
そこに、炎が咲いた。
圧倒的なまでの炎の爆発。
黒い脳無を間違いなく欠片も残さず全て焼き尽くしたと、そう確信させるだけの強く強い圧倒的な炎が。
花と言うにはあまりにも無骨で、とてつもなく物騒な炎が。
しかし、皆が新たなる平和の象徴としてついていくに相応しいと感じるような、そんな力強く頼り甲斐のある炎が、空に咲いた。
……そうして、俺とスパイラルは先に地上に降りた。
新たなる平和の象徴を……今、その力を皆に見せたNo.1ヒーローを迎える為に。
エンデヴァーさんが、降りてくる。
俺達が……皆が待っている地上に。
本来、長時間炎を使えないのに、限界を超えて自分を酷使した筈の……立っているのも辛い筈のそのヒーローは、今、力強く大地に立つと、
「ああ……俺は、多分、ずっとこの光景が見たかったんだ……」
……拳を高く天に突き上げた、力強い勝利のスタンディング。
次代の平和の象徴。
エンデヴァーさんの力強い勝利のスタンディング。
平和の象徴は、今ここに。
皆が待ち望んだ次の平和の象徴が、今ここに降り立った。
……なのに、今、なんでこんな事になっているのだろう。
呆然としているスパイラル。
呆然としているエンデヴァーさん。
周囲の人々の、ざわめき……
……なんで、なんで……こんな事になってしまったんだ……
……きっかけは突然の青い炎の襲来。
ヴィラン連合の荼毘だ。
突然こちらを襲撃してきた荼毘は俺達を威嚇するように青い炎を放ってきた。
……そして敵前にも関わらず悠長にも御高説を垂れているもんだから、気配を消して視覚外から接近したスパイラルに思いっきり顔面をぶん殴られて吹っ飛んだ。
いやこの子本当優秀だわ……
ヤツの注意が俺とエンデヴァーさん……特にエンデヴァーさんに集中していたから上手く自分の気配を隠し奇襲したんだろうけど、それでも並外れた手腕である。
地面に倒れた荼毘。
それをスパイラルが拘束した。
ここまでは、良かった……
「妙な真似すんなよ。したらソッコーで落とすかんな」
そう言ったスパイラルを睨みつけ……
「……あは♡」
……何故か、何故か、荼毘は不気味に笑った。
「助けて……お父さん……」
「ああ?」
……突然の荼毘の泣き言。
正直、俺達全員「突然何言ってんのコイツ?」って感じだった。
だが………
「助けて……助けてよお父さん!!エンデヴァーお父さん!!轟炎司お父さん!!僕だよ!!」
「……は?」
コイツ……何を、言って……
「燈矢だよ!!」
「………………………………………………………あ」
………そうして、何もかもを破壊するような爆弾が、落ちた。
「
「………………………………………………………あ」
「生きてたんだよ!!生きて!!生きてお父さんに会いに来たんだよ!!助けて!!助けてよエンデヴァーお父さん!!炎司お父さん!!」
「……もういい、口閉じろ、後は……後で聞く」
これ以上は不味い……そう、判断したスパイラルの声……
しかし……
「助けて!助けてよお父さん!エンデヴァーお父さん!!あの時瀬古杜岳には来てくれなかったけど!!けど!!今は!!今は助けてよお父さん!!!炎司お父さん!!」
……遅かった……
ゴォォォッ!!!
……エンデヴァーさんが、炎を、放った……
「んなっ!」
放って……しまった……
……スパイラルに、向けて……
炎を避ける為に大きく飛び退くスパイラル。
……無理もないよ。
責められないよ。
……当然の、事だ。
結果的に、荼毘は解放されるけど。
「あは!!あははははは!!!あーーーっはっはっは!!!ありがとー!!ありがとうねお父さん!!エンデヴァーお父さん!!炎司お父さん!!本当に!!本当にありがとう!!俺を!!燈矢を助けてくれてありがとう!!お父さん!!お父さん!!」
結果的に、荼毘は逃げるけど。
口からこぼれ落ちた泥に包まれ、荼毘が消える。
……どこかに、消えてしまう。居なくなって、しまう……
「………………………………………………あ」
自分が今、何をしたのか……
何をしてしまったのか……
全く理解せず、行動だけしてしまったエンデヴァーさん……
「……あ」
その、エンデヴァーさんが……
「…あ」
……エンデヴァーさんの理解が、
「あ、あ、あ…………あああああああああああああああああ!!!あああ嗚呼!!あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
……その理解が、現実に、追いついた。
……同時、俺の、回想も現実に追いつく。
絶望するエンデヴァーさん。
決定的なミスをしてしまったと、絶望するスパイラル。
……そして、何も出来なかった……俺。
今日、この日。
この場で。
……次代の平和の象徴は生まれ。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」
慟哭するエンデヴァーさん。
……そして、堕ちた。
ここで唐突に作者の好きな性癖発表ドラゴン!!
二次創作でオリ主がめっちゃ頑張り、結果的に原作よりも事態が悪化する!!