回原のドリルは天を貫く   作:のりしー

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VS A組1

side相澤

 

「ふざけんなぁ!!!こんなん納得出来っかボケェ!!やり直しだ!!やり直しだゴラァ!!……ゴホッ!ゴホッ!!」

 

(……まあやはりこうなるか)

 

ヒーロー科1年、A組対B組の対戦。

20対20の戦い……2回行う予定の1戦目は、教師達の予想通り呆気なくB組の勝利で終わった。

 

B組所属小森希乃子。

その必殺技・肺攻めスエヒロダケ

 

対象の敵の気管にスエヒロタケを生やし呼吸困難に陥れる極悪技である。

 

 

開幕早々回原の竜巻にのせて胞子をA組方向にばら撒き、後は呼吸困難になり弱ったA組を順番に確保するだけという、何ともあっさりとした幕引きとなってしまった。

 

あまりにもあんまりなこの結果に案の定爆豪は激怒。

爆豪ほどでは無いが、他のA組連中も納得は難しい……そんな不満気な表情を隠さなかった。

 

「まあお前らも今の対戦に納得行かない点はあるだろうが……今回のこれは、まあやればこうなるだろう、と俺達教師が判断した上でわざとやった事でもある」

 

「どういう事でしょうか相澤先生!?」

「理由聞かせろやゴラァ!」

 

クラス委員長として代表し質問する飯田、納得いかなければ今の対戦は無しだ!という不満を隠さない爆豪。

 

その二人を……そしてA組全員の顔をしっかりと見回し。

 

「最初に言った筈だ。これは実戦を想定した訓練だと」

 

「だったら何だってんだ!!」

 

「わからないのか爆豪?……これが本当にヴィランとの実戦だったなら……お前、今ので死んでるぞ」

 

「………グ!!」

 

「「「「「あ!!!!!!!!」」」」」

 

「……他の連中も気づいたようだな。あえて最初に実戦を想定、と強調したのはその為だ。小森の必殺技は初見殺しの要素もあるが……それでも初見殺しを喰らって死んでたらどうしようもない」

 

「B組連中もしっかりと聞いて考えるように。たまたま今回は小森がB組に所属していたからA組が被害を受けただけだ。クラス分けによってはお前たちが今のA組の立場となっていてもおかしくないんだからな」

 

「とかく初見殺しという言葉は最近軽く使われがちではあるが……実戦では極めて有効であり、そして場合によってはその初回でお前達の命が失われる可能性は十分ある」

 

「今、世間ではヴィランの活動が活発化しどんどん治安が悪化していっている……名も知られず凶悪な初見殺しの個性を持つヴィランも出てくるかもしれない。その為、今日ここで皆の気を改めて引き締め直す為にこういう場を設けた」

 

「……ちなみに、もしもさっきの戦いでA組の連中に合格点をつけるとしたら、最悪の状況を察して一旦撤退の判断をした場合のみ合格点をつけるだろうな俺は。ヴィランとの戦いではいざとなったら退却も視野に入れろ……まだ学生であるお前達が全てを背負う必要は無いんだからな」

 

逃げても良いんだよお前達は。

お前達はまだ子供……学生なんだから。

 

そんな俺達教師の言葉を聞き、しっかりと考えている生徒達。

 

エンデヴァーがNo.1ヒーローの座を追われ活動を制限されつつあるこの時期、街の治安は確実に悪化していた。

 

今後インターンなどで実戦を経験するかもしれない生徒達には、厳しくともやっておいた方がいいと職員会議で決定となったのだ。

 

「……さて、これでお説教は終わりだな。もう文句はないだろうな、爆豪?」

 

「……おうよ」

 

舌打ちしつつも、爆豪はしっかりと頷く。戦闘に関しては頭のいい奴だ。今回の事もしっかりと反省し次に活かすだろう。

 

「……さて、それもあって今回のA組対B組の戦闘訓練はあらかじめ2回戦うという事にしてある」

 

「「「「……あ!!」」」」

 

俺の言葉に生徒達が気づいた。

 

そう、1回目はあっさり終わる事で織り込み済み。

 

つまり……

 

「……次の2回目が本番だ。気を引き締めてしっかりやれよお前達」

 

「「「「はい!!!」」」」

 

「ルールは先程説明した通り。先に相手のクラスの生徒の半数……10人を捕まえて牢屋(激カワ据置プリズン)の中に入れた方が勝ちだ」

 

