デトネラット社の臨時株主総会が開かれている貸しホール。
そこに誘き寄せられた、数える事も億劫になりそうな程の大多数の、あまりにも大多数過ぎる異能解放軍。
その、異能解放軍との大決戦の開始の合図。
なんとも大目立ちする、映えある大決戦の開幕デニム。それを着飾るのは当然の如くベストジーニストさんかと思いきや、実はそんな事も無かった。
「ん!!!!」
小大だ。
小大だった!!
俺のクラスメイト。
俺が気になっている女の子。
その、とてもとても可愛い女の子。
骨抜と一緒に、この大決戦にインターンとして参加していたのは知っている。
その小大が。
小大唯が。
異能解放軍とのこの大決戦。
その口火を切った!!
「ん!!!」
小大が小さくしてこの戦場近辺にこっそりと設置していたとある装置。
炭素繊維で仕上げられた、ギガントマキアなどを想定した対超大型ヴィラン用の特殊なワイヤーケーブル発射装置!!
そのサイズの変化を解除!!
それが開戦の合図となった!!
「さあ!!堪能しろ異能解放軍!!」
元のサイズに戻った、何十機もあるその特殊なワイヤーケーブル発射装置!!
ベストジーニストさんが操作し!!そこから射出されたワイヤーケーブル!!
貸しホールに向けて集まっていた異能解放軍。
「ぎゃあああ!!」
「な!!何だよこれ!!」
「うわぁぁぁ!!」
何十本も射出されたワイヤーケーブル。その一本一本が5、6人程度の異能解放軍メンバーを一瞬で巻き上げ拘束していく!!
「次はこっちよぉ!!うりゃあぁぁぁぁ!!!」
「「「ぎゃあああ!!!!」」」
それとほぼ時を同じくして、マウントレディさんが巨大化!!特殊な強化繊維で作った地引き網を異能解放軍の密集している辺りにぶん投げ!!そして!!
「大漁!!大漁だわ!!どっしゃあぁぁぁぁ!!」
地引き網に捕まった異能解放軍のメンバー達が、巨大化したマウントレディさんの力に網ごと引っ張られてズルズルと引きずられ、その先でドンドンと拘束されていく!!
「さあ!さあさあ!!大漁!!大漁よ!!次の網ドンドン持ってきて!!ドンドン行くわよ!!」
最初の網で捕らえた異能解放軍。そいつらの拘束を他のヒーローに任せつつ、新しい網をねだるマウントレディさん。あの辺は任せて大丈夫だろう。
遠くでは轟の氷……大量の敵を凍らせる轟の氷が、圧倒的な質量と精密さを備えた轟の氷が異能解放軍をドンドンと攻撃しているのが見える。
「ハッハー!!見渡す限り敵ばかりじゃあねえか!!これ蹴り放題って事だろ!!良いじゃねえの!!片端から蹴り飛ばす!!」
「こちらエッジショットだ!!ミルコ!!ミルコ!!俺達のように狙ってやれるヒーローは片端からでなく敵の中間指揮官らしき敵を意識的に狙って倒すという作戦だぞ!!き!!聞いてるかミルコ!!ミルコぉ!!!」
「ああ!!知らねえよ!!片端から蹴り飛ばしてけば指揮官とかにも当たるだろ!!とりあえず全員蹴り飛ばす!!」
「クソぉ!!何だ!!何でだ!!何で俺はこんな貧乏くじばかり引いてるポジションなんだ!!何かこのままだととんでもない貧乏くじ引く気がするぞクソぉ!!」
全面的に苦労人ポジションのエッジショットさんが叫ぶ。この人夜以外は本当に本当に忍んでないし滅茶苦茶いい人なのよね……
「……えー……こちらミルコの所のインターンです……前線で敵の中間指揮官らしき相手は確認しています。私の方でミルコの蹴り飛ばす相手はフォローしますね」
「助かる!!助かるよ!!ほんとーに!!ほんとーに助かる!!ありがとう!!ありがとう!!」
「……そ、そんなにですか……?」
こちらはこちらで愉快な感じになっていた。
ベストジーニストさんやマウントレディさん、轟と違い、大規模な面制圧攻撃が出来ない、個別の撃破能力に優れヒーロー。
指揮を執るエッジショットさん。若干暴走するミルコさん。
非常にらしい……らしいが、そんな感じをフォローする、俺の大切な女の子の拳藤。
あちらではねじれ先輩の姿も見えた。リューキュウ事務所もこの作戦に参加しているのである。
総力戦。
総力戦だ。
自然、そんな言葉が脳裏に浮かぶ。
そんな総力戦を眼下に眺めながら。
俺は空を飛び、あるポジションに向かっていた。
……それは、作戦開始前から決まっていたポジション。
エンデヴァーさん
ホークスさん
そして、俺
「やあ!!俺ら2人が先行して集まったみたいだね」
「ホークスさん!!遅れてすみません!!」
俺達3人の合流ポイント。
3人ともが空を飛べる俺達だからこその、空にある合流地点。
そこに俺が着いた時、既にホークスさんがそこで俺達を待っていた。速すぎる男。その異名は伊達ではない。
「かまわないさ!!まあ俺がたまたま今回は速すぎただけかもね!」
「かもですが!!かもですけど!!何か負けるのは悔しいので次はホークスさんより速く来れるように頑張ります!!」
「真面目だねぇ……ほんとーに、君は、もう……」
大決戦の最中。
そんな中、ちょっとばかり「何だかなあ…」という笑みを浮かべるホークスさん。
その笑みを見て笑う俺。それに答えるようにして更に笑うホークスさん。
そんな俺達の元に、
「……ふむ。感心だな。スパイラルはともかく。ホークス……貴様もちゃんと俺より先に集合場所に来ているとはな」
「ええ……俺とスパイラルくんの比較いります?えぇ……」
「エンデヴァーさん!」
そんな俺達の元に、エンデヴァーさんがやって来た!!
