回原のドリルは天を貫く   作:のりしー

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VS A組2

side相澤

 

「さて……ここから双方どう動くか、だが……」

 

見るとB組の角取が自分の角に乗り回原の所に。

回原が気絶させたA組メンバーを回収する為に、あらかじめ近くまで来ていたのだろう。

 

「八百万、口田、青山を角取の個性で運び、砂藤を回原が抱えて運ぶか……だが、そう上手くいくかな?」

 

A組の中チームから轟が動く!!

空を飛びB組陣地へと戻ろうとしている2人を抑えるため、個性を発動させようとし、

 

そこで!

 

「「上手い!!」」

 

『ぐおっ!回原テメエ!!』

 

回原が抱えていた砂藤を轟目がけてぶん投げた!!

氷でも炎でもそのまま放てば砂藤を巻き込むと判断し、急遽個性の使用を轟は中断!!慌てて砂藤を受け止める!!その隙に轟の上空を抜ける回原と角取。

 

「いい判断だな回原は。せっかく確保した砂藤を手放したのは痛いが、それによって轟を一瞬とはいえ完全に封じた」

 

「あそこで轟に個性を使われて足止めされると、流石の回原でも難しい状況になっただろうからな。砂藤の身柄と引き換えに脱出を優先したのはいい判断だ」

 

『ダークシャドウ!!』

 

轟に代わって阻止に動こうとする常闇。しかし、

 

『フッ……貴様の相手はこの俺だ常闇……』

『この声!!B組の黒色か!!!』

 

周囲の陰に隠れひっそりと近づき近くで潜んでいた黒色が常闇のダークシャドウに取り付きその動きを封じた!!

 

その間に悠々と回原、角取がB組陣地へ引き上げていく。

 

「蛙吹と瀬呂が個性の舌とテープを伸ばして止めようとしているが……回原の竜巻で跳ね返されているな。パワー不足か」

 

「先程砂藤を手放して手を空けた判断がここに来て活きているな」

 

「さて……A組陣地はかなり手荒く荒らされた訳だが……果たしてB組の方はどうかな?」

 

 

 

『クソがぁ!!降りて来やがれこのドローン女!!』

 

「上空に陣取った小大が効いているな。あれはサポート科の発目が作ったトリモチガンか?当たるとトリモチのように相手の動きを封じる訳か」

 

「爆豪が空を飛び小大を落とそうとしているが……」

 

『させませんよ駄犬!!』

『『俺達も忘れるなよ!!』』

『爆豪……やはり目を離せないね……』

 

「塩崎、鱗、円場、取蔭がその爆豪を個性を使って攻撃・妨害。緑谷を鉄哲と宍戸で抑え、尾白を庄田で抑えている。飯田は……」

 

『ハーハッハッハッ!!どーだいこの個性は!!個性ツルツル!!僕の周囲の半径数メートル程度をまるでワックスがけされた教室の床みたいにツルツル滑るようにしてしまう!!地面だけでなく周囲の壁や建物もね!!僕一人だと正直使い難い個性だけど、ほら!こうして柳のフォローがあれば君対策としては極めて有効さ!!』

 

『うおおお!!!す!滑る!!滑る!!』

 

物間の個性により周囲の地形がツルツルにされ、自慢の脚が逆に足を引っ張ってしまっている飯田。移動力が高過ぎるのが仇になった。超加速し滑って地面や壁にでもぶつかってしまえば即自滅。地面が滑り過ぎてジャンプもまともに出来ないようだ。

 

物間は柳が操作する足場にしっかりと座って悠々と浮遊……飯田と適切な距離を維持しつつ上手く飯田を抑えている。

 

「真面目な飯田からするとトリッキーな物間は天敵かもしれんな……いいように抑えられている。障子は骨抜に抑えられているか。フォローに峰田も入っているな。B組は指揮官が前線も支えられる拳藤というのが良いな。緑谷・尾白の状態も把握しピンチになったらフォローしつつ指示も出している」

 

 

「そもそもこの場での人数は圧倒的にB組有利だからな。奇襲をした回原とは状況が違う。しっかりと準備・警戒をしていたB組はそう簡単に崩せんぞ」

 

『回原!!ポニー!!』

『よう皆!!喜べ!!大漁だぜ!!』

 

「ここで回原と角取が合流か」

 

『ドリルテメエ!!好き勝手やってくれたなゴラァ!!』

 

『行かせませんよ駄犬!!』

『ん!』

『……チィ!!』

 

『ポニーは捕まえたヤツを牢屋へお願い!!回原!!そのまま迎撃に入って!!』

 

