回原のドリルは天を貫く   作:のりしー

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インターンに向けて

「そっか。轟のインターンはホークスさんのとこにしたのか」

 

「ああ。親父とも話したんだけど、荼毘の一件がまだちゃんと片付いてない今の状態で、親父が俺を直接指導とかしてると再炎上するかもしれないから今回はやめておこうってなってな」

 

クリスマスも終わり、大晦日も目前というとある日。

 

インターン関係の書類を提出するため教室を出た所でばったり轟と緑谷に出会った。2人とも目的は同じらしく、そのまま3人で職員室へと向かう事になった。

校内を歩きながら3人で話す。

 

「親父は出来れば俺を直接指導したいらしいんだけどな」

 

「……まあでも流石に今回は見送りしかないんじゃねえの?」

 

「ああ。親父もそう言ってたよ。その代わりホークスがインターン中に気づいた俺の課題とかを細かく連絡して、リモートで指導受ける事になった」

 

「リモートなら安心だわな。緑谷はインターンどうすんの?」

 

「僕はサー・ナイトアイ……じゃなかった、今はセンチピーダー事務所になったんだった。通形先輩と一緒にそこでお世話になる予定だよ」

 

「ああ。ナイトアイさんがヒーロー引退したからセンチピーダーさんが事務所ごと引き継いだんだっけ?」

 

「うん。まあでも実際はあんま前と変わってないらしいんだけどね。そこで通形先輩と一緒にナイトアイに指導をしてもらう予定だよ」

 

「あの通形先輩を鍛えた指導かぁ……実力つきそうだな。良いとこに決まって良かったな緑谷も」

 

「うん。それに……他にも色々と相談したい事があってね。インターン受け入れてもらって良かったよ本当に」

 

「回原はどこに行くんだ?」

 

「確か前は麗日さん達と一緒にリューキュウ事務所だったよね?今回もリューキュウ事務所にするの?」

 

その問いかけに、俺は手に持っていた書類を2人に見せる。

 

「俺はベストジーニストさんとこ」

前に職場にお邪魔した時の事を律儀に覚えてくれていたジーニストさんから、この前正式にお声がけいただいたのだ。

 

あの精密な個性の操作技術。それを間近で見て吸収出来るものは全て吸収したい。

 

そんな思いで即インターン行くことを決定。

 

「ベストジーニストかぁ!!……あれ?そう言えばかっちゃんも確かベストジーニストのとこにインターン行くって言ってた気が?」

 

「ああ、らしいな。前一緒に飯食った時にそんなこと言ってたわアイツ」

 

トンガリと一緒にベストジーニストさんとこでインターン。

なかなか賑やかなインターンになりそうである。

 

そんなこんなで職員室が見えて来たのだが、俺たちが扉の前に着いたちょうどくらいのタイミングで中から見知った顔が2つ出てくる。

 

「やあ。君たちもインターンの書類の提出かい?」

 

物間と心操だ。

「君たちも?」

緑谷の疑問。そらそうだ。2年からヒーロー科へ編入が決まった心操ではあるが、現時点では普通科の生徒。

インターンはまだまだ先の筈なのだが……

 

そんな感じの俺たち3人の不思議そうな視線が集中。

心操はそれに対し恥ずかしそうにぽりぽりと頬をかくと、

 

「実はさ……物間のインターン先の新白連合で一足先に職場体験してみないか?って話が来ててさ……俺はやっぱ皆よりかなり遅れてるからさ、せっかくの機会だし、行って経験積んでみようかな、ってさ」

 

「そうなんだ!!良かったね心操くん!」

「……ありがとよ緑谷」

 

一足先に職場体験が決まった心操を素直に祝福する緑谷。

でも……しかし……これは……これは……

 

じっ……と、すました顔をしてる物間を見る。

コイツはコイツで「ふっ……」みたいな顔をしやがって……

 

「物間……総督は遂に日本を影から支配することに決めたんかコレ?」

 

俺の率直な疑問をぶつける。

 

「回原くん!!回原くん!!と!!突然何を言い出すのさ!!」

 

あまりにも突然過ぎる話の展開についてこれていない緑谷の動揺を隠せない声。

 

まあその反応も無理ないけど、知ってる人からすると一大事なのよコレ……

 

総督+物間+心操だろ?

麻雀なら間違いなく役満である。

 

ポーカーならば最初の2枚でジョーカー引いて、次に何故か存在しない筈のもう一枚のジョーカーが来たようなものだ。

 

ぶっちゃけヤバすぎる。

 

「まあ、君の心配もわかるよ回原……」

 

「わかっちゃうの!?何で!!何でわかっちゃうのさ物間くんも!!!」

 

……しかし、物間は俺の心配をやんわりと否定する。

 

「元々君臨すれども統治せずを地で行く人だからね総督は。影から日本の支配はやれなくもなさそうだけどめんどくさいってさ。一月限定とかなら楽しそうだけど、何年も何十年も国の舵取りとか罰ゲームだろ!!との事だよ。納得したかい回原?僕はそう聞いて納得したけど」

 

「うーん……確かに総督めんどくさいの嫌いだもんなぁ……一月限定とかなら面白おかしくやりそうだけど……うん、俺も納得したわ」

 

 

「なんか2人だけで納得しないで!!何かとんでもない話をサラッとしてた気がするよ!!!」

 

こうして誰も知らない所でひっそりと日本は救われたのであった。合掌!!