「臨時株主総会の会場にいた株主達は全員安全圏に避難完了した。後は……後は!!ここにいる異能解放軍達を倒すだけだ!!」
念の為。念の為に。
臨時株主総会に参加していた人たちの警備をエンデヴァーさんが担当していたのだ。それが終わり今戻って来たのだろう。
「お勤めご苦労さまです!!って言えばいいすかね?」
ホークスさんの軽口!!それに、
「お勤めよりも貴様の軽口を聞くほうが疲れるな……さっさとやるぞスパイラル……何故個性合体の3人目の相手がホークス……貴様なんだ……」
やれやれ……と頭を振り嘆息するエンデヴァーさん。
「ヒデェ!!流石にそらヒデェっすよ!!」
楽しそうに、とても楽しそうにやんややんやするお二人。
全くこの2人は……
困ったもので。
困ったもので。
何というか、この大決戦。
その大決戦の、その最中。
……どうにも、その大決戦の最中ですら、ギリギリまで自分らがわちゃわちゃと楽しめる時間……その時間を、秒単位で把握している……そんな錯覚すら覚えてしまうような。そんな余裕を゙感じてしまう。
「……ふん。さて、貴様と遊ぶのは後だホークス……下を見ろ。今も仲間のヒーロー達が戦っている。俺達は……俺達3人は、彼らの奮闘に……頑張りに応えなければいけない立場にある。それはわかっているのだろうな?」
一段落ついたらしい。そんなエンデヴァーさんの言葉。
それを受けて、ホークスさんはにっこり笑い!!
「当然ですよ!!当たり前じゃないですか!!んじゃまあ!!やろうか!!やるよスパイラルくん!!」
「はい!!」
その言葉!!それに俺は応える!!
俺の返答。それにホークスさんはにっこりと笑い。
「泥花市では、エンデヴァーさんを゙ベースとした3人での個性合体だった!!でも!!でも!!今ここでは!!このタイミングでは一撃の威力ではなく、大多数相手の手数の方が重要だ!!」
「ふん」
「ですね!!」
俺達の言葉。それを聞いてさらにホークスさんは叫ぶように!!
「個性合体だスパイラルくん!!」
そう!!叫ぶ!!
「泥花市と同じ!!3人での個性合体だスパイラルくん!!ただし!!泥花市と違って、個性合体のベースはエンデヴァーさんじゃなくて俺だ!!俺の個性!!剛翼を個性合体で強化する!!俺の羽にドリル属性を付与し!!かつ更に更にエンデヴァーさんの炎でロケット弾みたいに加速させ勢いをつける!!」
「はい!!」
そうだ!!泥花市の事件以来!!俺は3人での個性合体を色々と調べていたのだ!
その結果というべきか!!
2人での個性合体と違い!!
3人の個性合体の場合!!ベースとなる個性の性質によって最終的に発現する個性に大きな違いが生まれる事がわかったのだ!!
エンデヴァーさんをベースとした3人での個性合体!!
それは炎の不死鳥ドリルだった!!
では!!では!!
ホークスさんをベースとした!!この3人での個性合体は!!
ホークスさんがニヤリと笑い、
「やるよエンデヴァーさん、スパイラルくん……今、この場に異能解放軍が百人いようが千人いようが……ひょっとしたら万を超えていたとしても……俺達3人で!!3人で!!その全てを撃滅させてみせる!!」
「ふ……やれるものならやってみろ。お手並み拝見しつつ……力は貸してやる、ホークス」
「やりましょう!!やりましょうよホークスさん!!」
俺達の言葉!!それを聞きホークスさんが!!
「おっしゃ!!んじゃやりますか!!やったりましょう!!行くぜ!!行こうよエンデヴァーさん!!スパイラルくん!!」
「ふん」「はい!!」
……そして、ホークスさんの個性をベースとした俺達3人の個性合体が発動した!!
