「個性・扇動か……ふむ、実に優秀な個性だな」
「ですね!身体の奥底から力が溢れ出してくる感じです!!」
「やっぱりボス戦てのはバフかけてナンボですよねえ!」
物間の個性のサポートにより俺達に強力なバフがかかった。
空を飛びながらそれぞれがその感触を確かめるように、軽く個性を使ったりなんだり試し、その効果をそう評した。
「があああああ!!俺の邪魔をするなあ!!!」
……当然、その間も超大型ヴィランは俺達に攻撃してきているので、その巨大な腕等を躱しながらである。
「よし!やるぞスパイラル!」
「はい!!」
空を飛び敵の凶悪な攻撃を躱しながら俺達は距離・位置関係を調整する。そして距離が近くなったタイミングでエンデヴァーさんが1本の炎を俺に向けて伸ばす。
本来、自然界には存在しない筈の、個性だからこそ許される炎。
人肌程度の温度に調整された不思議な個性の炎。
俺はその炎に触れて、俺とその個性を繋ぐ!!
過去にバーニンさんとも炎の個性合体は行っている!!行ける!!
自分の中につながった確信を得ると、俺は叫ぶ!!
「個性を゙繋げました!!いつでもいけます!!」
「よし!!」
そして俺とエンデヴァーさんはこの場にいるもう1人に目を向ける。俺達が準備をしている間、1人前線を飛び回り敵の注意を引きつけていたヒーローを!!
「やるぞ!!ホークス!!!」
そのエンデヴァーさんの叫びに、一瞬顔だけホークスさんは振り返り!!
「了解!!こちらも仕掛けます!!」
「ぬう!!!無駄なあがきを!!」
敵のその言葉に、ホークスさんはとても楽しそうな声で、
「……どうも、皆、俺がパワー不足だと思い込んでるみたいだけど……果たして、本当にそうかな?」
「……ぬう?」
ホークスさんは背中の翼からどんどんどんどんと羽を飛ばし、超大型ヴィランを羽で包囲する。
「俺の羽は数本集めれば成人男性を……平均体重60〜70キロ程度の人間を悠々と運ぶ事が出来るんですよ!!じゃあ!!その羽を一点集中したらどうなるでしょうねえ!!」
「……!!!!そうと知ってさせるものか!!」
ホークスさんのその言葉に脅威を感じたのか?超大型ヴィランは大きくホークスさんの方に右足を踏み出し、その巨大な手を大きく振りかぶった!!
「……な〜んて、ね!!」
「な!」
その瞬間!!超大型ヴィランの周囲を囲む空を舞う羽!!その全てがヤツの後ろに一気に高速移動する!!
そして!!
「膝カックン!!ってね!!トン超えの力での極悪膝カックンだ!!さあ!!倒れろ!!!」
「ぐおおおぉぉぉぉぉ!!!!」
空を舞うホークスさんの羽!!その全てが後ろ足として残った左足の膝裏に襲いかかる!!
まだ前足である右足が地につかない今!!唯一体重を支えている後ろ足に膝カックンなんてされればそれは!!
当然!!
前に倒れる巨体を支える為に両の手を慌てて地面につけて!!クラウチングスタートのような体勢で超大型ヴィランは動きを止めた!!
今だ!!
「やるぞスパイラル!!」「エンデヴァーさん!!」
俺とエンデヴァーさん!!
2人の繋がった個性が一気に最大出力まで高まる!!
「「個性合体!!スパイラル・プロミネンスバーン!!!」」
そして!!力が!!圧倒的な力が解き放たれる!!
全てを焼き尽くす炎!!
全てを貫くドリル!!
その2つが捻れて混ざる!!圧倒的な破壊力を持つ巨大な炎のドリルが!!
今!!超大型ヴィランを貫く!!
狙いは超大型ヴィランの前足!!
太ももは太い!!なので膝下!!