『おうよ!!』

 

『かっちゃん!!マズいよ!!人数に差があり過ぎる!!』

 

『回原くんも戻って来てしまった!!一度後ろに下がり轟くん達と合流しよう!!』

 

『………』

 

『爆豪!!』

 

『……クソが』

 

『おっとぉ!そう簡単に逃がすと思うか?なあトンガリくんよ!』

『せっかく遊びに来てくれたんだ!どうせだからもう少し楽しんでいきなよ爆豪!!』

 

「回原と物間の挑発……良くこらえたな爆豪は」

 

「数的優位なB組としては、この状況でもう1人か2人捕獲しておきたいところだが……」

 

『クソがあ!!またすぐ戻ってくっからな!!覚えてろボケ!!』

 

空を飛べる爆豪、跳躍力に優れた緑谷、尻尾を使える尾白が後退し、残りのA組のメンバーと合流しようとする。

 

しかし……

 

『クソぉ!!凡戸くんの個性かこれは!!無念!!』

ツルツルの地面で滑りまくっていた飯田は、B組の凡戸の個性で固められて拘束されていた。

 

「飯田が捕まったか……脚を上手く使えない状況になった時の対応手段が課題だなアイツは」

 

「障子は柔化した地面を泳いだり怪力を活かして周囲の壁をよじ登ったりして逃げたか。肉体のスペックがかなり高いな」

 

「これでA組は4人が捕まり……B組は誰も捕まっていない状況だ。16対20での第2ラウンド開始だな」

 

とはいえ、A組には対人戦闘に長けた轟、爆豪に……最近成長速度の凄まじい緑谷もいる。4人程度の人数差はなんとでもしそうではあるが……

そういう意味ではA組スリートップに続く実力者である常闇が黒色に抑えられているのは大きい。実質15対19の状況だ。

 

「……また物間か……本当に面白い事を考えるなアイツは……」

 

「……状況に合わせて様々な個性を使い分けるというのは思ってる以上に有効だ。インターン以降驚異的に伸びてるよアイツは」

 

 

一時撤退したA組。

また新たな作戦の準備をするB組。  

 

「……第2ラウンドの開始だな」

 

……そして、吹出の作った擬音語の壁が崩れる!

 

『オラァ!!仕切り直しだB組のボケどもが……あ?』

 

A組の先陣を切った3人……爆豪、轟、緑谷……その3人が、目の前の光景を見て絶句する。 

 

そこには……

 

『……一体どうなってんだこれは……』

 

そこには、異様な光景が広がっていた。

 

『個性・変装……顔を変えるだけのシンプルな個性だけど……変えられるのは自分の顔だけだって言った覚えはないんだよねぇ!!!』

 

『物間くん!!!』

 

A組メンバーの前には、一種異様な光景が広がっていた。  

 

それは、例えば鉄哲のヒーローコスチュームを着た円場。

逆に、円場のヒーローコスチュームを着た鉄哲。

 

泡瀬のヒーローコスチュームを着た回原。鱗のヒーローコスチュームを着た泡瀬。雄英高校の運動着を着た鱗!!

そして回原のコスチュームを着た回原!!まあこれは物間だろうが。

 

顔とヒーローコスチュームの一致しないB組生徒!!

 

そんな異様な光景が広がっていた。

 

「シンプルだが有効だな……個性・変装……面白い個性だ」

 

「鉄哲と考えて普通に接近して円場の個性を食らえば大惨事だし、円場と考えて鉄哲が接近戦を挑んで来たらそれも大惨事だな……前提として相手の顔と個性を知っているからこそだが、実にいやらしい作戦だ」

 

「……ちなみに、大当たりは回原の顔をしていない回原って事だろう?プロでも嫌だなこれは……」

 

まあ、シンプルな撹乱作戦なのだが極めて厄介。

遠距離向きの個性を使われると思ってたら近距離向きの個性。

逆に近距離向きの個性を゙使われると思ってたら遠距離向きの個性。

 

雄英高校のヒーロー科に受かるレベルの連中の、実戦中での個性の勘違いだ。下手すると致命的になる。

 

『うろたえんなぁ!!俺たちが一旦撤退してから!!それほど時間は経ってねえ!!着替えて顔を変える時間はねえよ!!ハッタリだ!!ハッタリに決まってる!!時間的には着替えるのは不可能だ!!顔だけ変えて俺たちを動揺させる作戦だ!!』

 

『でもかっちゃん!!そう思わせておいて!!回原くんだけは顔を変えて誰かに紛れてる可能性はあるよ!!』

 