「先程は心操はB組だったから次はA組だな。A組は心操含め10人が確保された時点で負けとなる」

 

「……じゃあ、世話になった……というかあっさり終わり過ぎて何も貢献出来てないような気がするんだけど……とりあえず世話になったなB組の皆」

 

 

ブラドの言葉に心操が先程までいたB組からA組に移動する。

 

「小森の個性の影響が抜けるまでもう少しかかるか……休憩後に始めるぞ。準備や作戦会議はそれまでに済ませておくように」

 

そしてしばらくの休憩の後、A組とB組はそれぞれのスタート地点へ移動。

 

A組とB組の戦いが、始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう……A組は3つのチームに別れたか」

俺とブラドがモニターで観戦する中、A組は前・中・後の3つのチームにメンバーを分けて進んでいた。

後ろのチームが一番前のチームを確認出来るくらいの距離感。

 

「前のチームには爆豪と緑谷……飯田と尾白、後索敵要員で障子か。回原対策に機動力と格闘能力の高いメンバーを固めて来たな」

 

中のチームは轟を中心に蛙吹、瀬呂といった様々な状況への判断力・対応力の高いチーム。

 

後は八百万を中心とした遠距離攻撃・指揮・サポートのチーム。

 

「チームを3つに分けたのは先程の小森の件を反省してかもしれんな。一塊になっていなければ例え前のチームがやられても後に続くチームで助ける事が出来る」

 

「先程の反省材料を活かしているという事か……まあ悪くない判断だが……」

 

「……言いたい事はわかるよブラド……」

 

「ああ……だとしても、攻め手が素直過ぎる」

俺達2人の懸念の声が届く理由もなく、ついにA組とB組の先鋒がお互いの姿を視界に捉えた。

 

 

『居たぞ!!ドリル野郎だ!!』

 

『後ろに拳藤さんや鉄哲くんに骨抜くんもいるよ!!』

 

『骨抜くんの個性で地面を柔らかくしてくるぞ!!気をつけろ!!』

 

『……!!違え!!上だ!!』

 

『あれはドローン!!小大さんか!!!』

 

 

まず先手を取ったのはB組の小大。

視線を回原のいる地上に集め、上空から「ぽいっぽいっ」と小石の雨を降らせた。

 

……当然、その小石は落下中にどんどん大きくなる。

 

『『『『うぉぉぉぉぉ!!!!』』』』

 

前進を止めて空から降ってくる、今や大岩になった小石に対応するA組達。岩を躱し、時に砕き!!

 

『骨抜!!』

 

『了解!!』

 

そこに今度は骨抜の個性による攻撃!!

大岩に対応するA組連中の足元が骨抜の個性で柔化する!!

 

『は!!これくらいで仕留められると思うなよ!!』

 

『骨抜くんの個性は把握済みだ!!』

 

空を飛べる爆豪。

跳躍力に優れた緑谷。

尻尾による変則的な移動が出来る尾白やそもそもスピードに優れた飯田がその攻撃から逃れる。

障子は少し厳しいか?

 

『援護に入る!!俺の氷で地面を凍らせて足場を作る!!』

 

『させないよ!!吹出!!』

 

拳藤の指示で隠れていた吹出が個性を使用。

A組の前と中・後のチームを分断する擬音語の巨大な壁が出現する。

 

いずれ攻略されるだろうが、時間稼ぎには十分だ。

……そう、時間稼ぎには……

 

『は!!俺達を分断して各個撃破ってか!!テメエにしては随分と大人しいしお利口さんじゃねえかドリル野郎!!』

 

『………』

 

爆豪の挑発に何も反応……反論しない回原。

 

そのおかしさに……異常に、爆豪が気づく……

 

『テメエ……ひょっとして、ドリルじゃ、ねえのか……?』

 

『……ふ、ふふふ……はーっ!はっはっはっはっ!!!』

 

回原の顔をして回原と同じ服装をした少年が……まるで別人のように、全くの別人の声で笑った!!

