回原のドリルは天を貫く   作:のりしー

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超!再臨祭!!

本来であれば絶望的な戦力差である、11万人という圧倒的な数のヴィランとの戦い。

 

……ではあるが、ここまでは思っていた以上にヒーロー側優位に状況が進んでいた。

 

『個性・変装』

 

クラスメイトの物間のファンクラブに所属している人の持つ、状況によっては非常に有効な個性。

職場体験名目で物間が連れて来た彼女の協力を受け、物間主導の極悪な奇襲作戦が実行された。

 

 

元々、新白連合は十数人のスパイを泥花市に送り込んでいた。

 

……そして決戦の日である本日。

個性・変装によって〈そのスパイ達の顔そっくりに変装で顔を変えたトップヒーロー達〉が事前にスパイと入れ替わり泥花市に潜入。

 

そしてヴィラン連合とエンデヴァーさんが暴れるのにタイミングを合わせ、顔を変えたヒーロー達が異能解放軍の幹部・指揮官・主力クラスに奇襲をかけたのだ。

 

ヴィラン連合だけを警戒していた異能解放軍は、しかけたこちら側が哀れに感じる程にこの奇襲をまともにくらった。

 

当然だ。

ヴィラン連合を警戒し、しかもエンデヴァーさんまで来た為全ての注意はそちらに集中していた。

 

……そこを、仲間だと考えていた同じ泥花市に住む見たことある顔の人間から襲撃されたのである。しかも襲撃をしかけたのは実力の確かなトップヒーローばかりである。

 

控えめに言って、阿鼻叫喚といった有様だった。

油断しきっていた異能解放軍は、顔を変えて潜入していたトップヒーロー達の完璧な奇襲を受け、優秀な指揮官や強力な個性・戦闘力を持つメンバーを真っ先に倒され動揺しまくっていた。

 

 

『……しっかし、ここまで完璧に作戦が決まるとはね……考えたのは僕だし、上手くいって当然良かったんだけど……なんか順調過ぎて怖くなるね……No.1から10までのトップヒーロー達をアゴで使うフィクサーのポジション目指して鍛えてはいるけれど……いや、まさかまさかこんなに早くその機会が来るとは思わなかったよホント……』

 

「物間か」

 

『個性・通信……事前に僕が力を込めた石を持ってる1人と、通信機を介さず直接意思疎通出来る個性……使い所が難しいけれど、こういう時は非常に使えるねこの個性は』

 

作戦実行前。俺は物間からこの個性の存在を教えてもらうのと一緒に、物間が力を込めた石を受け取っていた。

 

『……現在、作戦は極めて順調だ。事前の諜報活動で情報を仕入れていた前線指揮官や強力な個性持ちを撃破し……作戦目的の荼毘はエンデヴァーが、要警戒ターゲットである外典はホークスと交戦中。そして死柄木弔の元にはルミリオンが向かっている。君が捕らえたトゥワイスを筆頭に、ネームド連中も何人か拘束済み……元々の人数差があるから油断は禁物だけど……それでも、ここまでの状況は僕らヒーロー側にとって理想的な展開で進んでいる』

 

「……ああ、そうだな」

 

『だから……だから、君に総督からの直々のオーダーを伝えるよ回原。作戦が順調に進み、このオーダーを実行しても状況的に問題無い、と判断した時だけ伝えるように指示されていた総督からのオーダーを』

 

「総督が直々に俺に?」

 

そこで物間は一拍置き、

 

『オーダーだスパイラル。異能解放軍のトランペット……現役の国会議員であり政党〈心求党〉の党首。花畑孔腔を捕らえろ』

 

トランペット……個性・扇動を持つ異能解放軍の幹部。

……異能解放軍のリーダーであるリ・デストロではなく、ヴィラン連合のリーダーである死柄木弔でもなく、トランペット?

 

何とも意味深なオーダーである……しかし、あの総督が無駄な事を指示するとも思えない。

 

「……わかったよ、物間」

 

俺はその物間の言葉に頷いた。

……どうせここで考えてもあの人の考えがわかる訳は無い。

……ならば、俺は今ここで出来ることをするまでだ!!

 

『……よし!!ならばここからは僕が直接君をサポートするよ!!その為にサー・ナイトアイに全体の指揮を任せたんだ!!トランペットの居場所は僕が捕捉している!!僕の指示通りに進んでくれ!!』

 

「了解!!」

 

そして物間の指示通りに移動を開始!!

 

途中、異能解放軍らしき連中を見かけるが後だ後。

隠行を駆使し極力戦闘を避けてトランペットの元に向かう。

 

そして……しばらくの移動の後、

 

「見つけたぞ物間!!」

 

見つけたのは前方の車。

政治家が選挙の時に演説とかで使う車。

 

その車に乗り、どこかへと移動しているトランペット!!

 

『行け回原!!』

「おうよ!!」

 

両手両足から竜巻を出し、一気にトップスピードまでギアを上げる!!

 

「おおおお!!!!」

そして車に追い着き!!横に並ぶ!!