 

そんな俺と物間の会話にツッコミを入れる緑谷。そして轟は。

 

「親父がさ、物間のことスゲェ褒めてたんだよ。俺は新白連合の事はよく知らないけど、その物間の所属するヒーロー事務所だろ?いい経験になると思うぜ。頑張ってこいよ心操」

 

「……まさか、轟にそう言ってもらえる日が来るとはな……うん、物間からも目茶苦茶こき使われるしスゲェ大変とは聞いてるよ。でも、それ以上に力がつくしいい経験になるともな。ありがとよ轟。俺も頑張るからさ、お前も……お前も色々大変だけど頑張れよ」

 

そんな感じであちらはあちらでノンビリと2人で話している。

 

そして轟が……

 

「ああ!!お互い頑張ろうぜ心操!!そして春からの編入待ってるぞ心操!!ここが俺の!!俺たちのヒーローアカデミアだ!!」

 

「轟くん!!轟くん!!君!!どんだけそのフレーズ気に入ってるのさ轟くん!!」

 

「……ダメなのか?」

 

「……い!!良いけどさ!!良いけどさ!!うん!!ごめん!良いよ轟くん!!」

 

ちょっと不安気な轟に緑谷が光速フォロー!!

 

「やれやれだねぇ……あ、すまない……僕はこの後予定があるからここで失礼するよ。心操、後でまた連絡するね」

 

「ああ!!悪いな物間!!これからよろしく頼む!!」

 

そんな感じで物間と別れ、書類出した後軽く4人で茶でもいくかーという話になり、俺たちが書類出す間に心操に食堂の席取りを頼む。

 

……これは、そんな感じの……雄英高校での一幕。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideホークス

 

 

ここはヒーロー公安委員会の所有するビルの一室。

敵に凄腕ハッカーであるスケプティックがいる為、電子機器は一切この部屋には無し。

何なら自分のスマホも預け、一切の電子機器を持たず俺はこの部屋に入った。  

 

そんなこの部屋にいるのは3人。

俺。

ヒーロー公安委員会委員長。

そして……ファントムシーフ。物間寧人。

 

「さて、定刻になり全員集まりました。これより、この後のプランの説明をさせて頂きます。まずはこちらの資料をご確認ください。後で回収させてもらいますので、閲覧はここだけとなります」

 

高校1年生ながら、あの新白連合総督の代理としてこの場に来た彼から紙の資料が渡される。

 

ファントムシーフの持つ個性。コピー。

壊滅した死穢八斎會の音本の持つ個性、真実吐き(まことつき)……それを使い、泥花市で捕らえた異能解放軍のメンバーから聞き出した情報の……その中でもとびきり使い勝手のいい情報が綺麗にまとめられ資料に載っていた。

 

「……ちょっと優秀過ぎないかしら貴方……卒業したらヒーロー公安委員会来ない?」

 

ヒーロー公安委員会……その委員長の直々の勧誘である。しかしファントムシーフはそれにふるふると左右に首を振ると、

 

「ありがとうございます……素直に……正直嬉しいです。しかし、まだまだ未熟なこの身。これからも新白連合で色々成長したく……今回はお断りさせて頂きます。大変申し訳ありません」

 

「……断り方までソツがないわね……よく仕込まれてるわ」

 

「恐縮です」

 

……いやスゴイねこの子……

 

マジで本当にそう思う。

回原くんを筆頭に、この辺りの世代はマジでヤバすぎる。

 

エンデヴァーさんの息子である焦凍くん。

雄英高校の秘蔵っ子であるルミリオン。

一部ではそのルミリオン以上の潜在能力を持つと評価されている爆豪くん。

 

回原くんと物間くんも大概ヤバいのだが……それに並べるくらいヤバ過ぎる面子が今の雄英高校には揃っていた。

これにサンイーターやらまだまだ優秀な子が控えてるのである。

 

黄金世代。

 

そんな陳腐な言葉を思い浮かべてしまう。

 

それほど優秀なメンバーがいるのだ。

 

(……負けてられないよねえ)

 

自分がNo.1ヒーローに向いてるとは全く思わない。

 

……しかし、それでも……

 

(……それでも、それでも……次代に繋ぐ要石として……しっかりと今出来る事はしないといけないよね)

 

そう。自分はタイプ的にNo.1には……象徴とかには向かないタイプだ。

 

他に適切な人がいるならば、今すぐこの立ち位置を譲ってもいい……むしろ譲りたいんだよなぁ……

 

……でも、しかし……しかし、それでも……それでも今は俺が暫定No.1ヒーローなのだ。

 

……ならば、俺が今出来る事で……次代へと今よりもいいカタチで繋いでいくしかない。

 

(……それが、似合わないけどNo.1になってしまった……しまった、俺の責任何でしょうね……) 

 

そして、資料の確認を終えた俺と委員長に向けて、ファントムシーフが口を開く。

 

「……資料の軽い確認は終わりましたね?では、これより僕の……いえ、新白連合が推奨するプランの説明へと移らせて頂きます」

 

そして、一拍置きファントムシーフ……物間寧人が告げる。

 

 

「デトネラット社……リ・デストロ。四ツ橋力也が代表取締役社長を勤める会社に対し、TOB(株式公開買い付け)を仕掛けます……このプランは、貴方がた政府絡みの人達だけに金と労力を払ってもらい、ヴィランの勢力を削ぐという……そんな、そんな素敵なプランとなります」  

 

 

そう、静かに……静かに、告げた。

 

 

 

 




今週忙しい……出来れば週末くらいにもう一本あげたいんだけど……
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