圧倒的な貫通力を持った破壊的な炎のドリルが奴の右足を襲う!!奴の肉体を焼き尽くし!!螺旋の力で掘り進み!!その全てが同時に侵攻する!!
超大型ヴィランの足を焼き貫き焼き貫き焼き貫き焼き貫き焼き貫き焼き貫き焼き貫き焼き貫き焼き貫き焼き貫き焼き貫き焼き貫き焼き貫き焼き貫き焼き貫き焼き貫き焼き貫き焼き貫き焼き貫き焼き貫き!!!
そして焼き貫く!!
それこそが炎のドリル!!
「ぎゃああああぁぁぁ!!!!!」
「やった!!やったねエンデヴァーさん!スパイラルくん!!」
そう!やった!!
やってやった!!
俺とエンデヴァーさんの生み出した炎のドリルは一瞬足りとも止まることなく敵の右足を焼き切り貫いた!!
焼き切れた足!!超大型ヴィランは膝から地面へと落ち轟音が辺りに響く!!
でも……
「まだだぁ!!!」
「エンデヴァーさん!!」
しかし!!これだけではこの人は!!この最高のヒーローは満足しない!!
「片足を失ったくらいでは!!杖でも使えばまだまだ奴は暴れる事が出来る!!まだだ!!まだだぞスパイラル!!」
……その言葉!!一瞬で緩みかけた気持ちを引き締めた!!
「やれます!!まだまだ俺は行けますよエンデヴァーさん!!」
俺のその叫び!!
それを聞きエンデヴァーさんがにやりと微笑み!!
「ならば2発目だスパイラル!!貴様のドリル!!全力全開で回せ!!俺も全力全開で炎の温度を高める!!」
「はい!」
「ぐ!!ぐぅ……おのれ……おのれ……おのれおのれおのれぇ!!これ以上この肉体!!傷つけさせるものかぁ!!」
俺達のその様子を見て警戒!残された両手片足をフルに使いこちらに襲いかかろうと構える超大型ヴィラン!!
だが!!
「ホークスゥゥゥゥゥゥ!!!」
それは!!この人がさせない!!
「はいはい!!わかってますよ!!それ!!今度は肘カックンだ!!」
地面についている奴の左肘!!その肘の裏側に今度はホークスさんの羽が集中!!膝カックンならぬ肘カックンが炸裂する!!
「右足を無くした状態で杖ついて移動を警戒するなら!!当然!!次狙うのは右腕ですよね!!さあ!!行け!!」
クラウチングスタートの状態から前に出した右足を失い、腕の力で起き上がろうとした状態でまた肘カックンを食らった超大型ヴィランは、左肩から倒れるようにして地面に崩れ落ちる!!
そして!!
「いくぞ!!」「いきます!!」
2発目の!!
「「個性合体!!スパイラル・プロミネンスバーン!!」」
本日2発目の巨大な炎のドリルが奴に襲いかかる!!
「ぐがあああぁぁぁ!!!」
全てを焼き尽くし貫通する巨大な炎のドリルは奴の右腕を肩から貫き焼き切る!!
焼き切られた右腕!!大きな音をたてて地面に落ちていく!!
よし!!これで右足と右腕を焼き貫き奪った!!
これで!!
「まぁだだぁ!!!!!」
「エンデヴァーさん!!」「は!!まじすかエンデヴァーさん!!」
しかし!!しかししかししかし!!
これでも!!これでもこの人は!!
エンデヴァーさんは止まらない!!
「奴の!!奴の残された巨大な左腕!!それが振り回されるだけで悲劇が生まれる!!ならば!!ならば俺達はまだ休むことは許されない!!」
そう!!この人が叫ぶ!!
「……は!!はは!!」
まじかよ!!
まじかよまじかよ!!
「はっはー!!!」
そう叫ぶエンデヴァーと目が合う!
辛い筈なのに!!全然!!辛い様子を全く見せないエンデヴァーさんと!
まじかよ!!スゲえよエンデヴァーさん!!