 

『この笑い声!!ひょっとして物間くん!?』

 

緑谷の問いかけに回原……いや、回原の顔をした物間はすっ…と顔を人無でして。

 

『《個性・変装》……僕のファンクラブの会員からコピーさせてもらった個性さ。変えられるのは顔だけで、体型とか服装は変わらないんだけどね……まあそれならそれで僕と同じくらいの身長の奴にヒーローコスチュームごと顔を借りればいいだけだからね。単純馬鹿の多い君たちA組には効果覿面だっただろう?』

 

回原のヒーローコスチュームを着た、物間が……本来の顔に戻った物間がそう挑発する。

 

『あんだとテメエ!!』

 

『事実だろう?回原なら多分気づいてたよ。アイツ人の重心の偏りとか歩く時の体重移動の変化とかの細かな違いからそいつが本物か偽物か気づくからね普通に』

 

『俺も武道家だけど!!アイツ明らかに武術の習熟度おかしくないか!!!』

 

叫ぶ尾白。教師としての感想だがそれには全面的に同意する。

 

……が、しかし…

 

「今、重要なのはそこではないんだがな」

 

回原が、いない。

いないのだ。

 

少なくとも、回原対策チームであるA組の『前チーム』の視界内には。

 

「……A組は少し遅かったな。おそらく物間の策の通りなのだろうが……」

 

「ああ……前と中・後のチーム間の視界が吹出の個性で遮られた状態で、回原をフリーにするのはマズ過ぎる」

 

「ヴィラン連合のトガヒミコ以上の隠行術を身につけたミルコをフリーにしたようなものだからな」

 

「……当然、そのツケを払う事になる」

 

 

『ヤオモモ!!口田!!ああ!佐藤に青山も!!』

 

ドサ……ドサ、ドサ……

 

回原が……ヒーローコスチュームではなく雄英高校の運動着を身にまとった回原が、今A組の後チームを単独で襲撃していた。

 

 

「B組はいい作戦だったな。これは物間の策か。偽物の回原で皆の注目を集め、小大の落石攻撃……これは攻撃の派手さ以外にもその上空からの落石による衝突音……それによるA組索敵担当の索敵を鈍らせる意図があったんだろうな」

 

「その隙に回原は悠々とA組の後チームの所まで移動。最初からA組指揮官の八百万を狙っていた動きだなこれは。即興にしては良く考えられている」

 

「初期の衝突で指揮官を落とされたA組とB組の対決か……A組はかなり苦しいな」

 

 

 

 

 

 

『「偽りをいうくちびるは主に憎まれ、真実を行う者は彼に喜ばれる」……へっ、こんな小細工に付き合うたぁ、テメエも随分と丸くなったもんだなツル女!!』

 

『旧約聖書の箴言からですか……全く……不満はありましたが、今後ヴィランが卑怯な策を弄して来た時への、A組B組双方の対応力アップの為、とまで言われれば反対する訳にも行きませんからね』

 

 

 

A組の指揮官である八百万を落としたB組。

 

作戦の為とはいえ、回原対策の強力なチームをB組指揮官である拳藤の前まで進ませたB組。

 

 

状況挽回の為にB組指揮官を狙いに行く爆豪筆頭のA組前チーム。

 

その攻撃をしのぎつつ、回原合流&先程の回原の倒したA組後チームの確保を行うB組。

 

『さて、君たちA組を拳藤に近づけ過ぎたし、一度僕たちは後退しようかな?』

 

『ああん!!させると思ってんのかよモノマネ野郎!!』

 

『思うさ。やりようはいくらでもあるしね』

 

そう言うと物間は……腰のポーチからおそらくあれは血……血の入った容器を取り出し、

 

『……ウチの師匠も厳しくてね……「なんで直接タッチしなけりゃ個性をコピー出来ねえんだ!!ヴィラン連合のトガヒミコですら血を飲めば姿をコピー出来るのによぉ!!」って言われてしまったのでね……』

 

あれは何だ………?ワンプッシュ事に、僅かに血が出ている?

 

『トガヒミコが血を飲んで他人の姿をコピー出来るんだったら、お前が人の血に触れて個性をコピー出来なきゃ僕の怠慢って事らしい……血にも個人の因子が含まれてる証拠だろう!!ってね!!全く、理屈は分かるけどトンデモナイ師匠につくことになってしまったね僕はさ……まぁ、血に触れただけで5分個性をコピーしろとは言われなかったのは温情かもしれないけどね』

 

『ああん!!!』

 

『……わからないかな?つまりはこういうことさ!!』

 

個性・爆破!!

ヒーロー科1年!!最強クラスの個性!!

 

自分の個性による攻撃を受けて爆豪が後退する!!

 

『さあて!!言っただろうA組!!今日こそシロクロつけようかぁ!!!!』

 

 

そして、それを見て吠える物間!!

 

対し、獰猛な笑みを浮かべる爆豪!!

 

 

……ここから、更に戦いは加速していく!!




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