『……そう俺達に思わせて心理的にプレッシャーを゙かける作戦か……よく考えられてるな』

 

『そうだ!!動揺すんな!!服を交換するまでの時間は無かった!!連中は顔を変えただけだ!!冷静に対処しろやぁ!!』

 

「……こういう時の爆豪は冷静だな」

 

「奴の欠点だな……その推測の正確さを他人に伝えるにはコミュ力が明らかに不足している」

 

故に……足並みは乱れる。

八百万が倒されておらず、全体の指揮を取っていたら違ったかもしれない。

しかし、この状況で爆豪の……完全なる正解をフォローする強い意見は出ず、結果物間の……「まあ損は無いからとりあえずやっておくかな」的な策がそこそこ有効に働く事になった。

 

コスパが凄まじいくらいに良いのだ。

仲間の顔をシャッフルするだけだ。それだけで相手が困惑してくれる。心理的にプレッシャーをかけられるのだから。

 

使い方によっては凄まじく有効な個性。

 

その戸惑いがA組の足を止め、結果B組に先手を取らせてしまう。

 

「さあ……接敵だな」

 

 

そして、A組VSB組の第2ラウンドが開始!!

 

『来たか!!お前が本物か!!回原!!』

『よお轟!!体育祭の決着をつけようぜ!!』

変装が解け元の顔に戻った回原が轟に接近戦をしかけた。

 

『クソがぁ!!わかってたけどよぉ!!やはりテメエがモノマネ野郎か!!』

『ふっ……付き合ってもらうよ爆豪!!』

『俺もいるぜ!!』

こちらは変装の解けた物間と泡瀬が爆豪に対峙していた。わかっていたとしても回原の顔をしたヤツが2人も近寄って来たのだ。性格的に爆豪が2人を避ける事はないだろう。返り討ちにしてから本物の回原を仕留めにいく。爆豪であればそうする。

 

『予定通り回原が轟を!!物間と泡瀬が爆豪と対戦中だよ!!皆!!ここからが本番だよ!!気を引き締めて!!勝つよ!!』

 

『うおおおお!!やっぱお前が鉄哲かよ!!』

『切島ぁ!!』

 

「あちらは切島対鉄哲か。物間の策で足が止まってしまった所為で、走って接近してきた鉄哲の勢いに呑まれているな」

 

『くそ!また俺の電撃が効かねえ!!体育祭の時を思い出しちまったぜ!!』

『思い出させただけではなく結果まで再現してみせます!!』

 

「要注意人物の上鳴に対しては相性の良い塩崎がマークしているな。このまま体育祭の再現なるか?」

 

人数差がある為か全体的にB組優位に戦況は進んでいた。

 

「……しかし、これは単純に人数差の所為だけではないな……B組の奴ら……よくA組全員の個性やら性格、能力を考えた上で適切な対策を取ってきている」

 

そう。B組はA組の生徒の事をよく理解した上で、有効な対策を持ってこの勝負に臨んでいた。

 

今も鎌切が挑発にのってしまい安易に飛び込み、峰田の個性であっさりと拘束されてしまった。短気で怒りっぽい性格を見抜かれている。

 

注目の心操の相手は無口な小大。無口な上に空から距離を取ってトリモチガンを撃ちまくる小大が相手では、今の心操は正直厳しい。フォローしようとする蛙吹や瀬呂、麗日には角取や柳が対処。足止め担当と確実に相手を捕らえる担当で上手く役割分担をしているようだ。

 

「お前達A組の連中は、何も考えずただただ力押しのゴリ押しでこの対戦に勝とうと考えていただろう?B組連中は頭を使って本気で勝ちに来ている。その差が出ているな」

 

ブラドの言葉。それに全く反論出来ない。

 

『クソ!!このままじゃ!!このままじゃマズい!!何とかしないと!!!』

 

宍田と拳藤に抑えられている緑谷の焦りの声が聞こえてくる。

 

『おっとぉ!!ここは通しませんぞ!!』

『アンタを゙倒すのは難しそうだけど!!それでも足止めだけはキッチリとさせてもらうよ!!』

 

宍田と拳藤の言葉に、悔しそうな顔をする緑谷。

 

『それでも!!それでも!!何とかしてここを抜けさせてもらう!!』

 

そんな強い力の感じられる叫びとともに、改めて強く地を蹴り2人に飛びかかる緑谷!!

 

そして!!

 

「何だあれは!?」

「緑谷の手から黒いロープ!?太い紐状の何かが出たぞ!!」

 

そして、そんな緑谷を中心に事態はまた次のステージに進む。

 




あれ……おかしい……終わらない……
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