お互いに!!超必殺技2連発の後だぜ!!
それも!!それもこの戦いの前にも普通に戦ってきた後に!!
普通に部活の練習終わった後に!!息継ぎ無しで水泳50m自由形2連続でやらされてるようなものだ!!
んで!!そこから!!更に更に息継ぎ無しで50m自由形3セット目ってことだろう!!
そんなの!!そんなのそんなの!!
「楽しくって仕方ないですねえ!!やりますよ!!やったりますよエンデヴァーさん!!」
「ふ!!そうでなくてはな!!」
エンデヴァーさんと繋がっている炎!!それを通して更に更に個性の回転を高めていく!!
俺のそれに負けないように!!エンデヴァーさんも炎の温度を高めていく!!
が!!しかしクソ!!
情けない!
情けない話だが!!情けない話だが!!先の2発より回転が上がらない!!
クソ!!このままでは!!奴を!!奴を貫けない!!
「うぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
限界を!!限界を超えて更に回転を高めようとする俺!!
「ここが正念場だ!!限界を超えろ!!スパイラル!!うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
やはり!!やはり先の2発より炎の温度が上がらないエンデヴァーさん!!同じように腹の底から全ての!!全ての力を俺と同じように絞り出そうとしている!!
うぉぉ!!やれ!!やるんだ!!回原旋!!スパイラル!!
ここだ!!こここそが正念場だ!!分水嶺だ!!
限界を超えろ!!
運命を貫くんだろう!!
「おおおおお!!!!!!」
ここで!!こんな!!こんな俺の修行不足で!!迷惑をかける訳にはいかない!!回転を!!回転を限界まで!!限界を超えて上げるんだ!!
「……全く2人とも……楽しいお祭りの時は、ちゃんと俺にも声かけてって言ったでしょうに!!」
「ホークス!!」「ホークスさん!!」
そんな!!そんな俺達の元にホークスさんが来た!!
「片手片足のアイツの足止めはもういらんでしょう?だから……だから!!俺もこっちに参加しますよ!!足りなくなった熱量と回転は!!俺の!!俺の羽の力で補ってみせる!!」
そしてホークスさんの羽が!!俺とエンデヴァーさんが個性合体で繋がる炎の中に入る!!
「個性合体だスパイラルくん!!君のドリルとエンデヴァーさんの炎!!俺の!!俺の翼に乗せて奴を貫く!!」
まさかの!!まさかのここでの3人での個性合体!!!
行けるのか俺は!!
いや!!行ける!!行くぞ!!
「繋げました!!行けますよ!!エンデヴァーさん!ホークスさん!!」
「よし!!でかしたスパイラルくん!!さあ!さあさあさあさあ!!行けますよ!!行きましょうエンデヴァーさん!!」
俺とホークスさん!!そのとても!こんな状況には全く相応しくない!!そんな楽しそうな声!!それを聞いてエンデヴァーさんも獰猛に笑う!!
「煽るな若造どもが!!ふん!!行くぞ!!ついて来い!!」
そして!!俺達は叫ぶ!!
「「「個性合体!!スパイラル!!ウイング!!プロミネンスバーン!!!!!」」」
そして炎が走る!!
先程よりも温度は低く!!
回転は大人しく!!
だが!!だがしかし!!
その炎のドリルには翼が生えていた!!
まるで煉獄の炎を纏う不死鳥!!ただし!!その頭はドリル!!
「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」
その炎の不死鳥ドリルが奴の残された左肩に直撃!!
衰えた炎と回転!!その衰えた力を補うように炎の翼が羽ばたき前へ前へと押し進む!!!
「ぐわぁぁぉぉぉぉぁぉあ!!!!」
吠える超大型ヴィラン!!
炎の不死鳥ドリルは奴の左肩ごと腕を貫き焼き切り落とした!!
これで!!これで俺たちの勝利か!?
しかし!!しかししかししかし!!