 

「どらぁぁぁ!!!」

「……な!何ぃ!!」

 

全力全開飛行からの俺渾身の回し蹴りが車の側面に炸裂!!

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

車は俺の蹴りを受け横転し、滑って道路脇の建物へとぶつかった!!

 

「ちぃぃぃ!!君は雄英高校のスパイラルか!?クソ!!こんな時に!!」

 

……奇襲は成功……のように思ったが、いやしかし敵も中々やる。

 

「……へぇ……俺の蹴りが炸裂する直前に、咄嗟に車から飛び降りてたのかよ」

 

「……政治家だからといってあまり舐めてもらっては困るな……こういう組織に属している以上、当然、自分の身を守る為に鍛えてはいるさ」

 

地面に降り立った俺から少し離れた所。

そこには俺のターゲットが……異能解放軍のトランペットが地面から起き上がり、強く俺を睨みつけていた。

 

「通してください……と、言っても無駄なんだろうね?」

「当然」

 

短い言葉のやり取り。

 

「……やれやれ……これから行く所があるというのに……全く、厄介な話だ」

 

「悪いね。こっちはアンタをとっ捕まえるようにオーダーを受けてる。お互い上にこき使われてばかりで大変だな」

 

「……なかなかに愉快だね、君は!!」

 

「スゴイ音がしたから見に来たら……あれはトランペット!?」

「おい!!トランペットと睨みあってるのは雄英高校のスパイラルだぞ!!」

「おい皆!!トランペットを援護だ!!」

 

車の衝突音が注意を引いたのか?近くにいた異能解放軍のメンバーが続々と集まり俺を包囲しようとする。

 

……が、当然!!

 

「そんなん悠長に待つ訳ねーだろ!!行くぜ!!」

 

当然!!完全に包囲される前に!!トランペットへと仕掛ける!!

 

「くっ!!『皆さん!!私の窮地に駆けつけて下さりありがとうございます!!共にこの危機を乗り越え!!我々の理想の世界実現の為に共に頑張って参りましょう!!』」

 

トランペットの個性・扇動。

自分の声を聞いた仲間にバフをかける個性だったな確か!!

 

「「「おおおお!!!!!!」」」

 

そのバフを受けた異能解放軍のメンバーが俺に向けて炎で!!かまいたちで!!電撃で攻撃してくる!!

 

「おおおぉぉぉぉ!!!」

 

「何だと!!」

 

その全ての攻撃を掻い潜りながら!!俺はトランペットへと接近!!

「うらぁぁぁ!!」

 

そして突きを放ち!!……その突きが誰かの作った石の壁に阻まれる!!!

 

 

その隙に少し後ろに下がるトランペット!!

「逃がすか!!!ギガァドリルゥブレェェエイクウ!!!」

 

俺の行く手を阻む石の壁を砕き!!俺は奴を更に追撃!!!

 

「ひっ!!!」

「おおおお!!!!!!」

 

俺は叫びながら動の気を解放!!!

 

「うらぁぁぁ!!!!」

「ぐはあぁぁぁぁ!!!!」

 

俺を襲う全ての個性による攻撃が追いつけない程の速度で石の壁を砕き!!トランペットへと飛翔!!ギガドリルブレイクをぶちかました!!!

 

たまらず大きく後方に吹っ飛ぶトランペット!!!

 

「あ……うわぁ……」

「バフが……切れた……だと……」

「まさか……やられたのかトランペットが……こんなにあっさりと……」

 

福岡の一件以来、攻撃時は動・守備時は静と2つの気の使い分けをマスターした事により、俺の戦闘力は大きく上がっていた。

 

……この程度で、止まっていられるか。

俺は倒れたトランペットの元へ駆け寄り拘束し、

 

「物間……トランペットを拘束したぞ」

そう、物間へと伝える。

 

『……ホントにやっちゃうんだもなぁ……全く、呆れた奴だよ君は……近くにいる拘束したヴィランの回収班との合流ポイントを指示する。急いでそこに向かってくれ!!』

 

そして、状況を把握した物間から次の指示が来る。

「あ!クソ!!待ちやがれ!!」

「クソぉ!!トランペットを返せぇ!!」

 

俺はその指示に従い、拘束したトランペットを抱えて飛び、その場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideホークス

『状況が更新された。スパイラルが異能解放軍の幹部であるトランペットを拘束。ヴィラン回収班に引き渡し次の戦場に向かった』

 

「ヒュー……これでネームド確保2人目か……うん、相変わらず絶好調だねぇスパイラルくんは」

 

こちらは異能解放軍の外典をようやく拘束した所だ。

……正直言って、相性が悪い相手だった。

なので、思ったよりも時間がかかってしまった。

 

「……だからって!!年下が頑張ってるのに情けないところは見せられないですからねぇ!!!『こちらホークス!!異能解放軍の幹部!!外典を拘束!!近くのヴィラン回収班の場所の指示をお願いします!!』」

 

インカムで司令部に状況を報告し、次の指示を待つ。

 

……その、待つ間に……

 

「……エンデヴァーさん……」

 