エンデヴァーさんベースは一撃必殺系。
……じゃあ、ホークスさんベースだとどうなるんだ?
……その答えは……答えは、これから皆が見ることとなる。
side緑谷
「あれは!!エンデヴァーとホークスと回原くんの個性合体!!でも!!でも!!泥花市のとは全く違う!!」
デトネラット社の臨時株主総会。その妨害を目的とした異能解放軍の襲撃。
それを防ぐ為にインターンとして僕も参加していたんだけど。そこで僕はとんでもないモノを見ることになった。
ホークスをベースとした。
エンデヴァーと、回原くん。
その3人での個性合体!!
泥花市では、エンデヴァーを中心に炎の不死鳥ドリルが生まれたと聞いている。
一撃必殺のエンデヴァーの炎。それに回原くんのドリルとホークスの翼。それで一撃必殺を超強化した個性合体だ。
……では、ホークスを゙ベースだとどうなるのか…、
「は、…ははは……」
「「「ぎゃあああ!!!!!」」」
「たす!!助け!!」
「ぐぁぁぁ!!」
「こんなん!!こんなのどうしろって!!ぎゃあああ!!」
答えは阿鼻叫喚。
まあ阿鼻叫喚である。
控えめに言って阿鼻叫喚だった。
……それ以外、どう言えばいいのだろう?
数本集めれば成人男性を抱えて精密に空を飛べるホークスの羽。
それに回原くんのドリル属性で威力を高め。
……かつ、エンデヴァーの炎でそれを加速させるのだ。
(ガンダム時空でニューガンダムのファンネルとかに包囲されるとこんな気分になるのかな……?)
ホークスの羽にドリル属性付与して、かつエンデヴァーの炎で加速させるとか悪夢以外の何物でもないと思う。
今も瞬きの瞬間、瞬きの瞬間すら惜しいほどの極々短い時間。その時間でホークスの個性合体された羽が多くの異能解放軍のメンバーを打ち倒している。
むしろ打ち倒したくらいで済んでるのが驚きだ。なんであれで死人が出ないんだろう?まあ、その辺がホークスのスゴさなんだろうな。
一撃でヴィランを殺してしまいかねない羽。それを殺さない程度にコントロールしつつ、多くのヴィランを倒す精密操作。
この辺りがホークスの本当のスゴさなんだろう。
エンデヴァーをベースとした個性合体が対ボス仕様の極悪決戦兵器ならば、ホークスベースの個性合体は至上最悪の識別判定有りのマップ兵器だ。
「……ちょっと凄まじい……凄まじ過ぎないかなこれは……」
僕はオールマイトが大好きで……オールマイトが歴史上でも最高のヒーローだと確信しているけど……
(これは……ちょっと……)
……当たり前の話で、オールマイト程の機動力はこの3人チームにはないだろう。ホークス単体ならともかく、この3人ではそこまでの機動力はないと思う。
でも……
だけど……
(単一の戦場……そこでの戦闘能力に関しては……関しては、本当に……本当に全盛期のオールマイトに匹敵する……匹敵しかねないチームなんじゃないか、この3人は……)
ヒーロー好きな自分。
沢山のヒーローを知ってる自分。
そんな自分の目から見ても……この3人のチームは凄まじい強さを誇っていた。
(個性合体のベース……それを単一のターゲット撃破を重視したエンデヴァーと、大多数のターゲット撃破を重視したホークスで使い分けて……かつ、戦況によっては個性合体を解除して、トップヒーローであるエンデヴァー、ホークス……それと同等に活動出来る回原くん……3人それぞれが分離して最上クラスのヒーローとして活動出来るだなんて……)
いや……これじゃ、まるで……
「ムカつくぜ……ゲッターロボでも気取ってんのかよ、クソが……」
「かっちゃん!!それはそう!!それはそうなんだけど!!」
異能解放軍の敵を撃破しつつ、こちらに近寄ってきたかっちゃんがそんな事を言った。
いやそうなんだよ!!マジで!!マジであの3人ゲッターロボみたいなんだよ!!
合体の組み合わせ次第で戦況に合わせて長所を組み替えて、必要に応じて合体解除して暴れられる3人とか!!マジでゲッターロボじゃん!!
しかし!!しかし!!しかししかし!!
「敵が!!それでも敵が!!減らない!!」
戦闘開始から凄まじい勢いで異能解放軍のメンバーを倒していると思う!!
でも!!だけど!!
「それでも!!それでも!!敵が!!敵が全然減った気がしない!!」
数の暴力。
その凄まじさを゙僕は……僕も含め、多くのヒーロー達が感じていたと思う。
そして……そして、そして、さらに戦況は……戦況は、終わりに向けて加速していく事になるのだ!!