「まぁだだぁ!!!次が!!次こそがラストだ!!」
「「エンデヴァーさん!!」」
まだ!!まだこの人は止まらない!!
「あの足!!あれ一つでも悲劇を生む!!ならば!!ならばあの足も落とす!!」
そう!!まだまだ終わってはいない!!
「これが最後だ!!限界を超えろ!!限界を超えた先にあるもう一つの限界を超えろ!!最後の最後の力を残りの一滴まで振り絞れ!!絞りきった後の最後の一雫までかき集めろ!!」
そして!!叫ぶ!!
「お前のドリルを回せスパイラル!!ホークス!!羽が減ったなら今すぐ新しい羽を生み出せ!!ここだ!!こここそが最後の正念場だ!!お前たちの全てを出し尽くせ!!行くぞ!!」
そして!!この人は!!俺たちの返事を聞く前に!!自分の炎の温度を高めていく!!
本当に!!全く!!俺達が着いてくると!!そう信じ!一欠片も全く全然疑ってすらもいない!!
全く!!本当に!!本当に困った人だ!!
何せ!!
「……こんなシチュエーションで!!俺が燃えない訳ないでしょうがぁ!!!!うぉぉぉぉぉ!!!」
最後の最後に残っていた力!!その全てを振り絞り螺旋の力を高めていく!!
辛い!!厳しい!!息が出来ない!!絶望的な疲労が身体を鎖のように縛りあげている!!指先を少し動かすだけでもとてつもなくしんどい!!
身体中の毛細血管が破裂しているのがわかる。
多分鼻血が出てる。目からは涙?いや血涙かなこれは?積もりに積もった圧倒的な負荷が俺の体から「もう今すぐやめて休め!」と緊急コールを鳴らし続けている!!
でも!
だけど!!
限界を超えろ!
限界を超えろ!
限界を超えろ!!超えてこそのヒーローだろう!!
今も共に戦う仲間!!その2人の!!その辛くとも折れない姿!!それが俺を限界のその一歩先へと導いていく!!
「は!!まさか俺が!!この俺が!!雄英高校出身でない俺が!!まさか!!まさかこんな場面に出くわすとは思わなかったですよ!!ええ!!でも!!だけど!!だけど!!今は!!今だけは!!今だけは俺も限界を超えてみせる!!」
「そうだ!!限界を超えろホークス!!限界を超えろスパイラル!!」
「が!!あ……あぁ……あぁぁぁ!!!」
両手片足を失い、だが!それでも強い戦意をみせる超大型ヴィラン!!
そんな!!奴に!!
「俺は!!俺は平和の象徴にはなれなかった!!」
エンデヴァーさんが!!叫ぶ!!
「俺は!!俺は平和の象徴には向いてなかった!!」
ホークスさんも!!叫ぶ!!
そして!!
「俺は!!俺は平和の象徴になるには力が!!知識が!!経験が足りなかった!!」
俺も!!叫ぶ!!
「「「だけど!!」」」
そう!!だけど!!
「「「それでも!!それでも!!俺達は皆の為に戦うヒーローだ!!絶望は!!辛い運命は!!悲しい悲劇の種は!!今!!ここで全て打ち砕く!!!」」」
そう!!だから!!
限界を!!超えろ!!
「「「Plus Ultra!!!!!!」」」
限界の!!そのもう一つ先の限界だって超えてみせる!!
「「「個性合体!!!スパイラル!!!ウイング!!!プロミネンスバーン!!!」」」
そして……最後の炎のドリルを持った不死鳥が羽ばたき、最後に残った敵の足を焼き切り貫き落とした……
そして……俺達3人は地面に降り立つ。
一瞬、沈黙……そして……
「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」」」
いつの間にやら、空には雲一つ無かった。
何も遮るもののない、広く広く広い青空。
「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉあぁぁぁ!!!!」」」
その無限に広がっていそうな青空に、俺たちの、3人の叫びが響いた。