……今も激しく2つの炎がぶつかり合う……そちらへと目を向ける。

 

赤い炎と、蒼い炎。

エンデヴァーさんと、荼毘。

 

2人が戦っている方向を。

 

「心配はしていないですけど……」

 

そう、心配はしていない。

……正直、エンデヴァーさんは荼毘の完全なる上位互換なのだ。

 

操る炎の温度だけは荼毘が上かもしれない……との事だったが、炎を操る技術や炎への耐久力は間違いなくエンデヴァーさんの方が上だ。

 

……当然、戦闘経験なども。

 

もしもこれでエンデヴァーさんのメンタルが最悪のズタボロ状態とかだったりすれば、荼毘の勝ち目もあったかもしれない……

 

が、今の心身共に充実しているエンデヴァーさんであれば……まあ負ける事はないだろう。

今も互いの炎が衝突し相殺したその後、隙をついて接近したエンデヴァーさんの拳が荼毘を直撃!!苦悶の声と共に荼毘は大きく後ろへと吹っ飛んだ。

 

……だから、俺が心配しているのは、他の事だった。

 

 

BANG!!!!!

 

 

「……それでも……それでも、やはり、それを使ってしまうんですねエンデヴァーさん………」

 

圧倒的に有利な状況。

……だけれども、だけれども……エンデヴァーさんはそれを使った。

 

 

死穢八斎會より入手した忌むべき弾丸。

 

撃たれた者の個性を消失させる、その弾丸を……

 

 

 

 

 

 

sideエンデヴァー

 

「終わりだ……燈矢……」

俺の拳を受け背後に大きく吹っ飛んだ燈矢。

その燈矢が起き上がる前に接近し、俺は懐に手を入れ拳銃を取り出す。

……そう、これが俺の切り札。

 

『個性消失弾』

 

BANG!!!!

 

事前に警察から受け取っていた弾丸を、同時に受け取った拳銃を使い自分の息子へと撃つ。

 

……正直、心の痛い行動だ。

 

……出来れば、こんな形で燈矢を止めたくないのだが……

 

「……それでも……それでも……お前がこれ以上凶行に走らない為にも……自分の身体を焼かない為にも……これが、これが一番良いのだと……そう思う」

 

これで……終わりだ。

 

 

「……くそ!!まだ!!まだ終わりじゃねえ!………あ?」

 

起き上がった燈矢は俺に向けて炎で攻撃しようとし……そして、

 

「……出ねぇ……炎が……炎が、出ねぇ……だと……?」

 

呆然と……自分の掌を眺めた。

 

「……ま、まさか……まさかまさかまさかまさか!!今の!!今のは!!!おい親父!!お父さん!!エンデヴァー!!!」

 

そして……自分の身に何が起こったのかはっきりと認識し……そして、そして俺に駆け寄り俺の胸ぐらを掴む。

 

「使ったのかよ!!使ったのかよ俺に!!俺に!!あの個性を消失させちまう弾丸を!!!なあお父さん!!お父さん!!」

 

そして!!そして!!俺の目を怒りに燃えた瞳で!!憎しみで焼き殺そうというような目でこちらを見る!!そして叫ぶ!!

 

「ああ!!あああ!!ああ嗚呼ああぁぁぁあ!!!!あああああああああああああああああエンデヴァーァァァァ!!!!」

 

……これで、良かったかどうかはわからない……

 

……だが……これが良かったのだと……これからそう思えるように、燈矢がそう思えるように、俺はこれから燈矢に寄り添ってやろう。

 

 

今も泣き叫ぶ燈矢の……その身体をしっかりと抱き、俺はそう強く決意した。

 

『全員!!!警戒!!!空を飛べるヒーローは出来るだけ空高く飛んでください!!飛べないヒーローは出来るだけ地面から離れて!!俺もフォローします!!フォロー出来るヒーローは出来るだけフォローを頼みます!!!』

 

これは……ホークスか?

 

そのホークスの……珍しく取り乱したような、そんな慌てた声。

 

一体……何が?

 

そこで、俺の背筋にゾクッとした悪寒が走った!!

 

崩壊

崩壊

崩壊

 

俺の目の前の建物!!

その全てが!!全てが道路ごとボロボロと崩れ落ちながらこちらへとどんどん迫って来ていた!!

 

崩壊の、波が!!

全てを崩壊させる、その絶望的な崩壊の波が。

 

「燈矢!!しっかりと受け身を取れよ!!」

「……あ?」

「ぬん!!」

 

「うぉぉ!!」

 

燈矢を……久々に抱きしめたばかりの息子。

その息子を俺の背後に投げ飛ばす!!

投げ飛ばす時に炎で勢いもつけた。

これでかなり遠くまで投げ飛ばせただろう。

危険ではあるが、ここに残す方が危険と判断!!!

 

「赫灼熱拳!!プロミネンスバーン!!!」

 

そして俺は瞬時に身体の熱量を限界まで上げ、そしてこちらへと迫る崩壊の波に向けてプロミネンスバーンを全力で放った!!

 

 

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